いじめ?俺には関係無いな   作:超P

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今回からは中学生編。

間違ったままの二人はそれぞれ成長していく。


兄弟は兄をどう思うのか。


父は何を思うのか。


絆とは存在するのだろうか?





幸せの価値観なんて人それぞれだろ?

始業式

 

小学校を卒業すると、俺は次の舞台へ移動しなければならない。

可愛らしく無慈悲な攻撃ばかりの時代は終わり、代わりにもっと別のベクトルの攻撃ばかりの時代へ移る。

気に入らないことがあれば泣き喚き、相手に単純に怒りをぶつけるだけが暴力ではなく、陰口や嫌がらせなどの陰湿な攻撃も出てくるのだ。

高校と比べれば可愛いものなのだろうが、それでも小学校よりは甘くないに違いない。

 

そんな下らない予測をしている間に始業式は終わりを告げていた。

 

今は各々のクラスへと移動し、簡単なホームルームが始まっている。

担任の教師が最初に自己紹介をし、生徒へ自己紹介を促す。

 

「えー、今日からお前らを受け持つ事になった、藤原和也だ。1年間よろしく頼む、では、自己紹介を」

 

第一印象は苦労人、と言ったところだろうか。

 

顔を見る限り年はまだ三十代前半ぐらいだろうが、頭髪に白髪が多すぎる。

いい感じに混じっているので染めているように見えるからまだいいが、あれはかなり苦労をしてきたに違いない。やっぱり教師になるのだけは止めておこう。

 

「新井はじめです。趣味は映画鑑賞、特技は英会話です。どうぞよろしくお願いします」

 

お次に自己紹介をしたのはなんともいけ好かない甘いマスクをしたハンサム。

映画鑑賞に英会話教室とは………狙ってるのか?

 

「ーーーーー」

 

「ーーーーー」

 

真也「如月真也です!趣味はバスケ!特技もバスケ!部活動もバスケです!よろしくお願いしまーす!」

 

 

達也「如月達也。以上」

 

海斗「黒井海斗だ………」

 

「ーーーーー」

 

美久「遠藤美久です。趣味は歌う事、特技は演じる事です。よろしくお願いします」

 

「ーーーーー」

 

 

亜利沙「………佐藤亜利沙です。趣味は旅行、特技は剣道です。部活動は居合部と剣道部を。生徒会長を務めてます。どうぞよろしく」

 

 

「ーーーーー」

 

未来「中谷未来です。趣味は踊る事、特技はバスケなの。部活は女バス、よろしくお願いします」

 

「ーーーーー」

 

「ーーーーー」

 

良「野崎………良だ」

 

「ーーーーー」

 

蓮歌「横寺蓮歌です、趣味は寝る事とー………特技はー

………寝る事?部活はやってないでーす。生徒会書記でーす、よろしくー」

 

 

 

 

 

「それじゃあ全員揃ったな?男女別で4人でグループ作ってくれー」

 

 

(これまで通り余るまで待機、かな)ふわぁぁ………むにゃむにゃ

 

 

 

ワイワイ、ガヤガヤ

 

 

 

 

 

 

亜利沙

 

 

(………………達也は動く気配なし、か)

 

蓮歌「亜利沙ちゃん、一緒にグループ作ろー?」

 

亜利沙「蓮歌ちゃん?いいよ一緒に組もう」ニコッ

 

未来「あー、未来も一緒がいいの!」

 

蓮歌「いいよー」

 

亜利沙「もちろん」

 

未来「よかったのー、未来1人だけ仲間はずれは嫌なの!」

 

美久「…………」オロオロ

 

蓮歌「……ねーねー」

 

亜利沙「どうしたんだい?」

 

蓮歌「あの子さー」ごにょごにょ

 

未来「あ、未来もそう思ってたの!」

 

亜利沙「そうだね。………ねぇ、遠藤さん」

 

美久「ひゃ!…………わ、わたし?」

 

未来「一緒にグループにならない?」

 

美久「い、いいの?」

 

亜利沙「もちろん」

 

 

 

 

 

 

達也

 

 

達也(今日は豚定食かな)ぐうぅぅぅ

 

はじめ「すみません」

 

達也「ん?どうした?」

 

はじめ「いえ、よかったら同じグループになってくれませんか?」

 

達也「あぁ………やめとけ、俺のことは知ってるだろ?」

 

はじめ「いえ、僕も同じ穴の狢ですよ」

 

達也「………………じゃあ2人で待ってるか」

 

海斗「おほん!」

 

達也「いやー、それにしてもお前もあれだな、俺なんかと同じクラスになるとは不運なやつだな!」

 

はじめ「いえ、そんなことは」

 

海斗「おっほん!」

 

達也「いやいやいや、俺の嫌われっぷりは知ってるだろ?なんで俺なんかと」

 

海斗「うおっほん!」

 

達也「ちょ、なんなん?」

 

 

 

海斗「やっと気づいたか!………くっくっくっ、我が名は海斗=ジークフリード……貴様らにいい話を持ってきた…」キラーン

 

 

 

達也「勧誘はお断りだ、あっち行け」

 

海斗「あぁ!待って超待って違うから!」アセアセ

 

はじめ「おそらく、グループに入りたいのでは?」

 

達也「お前もかよ……俺が居るぞ?やめとけ」

 

海斗「ふっ!我と他の者とでは時間の流れが違うわ………」

 

はじめ「おそらく、同類だと言いたいのでしょう」

 

達也「お前もか………………ま、よろしく頼むわ」

 

海斗「ふ!我についてこい!」

 

はじめ「…………後一人ですね」

 

達也「そしてあそこに1人。………おーい」

 

 

 

 

 

 

良「ンぁ?」ギロッ

 

 

 

 

 

 

達也「いや、なんでも無いわ」くるっ

 

はじめ「ちょ、なんで戻ってくるんですか」

 

達也「あの目は筋もんだ………殺られんぞ」

 

はじめ「バカ言ってないで連れて来て下さいよ!」

 

達也「えぇ………まじなん?」

 

はじめ「えぇ、まじです」

 

達也「えー………あの、あれだ、同じグループならへん?」

 

良「…………………おう」

 

 

 

仲間(仮)がさん人増えた。

 

 

 

和也「よーし、それがお前らの最初の班な。女子と男子は後で先生がテキトーに合わせるー」

 

 

はじめ「どうやら、1学期は同じのようですね」

 

達也「だろうよ。逆に班にならないのならこのままグループ分けはただの嫌がらせだ」

 

海斗「うむ、我はこのように少人数の部隊を作るのは好かん…………」

 

良「……………おい」

 

海斗「は、はひ⁉︎」

 

良「なんだァその話し方は?」

 

はじめ「………これはこれは」

 

達也「いや、メンチ効きすぎでしょ」

 

良「……………るせぇ」

 

はじめ「はい」

 

達也「すいませんでした」

 

良「チッ………」

 

 

 

 

達也「まぁ!冗談はこれぐらいにして、だ」

 

 

 

 

はじめ「おや?何か始めるのですか?」

 

達也「この面子、明らかに共通点があるよなぁ?お前は知らんが」

 

はじめ「確かに。僕もそう思ってました」

 

海斗「わ、我とこの人物に共通点⁉︎ないない、そんなのない!」

 

良「………………嫌われてるってことか?」

 

達也「お、意外にわかる?」

 

良「…………………ふん」

 

達也「全員でさ、どんな感じだったのかを言いあおうぜ?」

 

はじめ「………では、僭越ながら僕から言わせてもらいます」

 

達也「おうよ」(お?空気読んだな)

 

 

 

 

 

 

はじめ「この顔で沢山の同性から嫌われました」

 

 

 

 

 

 

 

達也「むかつく程のハンサムだもんな」

 

はじめ「………まぁ」

 

達也「自覚してないのもあれだが自覚してるのもむかつくな」

 

はじめ「おっと、これ以上はあれなので次行きましょう」

 

達也(トラウマ出てきたな………)

 

海斗「我がいこう」

 

良「…………………とっとと話せよ」

 

海斗「は、はい………ええっと………昔からちょっと…………周りにウザがられて………」

 

達也「厨二病はウザがられるもんなぁ」

 

はじめ「女性からも低評価を受けてしまいますしね」

 

海斗「………あ、あいつら………俺の事を、キモいって……」

 

良「いや、きもくはねーな」

 

海斗「!」

 

達也「およ?まさかフォローする?」

 

はじめ「これは…………意外ですね」

 

良「……………キモいヤツはセコイ奴らだ。お前みたいなヤツは個性が強いだけだ」

 

海斗「ほ、ほんとに?」

 

良「……………後は拳で語ればダチぐらい作れるだろ」

 

達也(さてはこいつ友達いた事無いな?)

 

はじめ(バリバリの不良ですね。友達の作り方が異質すぎる)

 

良「…………で?お前はどうなんだ?」

 

達也「ぬ?」

 

はじめ「…………そうですね、僕も気になります」

 

海斗「遠慮はいらん。話してみよ」

 

達也「………そうだなぁ」

 

 

 

 

 

達也「クズな事やってたらクズになってた」

 

 

 

 

 

はじめ「フォローのしようがありませんね」

 

達也「するとこねーもん」

 

良「…………クズには見えねーな」

 

海斗「普通に見えるのだが………我の目がおかしいのか?」

 

達也「いや、いつもクズなわけじゃねーからね?」

 

良「ほう?じゃあクズな時はどんなクズなんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

達也のターン

 

 

達也「まず人を信じないな」

 

良「そりゃクズだな」

 

はじめ「いやいやいや、それだけではクズとは言いませんよ」

 

達也「次によく人を無視する」

 

海斗「無視される側としてはきついのではないか?……………我は知らんが」

 

はじめ「えぇ、確かに無視はキツイものです……………本当に」

 

良「無視なんてのは気に入らねえヤツにはして当然だろォが。他にはあんのか?」

 

達也「うーん………あ、一度だけ」

 

 

 

 

 

 

 

達也「親友を裏切った」

 

 

 

 

 

 

 

 

亜利沙「………!」

 

未来「亜利沙ーどうかした?」

 

亜利沙「な、なんでもないよ」

 

蓮歌「なんでもないって顔じゃないよそれ………」

 

亜利沙(裏切っただって?自覚してながらなぜ謝りに来ないんだ⁉︎ていうかそれ全部僕にしてた事じゃないか!)

 

未来「亜利沙の顔………阿修羅みたいなの」

 

美久「私の目には不動明王のように見えるわ………」

 

蓮歌「おっ、美久ちゃんも結構ノリいーねー」

 

美久「わ、私は別に」

 

亜利沙(いつもそうだ!僕が生徒会に入る時に誘おうと思ったのに、生徒会に入りたい男子を呼んできてその隙に僕を避けて!話しかけてもいつも聞いてなかったふりをして!ていうか4年間も聞こえないふりなんかして何のつもりなんだ!)

 

亜利沙(ていうか一度⁉︎数え切れないほどだよ!傷付けられたのなんて!最初の一回だけとでも言うつもりかい?毎日裏切られてるよ馬鹿ッ!)

 

 

 

 

 

はじめ「……………先程からあちらから物凄い形相の女子が見てきますが」

 

達也「気にすんなよ」

 

海斗「わ、我、少し気分後悪くなってきた」

 

達也「風邪でも引いたか?」

 

良「無理あるだろ………」

 

達也「それよりもだ」

 

はじめ「?」

 

達也「俺トイレ行ってくる」

 

海斗「あ、我もゆく!しばし待てい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トイレ

 

 

 

達也「………………ふぅ、戻るか」

 

海斗「…………………そうだな」

 

 

 

 

ペチャクチャ

 

 

「あれ?海斗じゃね?」

 

「あ、マジじゃん、よぉ、海斗www」

 

海斗「お、お前ら………」

 

「まだwwwジークフリードwwwとかwww言ってんのwww」

 

海斗「あ、あの……………その」

 

「聞こえねぇんだけど?え?なになに?」

 

海斗「…………………うぅ」ふるふる

 

「うっはwwwwwwきめぇwwwwww」

 

「ププッ「うぅ」だってさwwwwww」

 

「マジwww厨二きめぇwww」

 

 

達也(なるほど、こいつらか)

 

 

「あれあれ?お隣にいるのはあの『達也』君ですか?」

 

「うっわー厨二と『達也』とかwww」

 

「おいwwwおいwww」

 

達也(多分こいつら電気の紐相手にボクシングやるタイプだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下

 

 

達也「…………」

 

海斗「……………なにも言わないんだな」

 

達也「何か言って欲しいのか?」

 

海斗「…………」

 

達也「俺はなにも言わんしなにも思わんよ」

 

海斗「…………強いんだな」

 

達也「そうか?」

 

海斗「さっき…………お前は少しも顔を歪めなかった」

 

達也「歪めるポイントあったか?」

 

海斗「あの『達也』って言われてたじゃないか」

 

達也「名前を呼ばれただけだな」

 

海斗「…………俺、もう嫌だよ」

 

達也「何がだ?」

 

海斗「………馬鹿にされるの」

 

達也「ほう」

 

海斗「………………厨二病ってさ、そんなにダメなのかな?」ふるふる

 

達也「………」

 

海斗「厨二病ってだけで馬鹿にされなきゃならないのかな?」ふるふる

 

 

 

 

 

達也「厨二病ってダメなのか?」

 

 

 

 

 

海斗「……………へ?」

 

達也「厨二病が法に触れてるわけではない。そして校則で縛られている訳でもない。………考えたんだがな?ダメな理由がわからん」

 

海斗「……………」

 

達也「馬鹿にされてるってのはな?お前がそう思ってなきゃ馬鹿にされてないんだよ」

 

海斗「で、でもさっき俺の事を笑ってたし」

 

達也「厨二と『達也』。お前の名前は最初しか出てない。そしてあいつらはその言葉を言いながら過呼吸になってただけ。実際何言ってんのか分からなかったしな」

 

海斗「………………」

 

達也「だからお前がなんで泣いてるのか分からん」

 

海斗「………………ありがとう」

 

達也「?」

 

海斗「気が楽になったぞ」

 

達也「…………そうか」

 

 

 

 

 

 

生まれて初めて

 

少しは人を救えたのかもしれない。

 

 

そんな馬鹿な自己満足に浸っていた。

 




名前ありは後から活躍。

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