いじめ?俺には関係無いな   作:超P

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嫉妬



……………………怖いねぇ。


嫉妬は加速する。

放課後 教室

 

 

将来何の仕事に就くか。

 

 

小学校に入って直ぐに担任からこの質問をされる。

当時の俺は具体的な自分の将来が想像できず、無難に公務員と答えた。

………まぁ、その時は担任から微妙な顔をされたが。

だが今ならこれだけは言える。

 

もし、将来仕事につくとしたら小学校教師にだけは絶対にならない。

 

なぜなら

 

 

 

 

「それで?なんで喧嘩になったの?」

 

 

 

 

 

こうやって一々問題に立ち会わなければならんからだ。

 

 

「だって!ヒグッ、達也が!お、おれ、おれの肩に、グスッぶつかってきて!」

 

(こうやって事実はどんどん捻じ曲げられていく。なるほどこうやって冤罪は作られていくのか…………ってなんでやねん。正確にはお互いの肩がぶつかった、だ。その言い方じゃ俺が当たりに行ったように聞こえる)

 

「だから殴ったの?」

 

「ヒグッ、ひぐっ、、お、おれ!達、也に、謝れ、って!謝れっ、て言ったもん!」

 

「そしたら?」ハァ

 

(溜息つくのも分かる。なぜならさっきから何言ってるのかほぼわからん。泣くか喋るかどっちかにしたらどうだ?と言ってもこの歳じゃ泣くだけになるな。つうか溜息俺に聞こえてちゃ駄目だろ)

 

「達也、謝んねぇんだもん!わぁぁぁああん!」ブワッ

 

(えっ俺『悪い』っつったよな?あれか?悪いは謝罪にならないってのか?)

 

「あのね?大志君」

 

(あ、大志って言うのか)

 

 

 

「何があっても人を殴っちゃ駄目よ?」

 

 

 

(それは違うな。人を殴るのは間違いではない。有事の際き自衛や防衛の為に他者に適切な暴力を振るうのは正しいし、ボクシングや総合格闘技では他者に暴力を振るうのが仕事だ。正しくは意味なき暴力は駄目、という事)

 

「君の手は人を殴る為にあるんじゃないのよ?」

 

「う、うん」ぐすっ

 

「分かればいいのよ」ふんす

 

(そして、 その手は何の為にあるのかを説明しない。まだ小3だぞ?教師がそれを教えなくてどうするんだ………誰かを助ける為に、とか人の為に、とかなんでもあるだろ……………根本的に教師に向いていないな)

 

「さて、お次は君ね」

 

(無駄な時間になりそうだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

書斎

 

 

「ただいま」

 

 

しーん

 

 

(ま、誰かいたら怖いけどな)

 

 

この部屋に帰るのも慣れた物だ。

仕方なく事情を祖父さんに話して光熱費も面倒見てもらえるようにした。

…………本当に仕方なくて。

 

 

折り畳み式の大人用シングルベッド、枕、掛け布団。

 

一人分の皿、ホテルなどに置かれている小さな冷蔵庫。

 

 

一人暮らしできる程の家具や家電を用意してもらった。

本以外にも昔の映画やそこそこの数のゲーム、パソコンも買ってもらった。

 

………………………本当に嬉しくて自然とにやけてしまう。

 

 

(本当に贅沢な一人暮らしだ………………いやマジで)

 

 

 

だが心配なのは兄弟だ。

あの家で不当はあつかいを受けていないだろうか。

父は生活していけているのだろうか。

 

あの家に帰れない今となっては考えても意味がない。

かと言って考えないでいれる訳がない。

 

 

「……………スマホか」

 

 

今の状況ではあれが必要になってくる。

流石にこれ以上祖父さんに迷惑はかけられない。

 

ここまで面倒見てもらっといて今更何言ってんだ、って感じだが………これ以上はやばい。何がって俺の罪悪感が。良心の呵責で死んでしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

登校中 通学路

 

 

(リスクが多いがバイトでもするか?)

 

 

結局昨日からずっと考えていた。

内職………株…………体でも売るか?いや、止めとこう。

 

 

「ねぇ」

 

「…………」

 

「やっぱり無視するんだね」

 

「…………」

 

「僕ね?」

 

「…………」

 

 

 

「父さんから聞いたよ」

 

 

 

「…………」

 

「父さんは君との会話を許可してくれなかった」

 

「…………」

 

「君も多分、僕と会話をしてくれないだろうしね」

 

「…………」

 

「けど君といる事は禁止されてないんだ」

 

「…………」

 

「手紙でのやりとりもね?」

 

「…………」

 

「これ、僕のメールアドレス。誰にも教えちゃダメだよ?」スッ

 

「…………」

 

「受け取って、くれないかな…………?」

 

「…………」ごそっ

 

「!」パァ

 

「…………」スタスタスタ

 

「待って!僕も一緒に行くよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

授業中

 

 

(達也は僕のメールアドレスを受け取ってくれた!)

 

「…………」かきかき

 

(つまり僕とまだ友達でいるんた!)

 

「…………」かきかき

 

(僕はもう分かっている…………!達也は僕を傷つけない為に近寄らせないんだ!達也が困る事は絶対にしない!僕は達也を影からサポートするんだ!)

 

「………………………………」メモメモ

 

「?」

 

 

 

『授業中だ。しっかりしろ』

 

 

 

(………………くうぅ!これだよ!こういうやりとりがしたかったんだよ!)

 

 

 

 

「…………」ギリッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間

 

 

「な、なぁ、亜利沙」ドキドキ

 

「…………?ええっと……前田、君?なにかな?(この感じ………まさか)」

 

「話があるんだけどさ……」ドキドキ

 

「(あぁ…………やっぱりか)………ここで話せる?」

 

「いや!………ちょっと校舎裏に来て欲しいんだ」ドキドキ

 

「う、うん。分かった(…………達也の近くにいたいのに)」

 

 

 

 

校舎裏

 

 

「それでなにかな?」

 

「亜利沙はさ、達也とどういう関係なんだ?」

 

「親友さ(最高のね)」

 

「!じゃあ付き合ってないんだな⁉︎」

 

「ま、まぁね(いつかはそうなるけど。…………絶対)」

 

「あ、あのさ」

 

「うん。(……………やだなぁ)」

 

 

 

 

「俺と付き合って下さい!」

 

 

 

 

「うん。ごめんなさい」ぺこり

 

 

 

 

「えっ⁉︎」

 

「ごめん、話はそれだけ?僕戻るね」スタスタスタ

 

「待って!なんで?どうして!」まわりこみ

 

「僕、君の事知らないから」避け

 

「これから知っていけるよ!」さらに

 

「付き合うとかなんかやだ」避け

 

「なんでさ⁉︎」さらに

 

「……………僕好きな人いるから」避け

 

「…………達也か?」

 

「違うよ(本当はその通りだよ)じゃあ戻るから」ダッシュ

 

 

 

 

 

 

「……………」ギリッ

 

 

 

 

 

 

 

 




次回からは嫌がらせの嵐。


果たして前田君は主人公に嫌な顔をさせる事ができるのか⁉︎

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