【FAIRY TAIL】竜と人の子~雪の滅竜魔導士~ 作:折式神
第10話 無鉄砲
ゼレフ書の悪魔。偉大な黒魔道士、ゼレフが生み出した凶悪な怪物たち。それを、二度も壊した。
魔法評議会会場の
「二回目はオマエの母の力だが、偶然とはいえ、二度も悪魔を壊してしまうとは……な」
聖十魔道であり、評議員の一人であるジークレインは、その立場からステラのことも耳にしていた。
「ごめんなさいね。ジークレイン様。まさか、あの女の力がこれほどまでとは」
「そういうことを言うもんじゃないぞ。ウルの
オレはオマエの母を尊敬している。生きていれば間違いなく聖十魔道の一人となっていただろう」
「かいかぶりすぎよ。母は魔の道にとりつかれすぎて、父に捨てられた惨めな女」
「失うものが大きければ大きいほど、得られる力は強くなるものだ。お前の母や、ステラのようにな」
「私は
「どうかな。幼い弟子を育てたのも、あの娘に力を貸したのも、おまえへの未練にも――」
それ以上はダメ。というばかりに、ウルティアがジークレインの口元を指で抑える。
「てか……おまえ……」
ぷっくりと、ウルティアの頬が膨らむ。それも両方。ちょうど、ナツとステラにそれぞれ殴られた場所だった。
「きゃあああ! 何よコレぇ!」
「あっははははっ! 今頃はれてきやがったのか!」
「それで、どうだった?」
「この子たち、強くなるわよ。半分も力を出してなかったとはいえ、一瞬だったもの」
「どっちのほうが強い?」
「……戦闘での頭の回転の早さと力はナツね。あの娘は精神が不安定すぎるのよ。強くても、冷静さに欠けるわ」
だが、ウルティアの頬で、大きくはれているのはステラに殴られたほうだった。
「あのイグニールの子だ。しかし、アイツも使えるさ。
オレの
――
前と変わらないマグノリアの街並み。まあ、変わっていても困るか。それにしてもよく寝たなぁ。と、大きな欠伸をしながら思う。
S級クエストの本来の依頼は、村の人たちを元に戻すこと。そういうのはエルザが全部解決してくれたのだ。
そのあと、散々叱られたのは言うまでもない。しかし、私も悪かったとエルザから謝られたのだ。ゼレフ書の悪魔が関わっていると判明した時点で私を関わらせたくなかった……まあ、以前のことがあるから仕方なかった。
「しっかし、あれだけ苦労して鍵一個とはなぁ……」
「正式な依頼ではなかったのだ。これくらいがちょうどいい」
「そうそう。文句言わないの!」
知らない人に嬉しそうなのは誰と聞けば、絶対にルーシィを指差すだろう。
今回の依頼の報酬は鍵一個。しかも、精霊魔道士の為の鍵なのだから、得をしたのはルーシィだけなのだ。もらった鍵は人馬宮のサジタリウス。王道十二門の鍵と言われる世界に12個しかないものらしい。
ナツがルーシィをこのS級に誘ったのは、この鍵を餌にすれば必ず来ると踏んだという中々に非道なものだった。ずる賢い。
「あの牛や、メイドが?」
「あたしが修行したら、アンタなんかより絶対強くなるんだから!」
「……へぇ。精霊の強さって、召喚者に応じて変わるんだ」
ルーシィの魔力が弱いから星霊も弱いんだろうかと考えてしまった。いや、戦ったことはないけど、あんまり強そうには思えない。
「さて……さっそくだが、ギルドに帰って、おまえたちの処分を決定する」
「うお!!」
「忘れかけてた!!」
「私は今回の件について概ね海容してもいいと思っている。
しかし判断を下すのはマスターだ。私は弁護するつもりはない。それなりの罰は覚悟しておけ」
「「うわぁ……」」とエルザ以外の全員が嘆かずにいられなかった。
「まさかアレをやられるんじゃ!?」
「ちょっと待て! アレだけはもう二度とやりたくねえ!」
「アレって何ーー!?」
ハッピーがアレのことを思い出したせいで、アレを知っている者は恐怖していた。
「気にすんな「よくやった」って、ほめてくれるさ、じっちゃんなら」
「すこぶるポジティブね」
平気平気、と言わんばかりに笑顔のナツ。それを砕いたのはエルザだった。
「いや……アレはほぼ決定だろう。
ふふ……腕が鳴るな」
ナツの顔から笑顔が消えて、ダラダラと汗が流れて震え始めた。
「いやだぁーー! アレだけはいやだーー!」
「だからアレって何ーー!?」
「さあ行くぞ」
みんなが慌てふためく様子をみて、思わず笑っていたが、よくよく考えたら自分もそれを受けなければいけないんだと思った瞬間。足取りが重くなっていた。
「なんだ、あいつら知らねぇのか」
「可哀想にな……あんなんになっちまって」
そこでようやく、自分たちに対して、ひそひそと街の人たちが何かを言ってることに気づく。
すぐに、その意味はわかった。
「なんだよ……これ」
無惨に刺さる鉄柱。それも一本じゃない。壁は抉られて、天井は落ちて……見るに耐えない
「誰が……こんなこと……」
「ファントムよ」
その疑問に答えたのは、ミラジェーンだった。
「悔しいけど……やられちゃったの……」
――
ギルドに地下があることを、初めて知った。ミラに促されるまま来たが、いつもワイワイと騒いでるような雰囲気ではなく、怒りでピリピリしていた。
「よっ。おかえり」
だけど、マスターはいつもと変わらなかった。
「酒なんか飲んでる場合じゃねえだろ! じっちゃん!」
「おー、そうじゃった。おまえたち! 勝手にS級クエストなんかに行きおってからにー!」
そういって、驚く私たちをよそに、エルザ以外の頭を、そして、ルーシィのお尻を下心まる出しで叩いていた。
「マスター! どんな事態かわかっているんですか!」
「ギルドが壊されたんだぞ!!」
とりあえず、罰は免れたらしい。しかし、大きな問題があるだろうと、エルザとナツがマスターに抗議していた。
「まあまあ、そんな目くじらを立てるほどのことでもなかろう」
マスターの話を聞いてみると、襲われたのは誰もいない夜中だったということ。それに、ギルド間の武力抗争は禁止されている。やり返せばそれこそ評議会が黙っていない。
悔しいのはマスターも同じみたいだが、どうしようもない。ナツもエルザも、渋々納得するしかなかった。
――
すっかり暗くなった夜道をいつもと変わらずに家を目指していた。
「
ファントムがどんなギルドなのか知らないが、あんな酷いことをするギルドがまともなはずない。
昔っから小競り合いはあったらしいけど、ここまでやるのは初めてらしい。
マスターは優しすぎる。と思わないこともなかった。それこそ、評議会に抗議することもできるはずだ。何か理由があるのかもしれないが、そこまで聞ける立場じゃない。
ダメだ。今日は帰ったら寝よう。私が悩んだって解決するような事件でもないし。と、気づいたら考えに耽って道を間違えたらしい。……戻ろうと振り返ろうとした時、それは耳に入った。
何かを打ち付けるような、金属と金属が当たる音。そんな聴き慣れない音を探るうちに、広場にたどり着いた。
「何やってるんだ!! お前!!」
名前はわからなかった。けど、
ソイツが敵なのはわかる。だって、
「……ギヒッ!」
妙な笑い声を上げながら、ソイツは攻撃してきた。それを見たことがあった。ギルドに刺さっていた鉄柱と、同じものだった。
「お前がギルドを!?」
「よく避けたな。見たことねえ
「金髪?」
髪色を気にするなんて変なやつだ。
「こんなことして、何が目的だ!」
「答える必要はねえよ!」
先ほどと同じように、腕が鉄柱になった。それを地面に殴りつける。その鉄柱の上を走って近づき、ソイツの顔を蹴り上げた。
だが、そんなことお構いなしに、足を鷲掴まれて、そのまま地面に叩きつけられた。背中から地面にめり込むほどの勢い。衝撃で、肺から空気が出て、「ガハっ」と咳込んだ。
「口ほどにもねえガキだ。コイツらのほうが、まだマシだったぜ」
「そうか。だったら、離すなよ!」
息を吸い込む。
「雪竜の咆哮!」
「ぐあっ!?」
効いたかどうかは別として、吹っ飛んだ。起き上がって、破れてしまった上着を脱ぎ捨てる。
「離すなって、言ったのに」
「そうか、テメェが新人の
「だったら何だ……」
ギヒヒッ! と、嫌な笑い方をする。それを見た街の人が事情も知らずに首を突っ込んできた。
「また
「――逃げてっ!?」
目の前の敵に気を取られていて、街の人が近くまで来ているのに気づかなかった。目の前の敵が、その人目掛けて攻撃した。
「なっ!?」
まさか、自分に攻撃が向くとは思ってもいなかった。その黒い鉄柱を目の前に、何とも情けない声を上げることしかできなかった。
そのまま、蹴り飛ばされた。何枚か壁を突き破るほどの威力。防御も取れずにまともに食らったせいで、体を動かせなかった。
「くそっ……ぐっ……」
遅れて痛みが襲いかかる。声を出すこともできなかった。ギヒヒッ! という、嫌な笑い声が近づいてくるのだけはわかった。でも、動けない。動こうとして、口から血を吐いた。
「ギヒヒヒッ! まだ生きてんじゃねえか!」
踏みつけられて、重い嫌な音が耳に響いた。確実に折れた。呼吸が苦しくて、痛い。
「こ、こども相手に! なんてこと!」
「うるせえ、黙って――」
言葉を挟んだ住人に拳を振り上げていた。これ以上、こいつに好き勝手させてたまるか。
「まだ意識があるのかよ」
「――ッ、ヤメ……ろ……」
『こっちです! 早く来てください!!』
騒ぎを聞きつけたのか、野次馬も多くなっていた。
「……チッ。命拾いしたな」
誰かがギルドの人を呼んでくれたのだろう。助かったと思った。
だから、追い打ちをかけてくるなんて思わなくて、また無防備な状態で蹴り飛ばされた。
――
「ん……」
顔を横に向けると、眠そうに、というか眠っている。ルーシィがいた。
ここはどこだろう。なんて考えていたら、ガクンっと首を落として、ルーシィが椅子から落ちた。「いたたた……」と、顔をおさえている。
「あ……おはよう。ルーシィ」
「あ、おはよう……ッステラ!」
ぎゅうっと抱きしめられた。体のどこかがピキッと変な音を立てた気がする。ルーシィは「よかった」なんて言ってるけど、よくない。ものすごく痛い。苦しそうにもがく私をよそに、さらに力を入れるのだから。
ペシペシとルーシィの頭を叩くことで、ようやくそれに気づいてくれたみたいだった。
「ご、ごめん……」
「こ、殺す気かっ!? いててっ……」
ここは、ギルドの近くの病院だった。病院が近くにあることを知らなかった。
少し動いたくらいで痛む……情けない。そういえば、街の人はどうなったのだろうか。
「他の人は大丈夫だった?」
「レビィちゃんと、ジェットとドロイ。それと、ステラ以外は襲われてないみたい」
「……そっか」
あいつは逃げ出したのか。それにしても、相当な強い。それ以上に、容赦がない。
「あたしだけ置いていってさ、みんな酷いよね」
他のギルドメンバーは、
「ありがと」
「えっ!?」
「だって、ルーシィは残って看病してくれたから。お礼を言うのは当然でしょ?」
気づいていた。抱きついたときに、ルーシィが涙を流していたことに。
私は、自分の思っている以上に大切にされてるんだと、実感する。不謹慎だけど、嬉しかった。
「こうならないようにみんなでお泊り会だって、ステラの家に行ってたのにね」
「え……初耳なんだけど」
「ミラさんから聞いてない?」
「全く。というか何で鍵は?」
「ミラさんがくれた」
「……それ、不法侵入だと思う」
「私だって勝手に入られてたんだから……お互い様ってことで」
「はいはい。今度勝手に上がらせてもらいます。お菓子とか置いといてよ?」
「鍵替えようかしら……」
「それは私の台詞だよ」
そうやって冗談を言って笑おうとして、鈍い痛みが体を貫いた。思わず顔を伏せてしまう。
「……大丈夫? 無理はしないでね。……そうだ! ステラの家から必要な物を取ってきてあげよっか? まだ鍵持ってるんだ〜」
「あー……自分で行くから、その鍵渡してくれない?」
「ダーメ。まだ安静にしてないと」
自分が持ってる鍵とは別に、ルーシィが鍵をくるくると回している。何で持ってるのか問いただす元気もなかったので、素直に「お願いするよ」とだけ言った。
妙に上機嫌なルーシィを見送って、私はもう一度眠ろうと寝転んだ。
……寝ようとするたびに、ギヒッっという嫌な笑い声が頭に響いて、気分は最悪だった。あんなにも簡単にやられた自分が惨めで、イライラせずにはいられなかった。
「――そういえば、あいつ……妙なことを」
襲ってきた奴との会話を思い出して、ベッドから飛び起きた。
金髪。私が知ってる中で
そんなの偶然かもしれない。他の人もいたかもしれない。でも、妙な胸騒ぎがした。
外に出ると雨が降り始めていた。余計に胸騒ぎが酷くなる。そんな予感が当たらないようにと願いながら、私は全力で走っていた。
――
昨晩。ルーシィは襲われたレビィたちや、ステラを見たとき、悪い夢だと思った。
ステラは意識がないどころか、呼吸もしてないと大騒ぎで、少し前まで元気だった筈の仲間が酷い状態にされて、みんな怒っていた。
でも、まさかそのステラが真っ先に目覚めるなんて、さすがは
「やだ……天気雨?」
ステラの家に直接行くつもりだったが、雨が降ってきたので傘でも取ってこようと、ルーシィは自分の家に向かうことにした。どんどんと強くなる雨に「最悪〜」と嘆かずにはいられなかった。
「しんしん……と。そう、ジュビアは雨女」
その突然の雨を予期していたか、傘をさす女性が向かいからやってきた。
「あなたは何女?」
「えっと……どちら様で?」
「しんしん……と、楽しかったわ。ごきげんよう」
「え!? 何なの!?」
思わずいつものノリで突っ込むしかなかったルーシィ。頭が混乱している中、さらに混乱させる出来事が起きた。
三三七拍子のように、「ノンノンノン」と言う変な男が、地面から出てきたのだ。
「ジュビア様。ダメですなぁ仕事放棄は」
「ムッシュ・ソル……」
「私の眼鏡がささやいておりますぞ。その
「あら……この
自分が標的。それを聞いて、ルーシィは思わず「え?」と言葉をもらす。
「申し遅れました。私の名はソル。ムッシュ・ソルとお呼びください。
偉大なる
「ジュビアはエレメント
「スノーメイク・
突然の攻撃。ムッシュ・ソルは地面へと潜り込んで避けた。だが、当たったはずのジュビアには、なんのダメージもなかった。
敵とルーシィの間に割って入るように、ステラは現れた。
「ステラ!? なんで――」
「嫌な予感が的中だ。
「だったら、あたしも!」
鍵を取ろうと構えた瞬間。ステラとルーシィは水に沈んでいた。
「ジュビアの
――スノーメイク・
もがくルーシィを掴んで、そのまま脱出するステラ。だが、怪我は全く癒えておらず、飛び続ける体力は残っていなかった。
「あ、ありがとう。ステラ」
「いいから……逃げて……」
そこでルーシィが、ステラの顔が赤いのに気づく。まさかと思いおでこを触ると、すごい熱だった。熱のせいで意識が曖昧になり始めたステラをおぶって逃げ出す。
「そんな体で、無茶するから――」
「ノンノンノン。逃しませんよ」
逃げようとした先にソルが現れる。それを知ってか、ルーシィに「降ろせ」とステラは言う。だけど――と言葉を続けるルーシィに、「大丈夫」と言うのだ。
「さっきから、うるさいんだ。私一人でやってやるさ……」
「ステラ?……」
誰と話しているのか。少なくとも自分に対しての言葉じゃないことはルーシィにもわかった。
ふらつく足取り。とてもじゃないけど戦える様子には見えなかった。
「さっさと来い! この幽霊ども!」
ステラの挑発に突っ込んでくる敵。逃げろといったのに逃げないルーシィをステラは突き飛ばして、少しでも離れさせた。
「
街に降る天気雨は一瞬で吹雪へと変わった。ソルとジュビアの両方を吹き飛ばし、そのままジュビアに追い打ちをかけるために、地面を蹴って近づく。そのまま首を掴み、力を込める。
「かっ――!」
「この気温じゃ……水は凍るはずだ……」
ステラは気づいていた。ジュビアという女自体が水であるのだと。だったら、水になれないように凍らせてやればいいと。
「近づくなよムッシュ・ソル。近づいたらコイツの首をへし折るぞ」
「の、ノンノンノン……三つの
「ガジル……ね、覚えておくよ。でも、だから見逃してなんて甘いこと言わないよね」
そう言って、ステラはジュビアの体を更に凍らせた。
「ステラ!? そこまでしなくても!」
「うるさい! さっさと逃げろ!」
朦朧とする意識の中で、何とか戦っているステラの意識がそれを心配して止めようとするルーシィの方へ向いた。それを見て、ムッシュ・ソルの口元がつり上がった。
「悲しい……」
「ステラっ!?」
不意に現れた男。いつから、そこにいたのかルーシィとステラにはわからなかった。とっさに造形魔法を放とうとするステラより早く、何かの魔法でステラを突き飛ばした。
「大丈夫ですかな。ジュビア様」
「え、ええ……油断したわ……」
「……だから、早く逃げろって言ったんだ」
「仲間をおいて、逃げられるわけないでしょ!」
「この、バカ……」
ルーシィの肩を借りながら立ち上がるステラ。もう自力では立ち上がれないほど消耗していた。
そんなステラが、またルーシィを突き飛ばした。けど、そうするしかなかったのだ。
「あああぁぁぁぁッッッッ――――!!」
聞いたこともないような叫び声をあげるステラ。目の前にいる男は「悲しい……」と呟くだけだ。
「や、やめて! あんたたちの狙いはあたしでしょ! ついていくから、ステラは離して!」
「――ダメ……だ! ルーシィ……ッ!?」
ステラは諦めていなかった。ナツたちが帰ってくるまで、持ちこたえれば何とかなるかもしれないから。
「悲しい……この悲しみは、竜が墜ちる故か……」
「あ――」
解放されたステラの体は、水溜りに墜ちた。彼女の体は、指一つとして、動かなかった。
「大丈夫ですよ。死んではいません。アリア様の魔法を食らっては、魔力は空っぽでしょうが。
――もっとも、ルーシィ様次第ですよ。このお嬢さんの命は」
「――わかった。ついていく、だから」
ルーシィの体が水に沈む。そのままもがくこともなく。ルーシィは気を失った。
「捕獲完了」
「ん〜〜。
言葉も発せず、ただその様子を眺めることしか、ステラにはできなかった。