無限遠のストラトス   作:葉巻

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おまけ 各キャラクター専用機の概要

ISの世代について:

【第一世代型】

15年前の研究で使用され、学会で発表された試作機。

全身装甲型(フルスキンタイプ)であり、その外見もスラスターユニットなどを除けば当時の宇宙服に近いものだった。

 

【第二世代型】

発表後、開示された設計情報を元に各国が開発した最初期の軍用機。

『打鉄』の半露出装甲型(セミアーマータイプ)や『ラファール』の多方向推進器(マルチスラスター)など、画期的な技術が多く生まれた。

この段階では軍事面での利用のみが検討されており、民生用途はまったく考慮されていなかった。

 

【第三世代型】

IS競技が浸透する中発表された、現行世代の機体。

アラスカで行われた国連加盟国の会合で『アラスカ条約』が決議されたことにより、ISは攻撃兵器から防衛兵器に運用形態が変化。

同時に競技用のISという非軍事目的での運用が提案され、各国で多用途機の開発が相次いだ。

仏デュノア社が設計を一新した『ラファール・リヴァイヴ』で大きくシェアを広げた時代でもある。

 

なお『打鉄甲式』は厳密には第二世代型だが、機能・運用思想的にはこの世代に相当する機体である。

 

【次世代型(第四世代)】

現在各国で開発が進められている機体。

より多目的な運用を可能にするため、パッケージ換装機能に標準で対応させている。

また、白騎士事件を機に、現行兵器での即時対処が難しいISの迎撃を考慮した対IS武装『空間作用兵器(AIC)』が提案され、試験的に搭載する流れが広がっている。

特に開発に熱心なのは欧州各国であり、統合軍備再編計画(イグニッション・プラン)に提出した試作機案でも、軒並み競うようにAIC搭載機を提示している。

一方、日本や米国では『打鉄弐式』や『ファング』の高度データリンクシステムなど、部隊規模・軍団規模での連携運用機能を重点的に強化する流れが進んでいる。

 

 

織斑一夏:Type-100『白式』

 

オリジナルコアに組み込まれている機能のひとつである多段階形態移行(マルチフォームシフト)を研究するために開発されたIS。

機体設計の大部分を現国際IS委員会理事の篠ノ之束が担当し、倉持技研を中心とした日本のIS関連企業によって作製された。

要となるコアユニットには三年前の『モンド・グロッソ』襲撃事件の主犯である白騎士のものが使われている。本来なら凍結処理が施される筈だったが、操縦者が男であったことなどさまざまな事情が重なり、初期化した上で利用されることとなった。

 

なお、『白式』という名称は倉持技研の技術者たちが付けた呼び名であり、本来の機体名は未だ与えられていない。

 

【初期形態】

一夏の元へ届けられた際の姿であり、移行を開始する前の状態。

機動力を重視した構造となっているが、形態移行のための拡張パッケージが拡張領域(バススロット)のほとんどを占拠しているため、武装は近接格闘ブレードの『雪片《ゆきひら》』のみである。

一夏は『欠陥機』とまで疑っていたが、機体性能自体は次世代型として平均以上の水準を保っており、武装面の問題さえ解決すれば、このままでも十分に性能を発揮することができた。

 

【第一移行形態】

初期段階移行(ファースト・シフト)を完了した『白式』の第二の姿。

機体各部にスラスターが増設され、より高い機動性能を発揮することができるようになった。

また、拡張領域の一部が空いたことで、『雪片弐型』以外の武装も一基のみではあるが追加で格納できるようになっている。

 

『雪片弐型』は本来移行時の変化に含まれていなかったが、初期段階移行前の戦闘で損傷したことでISが独自に判断し、残骸から新たに形成した武装である。

実体剣と電離放射体(プラズマ)の二通りの攻撃手段を持ち、最大稼動時には絶対防御を含めたシールドを消滅させる空間作用攻撃『零落白夜(れいらくびゃくや)』が発動可能となる。

 

 

篠ノ之箒:『打鉄』(特殊塗装仕様)

 

倉持技研が開発した第二世代型相当の多用途機。

当時としては画期的な半露出装甲型(セミアーマータイプ)を採用し、一定の防御性能と機動力を両立することに成功した。

試作機発表から12年あまりが経った現在は旧式化が進んでおり、大半を所有する自衛隊では改良・第三世代相当型である『打鉄甲式』への改修と、次世代型相当の『打鉄弐式』の開発を積極的に進めている状況である。

 

箒の機体は剣術を応用した近接格闘を実現するためPICに特殊機動モードを採用している。

また、それと併せて薄紅色の専用塗装が施されている。

 

 

セシリア・オルコット:『シュトロームBT』

 

英国が試験運用を進めている『メイルシュトローム』の準次世代改修型の試作機。

スラスターユニットとアーマーの再設計による推力バランス改善と同時に、自立飛行兵器『ブルー・ティアーズ(BT)』を搭載するためのコンテナユニットを二基増設している。

また、腰部スカートアーマーには実体弾を用いる武装としてマイクロミサイルランチャーが追加で搭載されている。

手持ちの武装としては、『スターライトMk.Ⅲ』パルスレーザーライフル、『ミーティアライト』四連装低反動ロケット、『インターセプター』近接格闘ブレードを格納している。

 

次世代型機の『サイレント・ゼフィルス』もそうだが、英国は自立兵器による遠隔攻撃手段の実用化にこだわりを持っている。

防衛の要であるISが、市街地など遮蔽物の多く地形の入り組んだ地域での戦闘を優位に進められる状況を真っ先に確立したい、という思惑があるものと思われる。

 

 

凰鈴音:『甲龍(シェンロン)

 

中国の軍用ISをベースに、競技専用として開発された機体。競技用としては初の次世代型機であると言われている。

機体後方にスラスターを集中して配置するなど、直線機動での速度を重視している。

また、複雑なマニューバを取ることが難しいという特性につけ込まれないよう、自動防御装置として空間作用兵器である『龍咆』を搭載している。

これは瞬間的に大気を歪めることで砲身を形成し、圧縮された空気を砲弾として発射するものである。

殺傷力はほとんどないが、機体を包むシールドに強い衝撃を与えて破壊することができるため、シールドエネルギーで勝敗を競うIS競技では無類の威力を誇る武装である。また、射出に応じて砲身形成が適宜行われるため、死角が存在しない。

 

なお、軍部では暴徒鎮圧用の非殺傷兵器として研究が進められているが、逆に人間相手では威力が高過ぎて危険なのではないかとの声も上がっている。

 

 

織斑円夏:『サイレント・ゼフィルス』(試作二号機)

 

英国が統合軍備再編計画(イグニッション・プラン)で提示した次世代型ISの試験運用型。

一号機は本国で運用試験が行われており、こちらは非軍事目的での利用が可能かどうかを判断するため、出力を調整した状態でIS学園に持ち込まれている。

『メイルシュトローム』をベースにした『シュトロームBT』とは異なり、新たに開発された高速機動戦闘用のフレームを採用している。

一方で、アーマーの一部やコンテナユニットなどは、国内での運用形態を考慮してか共通のものが用いられている。

 

コンテナに射撃型BTを四基、腰部スカートアーマー後部に防御展開型BTを二基搭載しており、攻防一体の戦闘が可能となっている。

また、手持ちの武装として『スターダスト・シューター』ハンドレーザーガン二梃、『インターセプター』近接格闘ブレード一本を格納している。

 

 

エム:『ヘルハウンド・ビースト』

 

米国製の第三世代型IS『ヘルハウンド』を改造し、空間作用兵器を増設した機体。

腕部のプラズマクローは本来なら散逸してしまう電離放射体を強い力場で封じ込めており、その副次作用として他の力場を掻き乱す能力を有している。

また、封じ込めた電離放射体を一気に開放することで巨大な爪を形成し、広範囲を抉り取ることができる。

 

ただし、一度開放してしまうと再充填までは実体近接クローとして扱うことしかできず、連発ができないという欠点を持つ。

この状態でも力場を乱す効果は健在であるため、シールドを貫通することはできる。

 

 

『ゴーレムⅠ型』

 

IS学園を襲撃した詳細不明のIS。

本来なら作ることができない『無人操縦型のIS』であり、その事実は世界各国に大きな衝撃を与えた。

機体名の『ゴーレム』はIS委員会が便宜的に名付けたもので、本来の名称は分かっていない。

 

腕部に小型の荷電粒子砲を搭載するほか、機体各部にも超小型の粒子砲が取り付けられている。

粒子加速器は搭乗者を模した胴体内に格納されている。

 

 

『ゴーレムⅡ型』

 

IS学園を襲撃した詳細不明のIS。

『Ⅰ型』に比べ大型で、下半身が四脚となっている。

本来なら作ることができない『無人操縦型のIS』であり、その事実は世界各国に大きな衝撃を与えた。

機体名の『ゴーレム』はIS委員会が便宜的に名付けたもので、本来の名称は分かっていない。

 

腕部の荷電粒子砲のほか、肩部に接続されたマイクロミサイルポッドやプラズマクローなど、より強力な武装を搭載している。


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