現代人 in エド in ONEPIECE   作:アディオス

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王下七武海を罠に嵌るそのとき19話

 

 

 

スモーカーに捕まらないようにと、上空に逃げてレインディナーズを観察していたら何故か集まったビリオンズ達が集結していた。ここで彼らを倒しても、それぐらいではバロックワークスに擦り傷すら与えられない。しかしこの場においては重要な事だろう。倒すのは後になるが。

街中にルフィ達やスモーカーがいないことから、レインディナーズの中に入ったと思われるけど……レインディナーズの中が何も騒動が起きてないとなると捕まったのだろう。視界の端では王国最強の“ハヤブサ”のペルーがミス・オールサンデーにやられていた。近くにはビビがいるし、多分クロコダイルの元に連れてかれるはずだ。

それはルフィを頼るとしてだ。

 

「あら、助けないの?」

 

耳元から声が聞こえた。敵であるミス・オールサンデーの声が側から聞こえたらSAN値チェックものだが、彼女の能力は分かっている。ハナハナの実を食べた、花人間。花を咲かせるようなメルヘンな能力ではなく、自分の身体の一部を場所問わず咲かせることができる超人(パラミシア)系能力者だ。

その事から俺の耳元に自身の口を咲かせたのだと思う。側から見れば恐怖映像だが。

 

「何の事だ?」

「しらばっくれちゃって。ミス・ウェンズデーの事よ」

「あぁ、王女サマね。別にしらばっくれてたわけじゃねぇよ。ただ助けなくても良いと判断したまでだ」

 

クスクスと悪魔の子は笑う。

 

「ふふ、それはどうして?」

 

そりゃぁ、どうしてって聞かれても。貴方ならビビを傷つけないとわかっているからであり、クロコダイルはどうかわからないがルフィならビビならきっと大丈夫だと信じているからだ。

そう思った事を言ったのだが、ミス・オールサンデーは何故か黙った。理由を聞かれたからそれを言ったまでなのに、返事がないとかこれいかに。

数秒間の沈黙の後、彼女はそうと呟いた。

 

「そこまで信頼できるのね、羨ましい限りだわ」

 

そんな言葉を残して彼女は去って行った。耳元から一枚の花びらが舞い、ドライヴの紫電でそれを焼き切った。能力故の演出だとは知っているけれど、彼女の能力を深く知っているわけではない。原作を知っているからこそ、原作で語られなかった以上のことは知り得ないのだ。

 

「信頼……ねェ」

 

理由はある。原作での彼らの行動を覚えているからだ。彼らは主人公であり、決して裏切るような真似をしない。彼らが彼らであると信じている限り、それ以外の事をするとは考えられないのだ。

原作を知っているからこその、この信頼だ。

 

さて?

 

これは本当に彼らを信頼していると言えるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街中を走り回る海軍に、それから隠れる金色。黒スーツを着たそいつは狸のようなトナカイと一緒に行動していた。

あの二人以外は全員レインディナーズの中に入ったようで、他を見渡しても見つけられない。どうやらあの二人だけ残ったようだ。

レインディナーズに入ろうとしても、その入り口は開けた場所にある。湖の中心にあるカジノだからこその設計だ。良くも悪くも入り口は一つしかない。それに、その入り口にはビリオンズ達が蔓延ってるしな。多分彼らはクロコダイルの住処であるカジノの中には入らないようにと言われているんだろう。それか見張るようにと。

入り口のミリオンズやビリオンズ達に気づいたサンジとチョッパーは近くの建物の物陰に隠れていた。今からレインディナーズの中に入るのは特酒とは言えない話だ。なので合流する為に周りには見つからないよう、遠回りをして後ろから回り込む。その時に気配を消すのはご愛嬌というものだ。

 

「よぉ……こんな所で何してんだ?麦わらの一味サンよぉ?」

「ひっ……!」

「っ!」

 

両方の肩に手を置き、顔を横に付ける。そうする事で耳元から声が聞こえるというわけだ。さっき味わった恐怖をお前らにもお裾分けという俺からの親切な贈り物だ。有り難く受け取ってくれたようで、彼らの肩はすくみ上がり此方を向いた。

サンジは怪訝そうに、チョッパーは顔が毛で覆われているというのに一目で分かるほどに青ざめている。どうやら成功のようだ。

 

「え、エド?」

「おう、エドだ」

「てっめ!驚かすなよ!」

「ソーダ!ソーダ!」

 

ネタに聞こえるような肯定するなよな、驚くわ。

驚かしたのは好奇心からなので素直にすみませんと謝っておく。エド風なので態度が悪いが許してほしい。エドさんはツンデレなのだ。

で、だ。大声で驚かした事を責めるのはいいが、ここが何処か忘れているのではないだろうか。レインディナーズの真正面にある建物の陰だぞ?

 

「今、怒鳴り声聞こえたよな……?」

「あぁ。麦わらの一味かもな」

「おれちょっと確認してくる」

 

そう言って一人のミリオンズが此方に警戒しながら歩み寄ってくる。明確に居場所が割れてる事に気がついて思わず小さく舌打ちした。

 

「テメェらが大声出すからバレちまっただろうが」

「「おまえの所為だよッ!!!」」

「いたぞ!!」

 

2人にツッコミを貰うのと、ミリオンズの男に居場所がバレるのは同時だった。

麦わらの一味だ!と叫んで此方にサーベルを振り下ろして来た男をドライヴを使って気絶させる。思いっきり顎を狙ったので起きた時には骨が砕けた激痛が来るはずだ。

容赦ないと遠い目をしていた二人は仕方ないとため息を吐いていた。どうやら見つからないに越したことはないが、別に見つかってもどうでも良かったらしい。物陰から飛び出し倒れた男に釣られて近寄って来たミリオンズ達を足技や、殴ったりして倒していく。

俺も参戦しないわけにも行かないので、武器であるドライヴと共に走り出す。横から来た敵には電磁包膜を展開、横殴りで発射させ、前からの敵はドライヴで殴り飛ばし、後ろから切り掛かって来た奴はバク転の要領で空中に退避しそのまま電磁砲をお見舞いする。

 

やだ……電磁包、便利すぎ……?

 

まぁ手足のように動いてくれるドライヴは意識せずとも敵をバッタバッタとなぎ倒して行ってくれる。ミリオンズが弱すぎるので大体が一発でノックダウン、タフな奴でも二発だ。

チョッパーとサンジだって一般人より遥かに強いので俺と同じスピードで倒していく。なるほどこれが海賊無双。ゲームで無双シリーズの中に当然のようにワンピもあったから覚えてるけど、きっとプレイしていたらこんな感じだったのだろうな。

 

「なら、範囲技が必要だなァ」

 

ニヤリと笑う。立ち止まりドライヴを展開、粒子収縮開始。威力半減、射程距離二分の一に設定。

さぁ、くらいな。

 

「パーティクル」

 

紫色に光る粒子が展開させたドライヴに集まる。怪しく光るそれは、周りにいる者たちを戦慄させた。あの二人まで顔真っ青にして慌てふためいているんだが、お前らなら耐えれると思うんだがな。

 

「アクセラレーター!」

 

瞬間、集まった粒子達が加速して一筋の太い光となって敵を蹴散らす。本来ならそれだけなんだが、俺はドライヴを回転させることで周りにいる敵を全滅させた。

パーティクルアクセラレーター。前方に粒子を加速させた衝撃派を放つ技だ。消費MPは230、ニュートロンボムと違いちょっとお得感がある。まぁ微妙な数字とも言えるが。

技の粒子を加速させるという事はドライヴは科学を基準として作られていることがわかる。ニュートロンボムだって、電磁波を発生させたとは言ったが本当は電磁波のように見える中性子粒子だ。もちろん中性子なので電子ではないし、電気を持たない。

そんな感じでエドのスキルは化学基準である。しかしながらゲームでは魔法攻撃に分類されているので、行き過ぎた科学は魔法になるというのは本当なのだろう。

周りを見渡す。威力を半減にした事で死者はおらず、射程距離を半分にした事で周りの建物に被害はない。うん、流石オレ♪空間把握能力は良い方のようだ。

 

「ククッ、ァハハハハハ!!弱ェ!弱ェ!!こんなのでノックダウンとか、もっと根性見せろってェんだ!」

「「仲間まで巻き込んでおいて言うセリフか!!!」」

「あ、生きてやがったか」

「「勝手に殺すな!!!」」

 

仲良いなオメェらと笑えば、呆れたような笑みを浮かべられた。何言っても無駄だとわかったんだろうな、敵を全員倒したのだから結果オーライと思ってるし、その判断は正解だ。

手を突っ込んだポケットからタバコを取り出し咥えライターで火をつけたサンジは、ふぅと息を吐きこちらを向いた。これからどうるするのか?という視線だ。俺としてはこのまま突入した方がいいのではないかと思うが、それだといけないのはわかっている。

相変わらずカジノは外で騒動があったのにも関わらず元気に運営中、他の住民達はこちらを遠巻きに傍観中。静かっちゃ静かだ。ルフィが、あの船長が王下七武海と正面衝突してこの静かさはおかしい。思わず眉を顰める。

 

「絶対ェ、トラブル起きてんだろこれ」

「だろうな。街が何事もなく過ごしているのがその証拠だ……だが、確証はない。中の様子を調べないと」

「でも、同じように突入はしないんだろ?どうすんだ?」

 

チョッパーの疑問にサンジは目を逸らしてから、やがてニヤリと笑った。ふっともう慣れたタバコの臭いが過ぎる。

 

「おれに考えがある……任せな?」

 

その顔はとても海賊らしいものであったと言っておこう。

彼の言う作戦はこうだ。

中に乗り込まずに様子を調べるには良い手段がある。それは中の奴らに状況を話させる事だ。クロコダイルは強敵である。いくらルフィが強くても、オレより下の賞金首であろうとも王下七武海になる程の実力はある。苦戦は必至だろう。突入してから数分しか経っていない今、二人共小手調べしている頃なのではないかと推測する。

 

「つまりクロコダイルは余裕で待機している。ルフィの事だ、一騎打ちを申し込んでるはずだから手数は同等、だが実力は違う。前に話した事からして、笑いながら対処してるんじゃねぇか」

 

なるほど。ならば、そのクロコダイル本人に状況を言わせれば良い。ならどうやって、となるが…………その方法は見当がついている。

先程遠くの方で血を流し、荒い息を吐きながらもぞもぞと動く物体を発見した。その時すぐさまドライヴを向かわせて、そいつが取り出して使おうとしていた物体をドライヴで手首を攻撃して奪い取る。良かったな、手は外れてねぇぞ。

二機のドライヴに運ばせたそれを受け取って、サンジに見せた。彼は驚いたものの、ニヤリとまたもや悪い顔をした。サンジが吐いた煙に電伝虫は咳をする。

そう、電伝虫だ。アラバスタ王国が最終段階であるならば、いくら下っ端のビリオンズとは言えボスに繋がるダイヤルを持ってる筈だ。サンジはそう考えたのだ。

 

「見ろ、ご丁寧に殻に番号が書いてある」

「罠の可能性は?」

「それは聞いたらわかるんじゃないか?」

 

チョッパーの言葉に俺は近くの奴を持ち上げる。襟首を持たれた其奴は気絶していたのにも関わらず、苦しそうにして起きた。

 

「ぐっ、お前ら!調子に乗ってんじゃねっぐぅっ!?」

「調子乗ってんのはテメェだ。で、クロコダイルに繋がる番号はこれで合ってんのか?」

「?クロコダイル……?何で王下七武海が出てくる」

 

……呆れた。まだ下っ端共には伝えていなかったのか。伝えるのはまだ先という感じだろうか……それとも使い捨てにされているか。絶対後者だろうけどな。

 

「オマエらのボスだ。ククッ、ボスの名前すら知らないとか哀れだなァ」

「言ってやるな。で、合ってんのか?」

「答えるわけっぐふっ!!」

「残念だなァ、答えてくれないならオマエを殺して他の奴にするしかn「わかった!わかった!!言う!」ククク、初めからそうしろ」

「うっわ、悪役」

「海賊は悪役だろ」

「そりゃ違いない」

 

スゥーとタバコを吸うサンジを横目に下っ端ミリオンズに番号が合ってるか聞き、本当の番号を引きずり出す。やはり罠だったようで、本当の番号は電伝虫の裏だ。

火傷の跡のようなそれを見てから、Mr.0ことクロコダイルへと繋げた。

 

「いつもクソレストランをご利用ありがとうございます。ランチのご予約など、どうだ?」

『…………テメェ……』

 

ニッとサンジが笑った。

 

 




これ年内に終わる気がしない……(震え声)

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