城下町のダンデライオンー偽物の10人目ー   作:雨宮海人

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初投稿になります。
城下町のダンデライオンが好きなのでの作品がもっと増えたらいいと思い、書き始めました。
アニメのままのところもありますが、頑張っていきたいと思います。


プロローグ

朝6時、普通ならまだ寝ていたい時間に俺こと櫻田式は目を覚ます。

 

習慣になっているせいか、一応7時に目覚ましをセットしているがこいつが役に立つことは滅多にない。

 

「さっさと準備するとするか」

 

まだ眠い体を起こし、制服に着替えて俺は部屋を出て居間に行くと、そこには

 

「あら、式ちゃんおはよう。相変わらず起きるのが早いのね」

 

俺の母、櫻田五月が朝食の準備をしているところだった。

 

「早く起きないと、色々面倒だからね。何か手伝おうか?」

 

「いいわよ。葵が他の事やってくれてるから、さっさと支度しちゃいないさい」

 

「葵姉さんもう起きてるのか。ならやることないか。顔洗ってくるよ」

 

そう、俺がこんなに早く起きるのは単に真面目だからという理由ではない。

 

櫻田家の朝は戦争なのだ。

 

今は俺一人で平和なものだが、一時間も経つと―――

 

 

 

「もう、いつまで寝てる気なの。茜!光!」

 

「えっ、もうこんな時間!?ごめん、お先!」

 

「あー、茜ちゃんずるい!」

 

「おい、遥早くしてくれ。輝がもう限界だ」

 

「ごめん、もう少し待って」

 

「あ、兄上。僕はまだ我慢できます」

 

「もう、お父さん長すぎるよちょっとどいて!」

 

「栞、ちゃんと歯磨きなさいよ」

 

「はい、奏姉様」

 

 

我が家は四男六女。両親含めて12人家族なので、朝のトイレや洗面台は簡単には使えないのである。

 

「相変わらずの惨状だな。これだから早起きに限る」

 

他の兄弟たちが騒いでいる中、俺はみんなが揃うまで朝食は食えないのでスマホをいじって待っていた。

 

「式ちゃん、手が空いてるならご飯並べるの手伝って」

 

「わかったよ、葵姉さん」

 

正直、手持無沙汰だったので俺はすぐに葵姉さんの作業を手伝う。

 

そんなことをしているとみんなの準備も終わりようやく朝食の時間である。

 

 

そんなに時間もかからず、他のみんなも席に着きようやく朝食である。

 

「今日はママ特製野菜オムレツでーす。みんな残さず食べるように」

 

『『いただきまーす』』

 

「やっぱりグリンピース入ってる」

 

「好き嫌い言ってると身長伸びないわよ」

 

「母上、僕は好き嫌いないので大きくなれますよね?」

 

「えぇ、そうね。栞、よく噛んで食べてね」

 

「うん」

 

「そういえば、トイレットペーパーのストックなかったけど」

 

「今週の買い物当番誰だっけ?」

 

俺は今週掃除当番だったので、買い物ではない。確か……

 

「修だったんじゃないか?」

 

「式、一応俺は兄なんなだぞ。たまには兄さんと呼んでくれても――」

 

「これで慣れてるから無理だよ」

 

「はぁ、トイレットペーパーは帰りにでも買ってくるよ」

 

「お願いね、修くん」

 

「親孝行な子たちで助かるわ~」

 

 

家族12人一斉に食事を取り出すというのは中々に壮観である。

 

これだけならただの大家族なのだが

 

「あなた、食事中ですよ!」

 

母さんが父さんの持っていた新聞を取り上げると、なぜか父さんの頭には王冠が乗っかっていた。

 

「なんで王冠してんの……」

 

「いや、間違って持って帰ってきちゃったんで、せっかくだから」

 

「すごい、パパ!王様みたい!」

 

「いや、一応本物だから……」

 

「父さん、それ絶対城の人たち心配してるからちゃんと謝っときなよ」

 

「あはは、そうするよ」

 

そう、うちの父さんはこの国を治める国王なのだ。

 

そして、その家族である俺達家族は皆王族となる。

 

 

 

 

 

 

―――俺一人を除いて

 

俺の両親は俺を生んですぐに事故で他界しており、ある理由から親戚であるこの家に養子として引き取られたのだ。

 

その理由は、王家の一族はそれぞれ特殊能力を持っており、それが王家の証となっている。本来では俺には宿るはずのないものだが、俺の本当の父親の名前は櫻田蓮太郎、今の父さんの従兄弟にあたる関係であったことが原因で偶然にも俺に能力発動の兆しがあったからである。

 

そして、実際に俺には王家の能力が備わっていたのだ。

 

しかし、世間に公表はせず、偶然にも俺が生まれたのは三女である茜と一日違いだったので、双子の兄妹として処理され、俺のことは公にならなかった。

 

この事実を知っているのは俺を引き取ってくれた、櫻田総一郎、五月と関係者数名だけであり、俺にも伝えられることはないはずだったが、中学一年の時にそのことを偶然知ってしまった俺は当時混乱したが、父さんと母さんのおかげでなんとかその事実を受け止める事ができた。

 

だが、他の兄弟たちはこの事実を知らず。俺もそれを打ち明けるだけの勇気がなく、今も隠して生活している。

 

出来れば大人になり独り立ちするまでは、この平凡な日々が続くことを祈りながら――




しょっぱなから重い話をいれてきましたが、
最初だけでこれからは普通の日常系となっていきます。
初投稿で色々不慣れなところがあるのでアドバイスなんかをくれたら嬉しいです。

※8/23 式の設定の部分が一部抜け落ちていたので、修正しました。


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