現代人 in エド in ONEPIECE   作:アディオス

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小さな箱庭から去るその日のこと9話

 

 

 

 

 

 

 

「へいまいど。こちらクソレストラン、ご予約で?」

 

サンジが電伝虫の受話器を持ってそう告げた。クソレストランってなんだよ。名前からして汚いだろ。

まぁそれは置いといてだ。

そういや、俺ってバロックワークスのブラックリストに入ってないんかね。奇襲されなかったのだけど。

一応賞金首だし、顔が割れてる。どういうことだろ。

まぁ、考えても仕方が無いな。

 

『何を巫山戯てやがる…Mr.3』

「……」

 

チラリと此方を見たので、何だかよくわからないが頷いて置いた。すると、サンジは俺に頷き返してまた電伝虫に向かい合った。

 

「…えー、どちらさんで?」

『何を言っている。Mr.0だ』

「…(Mr.0!ってこたぁ、王下七武海の…バロックワークスの社長か)」

 

おぉ、クロコダイルさんが登場。

声がめちゃくちゃ渋いな。かっこいいわ、何だか闇金会社の社長みたいだ。……社長か。

そういや格好自体が社長っぽかったな。海賊にはないスーツだけどお洒落さんだったのは覚えてる。スーツだけど。

 

『始末したんだろうな?』

「え、えぇ。麦わらの野郎はちゃんと始末しましたよ。社長の秘密を知っている者はもういません。追手も必要ありませんよ」

 

スラスラと出てくる嘘。ここで追手をなくそうという算段か。

それは確かに正しい。これ以上追手が増えたら、雑魚だったとしても消耗戦だ。Mr.3は自称頭脳派で、肉弾戦は得意じゃないらいしいが…まぁあれは弱い方だろう。まぁ戦闘派は強いが。

 

「(俺も勝てるかどうかわからねぇな)」

 

この世界で戦闘らしきことはあの怪鳥以外ないしな。

人相手に戦えるか、どうか。…うーん、まぁ大丈夫だろう。

そう考え事をしながら、まだ残っている紅茶を飲む。むっ!ちょっと冷めちまってるよ。冷めたらあまり美味しくないな…こんなもんか?

 

『そうか、ご苦労。今アンラッキーズをそっちへ向かっている。任務完了の確認とある届け物を持ってな』

 

アンラッキーズって確かMr.13とミス・フライデーで13日の金曜日だからアンラッキーズだったよな。

あれ、どっちかがメスなんだろ。動物って見た目じゃあまり見分けられないもんな。明らかに違うのは除いて。

 

「アンラッキーズ?届け物?」

『アラバスタへのエターナルポースだ』

 

ほうほう。エターナルポース。そりゃラッキーだな。何せこちとらアラバスタに向かう途中だったし。

紅茶をもう一杯というところで窓枠に何かいるのが見えた。カップを受け皿に置き、確認する。

二つの窓枠には、グラサンを掛けたラッコにハゲタカ………おぅふ。

 

アンラッキーズだ。

 

ハゲタカがサンジの方に背中に背負った機関銃を向け、ラッコは背中にあった貝を二つに割り爪の様な刃物を貝の先から出し構える。

こりゃ攻撃してくるな。しょうがないか…そりゃMr.3の部屋に知らない奴がいるもんな。俺は賞金首だし。

 

『おいどうした』

「いや何でも……ってうおっ!」

 

流石サンジ。素早すぎる反応で銃弾を避けた。

というか!こっちに向かってきてるんですけど!

 

「防御モードに移行、展開」

 

俺の前にドライヴを円状に展開し、その間に電磁はを発生させる。

ドライヴは銃弾なんかで壊れるほど柔でもないし、電磁波のお陰で銃弾はそこで止まりポロポロの床へ落ちて行った。

ったく、手のかかる。

ドライヴを瞬時にハゲタカの頭上に移動させ、そのまま首を狙って高速でドライヴを床に向けて動かす。

ハゲタカの首に見事にドライヴが当たり、ドンっ!という盛大な音を立てハゲタカは床に倒れ伏せた。

というか、こいつ、髪の毛あるぞ。メスか?ハゲタカがミス・フライデー?マジか。

あ、そういえばサンジは。と心配して見るが、丁度ラッコを一発蹴ってダウンさせているところだった。

 

『おい!何があった!』

「あぁ!いや、麦わらの野郎が生きてまして」

『生きてた?』

 

明らかに声に不満がありますよ、というオーラがある。

そりゃ嘘の報告をした事になるからな。プライド高い完璧主義者の社長さんだから仕方が無い。

サンジは戸惑いながらも社長さんの言う事に答える。

 

『まぁいい。お前はそこから一直線にアラバスタを目指せ』

 

やけに“一直線”という単語を強調したな。何かあるのか?

考えてもしょうがないが、しかしこの社長さんが後でルフィに協力することになるなんて思わないだろうな。俺も思わなかったし。

まぁそれは未来での話だし、俺がいる時点でそうなるとは限られない。

社長さんはサンジにいろいろ注意点を言ってから通話を終えようとする。

 

『以上だ幸運を祈る、Mr.3』

 

幸運なんて祈ってないくせに良く言うよな。これが本当にMr.3が聞いていたら、勘違いしてそうだ。

ガチャという声を発した電伝虫は眠る様に目を閉じた。通信が切れた証拠だ。

 

「通信が切れたな」

 

そう呟き、テーブルに目をやると粉々になったティーセットが。あーぁもったいねぇ。結構高そうなやつだったのに。

受話器を元の位置に戻したサンジは立ち上がり、アンラッキーズの下へ歩いていく。

 

「しっかし、なんだったんだ?こいつら」

「アンラッキーズだろ」

「は?この猿と巨大鶏が?」

「………ラッコとハゲタカだと思うが?」

 

マジで言ってる?猿はないだろ、巨大鶏もない。どう見ても似てないんですけど?

そんな俺の心情を無視したサンジは何かを見つけたようだ。サンジが屈んだのと同時に、俺は立ち上がりサンジの下へ向かう。

 

「なんだこれ…」

 

そう言ったサンジの手元にはアラバスタへのエターナルポースが。

さっき社長さんが言っていた届け物の中身だ。

 

「エターナルポースだと思うぞ。とにかく、彼奴らを探そう。何処かにいると思うしな」

「そうだな…ナミさんとビビちゃんが心配だ」

 

いや他の奴らも心配したれよ。キリッ!じゃねぇよ。ったく。

もうこのドルドルハウスには用はない。扉を開け、ルフィ達を探すためにジャングルを歩き出した。って!ほんとシダ邪魔なんですけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暫くして、ルフィ達を見つけた。予想通りに戦闘が終わった後のようで、約2、3名が半裸だった。何故に。

巨人二人もいるようで、顔を見ようとするには首をあげなくてはならずとても首が痛い。

 

「ナミさぁーん!ビビちゃーん!その他共ー!」

「どうやらお揃いで」

「サンジ!エド!」

 

その他って酷いな。

わははー!と両手を振って迎えてくれる我らが船長は本当に年上なのだろうか。どう見ても子供だ。これでこの中では戦闘力がトップなのだから、信じられない。

多分、初見じゃ毒気が抜かれるんじゃないか?俺だってそうかもしんないし。

 

「うおっ!?何だこいつら!はっ!まさかお前がMr.3か!」

「いやあれがMr.3ならあの家に入らないだろ」

「…それもそうだな」

 

サンジが巨人を指差してMr.3と叫ぶので否定しておく。お前さん、さっきまであの家にいたこと忘れたんかいな。

 

「ちょっと待って、何でMr.3の事知ってるの?」

 

そうナミさんが叫んできた。

サンジはナミの上がシャツがなく下着だけという格好に目をハートにさせた後、俺と顔を見合わせる。そりゃなぁ?

 

「さっきまでMr.0と話してたからな」

「サンジをMr.3と勘違いしてやがったな、彼奴」

「えぇ!?ボスと!?」

 

ビビが顔を青くして目を見張る。髪の毛が青いからか余計に青く見える。大丈夫?低血圧になってない?

 

「安心してくださいビビちゃん。奴には皆を始末したと報告してきましたから」

 

顔を青くしたビビを気遣うような言葉でそう言う。全く、紳士過ぎるだろ。

 

「じゃぁ私達は死んだと思われてるのね」

「ってこたぁ?もう追手は来ないわけか!ふぃーっ」

 

ビビとウソップが安心したように息を吐く。やっぱり追手というのは精神的余裕を無くすものっぽいな。

 

「それはいいとしてよ、結局この島から出ないわけにはいかないだろ?」

「あぁーそれ忘れていたわ」

 

ハァとため息をつく一同。

サンジと俺だけはどういうことなのか分からず、首を傾げる。

さっきのゾロの言葉、島から出ないわけにはいかない…どういうことだ?まだ、この島に用事でもあるのか?

 

「まだ、この島に用事でもあるのか?」

 

声に出てた。

え?と驚いたように此方を見る皆さん。ん?

 

「折角、こんなもの見つけてきたのによー」

 

サンジはニヤリと笑い、懐からある物を取り出してきた。

見た目が砂時計に似ているが、その木の支えの中にある球体には磁場を捉える指針があり…そして木の装飾には“ALABASTA”の文字が。

 

紛れもない。

 

「アラバスタへのエターナルポースだぁああ!!」

 

ルフィがそう叫ぶと同時に、やったぁあ!と喜ぶ一同。Mr.ブシドー以外は飛び跳ねたり、ハイタッチし合ったりしている。

俺とサンジは惚けながら顔を見合わせ、ビビが抱きついてきたのと同時にハッとする。

 

「ありがとう!二人共!一時期はどうなるかとっ…!」

「いえいえ、ビビちゃんの為ならぁ」

「喜んでくれるのは嬉しいが、苦し」

 

何せ二人同時に抱きつかれてるからな。サンジは美人さんに抱きつかれて浮かれ気分だが、その前に息がまともに出来ないことに気づけ。お前さん、いつか絶対女関係で死ぬぞ。

 

「じゃ、俺達行くよ。じゃぁな!丸いおっさんに巨人のおっさん!」

「あぁ」

「気をつけろ」

 

巨人の二人に挨拶をして、俺達は船へ戻った。

船の前で狩り勝負の結果でぎゃぁぎゃぁと言いあっていたサンジとゾロに俺の鳥の方がデカイと言ったら、二人揃って、お前のは論外だ!と叫ばれた。理不尽だ。

その後、必要なだけの肉を切り取り船に乗せ、出港した。

沖合いで“島食い”という巨大金魚と出くわしたが、巨人のおっさん達が倒してくれた。いやぁ、真っ直ぐ進めと言われたけど、せめて船ごと食われる前に倒して欲しかった。心臓に悪いですよ。

 

「また会おう、友よ!」

「さらばだ!」

 

振り返ると巨人のおっさん達が自身の壊れた武器を此方に向けて掲げているところだった。

 

「「さぁ、行け!!」」

 

リトルガーデン。

それは古代が生きる隔離された島。人にとっては巨大な木々や動物達で、とても小さいとは言えないが。

確かにあの勇敢な海の男達には、小さすぎる箱庭なのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




因みにエドはブラックリストに載ってます。しかし9000万という高額な賞金首、臆病で狡猾なMr.3がわざわざ手を出しますでしょうか?つまりはそういうことです。

次はチョッパー編!張り切っていこう!執筆速度上げたい!

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