いじめ?俺には関係無いな   作:超P

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3年生になった主人公。

新しい環境に少しだけ戸惑う。
新しいクラスで嫌がらせを受ける毎日。
そんな毎日を彼は何も言わず受け入れる。



親友と同じクラスになれた佐藤。

自分に降りかかる災難を苦と思わない親友。
親友の為になりたいのに何もできない毎日。
そんな自分が許せなくて情けない。



それでも時は進み続ける。


恋は盲目とは言うもので。

新学期

 

 

今日から3年に進級する。

俺はあのクリスマスがあった日から誰とも喋っていない。

 

 

父親には『クリスマスは家にいるな』と言われた。

その間は祖父さんから貰った書斎でなんとか乗り切った。

 

だがそれでも光熱費はあまり出したくない。

今でこそ祖父さんが置いていった金でなんとかやりくり出来るが………いつ家を出てけと言われるか分からない状態だ。

 

金を稼げない年齢である以上、あの金は多く残しておいたほうがいい。

 

だからあの後、クリスマスの終わりと共に家へと帰るつもりだったのだ。

だが人間、長い間その場所にいないと帰りづらくなるもので…………

 

 

 

 

率直に言うと女がいた。

 

 

 

 

俺と弟の部屋には俺の私物はなく、弟の私物は妹と同じ部屋に移っていた。

おそらく、あの父親がどこかで作った愛人だろう。

 

…………いや、既に離婚はしてあるから恋人だ。

 

 

 

後日、父親からは予想通りの答えが来た。

 

 

家を出て行けと。

 

父の中では俺はいらないも同然、こうなることは前から分かっていた。

 

幸い、住む場所は確保できているから問題無いが…………父親への説明が難しい。

あの部屋を持っていることは知られてはいけないが、住む場所があることはいずればれてしまう。

 

…………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅

 

 

「ただいまー!」

 

「ただいまー!」

 

「ただいま」

 

「おかえり真也、咲………………それと達也」

 

「父さん!新しいクラスね!前のクラスの友達沢山いた!」

 

「咲も咲も!桃華ちゃんと一緒だった!」

 

「俺、荷物まとめてくるから」スタスタスタ

 

「それは良かったな!真也!それともう一つ良いことだ!今度からお前も小遣いをやることにしたぞー!」

 

「えっ本当に⁉︎」パァァ

 

「えー、ずーるーいー!咲も欲しいよー」

 

「ははっ、咲はあと1年経ったらなー?………真也、お前に1万円を毎月渡す」

 

「い、1万円?」

 

「不服か?なら」

 

「い、いやそんなこと無いよ!」

 

「ねーパパー、達也お兄ちゃんは?小遣い無いの?」

 

「……………………咲、達也はな?今日から別の家で暮らすんだ」

 

「えっ」

 

「お兄ちゃん別の家に行っちゃうの?咲そんなのやだー!」

 

「達也が自分でそう言ったんだ。だから達也は小遣いは無いんだ」

 

「お、お父さん」

 

「なんだ?」

 

 

 

「それ、本当なの?」

 

 

 

「本当さ。達也に聞いてみるといい」

 

「……………お兄ちゃん!」たったったっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女の部屋

 

 

「お兄ちゃん!」ガチャ

 

「………どうしたんだ?家の中では静かにしなさい。お兄ちゃん、お前をそんな風に育てた覚えはないぞ?」

 

「別の家に住むって本当なの⁉︎」

 

「………そういうことか」

 

「ねぇ!本当なの⁉︎」ユサユサ

 

「本当だとも。ていうか服を掴むな首を揺するな」

 

「僕もいく!」

 

「ダメに決まってんだろ」

 

「なんで⁉︎」

 

「なんでってそりゃお前………」

 

 

 

 

 

「ダメだからだよ」

 

 

 

 

 

「意味わかんないよ!」

 

「父さんに聞いてみろ。ダメって言うから」

 

「なんでなんでなんで⁉︎」

 

「あーうるさい。もういいだろ?俺は行くぞ」スタッ

 

「! 僕もいく!」ガシッ

 

「腰に捕まるな。ええい鬱陶しい」

 

「やだ!」

 

 

 

 

「ちょっとー、私の部屋に誰かいるんだけど?」

 

 

 

 

 

 

「…………あー、すいません。すぐ出てくんで」

 

「早く出てってよ」

 

「ほら行くぞ」

 

「やだ!」

 

 

 

 

 

「……………ちっ、鬱陶しいわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

「ではー教科書の32Pを開いてーーーーーー」

 

(……)

 

「……………」じー

 

(……………)

 

「……………」じー

 

(…………………………超、見られてる)

 

 

 

 

「……………」じー

 

(確かに無視してるよ?クリスマス以降佐藤のほうすら見てない)

 

「……………」じー

 

(だからと言って)

 

「……………」じー

 

 

 

(隣の席でずっと見てるのは無いと思うんだ)

 

 

 

「……………」じー

 

(大体、異性間でこういう行為をしてると囃し立てる奴が出てくる)

 

「………………」ヒソヒソ

 

「………………」ヒソヒソ

 

(そしてどちらのルックスがよければ良いほど、妬む奴が出てくる)

 

「………………」ギリッ

 

(既に分かりやすいぐらい嫉妬してるのが1人。………確か前田だったか?)

 

 

キーンコーン、カーンコーン

 

 

 

(そして面倒なことになる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

休み時間

 

 

(休み時間が始まると嫌がらせは途端に加速する)

 

(取り敢えずは陰口から)

 

「…………………」ヒソヒソ

 

「…………………」クスクス

 

(第2段階は物理的な嫌がらせ。足をかけたり肩にぶつかってきたり)

 

「………………」ドンッ!

 

「おっと」

 

「イテェだろ!謝れよ!」

 

「悪い」

 

「ふざけんな!」パキッ

 

(こうして殴る口実ができる。………実際はこんなの口実にもならんがな)

 

「この!この!」ポスッぽスッ

 

(体格差が出始めるこの年齢、大きな体の子は馬乗りになって殴る。だが俺も殴られて育った身。腰の入ってないパンチはタオルよりも軽い)

 

「参ったか!」

 

「………悪かったな」

 

(これで済めばいい)

 

 

 

「ちょっと!達也君がかわいそうじゃない!」

 

「そうよそうよ!」

 

「達也君かわいそー」

 

 

 

(微塵も可哀想などと思っていない連中が自己満足の為に寄ってたかって虐めてた側を叩く)

 

 

「えっ、俺は、あの、その」じわっ

 

 

(そしてこちらが泣き出して泥沼だよ)

 

 

 

「………………」じー

 

(まだ見てんのかいお前は)

 

 




嫉妬、いじめの理由の一つ。

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