現代人 in エド in ONEPIECE   作:アディオス

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廃棄されたモノの中で我楽多を見つける25話

 

 

 

 

ガレオン船が降って来てサルやらページやらがやってきて、急に夜が訪れ巨人が現れた今日この頃、俺達はジャヤに来ていた。

ログポースが指し示した島がこの場所ではなく空であった為にこの近くであるジャヤで情報収集に来たのだ。空島と言う夢の島があることを知ったルフィが行かないなんて言わないはずもなく、泣く泣く行き方もわからない空島目指して行動することになった。

と言っても俺としては空島への行き方なんて情報あまり集まるとは思えない。空島の存在を今まで知らなかったのもあるが、海を行く船がどうやって空まで行くと言うのか。飛行機があれば別なのだが、そんなものこの世界にはない。

情報収集組はロビンにナミにルフィ、ゾロである。正直ロビンとナミ以外は不安なメンバーであった。ロビンは一人で戦えるが、ナミはこの船では弱い方だ。だからだろうか、船長と剣士が付いて行くことになっていた。まぁあの二人を止めれるのが彼女だけってのもあるが。

残りのサンジ、チョッパー、ウソップは舟番組だ。それなりに戦えるとはいえ気が弱いチョッパーにウソップはサンジがいないと不安らしい。まぁコックを船に置いておくってのは良いと思う。食べたいのあったら作ってくれるかもだし。

そして俺はというとだ、どっちかっていうと情報収集組ではあるけれど単独行動だ。まぁ舟番しないので前者に入れただけなんだけど、集めるのは空島の情報じゃない。原作知識でどうやって行ったのかは覚えてないが空島編があったのは覚えてるので、行けないということには不安はない。

 

「さて、行こうか」

 

だから俺はこの街の情報を集める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このジャヤという島はどうしようもなく海賊たちの島だ。海軍はおらず、海賊の所業を止める事なく寧ろ楽しむ住民たち。何ヶ月何年もこの街にいるという海賊もいるらしい。

それもう海賊と名乗れないな、と思いながら途中の売店で購入した串焼きを頬張る。なかなかの美味なので、気に入って10本は買ってしまった。タレが滲みても大丈夫なようにと三重に紙袋をしてくれた大将には感謝しかない。

もぐもぐと頬張り、目的の店を探す。確か原作ではこのジャヤは空島の片割れとか何とか言ってた気がするのでその空島での奇妙な部品達を売ってある店を探しているのだ。結局空島のことを調べてるとか言ってはいけない。このジャヤを調べてるんだ。

雑貨屋と書かれた店を見つけて迷わず入る。食べ物を持って入ってはいけないだろうが、そんな事はここの住民は気にしない。案の定、らっしゃいませーと気の抜けた掛け声が聞こえただけでカウンターに座ってるおっさんは此方を見向きもしなかった。新聞を見ているのだろう、カサリと紙をする音がした。

そこそこ大きな店は並んでいる棚に所狭しとガラクタ達が並んでいた。

 

「(全て見るのは大変だな)……ドライヴ、この店にある全てを調べろ」

 

八機のドライヴが縦横無尽に駆け巡る。片っ端からスキャンさせていって手元にパネルを表示させて内容物を確認する。時折おっさんの頭上をドライヴが通り過ぎていくが、彼は相変わらず新聞を読んだままだ。なぜ気づかないのだろうとは思うが、ドライヴ自体無音で動いているからだと推測できる。

それにしても鈍感だなと馬鹿にしながらもパネルの文字を目で追っていく。どうでも良いものは弾きより重要なものだけを残す。ガラクタばかりだといってもその中には一つぐらい宝石はあるだろう。価値があるものだけ残し、その中でランキングを作る。今の目的に合うものから順にだ。

 

「さて一番は……貝?」

 

一纏めに貝とだけ記されたそれは、海にいる貝の成分と少し違うらしい。それがある場所へ向かうと巻貝しかないのか、ぐるっと回った模様をした貝が転がっていた。

その一つを手に取り、しげしげと観察する。ドライヴで念入りにスキャンし目でも確認する。見た目は本当にそのまま貝なのだが、手触りやら何やらが微妙に違う。長年放置されていたのだろうに、フジツボの後さえない。奇妙だな、と触っていると殻頂と呼ばれる渦巻きの天辺の部分に触れた。

 

「?(少し凹んだな、今)」

 

好奇心のまま押してみると、突然人の声が流れる。色々な声が入り混じった助けてくれという悲鳴が店中に響き渡る。

 

『やめっ、やめてくれぇええ!』

『でてくから!ここにはもう来ないからっ!!』

『--だ。か--け--------だ』

「(悲鳴あげている声とは別の……冷静な声だなこれは。追いかけているやつか?)」

 

僅かに聞こえる声が何を言っているのかを解析するために音声が流れ終わった後もう一度殻頂を押した。同じ声がまた流れてくる。

ドライヴで流れてくる音声を解析しながら、他の貝殻もしげしげと見つめた。皆が皆同じような巻貝だ。どれも二枚貝などはなく、渦模様を描いている。

 

「……お客さん、物珍しいのはわかるが少し五月蝿いのでね、止めてくれるか」

「……クク、悪りぃな。気味が悪かったもんでな」

「じゃぁ二度も再生するな」

 

再生?まるで記録するものだと言うように言うな。いやまて……これ、録音機か!

 

「おいおっさん」

「……なんだ」

「これ、何だ(・・)?」

 

此方を見向きもせずおっさんは黙る。まるでなんて答えようか迷っているよう。

暫くの沈黙の後、俺は口を開いた。

 

「さっき解析したが、この貝殻はこの近海の海では育っていない。構成している成分が一致しないからな……。で、聴くが……これは何だ?」

 

もう一度言うとおっさんは観念したようにため息を吐いた。新聞紙を一度起き、煙草に火をつける。ふっと吐いた煙が辺りに充満した。

 

「それはここらにたまに落ちている貝殻だよ。おばけ貝なんて子供には言われてるか。急に叫び出したり、貝の奥から息を吹きかけられたり……衝撃が走って怪我した奴もいるな」

「ふーん……おばけ貝ねぇ」

 

だが、とおっさんは続けた。

 

「それらにはある法則性がある。どれも殻頂を押せば起こるということだ。つまり、ただのおばけ貝じゃない……そういう性質を持った貝殻だ」

 

どれもこれも手にとって押してみる。おっさんの言う通りの事象がランダムで起きた。成る程確かに一つだけしか起こらないのなら、そのおばけ貝というガキ共の言う通りだろう、しかしこの貝全てがそうなるとしたら、それは偶然じゃなく必然だ。この貝そのものがそういうもの(・・・・・・)だと断定できる。

 

「おばけ貝なんて呼ばれるのにはもう一つ訳がある。上から降ってきたって言う奴もいたからだ。上を見ても何もない晴天。そんな所から降ってきた?まだ落ちてたって言われた方がマシだ」

 

あぁ、言われたんだな。

ここは雑貨屋だ。特に珍しいものを取り扱っている事がわかる。その一環で、これは売れるだろうと持ってこられたのだろう。だからこんなにもある。

ふーんと適当に返事して、他のリストを見る。既におっさんはもう黙り、新聞紙を広げていた。

今一番価値あるものである貝は買うとして、次だ。二番目、三番目と読み流しているととある物を見つけた。

ドライヴは機械だ。いくら命令で縦横無尽に動くからと言って、入力されたもの以上の事をすることはできない。AIを積めばいけるかもしれないが、ないものはない。つまりだ。今目的に合うものランキングとして表示されているものに、必ずしも生涯において重要な“モノ”が表示されているわけではないと言うことである。

俺が見つけたのはそれだ。

 

「…………ナソードねェ」

 

古代技術の産物であらナソードが何故こんなところにあるのか甚だ疑問だが、あるんだから仕方がない。ナソードのある場所に近づき、手に取る。

全体的に丸く、手足と思われるモノが浮遊している。緑や黄色いラインが入ったナビゲート用と思われるナソード。壊れているわけではなさそうだ。ただ動力が無くなり動けなくなっただけ。

ドライヴにスキャンしてもらうと、動力部にヒビが入っていた。これは動力源を交換しても起動しないだろう。まぁそもそも、この世界にナソードの動力源はないのだけど。

 

「……………………」

 

何言ってんだ、オレ?

 

あるじゃねぇか、ここに。

 

「クハハハ!!」

 

もう力は持っていないが、確かにある。ククク、この時代で発見するとはな。良い収穫だ。あいつらと行動していると良いものばかりに出会う。前とは大違いだな、やはり出てきて良かった。

さて、良い拾い物をした。これと先ほどの貝を買っていこう。ナソードをドライヴに乗せ貝が入った軽い木箱を持ち上げ、おっさんのいるカウンターに乗せた。

ドン!と大きな音がなって、おっさんの肩が跳ねた。

 

「---っ、驚かすなよ!」

「ククク、気づかねぇお前が悪い。で、こいつら買いたいんだが、幾らだ?」

 

俺の買いたいと言う言葉に、ついと持ってきたものを見るおっさん。若干驚きが混じった表情を浮かべた。

 

「これ、全部か」

「全部だ。追加でこれな」

「話、聞いていたか?」

「あぁ、聞いていたぞ」

 

今度は呆れの表情を浮かべた。

 

「こう何個も要らねぇだろ。長年集まったから、結構な量だぞ」

「一応だ、こういうの好きな奴がいるんでな」

 

ざっと見ても二十個程はある。要らないとは思うだろうが、俺の記憶と予想が正しければこれは空島の海産物。ならば買わないわけにはいかない。手がかりの一つだ。

え?ジャヤについて調べていたんじゃないのか?何のことやら、だ。

 

「一万ベリーだ」

「は?」

「だから、一万ベリーだ。高いなんて言うなよ、買取時のも考えてだからな」

 

いやいや。

 

「いーやいや、安い。安過ぎるくらいだ」

「は?」

 

今度はおっさんが驚く番だった。

そのアホ面にクククと笑ってやり、一万ベリーを取り出して渡した。

 

「ほい、きっかり一万ベリーだ。んじゃ、貰ってくぜ」

「あ、あぁ」

 

曖昧に頷くおっさんにまた笑ってやり、買った荷物を持ったらおっさんに慌てて止められた。

 

「いやいや!いやいやいや!!!今吹っかけたんだぞ!わかってんのか小僧!」

 

慌てて立ち上がったからか、新聞紙の隙間からチラシのようなものが三枚ほど俺の足元に滑り落ちてきた。

 

「クク、お前にとってはそうだろうな。ただ、人によって価値は違う。俺はこの値段は安いと感じた、それだけだ」

 

拾い上げるとそれは茶色い前世で言うA4判用紙。裏返すと、ククク!オレの顔だった。成る程手配書か。値段は9000万ではなく、一億。一千万アップか。多分アラバスタでの出来事が原因と思われるが、俺何もしてないんだがなぁ。サポートしかしていないが、まぁ麦わらの一味に加わったと言うのが海軍に知れたのだろう。それで上がったのだと想像できる。

後の二枚も拾って裏返すと我が船長と剣士の顔が写っていた。おやおや剣士殿の方が一歩有名になってしまったな。料理長はどう思うやら。

 

「クックック、まぁそう言うことだ。罪悪感あっちゃぁここじゃやっていけねぇんじゃねぇの?」

「五月蝿え……」

「ま、吹っかけやがった駄賃だ。この手配書も貰ってくぜ」

「あぁ、それは構わないが………………あ?」

 

お、流石に気づいたか。わざと見せたからな。この方が文句も言ってこねぇだろ。

 

「それじゃ、ありがとな」

 

扉を開けた後に聞こえてきた叫び声にクハハハ!と笑い声をあげた。

 

あー愉悦愉悦。

 

 

 

 




見てるだけでも愉悦部員。

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