PERSONA4【鏡合わせの世界】   作:OKAMEPON

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【2011/06/25】

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

【2011/06/25】

 

 

……………………

………………

…………

……

 

 

 今日は土曜日なので昼からは放課後だ。

 激しい雷雨が降り頻る中、各自準備を整えてから、直ぐ様ジュネスに集合してテレビの向こうへと向かった。

 そして、そこで待っていたクマに、久慈川さんについて分かった限りの事を伝える。

 

「なるほど……クマと同じね。

 繊細でセンチメンタルなタイプね。

 ムムムムム…………。

 おおっ、コレクマか?

 見付けた? クマ見付けちゃった!?

 こっちクマよ!」

 

 どうやら、あれだけしかない情報でもクマは久慈川さんの特定に成功したらしい。

 クマに案内されて辿り着いたその場所は……。

 ……異様に暗い、というか真っ暗だ。

 足元が覚束無い程である。

 

「何ここ……真っ暗じゃん」

 

 里中さんがそうボヤいた瞬間、一斉に明かりが灯されたのか、視界が真白に染まった。

 急な明暗の変化に思わず目を瞑り、少しして明かりに目が慣れてからソロソロと目を開けると……。

 ……そこには、《マヨナカテレビ》に映っていた、劇場の様な場所が広がっていた。

 しかし、妙に怪しいというか如何わしさが漂っている気がする。

 眩しい程の光源に照らされ、緞帳の様に厚いカーテンにはハートマーク様の模様が乱舞し、派手な真っ赤な革貼りのソファと木製のテーブルが立ち並び、ステージの奥からはスモークの様な霧がモワモワと漂ってきていて…………何とも妖しい。

 

「ここに久慈川さんが……?」

 

「そークマ! クマの鼻がビンビン反応してるクマよ!」

 

 思わず呟いた言葉に、クマは胸を張って答えてみせた。

 花村たちはと言うと、如何わしい妖しさを漂わせるこの場所に戸惑っている様な顔で視線を忙しく動かしている。

 

「……これって、温泉街には付き物のアレ!?」

 

 暫しの沈黙の後、花村がそう声を上げた。

 花村の言う通りこの場所には、温泉街で見掛ける如何わしい店の雰囲気が確かに漂っている……。

 天城さんもそれを肯定したが、天城屋旅館の周辺には無いよ、と慌てて補足を入れた。

 

「ストリップ……てやつっスか」

 

 巽くんの呟きを拾ったクマが、何故かドヤ顔をする。

 

「はっはーん! 

 読めたクマよ……シマシマのやつクマね!?」

 

「……それは、“ストライプ”、だね」

 

「ストリップって……シマシマのやつクマね!?」

 

 訂正しても、クマはしつこく繰り返す。

 ……どうやら、わざとボケているつもりらしい。

 しかし、ツッコミを貰いたいのならそんなボケでは甘い。

 

 結局、全員に無視されたクマが先に折れた。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 劇場の内部は、息苦しくなる程ピンクや紫色の内装で、目が痛くなる程眩しくライトアップされた場所と全く光の当たらない薄暗い場所がある等、照明が偏り過ぎているのも見ていて辛い。

 やや狭い通路は、幾つもの分岐路を出しながら緩やかにクネクネと曲がっていて、視覚的な変化に乏しいのも相俟って、ともすれば方向感覚を喪ってしまいそうにもなる。

 巽くんの大浴場も長居はしたくない場所であったが、ここはそれとは異なる理由で長居したくない。

 

「つーかさ、《マヨナカテレビ》……どんどんヤバい内容になってってねーか」

 

 微妙に薄暗い通路に注意しながら先を急いでいると、不意に花村がそう溢した。

 その言葉に足を止めず頷いて、肯定を示す。

 

「確かに、過激さが増していってるな。

 それだけ抑圧が大きかったという事なのかも知れないが……」

 

 ……しかし、果たしてそれだけが原因なのだろうか。

 あの『シャドウ』が映らない《マヨナカテレビ》を映し出しているのが、不特定多数の人間の心なのだとしたら、『シャドウ』が作り出した《マヨナカテレビ》だって、不特定多数の人間の心の影響が無いとは言い切れない。

 ただでさえ、《マヨナカテレビ》が胸やら太ももやらをやたら強調する映像となっていただけに、その可能性は否めないだろう。

 

「脱ぐとかシャレになんないし、早く助けてあげなきゃ!」

 

 里中さんが気合いを入れる様に上げたその声に全員で頷く。

 兎も角も、どんな経緯があったのだとすれども。

 幾ら『シャドウ』の暴走とは言ってもこのままストリップなぞを敢行させる訳にはいかない。

 そんな事をして一番傷付くのは、久慈川さん自身なのだから。

 

 そう思いを強くして先を急いでいると、行く手にシャドウが立ち塞がった。

 以前雨の日の大浴場で戦った『霧雨兄弟』と全く同じ様な外見で、そこに付いている仮面だけが異なるシャドウと、それとは別のまるで巨大な彫刻の様なシャドウだ。

 内訳としては各々が三体ずつ立ち塞がっている。

 通路は狭く、シャドウを倒して行くしか先に進む術は無さそうだ。

 

「その彫刻みたいなシャドウは『生成の彫像』、アルカナは《女帝》!

 霧の塊みたいなシャドウは『霧雨の三女』、アルカナはこっちも《女帝》クマー!!」

 

 以前大浴場で戦った『霧雨兄弟』は氷結の魔法以外の全ての属性攻撃を無効化・吸収する厄介な相手だった。

 この『霧雨の三女』が氷結属性を弱点としているのかは分からないが、それでも単一属性のみを弱点としている可能性は大いに有り得る。

 ここは『霧雨の三女』を、ペルソナを切り換える事によって全属性で攻撃が可能な自分が引き受けるのがベストだろう。

 

「私が『霧雨の三女』を引き受ける!

 皆は『生成の彫像』の相手を!

 見るからに固そうな相手だ、もしかしたら物理攻撃はあまり効果が無いかもしれない!

 魔法で攻撃する事も念頭に置いて相手をしてくれ!」

 

 四人が頷いて『生成の彫像』を引き受けてくれたのを確認してから、『霧雨の三女』へと対峙する。

 取り敢えずは以前出会った『霧雨兄弟』にも有効だった氷結属性を試してみた方が良いだろう。

 万が一反射された場合の事を考えて、氷結属性を無効化する耐性を持っている《節制》アルカナの『ゲンブ』へとペルソナを切り換えて召喚する。

 

「ゲンブ、《マハブフーラ》!」

 

 ゲンブがその力を奮い、猛吹雪が『霧雨の三女』たちを呑み込んだ。

 その途端、『霧雨の三女』を構成するスモッグの様な霧は圧倒的な冷気によって瞬時に凍てつき、『霧雨の三女』たちは床へと叩き付けられる様に落下し、その仮面が砕けると共に塵へと還っていくのだった。

 

『生成の彫像』の方も、どうやら電撃属性が弱点だったらしく、巽くんの活躍により殲滅に成功した様だ。

 特にこれといった負傷等の問題は無さそうなので、先を急ぐ事にしよう。

 

 その後もゴムで出来た二本鎖DNAを模したかの様な棒人間モドキのシャドウや、社交ダンスでも踊っているかの様なシャドウ、岩の様なシャドウ、カラスの様なシャドウ、目玉が宙に浮かぶ頭だけのシャドウなどにも遭遇したが、時に物理攻撃でそのまま押し通ったり、ハマ・ムドなどの即死魔法で蹴散らしたりしつつ、一気に三層目まで駆け抜けた。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 三層目に到達した時……、久慈川さんらしき人影を見付けた。

 ……しかし、その格好から察するに、久慈川さん本人では無く、久慈川さんの『シャドウ』の方だ。

 広場の様な場所でくるりと此方を振り返ったその瞳は、『シャドウ』である事を表すかの様に金色に妖しく輝いている。

 

『ファンのみんな~!

 来てくれて、ありがと~ぉ!』

 

 まるでコンサート会場か何かでファンに声を掛ける様な調子で、『シャドウ』はこの場には居ないファンに語り掛けた。

 

『今日はりせの全てを見せちゃうよ~!

 ……えぇ? どうせウソだろって?

 アハハ、おーけーおーけー!』

 

 そう笑顔で話す『シャドウ』だが、その目は妖しい光を湛えている。

 そして、スルリとビキニのヒモに手を掛けかけたが、寸前でその手を止めた。

 

『ならここで……、あ、でもここじゃスモーク焚きすぎで見えないカナ?

 じゃぁもう少し奥で、ウソじゃないって、ちゃーんと証明したげるネ!!』

 

 その言葉と共に、

【マルキュン真夏の夢特番! 

 丸ごと一本、りせちー特出しSP!】

 と言うテロップが『シャドウ』の背後に浮かぶ……。

 

 ……巽くんの時も思ったが、どういう仕組みなのだろうか。

 テロップが現れた瞬間、シャドウの騒めきが途端に激しくなる。

 最早耳を塞ぎたくなる位だ。

 この時間に《マヨナカテレビ》は映らない。

 この場に『久慈川りせ』のファンは……まあ花村はその様ではあるが、少なくとも“ファン”として今この場に居る人間は居ない。

 しかし、ここがあの《マヨナカテレビ》と同じく不特定多数の人間の心の影響も受けている場所なのだとすれば、今この瞬間も、不特定多数の誰かが、意識に上らせているかどうかは兎も角として、『久慈川りせ』に興味を抱いていると言う事なのかも知れない。

『シャドウ』が語り掛ける“ファン”とやらは、そう言う人間の事を指しているのだろうか。

 

『じゃあ、ファンのみんな! 

 チャンネルはそのまま! 

 ホントの私……よ~く見てね! マルキュン!』

 

 とキメ台詞の様な何かを言うなり、『シャドウ』は奥へと駆け去ってしまう。

 

「……待ってっ!

 ……ダメだ、反応しない……。

 とにかく、あの『シャドウ』を追わないと!」

 

「だな。ストリップなんて、イタい話聞かれるだけなのとは訳が違うって!」

 

 この世界で『シャドウ』がやらかした事が、あちらの世界にどう影響するのかは分からないが、どうであれストリップなどとは喪うモノが大き過ぎる……。

 

 兎も角追うしかない、と駆け出したそこへ。

 行く手を塞ぐ様に、車か何かの車輪にライオンの頭が付いた様な姿のシャドウが8体も現れる。

 そのシャドウに阻まれて足を止めた僅かな間に、『シャドウ』はスモークの向こうへと姿を消し、完全に見失ってしまった。

 

「ムムムッ、コイツらは『雨脚の滑車』!

 アルカナは《戦車》クマ!!」

 

 ……雨、か。

 コイツらも雨の日にしか現れない珍しいシャドウなのか……?

 だとすると、特定の属性しか効かないか、厄介な状態異常にしてくる攻撃を仕掛けてくるのかもしれない。

 どちらにせよ、心してかからなくては……。

 

 そう思ったその時、『雨脚の滑車』たちはまるで中空を滑走するかの様にこちらに一斉に突撃してくる。

 

「全員、回避!!」

 

 瞬間的な判断で、降魔中だった《太陽》アルカナの『ヤタガラス』を召喚して《マハスクカジャ》で全員の回避能力を引き上げた。

『雨脚の滑車』たちが一気にトップスピードで突っ込んでくるその勢いは、まるで高速道路を走行するダンプカーの様だ。

『雨脚の滑車』の大きさ自体は2メートル弱だろうが、その大きさのモノがそんな勢いで激突したらタダでは済まない。

 防御に徹していても、弾き飛ばされ、そこを後続の『雨脚の滑車』に襲われるだけだ。

 咄嗟の判断で、しかもギリギリでの回避指示だったが、皆は半ば反射的にか回避に成功する。

 そして、『雨脚の滑車』たちがUターンしようとするそこを狙って、ヤタガラスが《マハガル》を叩き付けるが。

 

「チッ、疾風属性は吸収するのか……!」

 

 叩き付けられた烈風を『雨脚の滑車』は全く意に介する事なく、寧ろよりその勢いを増した。

 厄介な事に、単一属性のみが弱点のタイプの可能性が高い。

 ここは如何なる耐性をも無効化してダメージを与える、《メギド》で振り払うべきなのだろうか。

 

「なら、これでどうだっ!?」

 

 その時、花村が手にしていた山刀を勢いよく振りかぶってから、『雨脚の滑車』へ向けて投擲した。

 ジライヤの力で風を巻き込みながら、山刀は深く『雨脚の滑車』に突き刺さったのだが、『雨脚の滑車』は一向に意に介さずに、寧ろ心地良さげに唸る。

 

「物理無効……、いや、吸収か……?

 ともかく、物理と疾風は効かないみたいだ!」

 

 このままでは再度の突進を許してしまう。

 先ずは『雨脚の滑車』の動きを止めなくてはならない。

 ペルソナをヤタガラスから、《月》アルカナの『アルウラネ』へと切り換えた。

 

「アルウラネ、《オールド・ワン》!」

 

 相手を老化させる光が『雨脚の滑車』たちを包み込む。

 途端に『雨脚の滑車』たちは精彩を失い、明後日の方向へと向かおうとするものも出てくる。

 これで一先ず突進を封じた。

 後は弱点を突くなり、万能属性で薙ぎ払うか、だ。

 

「あーっ、もう、しゃらクセェ! これで、どうだ!!」

 

 若干苛立った様な声を上げ、巽くんが呼び出したタケミカヅチが雷を『雨脚の滑車』へと落とす。

 途端に、まるで融けたかの様にあっさりと『雨脚の滑車』は塵へと還った。

 どうやら電撃属性が弱点だった様だ。

 それを見てペルソナを《正義》アルカナの『ドミニオン』へと切り換える。

 

「ナイスだ、巽くん! 薙ぎ払え、ドミニオン!!」

 

 ドミニオンが手にした秤を掲げると、『雨脚の滑車』たちを雷撃が一瞬で飲み込み、塵すら残さず消滅させた。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

『シャドウ』の姿を追いつつ、久慈川さんを捜して5階へと踏み込んだ。

 

『あれー!? こんなトコまで来るなんて、りせのファンの人?』

 

 途端に、何処からともなく久慈川さんの……いや、『シャドウ』の声が降ってくる。

 

『りせちー、超うれしー!

 せっかく来てくれたんだからぁ、特別にサービスしちゃおっかなぁ……』

 

 どう考えてもロクなモノではないだろうサービスなど不要だ。

 要らない。

 熨斗を付けてお返ししたい。

 そんな心境を察しているのか否かは分からないが、『シャドウ』はこちらの反応に構う事なく捲し立てる。

 

『……でも、ここじゃダメ!

 りせちーに、あなたの頑張りをもうちょっと見せてほしいな!

 待ってるからね!』

 

 そう一方的に言い捨てて、声はすっかり止んだ。

 

 …………『りせちー』、か。

 ……『シャドウ』はやはりアイドルである事自体は否定していない様に感じる。

 では、あの『シャドウ』は一体何を抑圧して生まれたものなのだろう。

 ……今はとにかく、先に進むしかない、か。

 

 フロアを進み、6階へと繋がる階段を発見したその時。

 サイコロの様なシャドウがゴロゴロと降ってきた。

 2つの正六面体で1つのシャドウとなしているそのシャドウ計三体は、行く手を阻むかの如く中空に浮かぶ。

 

「コイツらは『シルバーダイス』!

 アルカナは《運命》クマ!」

 

 そのものズバリな名前のシャドウは、特にこちらに襲いかかる様子もなく浮かんでいる。

 ……何のつもりなのだろうか?

 そう首を傾げそうになったその時、耳が微かな……まるで時計の秒針が立てているかの様な音を拾う。

 まさか、と思いながらも、半ばその直感に突き動かされる様に《女帝》アルカナの『ガブリエル』を召喚し、《マハガルーラ》で『シルバーダイス』の集団を出来るだけ遠くへと吹き飛ばした。

 叩き付けられた突風によりゴロゴロと転がっていく『シルバーダイス』たちからは次第に大きくなっていく秒針の音が絶えず洩れている。

 そして、その音が止まった瞬間。

 カッ━━、と眩しい光を放った『シルバーダイス』たちは爆発四散し、爆発が起きた辺りの炭化した床には僅かな金属片のみが残り、そしてそれも直ぐ様塵へと還っていった。

 

「うっわ……、自爆かよ」

 

 巽くんは微かに呻きながら呟く。

 

「あの爆発に巻き込まれていたら大惨事だったな。

 今後、あのシャドウを見掛けたら自爆されない様に注意しなくては……」

 

 あの爆発は所謂万能属性……どんな耐性をも無効とする攻撃だ。

 食らえばタダでは済まないだろう。

 今後、シャドウとの乱戦中などに『シルバーダイス』が紛れ込んでないかどうか、警戒しなくてはならない。

 ……今は先へ進もう。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 6階はこれと言って問題はなく踏破する事が出来た。

『雨脚の武者』と言う、《剛毅》のアルカナに属する、雨の日のみに活動すると思わしきシャドウと切り結んだりもしたのだが、物理攻撃が通用する相手ならば早々手こずる事は無い。

 皆と連係して素早く沈める事が出来たのであった。

 

 そして7階に到着したその時、また何処からともなく『シャドウ』の声が降ってくる。

 

『うれしい! ホントに来てくれたんだ!

 でも、やっぱりちょっと恥ずかしいからぁ……電気、消すね!』

 

 その途端、フロアの照明が一斉に消え、辺りは真っ暗闇へと変わる。

 急激な明暗差に狼狽える皆を落ち着かせた。

 一度目を閉じ、暗闇に馴れた頃合いでもう一度目を開けると、僅かながら先が見える。

 光源が全く消えた訳ではなく、僅かながらも豆電球の様な照明は生きている様だ。

 しかしこれでは足元すらも覚束無いし、敵襲に気付けなくなる怖れもある。

 カバンから常備しているペンライトを取り出して、それを灯した。

 この暗闇の中では頼り無いが、無いよりはマシだ。

 そして、皆には携帯画面の明かりで足元を照らす様に指示をした。

 電波が通っていない為、この世界では無用の長物と化している携帯だが、光源としてはまあ悪くはないだろう。

 花村たちは指示に従って携帯で足元とその周囲を照らし始める。

 これで僅かながらも視界は確保出来た。

 先頭を自分が、殿を花村に任せ、左右は里中さんと巽くんに任せ、真ん中に回復役の天城さんと打たれ弱くシャドウへの抵抗手段の無いクマ、という陣形を組んで先へと進む。

 この暗闇の中では戦闘になるのは非常に不味い。

 その為極力戦闘は避けて行く事になる。

 戦闘を避けながら道なりに沿って進んで行くと、大きなカーテンで仕切られた部屋の前へと辿り着いた。

 

 

『いいよ。りせ、心の準備はできてるから……』

 

 カーテンに手を掛けると、カーテンの向こうからそんな『シャドウ』の声が聞こえる。

 ……この向こうに『シャドウ』が居るのは間違いない様だ。

 準備は良いか、と後ろを振り返ると、全員が頷く。

 それを確認してから一気にカーテンを開け、部屋の中へと雪崩れ込んだ。

 

 暗い部屋の中央には、『シャドウ』と思わしき人影が佇んでいた。

 

『りせ、初めてなの……やさしくしてね? 

 じゃあ、電気つけるよ?』

 

 その言葉に嫌な予感を覚え、瞬間的に目を瞑る。

 そしてその瞬間、照明が一斉に点いたのか、部屋が一気に眩しくなったのを、閉じた瞼の裏で感じた。

 花村たちは突然の明暗差に声を上げつつ目を瞑ったり、顔を覆ったりしている様だ。

 みんなよりも少し早く明るさに順応した為目を開けると、そこには。

 確かにそこに居た筈の『シャドウ』の姿は無く、代わりに見上げる程巨大な純白の大蛇が、その身を妖しく踊らせていたのであった。

 女性・男性を表すマークを象徴的に身に付けたシャドウは、鎌首をもたげてその口を大きく広げて、濁った吐息を辺りに撒き散らす。

 毒を疑い、咄嗟にハンカチで口元を覆うも、体にこれと言った異常は無い。

 

「コイツは《恋愛》アルカナの『淫欲の蛇』クマ!

 今のこの場では状態異常になり易くなってるクマ!

 気を付けるクマよ!!」

 

 クマに警告され、先程の攻撃の正体を認識した。

 どうやらこの蛇型シャドウは状態異常の成功率を上げてから状態異常攻撃を仕掛けてくるタイプの様だ。

 蛇の外見からしてその状態異常とは毒だろうか。

 何にせよ、シャドウの動きには注視しなくてはならない。

 様子見で投げ付けたシャーペンは、引っ掻き傷の様なものを僅かながらも蛇の鱗に残す。

 どうやら物理攻撃は通用する様だ。

 ならば、属性攻撃への耐性を調べるのみ。

 皆には一旦威力を弱めた魔法で様子見をする様に指示を飛ばした。

 各々のペルソナは、各自が得意とする属性攻撃には耐性を持つ。

 弱めた魔法ならば、万が一反射され様とも大事には至らない。

 

「ディース!」

 

 皆が耐性を調べている合間に、自分はその補助を行う。

 敵が状態異常攻撃を仕掛けてくるというのならば、その攻撃の威力を下げるのではなく、その攻撃の命中率を下げた方が良い。

 故に、降魔中であった《魔術師》アルカナの『ディース』を召喚し、《スクンダ》でシャドウから速さを奪った。

 動きの鈍った『淫欲の蛇』に、弱い威力の魔法が集中砲火される。

 風・雷・氷には僅かに身動ぎした程度だったが、火の粉の様な炎には明らかに身を捩って苦悶の鳴き声を上げた。

 ……このシャドウの弱点は炎か。

 他の属性にも耐性は無さそうである。

 

「天城さんは火炎攻撃に専念、他の皆は私の後に続いて攻撃!」

 

 ディースから《刑死者》アルカナの『オルトロス』に素早く切り換えて召喚した。

 そこに、こちらの意図を汲んだ里中さんが、《タルカジャ》で速やかにオルトロスを強化してくれる。

 

「食い千切れ、オルトロス!」

 

 オルトロスは大きく跳躍して、その双頭で『淫欲の蛇』の喉元に食らい付いた。

 業火の如く燃えるその牙が、シャドウの身に深く食い込んでそこを燃やし始める。

 途端に悲鳴を上げた『淫欲の蛇』は、オルトロスを振り払おうと、大きく身を踊らせた。

 それに無理に抗おうとはせずに、オルトロスは『淫欲の蛇』から離れる。

 その際に、シャドウが振り払おうとしている力をも利用して、全力でその身を食い千切っていくのは忘れずに。

 《連鎖の炎刃》の効果で、『淫欲の蛇』の首回りに纏わりつく炎はまだ消えない。

 

「追撃行くぜ!」

 

 オルトロスが『淫欲の蛇』から離れて一番最初に動いたのは、仲間内で最も素早い花村とジライヤだ。

 ジライヤが巻き起こした烈風は、シャドウに纏わり付く炎の勢いを強め、炎はシャドウの上半身を包む程にまで燃え広がる。

 身を焼く炎にのたうつシャドウの身体に、花村は山刀を突き刺した。

 突き刺さった山刀はそのままに、花村は素早くシャドウから身を離す。

 その直後に、床から生えた氷柱がシャドウを捕らえた。

 いきなり身体の一部を氷に拘束された事でシャドウはバランスを崩し、床に倒れ伏す。

 そして、その頭部に付いた仮面を叩き潰すかの様な勢いで、タケミカヅチの雷を纏った拳がシャドウを穿った。

 追撃する度に轟々と勢いを増して燃え上がる炎は、既にシャドウを火だるまにしている。

 燃え盛りながら悲鳴を上げてのたうち回るシャドウは苦し紛れにか、その牙を向いて襲い掛かろうとするが、ダメージと《スクンダ》によりその動きは鈍く、誰にも掠り傷一つすらも与えられずに牙は空を噛んだ。

 

「天城さん、止めを!」

 

 そして、威力を可能な限り高めて放たれたコノハナサクヤの《アギダイン》によって、シャドウは瞬く間に炭化し、業火の中へと消えていった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

『淫欲の蛇』を下し、更に先へと進む。

 

 

 ━━みなさん、こんばんは! りせちーです!

 ━━みんないつも見てくれて、どうもありがとー!

 

 

 薄暗く何処か不安にさせる照明のみが照らす中を進んで行く内に、何処からか声が降ってくる。

『シャドウ』のものでは無い…………。

 恐らくは、久慈川さんの心の声だ……。

 久慈川さんの声は、ここには居ないファンへと向けられている。

 

 

 ━━ファンのみんなに、りせのこと、ちょっとだけ語っちゃおうかな?

 ━━んーと……何から話そっかな……。

 ━━そうだなぁ…今の仕事は……

 ━━ウン、とっても充実してるかな。

 ━━小さい頃からずっと憧れてたから今は毎日がとても楽しいよ!

 ━━理想の男性は……うーん……

 ━━やさしくて清潔感がある人かな?

 ━━あ、顔とか別に興味ないかも。

 ━━あたし、逆にかっこいい人とかって苦手なんですよね~。

 ━━やっぱり人は中身が大切じゃないですか?

 

 

 ……“中身”。

 その言葉に、クマが反応した。

 クマには物理的に“中身”が無い。

 だが、クマはもっと根本的な意味に於いて、己には“中身”が無いのだと悩ましげに呟いた。

 ……久慈川さんの悩みもクマと同様に、己の“中身”に関する事だったのだろうか。

 それはまだ分からない。だけれども。

『私の全てを見せる』、『ホントの私を、よく見て』……。

 この劇場で出会った『シャドウ』は、そう主張した。

 それは誇張や曲解はあれども、元を辿れば紛れもなく久慈川さんの想いである筈だ。

 ……“アイドル”としての、“自分”とは違う、“作られたキャラクター”……。

 ……朧気ながらも、久慈川さんの悩み・抑圧が見えてきた気がする。

 

 

 ━━メンドーなのもー、我慢するのもー、りせには、ムリ! キライ! シンドスギ!

 

 

 久慈川さんの声は、そんな『りせちー』の口癖で締め括られ、それ以降は途絶えた。

 ……今は先を急ごう。

 

 

 フロアの行き当たり、恐らくはその先が階段だと思われる箇所のカーテンを開け放つと、そこには数台の戦車が待ち構えていた。

 いや、戦車では無い。

 戦車の形をしたシャドウだ。

 側には秤の様な姿のシャドウも見受けられる。

 戦車型のシャドウが何らかの自己強化能力を使ったのか、一気にその威圧感が増した。

 

「戦車型のシャドウは《戦車》アルカナの『魔弾の砲座』!

 秤型のシャドウは《正義》アルカナの『雷と風のバランサー』クマ!」

 

 魔弾……、属性攻撃を仕掛けてくると見た方が良いだろう。

 それに、『雷と風のバランサー』か……。

 ……以前に戦った“バランサー”の名を冠するシャドウには、その名に含まれている属性攻撃が通用しなかった。

 このシャドウもそうだと見た方が良い。

 

「花村と巽くんは『魔弾の砲座』の相手を、天城さんと里中さんは『雷と風のバランサー』の相手をお願い!」

 

『雷と風のバランサー』が仕掛けてくるのは、電撃属性と疾風属性の魔法攻撃だろう。

 しかし全く初見の『魔弾の砲座』の攻撃手段は未知数だ。

 数は……『雷と風のバランサー』が6体に、『魔弾の砲座』が3体。

 数が多いのはやはり難点である。

 

「パズス、《ナバスネビュラ》!」

 

 《悪魔》アルカナの『パズス』へとチェンジし、敵全体への物理攻撃と同時に相手を衰弱させる事もある一撃を放つ。

 激しい熱砂の渦はシャドウの集団を呑み込んだが、『雷と風のバランサー』には何の変化も無い。

 どうやら物理攻撃は通用しない様だ。

 だが、『魔弾の砲座』の方には効果があったらしく、3体の内2体は心なしかグッタリとしている。

 しかし、状態異常を免れた1体が、ギャリギャリと音を立てながら砲台を天城さんへと向けて、そして砲身から強大な氷塊を打ち出した。

 天城さんは《マハラギオン》で『雷と風のバランサー』を薙ぎ払った直後で、防御は間に合わない。

 

「パズス!!」

 

 咄嗟に、召喚状態を維持したままだったパズスの名を叫んだ。

 パズスは瞬時に天城さんの前に降り立ち、その翼を広げて氷塊の前に立ち塞がる。

 直後、氷塊はパズスを直撃した。

 だが、パズスよりも巨大なその氷塊は、パズスに接触したその瞬間に、打ち出された直後の勢いのままにそれを放った『魔弾の砲座』自身を襲う。

 パズスは氷結の属性を反射するからだ。

『魔弾の砲座』自身は氷結属性への耐性が無かった様で、跳ね返ってきたその一撃で消滅した。

 強化されていただけに、その威力は強大なものだったのだろう。

 

 その後、衰弱状態にある残り2体の『魔弾の砲座』は花村と巽くんの連携の前に成す術なく消滅し、『雷と風のバランサー』たちは《死神》アルカナの『サマエル』の《沈黙の魔方陣》で魔法を封じられた上で天城さんと里中さんによる属性攻撃で削られ、止めに放ったサマエルの《メギド》で跡形も無く消し飛んだのだった。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 押し寄せるシャドウたちを蹴散らしながら11階に辿り着くと。

 階段を登った先には、一際巨大なカーテンが行く手を遮っていた。

 ……恐らく、この先に『シャドウ』と久慈川さんは居る。

 

 覚悟は出来ているか、と皆を振り返ると。

 誰も彼もが頷いた。

 それを了承と受け取り、一つ息を整えてから一気にカーテンを開け放つ。

 

 部屋に飛び込んだ直後、薄暗い中に噎せる程のスモークが焚かれていた部屋が一気に眩しくなる。

 どうやらスポットライトを一斉に当てている様だ。

 巨大な円形型の部屋の内、中央から奥にかけてはステージの様になっていて、更にステージ中央には、見上げても視界が悪い為果てが分からない天井まで伸びる一本のポールが聳え立っている。

 

『レディース&ジェントルメン!

 ようこそ! これより目眩く世界にご案内しまーす!!』

 

 そんな口上を、何処からともなく聞こえてきた『シャドウ』の声が述べるや否や。

 スモークがもうもうと焚かれる中、バッとステージ全体が一気にライトアップされ、ステージの下から床がせり上がってきた。

 

 そこには……何故か各々が違う衣装を身に纏った……『久慈川りせ』が6人も並んでいた。

 興奮を抑えきれない花村曰く、どうやらどれもアイドル『りせちー』が番組などで着ていた衣装らしい。

 そして、その6人から少し遅れて、あの『シャドウ』が下から姿を現した。

 

『ハァーイ! お・ま・た・せ!!』

 

 可愛くウィンクを飛ばしてくる『シャドウ』に、花村のテンションが振り切っている。

 そんな花村の脇腹に軽く突きをかまし、一先ず落ち着かせた。

 

『シャドウ』はこちらのそんな行動に構う事なく悠々とポールの前に移動し、スポットライトを一身に浴びながらその金色の瞳を妖しく輝かせる。

 

『今日はぁ、もう、りせの全てを見せちゃうよ!

 えぇー、どうせ嘘だろうって?』

 

『シャドウ』は右耳に手を添えて、居もしない観客の声を聞いているかの様な仕草を見せた。

 

『アハハッ、OKOK!

 嘘か真か……とくとご覧あれ!!

 ちゃーんと見ててねぇ、ホントのぉ……ア・タ・シ!!!』

 

 誰も何の声も返さなかったと言うのに、自己完結した様に、指先をチッチッと振った『シャドウ』はそう言うと、突如ポールダンスを披露し始める。

 

「……久慈川さんは何処に……?」

 

 ここがこの建物の行き止まりなのだから、恐らくはここに居る筈なのだが……。

 スモークがきついからか、久慈川さんの姿は見えない……。

 

『ん、もぅ……、何かノリ悪ぅーい!

 んじゃ、ここで特別ゲスト、呼んじゃおっかなぁ?』

 

「特別……ゲスト?」

 

 この世界に居る『シャドウ』が現時点で呼べるゲストなど、この世界を徘徊するシャドウか……久慈川さん本人しか居ない。

 

『本日のゲストは……』

 

 そう『シャドウ』が溜める中、舞台上の『シャドウ』以外の『りせちー』が声でドラムロールを始める。

 

『“久慈川りせ”ちゃーん!!』

 

 予想通りの名が上がり、バッとスポットライトが当たったそこには、店番していた時の割烹着を着たままの久慈川さんが茫然とした顔で、倒れた状態から体を起こして、そして自分を見下ろす『シャドウ』を怯えを含んだ目で見上げていた。

 

「止めて……止めてよ……!」

 

 声を震わせながら、久慈川さんは必死に『シャドウ』を制止しようとする。

 しかし、『シャドウ』がそれで止まる筈もない。

 

「久慈川さん!!」

 

 久慈川さんに気付いて貰える様に大きく声を上げて走り寄ろうとするが、『シャドウ』が指を鳴らすなりワラワラと警備員の様なシャドウ……『固執のファズ』が現れて、それに足を止められた。

 物理攻撃と万能属性攻撃以外は一切効かないシャドウだ。

 強くはないが、切迫したこの状況では相手をしたくないシャドウである。

 行く手を阻む様に隊列を組んでやって来るシャドウに舌打ちしつつも、ここは応戦するしかない。

 

「やれ、ヒトコトヌシ!」

 

 《隠者》アルカナの『ヒトコトヌシ』が、召喚と同時にその特性を発揮して仲間全体の速さを上げる。

 そして、ヒトコトヌシがその腕を振るうと、無数に舞い上がった木の葉が刃そのものの様な鋭さを伴って、宛ら矢の雨の如く『固執のファズ』の隊列を蹂躙する。

 皆も、各々のペルソナで『固執のファズ』に応戦を始めたが、如何せん『固執のファズ』が後から後から湧いてくる。

 細菌類の様に分裂増殖してるんじゃないか、と思わず考えてしまった。

 

 

 そして、こちらが『固執のファズ』たちへの応戦に追われている中、切羽詰まっているからかそんな状況の変化にも気が付けない様子で、久慈川さんは『シャドウ』に追い詰められている。

 

「嫌……こんなの、嫌ぁ……」

 

 弱々しく否定の言葉を溢す久慈川さんに、『シャドウ』は目を細めた。

 

『止めて? 嫌?

 もぉー、ホントは見て欲しいクセに。

 ほぅら、こんな感じでどぉ?

 見て見てぇ、ホントのワタシ!』

 

 そう言って『シャドウ』はポールダンスを続ける。

 その艶かしさを感じる動きに、久慈川さんは耐えきれないとばかりに声を上げた。

 

「止めて! こんなの、ホントの私なんかじゃ……」

 

 久慈川さんのその言葉に、『シャドウ』の雰囲気が剣呑なモノに変わるのを肌で感じる。

 

『ざぁっけんじゃないわよ!!

 じゃあ、ホントのアンタって?

 何れよ? 何れがホントのアンタよ?』

 

 そう『シャドウ』が叫ぶなり、舞台上に居た『りせちー』が一斉に久慈川さんを取り囲んだ。

 

「ホントの……私は……」

 

『シャドウ』に問われても、久慈川さんはその答えを返せない。

 そんな久慈川さんに畳み掛ける様に『シャドウ』は語気を荒くする。

 

『さぁ、言ってみなさいよ。

 ホントの“久慈川りせ”って?』

 

『シャドウ』がそう尋ねると、久慈川さんを取り囲む『りせちー』たちが口々に「自分こそが本当だ」と主張し始めた。

 それに耳を塞いで頭を抱え込んだ久慈川さんは、叫ぶ様に『シャドウ』に答えた。

 

「分かんない!!

 ホントの私って、何!??」

 

『ホントの“久慈川りせ”はアタシ。

 アンタはアタシ。

 アタシはアンタ』

 

 金色にギラつく目を細めながらそう宣った『シャドウ』に、久慈川さんは耳を塞ぎながら必死に体ごと首を横に振った。

 

「違う! 違うってば!!!」

 

『違わないでしょぉぉ!!?

 ベッタベタなキャラ作りして、ヘド飲み込んで、作り笑顔なんてもう真っ平!

 ゲーノージンの“久慈川りせ”なんかじゃない!!

『りせちー』? 誰それ!?

 そんなヤツ、この世に居ない!!

 アタシはアタシよぉぉ!

 ほらぁ、ここに居る、このアタシを見なさいよぉぉ!!!』

 

 シャドウの魂を吐き出す様な叫びに、久慈川さんは言葉を喪う。

 

 “『本当の私』を見て。

『りせちーじゃない私』を、ここに居る私を見て。”

 

 ……それが、久慈川さんの抑圧だ……。

 久慈川さんの悩みとは、心理学的な意味合いでの“ペルソナ”に“自分”が呑み込まれてしまっているというモノだった。

 

 “本当の自分を見て欲しい”。

 そんな願望は誰にだって……勿論自分にとて存在する。

 何を以て“本当の自分”とするのかは人各々ではあろうけれども。

 それが“抑圧”に……そして『シャドウ』にまで至ってしまった、久慈川さんの事を思うと、胸が痛くなる様な錯覚すら覚える。

 

 

「わ、たし……そんな、事……」

 

 否定しようとする久慈川さんの声には、力が全く無かった。

 

『さーて、お待ちかね。

 今から脱ぐわよぉぉ!!

 丸裸のアタシを、よく見て目に焼き付けなァ。

 コレが、ホントのア・タ・シ!!』

 

 するりと『シャドウ』は水着の紐に手をかけてそれを解く。

 そしてその紐を手放そうとしたその時、もう耐えきれないとばかりに久慈川さんが悲鳴の様な声を絞り出した。

 

「……いや……やめ、て……止めて……!

 あなたなんて……」

 

「言っちゃダメ!!」

 

 里中さんが制止の声を上げるが、久慈川さんにはその声は届いていない。

 

 

「アンタなんて、……私じゃない!!」

 

 

 否定された瞬間、『シャドウ』は確かにその瞳を歪ませる。

 しかし、その直後には箍が外れた様に、狂った様な笑い声を上げた。

 そして、その姿は濁った影の奔流に呑み込まれていく。

 

 

 増殖が止まった『固執のファズ』を即座に殲滅するや否や、力が抜け落ちた様にステージへと倒れた久慈川さんへと駆け寄った。

『シャドウ』が異形の姿を曝す前に、久慈川さんを保護してクマと共に極力安全な場所まで退避していて貰う。

 そして、各々でペルソナを召喚して『シャドウ』の攻撃に備えた。

 

 

『これで! 

 あたしわぁ、あたしィィッ!!』

 

 

 影の奔流を払って現れたのは、極彩色の裸身に近い概ね人型を取った巨大な異形だった。

 極彩色のその身体は、見ているだけで酔ってしまいそうだ。

 顔に当たる場所にはアンテナの様なモノが鎮座して不気味に時折光り、そして久慈川さんの姿をしていた名残の様に頭部には茶髪のツインテールが残っていた。

『シャドウ』はポールに掴まってユラリユラリとその巨体を揺らしている。

 

 

『我は影、真なる我……。

 さあお待ちかね、モロ見せタ~イム。

 フフフ……特等席のお客さんには……。

 メチャキッツーいのを特別サービスよッ!』

 

 

『シャドウ』が何を仕掛けてくるのかは分からない。

 だから、取り敢えずは弱点が存在しない《塔》アルカナの『トウテツ』を召喚している。

 

「トウテツ、《ミリオンシュート》!」

 

 トウテツが腕を上げると、幾重もの衝撃波が『シャドウ』を襲う。

『シャドウ』はそれに小さな悲鳴を上げた。

 ……どうやら物理攻撃は有効だ。

 だがしかし、……『シャドウ』の表情は物理的に読めないから確かな事は言えないが、『シャドウ』がニヤリと嗤った様な気がした。

 直後に、緑色の光がこちらを透過する。

 ……攻撃ではないみたいだが……。

 

『イッターイ。

 もう、ステージ上に手ェ出すなんて。

 でもォ、もう分かっちゃったから……』

 

『シャドウ』のその言葉の真意は分からないが……嫌な予感がする。

 ……しかし、攻撃の手を緩める訳にもいかない。

 

「トウテツ、続けて《マインドスライス》!」

 

 だが、確かに『シャドウ』を狙って放った筈のその一撃はスルリと回避される。

 偶然かもしれない。

 だが、これ以上トウテツで攻撃していても無駄だという直感が確かにあった。

 だから素早く《法王》アルカナの『ホクトセイクン』に切り換える。

 ペルソナが変わった事に、『シャドウ』は僅かに動揺した。

 ……恐らくは、今が攻め時だ。

 それは皆が感じたのだろう。

 

「鳴上、合わせんぞ!」

 

「了解だ!」

 

 花村が声を上げ、ジライヤが上から押さえ付ける様な烈風を『シャドウ』に叩き付けてその動きを抑制する。

 間髪入れずにホクトセイクンの《利剣乱舞》によって作り出された幾つもの剣状のエネルギー波が『シャドウ』を縦横無尽に切り刻んだ。

 そして、『シャドウ』が体勢を戻す前にトモエの凍て付く刃が『シャドウ』を切り裂き、タケミカヅチの拳が腹部を捉え、そして最後にコノハナサクヤの火炎が『シャドウ』を焼く。

 ……どの攻撃も『シャドウ』にダメージを与えた。

 しかし、シャドウは緑色の光を放ちながら不気味にユラリユラリと揺れるだけ。

 そして、やはりこちらを嗤っている気がする。

 

『ホーント、なってないお客ね。

 ウフフ、でも、もうムダよ』

 

『シャドウ』のアンテナが不気味に明滅した。

 ……こちらを見透かしている気がする。

 更に、と皆が放った攻撃は『シャドウ』に掠りもしなかった。

『シャドウ』はただ揺れているだけの様にしか見えなかったが、それでも全く当たらないのだ。

 《スクンダ》で速さを奪おうとも、《スクカジャ》でこちらの命中率を補おうとも、結果は同じ。

 まるで全てを見通しているかの様に、『シャドウ』はただユラリユラリと揺れている。

 

『じゃあ、反撃開始ぃ』

 

『シャドウ』がユラリとポーズを決めたと思うと、『シャドウ』を中心に冷気が迸る。

 

「クッ……!」

 

「きゃっ!」

 

 現在召喚中のホクトセイクンには氷結属性への耐性は無い。

 咄嗟に盾にしたお陰で、冷気の殆どはホクトセイクンが遮ったが、フィードバックによって腕先などが霜焼けにでもなったかの様に感覚が鈍くなる。

 だがそれよりも、氷結属性が弱点の天城さんが膝を付いてしまった。

 不味い、この調子で攻撃を食らうと……!

 

「雪子!」

 

 最悪の状況が脳裏を掠めたのか、耐性の為ほぼ無傷の里中さんが天城さんに駆け寄ろうとした。

 だが、同時に半ば絶対的な予感が自分を突き動かす。

 

「守れ、オルトロス!」

 

 最早脊髄反射の様に思考する暇も無く、ホクトセイクンからオルトロスへと切り換えて召喚し、天城さんの腕を取ろうとした里中さんに覆い被さる様に伏せさせる。

 直後、灼熱の炎が里中さんに覆い被さるオルトロスに直撃した。

 

 オルトロスに炎は効かない。

 しかし、だからと言って炎の熱を完全に遮断出来る訳でもない。

 間近に感じた熱波に、里中さんは悲鳴を上げた。

 

『あらぁ……、邪魔されちゃった。

 ふーん……、アンタのソレ、厄介ね』

 

 ユラユラと揺れる動きを止めた『シャドウ』はこちらを睨んでいる様な気がする。

 ……この『シャドウ』、こちらの手の内を解析している可能性がある。

 恐らくは、一度攻撃してきた相手の情報を解析してしまう能力があるのだろう。

 だから、こちらの二撃目は当たらず、あちらはピンポイントにこちらの弱点を狙ってくるのだ。

 自分の攻撃が二撃目以降も命中しているのは、ペルソナチェンジによってペルソナが切り替わっているからに過ぎない。

 それも全て解析されてしまえば、もう成す術は無くなる。

 ならば、こちらが『シャドウ』を削りきるのが早いか、『シャドウ』がこちらの手の内全てを解析するのが早いか…………その勝負だ。

 同じ考えに至ったのか、花村はこちらを見て頷いた。

 

「鳴上、俺たちはサポートに回る……!

 だから、アイツは頼む……!」

 

「了解だ、花村。

 来い、ジャアクフロスト!」

 

 イザナギと同じ《愚者》アルカナの『ジャアクフロスト』を召喚し、《コンセントレイト》で一気に魔力を高める。

 そして、トモエがかけた《タルカジャ》の相乗効果により更に高まった力を一気に解放させた。

 

「やれ、《極寒パラダイス》!!」

 

『シャドウ』を中心に全てを凍て付かせる冷気が渦巻く。

 範囲攻撃ならば、範囲内に居れば確実にダメージが入る筈だ。

 実際、『シャドウ』の身体の半分はそれで凍てつく。

 まだ、粘れるか……?

 そんな淡い期待で続けざまに放った《アギダイン》は、『シャドウ』が生み出した氷塊で相殺された。

 

「……っ! ネコショウグン!!」

 

 ジャアクフロストの攻撃は全て解析されたと判断し、それ以上の深追いはせずに素早く切り換える。

 《星》アルカナの『ネコショウグン』は、召喚されると同時に《獣の咆哮》を上げて自身の攻撃力と速さを底上げした。

 そして間髪入れずに叩き込んだ《黒点撃》は『シャドウ』の中心を捉える。

 それには堪らず『シャドウ』も悲鳴を上げた。

 

『じゃあ、これでどう!!』

 

 だが攻撃を与えた直後に『シャドウ』は烈風でネコショウグンを薙ぎ払おうとしてくる。

 ネコショウグンの弱点は疾風属性だ。

 これは不味い、と焦った瞬間。

 ネコショウグンに叩き付けられ様としていた烈風は、別方向から吹き荒れた烈風によってその向きをズラした。

 花村が助けてくれたのだ。

 

 ありがとう、と花村に目で礼を言って、直ぐ様ペルソナを《道化師》の『ロア』へと切り換えた。

 ロアの放つ烈風が『シャドウ』を床に叩き落とす。

 だがそれも直ぐ様対応されていく。

 ロアの力がもう通じないと判断するや否や、またペルソナを切り換えた。

 

 

 

 

 ……………………。

 ……………………。

 

 

 

 

 出せるペルソナは出し尽くし、『シャドウ』をあと一歩の所まで追い詰めた。

 だが、あちこちに傷を作りアンテナの至る所に罅を走らせた『シャドウ』は、それでも尚、倒れない。

 ……端的に言えば、仕留められなかったのだ。

 既に己の手札は出し尽くし、補助に回ってくれていた皆も、『シャドウ』からの攻撃により、もう動く事もままならない。

 

 

『……しぶとかったけど、もうゼーンブお見通し……。

 ウフフ、解析完了……、じゃあ……いくよォ!!

 かわせるもんなら、やってごらんッ!!』

 

 

 光、としか表現しようの無い攻撃が、叩き付けられた。

 攻撃範囲の外に居たクマと久慈川さん以外は、全員がその一撃で吹き飛ばされる。

 ……現在降魔中だった《皇帝》アルカナの『オオクニヌシ』のスキル……《食い縛り》で、自分はギリギリ踏み留まる事が出来たが、花村は、里中さんは、天城さんは、巽くんは、倒れたまま動けない。

 もう、誰も彼も限界なのだ。

 自分とて、クマに逃げろと叫んでやりたくとも、もう、声が出ない。

 口から零れていくのは、掠れた荒い息だけ。

 息が苦しくて、無意識に顎全体で息をしている様な動きになっている。

 ……まるで死戦期呼吸だな、と何処か他人事の様に、ボヤけた思考が頭の片隅を過った。

 せめて皆だけでもここから逃がしてやりたいのに、ペルソナを召喚する程度の力すら、もう自分には残っていない。

 

『シャドウ』は追撃とばかりに二射目を放とうと力を溜めている。

 己に近付く『死』を、何処か冷めた様に見詰める自分がいた。

 

 …………あれは万能属性の攻撃だ。

 ……万能属性を防げるペルソナは、少なくとも今の自分が扱えるペルソナの中には無い。

 せめて耐久力の高いペルソナで皆の壁になりたくても、もうペルソナを呼び出す力すらない。

 ……自分一人では、肉壁にすらなれないだろう。

 必死にこの場を凌ぐ方法を探そうと思考が踠く一方で、“どうしようもない事だ”という思いも頭の片隅にチラつく。

 ……出来る手は打ち、己に出来る全てで事を成してきた。

 少なくとも、その一瞬一瞬で己が最善と考えた道を選んできた。

 それだけは、確かに言える。

 ただ、自分の力ではどうする事も出来ない事はこの世には確かにある。

 これがその一つであった、というだけの事なのかもしれない。

 

 

 ━━だが、本当にそれで良いのか?

 

 

 己の脳裏に、そんな思いが過る。

 その思いに弾かれた様に、僅かに振り返って、床に倒れて動かない花村たちを見た。

 

 皆、胸は動いているから、息はある。

 だが、それも、『シャドウ』の二射目で止まるだろう。

 この攻撃を止める術が無い以上、皆、ここで、『死ぬ』。

 

 

 それを、その“現実”を、実感を伴って“認識”してしまった。

 

 

 ………………………………。

 ……いや、だ。

 ……いやだ、嫌だ、嫌だ、嫌だ……!

 

 ……こんな所で、皆を死なせたくない!

 こんな風に、仲間を死なせられる訳が無い……!

 そんなの、何があっても、この世の中の誰よりも、この自分が、赦しはしない……!!

『死ぬ』なんてダメだ。

『死なせる』なんて、ダメだ。

 死なせたくない……、死なせない……!

 ……何をしてでも、絶対に。

 仲間を、死なせたりなんかしない!

 だから……!

 

 

『死』を……()()()()()仲間の『死』を認識した瞬間に、思考を支配したのは。

 今まで感じた事も無い程の、《恐怖》とも表現し難い激しい感情だった。

 自らの『死』自体は、実感が無いのじゃないかと自分で自分を疑う程に、冷静に思考していた筈なのに。

 それでも、感情は思考を凌駕し、自らを突き動かす。

 

 

 何でも良い。自分はどうなっても良い。

 だから……。

 守る為の、皆を死なせない為の力が、欲しい……!

 

 そう強く願ったその時。

 

 

 

 ━━……悠希……。

 

 

 

 ……声が、聞こえた。

 花村のものでも、里中さんのものでも、天城さんのものでも、巽くんのものでも、クマのものでも、久慈川さんのものでもない声が……。

 

 思考がマトモに定まらない中、その声が誰のものなのかは分からない。

 だけれど、それは自分にとってとても大切な声だ。

 それだけは、確かに何処かで感じている。

 

 

『シャドウ』から目を反らすまい、と、重い瞼を抉じ開ける様にして、霞む目で必死に前を見た。

 そして、一歩。

『シャドウ』に向かって、痛みだけを訴える身体を剣を支えにしながら、皆を背にしてよろめく様に前へと踏み出す。

 額が切れたのか、血が流れ落ちてきて赤く染まっている様にも見えるボヤけた視界の中に。

 

 そんな状況でもハッキリと分かる程、青く輝いているカードが目の前に浮かんでいた。

 

 

 ━━…………俺たちは、家族だ。

 ━━……忘れるなよ……。

 

 

 その力を()使う事が、どうなる事になるのかは、その青い光を見た時に何と無く分かった。

 …………それでも良い。……それで、良い。

 ……皆を守れるのなら、それで構わない。

 

 

 だから、躊躇無くその青く輝くカードを砕いた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆




今回戦った敵の耐性とスキルは以下の通り。

『淫欲の蛇』《恋愛》(炎:弱、光・闇:無)
・バイラスウェイブ、マインドスライス
・吸血、淀んだ吐息



『影りせ』《恋愛》(光・闇:無)
・マハアナライズ
・マインドスライス
・マハラギオン、マハブフーラ、マハジオンガ、マハガルーラ
・吸魔
・火炎ガードキル、氷結ガードキル、電撃ガードキル、疾風ガードキル


仲間たちのペルソナのスキルは以下の通り

『ジライヤ』(風:耐、雷:弱)
・パワースラッシュ、烈風撃
・ガルダイン、マハガルーラ
・テンタラフー、マカジャマ
・スクカジャ、デカジャ
・ディア、トラフーリ
・素早さの心得、疾風ブースター、混乱成功率UP



『トモエ』(氷:耐、火:弱)
・黒点撃、疾風斬、氷殺刃、ブレインシェイク
・マハブフ
・タルカジャ、心眼覚醒
・ヘビーカウンタ、攻撃の心得、アドバイス
・氷結ブースタ



『コノハナサクヤ』(火:耐、氷:弱)
・アギダイン、マハラギオン
・ムド
・ディアラマ、メディラマ、リカーム、アムリタ
・火炎ガードキル
・神々の加護、火炎ブースタ



『タケミカヅチ』(雷:耐、風:弱)
・紫電砕
・ミリオンシュート、バスタアタック、デッドエンド
・ジオンガ、マハジオンガ
・小治癒促進、電撃ブースター、気絶成功率UP



今回、鳴上さんが使用したペルソナは……

【愚者】

『ジャアクフロスト』(炎・氷:吸、闇:反)
・アギダイン、極寒パラダイス
・マハスクンダ
・コンセントレイト
・トリックステップ、氷結ブースタ、氷結ハイブースタ、火炎ハイブースタ



【魔術師】

『ディース』(炎:反)
・アギダイン、マハラギオン
・コンセントレイト、ディアラマ
・マハスクンダ、デクンダ
・氷結見切り、火炎ブースター



【女帝】

『ガブリエル』(風:吸、光:無、炎:耐、闇:弱)
・ホーリータッチ、ヒートウェイブ
・マハブフーラ
・メディラマ、サマリカーム、エナジーシャワー
・光の壁、神々の加護



【皇帝】

『オオクニヌシ』(雷:反、風:弱)
・空間殺法、利剣乱舞
・マハジオンガ
・アドバイス、ヘビーカウンタ、電撃ブースター、疾風無効、食い縛り



【法王】

『ホクトセイクン』(雷:反、炎:弱)
・ナバスネビュラ、利剣乱舞
・ジオンガ、ジオダイン
・電撃ブースタ、ヘビーカウンタ、衰弱耐性



【正義】

『ドミニオン』(光:反、雷:無、風・闇:弱)
・ホーリータッチ
・マハジオンガ、ハマオン、裁きの剣
・光の壁
・衰弱耐性、闇無効、ハマ成功率UP



【隠者】

『ヒトコトヌシ』(氷・風:無、炎:弱)
・アローシャワー
・ジオンガ
・愚者の囁き
・タルンダ
・火炎耐性、電撃耐性
・マハスクカオート、電撃ブースター



【刑死者】

『オルトロス』(炎:無、氷:弱)
・黒点撃、灼熱発破、連鎖の炎刃
・マハラギオン
・マハラクカジャ
・火炎ブースタ、氷結無効、一番星



【死神】

『サマエル』(雷・闇:無、氷:耐、風:弱)
・メギド、ムドオン
・ポイズンミスト、沈黙の魔方陣
・マハラクンダ
・束縛の手、ムド成功率UP、パニッシャー



【節制】

『ゲンブ』(氷:無、雷:弱)
・マハブフーラ
・マハラクカジャ
・ボディーシールド、蒼の壁、マカラブレイク
・中治癒促進、物理耐性、真・電撃見切り



【悪魔】

『パズス』(氷:反、光:弱)
・アイオンの雨、ナバスネビュラ
・ブフーラ、ムドオン
・マハラクンダ、デカジャ
・バステ成功率UP、勝利の息吹



【塔】

『トウテツ』(闇:反)
・ミリオンシュート、マインドスライス
・メギド
・トラフーリ、コンセントレイト、チャージ
・混乱成功率UP、老化防御



【星】

『猫将軍』(雷:反、光・闇:無、物:耐、風:弱)
・黒点撃、連鎖の風刃
・マハブフーラ、マハジオンガ
・獣の咆哮
・電撃ブースタ、真・疾風見切り、一番星



【月】

『アルウラネ』(炎・氷:耐、闇:無、風:弱)
・マハガルーラ
・オールド・ワン、サロメの口付け
・マカラカーン、解放メメント
・疾風耐性、老化防御、老化成功率UP



【太陽】

『ヤタガラス』(光:無、風:耐、氷:弱)
・アギラオ、マハガル
・マハスクカジャ、ディアラハン、鈍重の魔法陣
・一番星、勝利の息吹、恐怖防御



【道化師】

『ロア』(風・闇:耐、光:弱)
・ジオダイン、ガルーラ、ムドオン
・吸血、マハタルンダ、テトラジャ
・ムド成功率UP、光からの生還

です。
まだ出てないペルソナはまた次の機会に。
前回の『狭量の官』の時に出番があった『パールヴァティ』は今回はお休みです。




オリジナルペルソナを入れる気はあんまり無かったんですが、折角女番長にしたんだから、多少は色付けても良いかなぁ……と思う今日この頃。
解禁ペルソナを、一部差し換えても大丈夫ですかね?
いや、一応女性なのに、解禁ペルソナがほぼ男性型ってのもなぁ……と。
例えば、剛毅のザオウゴンゲンを、セクメトとかドゥルガーとかにするのは有りな気がしないでもない。
まあ、やるかは未定ですけど。





〓〓







折角なのでゲームの話とか、この物語のちょっとした裏話でも。


正直な所、今回の内容的には影りせ戦だけ書いてても問題はないのですが。
まあザコシャドウ戦及び中ボス戦は、ボス戦で使いそうにないペルソナたちの活躍の場です。

影りせ戦は若干端折りました。
まあ、あの戦闘…………実質イベント戦闘みたいなモノですし(絶対に勝てない仕様)。


鳴上さんたちの強さ的に、ザコシャドウ戦は『物理耐性があったら面倒』、中ボス戦は『武器攻撃で押し通れなくて面倒』程度です。
しかしボス戦だけは難易度がガン上げされてます。
気持ち的な難易度は、ザコ戦=SAFETY、中ボス戦=EASY、ボスシャドウ戦=ルナティック+です。
たまにやる大型シャドウ戦はNORMAL位かと。

勿論の事ながら、裏ボスの難易度もルナティック+を目指して書きます。

なお、私の中ではSAFETY<EASY<NORMAL<HARD<ルナティック(VERY HARD)<<ルナティック+です。

FEシリーズでルナティック+をクリアする為には、何度でもリセットする根気と天運が必要だったので…………。
バイオハザード系の最高難易度も中々大変ですよね。
無印リベレのHELLは、パーカーさんの後半戦で詰みかけました。
OBもVHにすると、AIPCが荷物以外の何物でもないですね。
それでもAIPCを外す事はしませんが。

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