これ書くのかなり時間かかりました。長いのではなく悩んでただけなのですが。
現在アニメ6話のところを書いていて、過去話とか考えて頭が混乱中です笑
ここうまく書ける自信ないな……
それでは今回もよろしくお願いします!
「ただいま!」
夕飯前の櫻田家、光は友達の家に遊びに行っていたらしく、いつもよりも遅い帰宅だった。
「おかえり、光。なんだいいことがあったみたいな顔をして?」
「えっ!い、いやなんでもないよ!」
急に手を顔の前で振り、誤魔化して光はすぐに自分の部屋に行ってしまう。
「……なに企んでるんだか」
なんというかあまりのわかりやすさに苦笑いが出てしまう。
「式、ボルシチのご飯の時間なんだけど、見てない?」
居間に戻ろうとしたところで、茜とはち合わせる。
「いや、見てない。誰かの部屋にでもいるんじゃないか?」
「わかったー」
そのまま、茜は二階の方にいったので、俺は居間にいってソファに腰掛ける。
ちょうどテレビでは最近売れてる新人アイドル米澤紗千子ことさっちゃんのライブについてのニュースが映されていた。
俺はこのアイドルが好きだったりする。理由はさっちゃんは今日初ライブをしたのだが、その前の下積み時代をブログなどで見ており、かなりの努力家でその努力する姿勢が嫌いじゃなかったからだ。
どのくらい好きかというと、今日のライブを見に行っていたぐらいは好きである。
「ねぇ、式。光が何か企んでそうなんだけど知らない?」
テレビを見ていると、茜がボルシチを捕まえて、やってくる。
「いや、知らないぞ。どうせ大したことじゃないだろ」
「そうかな~?」
茜にまで気にされるとは、何を考えてるのやら。
テレビが面白くなくなったので、俺は部屋に戻るために階段を上がったところで、光がなぜか岬と遥の部屋にこそこそ入っていくのが目に入った。
「ったく。何してんだか」
岬は部活の助っ人があるはずなのでまだ帰宅しておらず、遥はもう帰ってるがさっき居間でみた。つまり、今の二人の部屋は無人のはずである。
俺は気付かれないように様子を見るとどうやら岬の服が目当てのようで、タンスを漁っていた。
「なんかパッとしないな。勝負服とかないの?」
「人の服漁っといて、何言ってるのかな光?」
「えっ!?」
ロボットのような動きで振り返る光に、俺は満面の笑顔で見下ろしていた。
このままだと、岬に何言われるかわかったものでないので。散らかった服を戻して、光を能力で浮かして自分の部屋に連行する。
「ごめんなさーい!謝るから許して~」
「話しは部屋で聞いてやるよ。そら!」
そのまま自分の部屋に入った俺は光をベットに放り投げた。
「ぶへぇ!」
光が俺のベットに顔面から落下して、変な声をあげる。
「それで、なんで岬の服なんか漁ってるんだ。能力で大人になっておしゃれでもしたかったのか?それなら、正直に言えばいいじゃないか」
そういうと、光は少し考え込むような形になる、そんなに大事なことなのだろうか?
「……式君なら言ってもいいか。私、アイドルのオーディションを受けたいんだけど。受けるための服がなくて」
「光がアイドル?確かにうちの中では一番似合いそうだけど。急にどうしたんだ?」
「今日、アイドルのライブ友達の家で見たの。それで、王様になるための票集めにいいなと思って」
米澤紗千子のライブを見て影響されたのか。でも、小学生ぐらいだと両親の同伴がないと受けられんから、能力で成長して受けたいといったところか。ツッコミどころが満載だが光が頑張ろうと思うのはいいことだ。
「父さんたちには内緒でやりたいのか?」
「うん、真似されたくないし……」
誰もそんなことしないとおもんだが、とは言わないでおこう。
にしてもどうしたものか。せっかく光がやる気になってるんだやらせてみるのもいいか。
「しょうがない。協力してやろう。でも、簡単になれるもんじゃないぞ。歌やダンスはもちろん他にも色々できないとアイドルにはなれん」
「うん。それでもやりたい。じゃあ、服とかその他もろもろの費用は俺が出してやる。コーチも俺がやろう。でも、自分でやるからには俺は教えるだけだ。自分で努力することになるぞ?」
「うん!ありがとう式君!」
こうして、俺と光のアイドルになるための修行が始まった。
光は票集めにアイドルになりたいと言ったが、票を集めるためなら他にもいくらでも手はあった。しかし、俺が何も言わずに協力してるのはあくまでも光が自分の意志を見せたからだ。
なので効率などは端から度外視なのだ。
まずは歌唱力。カラオケに行って、練習あるのみである。
手始めに俺が一曲歌ってみる。
「えっ!?式君歌めっちゃうまいね」
「コツをつかめば、うまく歌えるようになるぞ。さぁ光の番だ!」
「はい!」
次はダンス練習、こういうのは動画を見てそれを真似するに限る。
「はぁ……ちょっとタイム。式君疲れたよ~」
「あと一回だ。アイドルは何曲も歌って踊るんだ。踊ってるだけでへばってるだけじゃ話にならんぞ!」
「ひぃ~~」
他にも様々な特訓を乗り越え……
「やった式君!書類審査通ったよ!」
「よかったな光。まぁ、書類審査は簡単にいけると思った」
「それで、二次審査出来ればついてきてほしいんだけど……」
「いいぞ、乗りかかった船だ。最後まで付き合うよ」
しかし、この時俺はさっちゃんの影響を受け光に努力させることにしか目がいってなく。とんでもないことをやらかしていることに気付いていなかったのである。
数日後。俺と成長した光はオーディションを受けるためのビルの前にいた。
俺もばれたら色々面倒なのでメガネをかけ、パーカーのフードなどを被るとして多少の変装をしていた。
「光、お前はやれることをしっかりとやってきた。自分に自信を持っていけ」
「はい!コーチ!じゃあ、行ってきます」
そういって光はビルの中に入っていった。俺にできることは光が無事合格をするのを祈るばかりだ。
「でも、受かったらさすがに父さんに説明しないとな。そしたら相手もびっくりするだろうな。まさか王族がアイドルになろうとするなんて――」
そこまでいって俺はようやく気付いた。そう最初から気にするべきだったことに。
「あいつ、自分の身分とかどうしたんだ……」
すると、光が魂の抜けた顔でこっちに帰ってきた。
「身分証のこと忘れてて、オーディション受けれなかった……」
「……光。お前どうやってこのオーディションに応募したんだ?」
恐る恐る俺は尋ねてみると。
「友達の名前使って誤魔化してた」
「それ立派な犯罪だからな!?いや、気付かなかった俺も俺だけど……」
なるほど、嘘を書いて書類は大丈夫だったが、身分提示で偽装できるものはさすがに持ち合わせてなかったのか。
そりゃ受けられなくて当然だ……
いや、俺が大人になればよかったのではないだろうか?そうすれば、光は小学生のオーディションを堂々と受けられたのでは……今更なので言わないでおこう。
「帰ろうか」
「うん」
努力はしてたんだ。もし、光にまだやる気があるのならチャンスはいくらでもあるだろう。
「あっ、飲み物でも飲むか。買ってくるからちょっと待っててくれ」
「うん」
魂の抜けた返事を受け、少し罪悪感に見舞われるが少し経てば機嫌も戻るだろう。
「これ下さい」
「はいよー」
飲み物でも飲んでまずは落ち着いてもらおう、そう思って俺は元いた場所に戻ったが光はいなかった!
「えっ!?あいついないじゃないか!勝手にどこか行きやがって」
俺はすぐに光に電話をかけるがなぜか俺の鞄から着信音が聴こえる。
そう言えば携帯預かったままだった!どこに行ったんだろ……いくらなんでもこの人ごみでトラブルに巻き込まれたということはないだろう。でも、放心状態だったからな……
でも、そこまで時間は経っていない。まだ近くにいるはずだ!
俺は周りを探し回り、数分探してどうしようかと思ったところで。
目の前のビルから光と二人の大人が出てきた。
「光!お前何してたんだ!」
「あっ、式君、ゴメンちょっとスカウトされて」
スカウト?変な勧誘に巻き込まれてるんじゃ……あれ?ここって米澤紗千子の事務所じゃないか?もしかしてガチでスカウトされたのか。だが、それはそれこれはこれである!
「お前!俺を心配させるとはいい度胸じゃないか。俺に携帯も預けっぱなしで」
俺はフードとメガネを取り、光の頭を掴んでアイアンクローをする。
「痛い痛い!ごめんなさい、もうしませんから!」
「ならば許そう。ってどうかしましたか?」
俺が光を叱っている姿を見て、なぜか後ろの大人は青ざめていた。
「し、式様?」
「光ちゃん。君の名字って」
「あれ?言ってなかったっけ?」
説明してなかったのかよ!というか事務所の方々、知らずに王族スカウトしちゃったのか。色々ご愁傷さま……
「すいませんけど、事務所の皆さん。うちに来てもらいますけどいいですよね?」
「は、はいぃ!!」
はぁ、俺にビビってたらこの後父さんに説明するのも大変そうだ。
そして、俺たちは家に帰るとちょうど父さんも家にいたので、話し合いの場が設けられたのだが……
「陛下!知らなかったとはいえ、光様に大変失礼な真似を!本当に申し訳ありませんでした!」
話し合いの場という感じではないな。土下座しちゃってるし……
「ですが、光様にはアイドルの資質を感じざる負えません。どうか光様のアイドル活動に御賛同いただけないでしょうか!」
「うん、いいよ」
「やったー、さすがパパ話がわかる!」
「いや、軽すぎだろ……」
だが、こうして光のアイドルデビューが決定したのである。
それにしても米澤紗千子と同じ事務所か。あとでサインもらえるかな……
『こんにちわー、さっちゃんと同じ事務所の新人アイドル、桜庭らいとでーす!』
今、我が家のテレビには米澤紗千子と光が桜庭らいととして映っていた。
「結果、世間に正体隠して、中学生としてデビューか」
「うん、小学生よりもこっちの方がいいって。今はこれで……」
「いいのそれって?」
「年齢のサバを読むのはよくあるけど、上に読むなんて聞いたことないわね」
「いいなー、光の服可愛い」
「じゃあ、茜もアイドルやるか?」
修が冗談めいた感じに言うが、茜がアイドルなんて始めたらこの世の終わりだろうな。
「や、やらなーい……」
ほらな。にしてもこのアイドル活動。
「光、俺はお前がアイドルになれて素直に嬉しいんだけど。お前は選挙のために始めたんだよな?」
「うん、そうだよ」
「正体隠してたら意味ないだろ」
「あっ……」
光はまた魂の抜けた表情になる。ほんとに光はまっすぐでいい子なのだが抜けてるところが多いな……
「まぁ、いいじゃないかアイドル。頑張れよ」
「はい、コーチ!」
そういって光は笑顔を見せるのであった。
はい、というわけでアニメとは大きく変え、遥様の出番全カットです。式君が乗っ取りました。悩んだ結果これが一番しっくりきたので後悔はありません。
式はアイドルオタではなく、さっちゃんが好きなだけでオタ芸とかをするタイプのファンではありません(期待してたらすいません)
式は基本天才型ではなく努力型の人間のつもりなので。さっちゃんとタイプが似てるんですよね。
今回でアニメ3話終了、次から4話となります。
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