現代人 in エド in ONEPIECE   作:アディオス

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忘れ去られた場所で手掛かりを得る17話

 

 

 

 

反乱軍の拠点があるというユバを目指して緑の街エルマルから歩いて一日ちょっと。目的地が一緒というエースはもうすでに離脱し、そして俺たちは仲間と逸れた。

エースは元々ある男、元白ひげ海賊団二番隊隊員“黒ひげ”マーシャル・D・ティーチを追ってこの国に来た。それを倒したと噂されていた賞金稼ぎスコーピオンに出会い、それが嘘だと判明したので別れたというわけだ。

ダイジェストでお届けしてしまったが、今の俺にとってエースとの別れはどうでも良いことである。問題なのは今、俺たちが右も左もわからない場所にいるということである。

 

「…………なんで迷子になってんだ」

「こいつに言ってくれ」

「ルフィが悪い」

 

なんで何だろうと呟くと、ゾロとチョッパー二人して指さすのは寝ているルフィ。はぁとため息を吐いた。

太陽が俺たちを照らしているこの広大な砂漠の上での迷子は致命的だ。俺があちこちに飛んで探すのも良いが、それはそれでその体力がない。ドライヴで移動しているから楽というわけでもない。クーリング機能を作動させているけれど、それでも暑いものは暑い。そもそも俺の服装がこういう場所に少し適していない。

食料も水も彼方が持っている。このまま砂漠の上で野垂れ死ぬだなんて、海賊にあるまじき事態だ。砂賊でもあるまいし。

 

「んぁっ?ここはっ、てみんなは何処だ?」

「起きたか」

「彼奴らは先行ってるよ」

「ルフィ、下ろして大丈夫?」

 

人型になっていたチョッパーが首を傾げてルフィに問うと、彼はおう!と笑って降りた。しかし直後に暑いと呟くもんだから、少し笑ってしまう。

 

「んで、みんなは何処だ?」

「さぁ、何処だろうな」

 

先を歩くゾロが辺りを見渡す。右も左も前も後ろも砂、すな、スナ。足跡なんてものはない。

ゾロの言葉に首をかしげるルフィにみんなと逸れたことを伝える。彼は驚いて、どうして逸れたんだと叫ぶがどう考えてもお前が悪い。

三人してルフィを殴った。

 

「「「お前のせいだよ!!!!」」」

「あり?」

 

そもそもの話、ぞろぞろと列を作って歩いていたはずの俺たちなのだが、ルフィが途中で暴れ出した。クロコダイル!と敵の名前を叫びながら走ってるんだから幻覚を見てるのは確実だ。リトルガーデンでの話を聞いた限り、彼は催眠系はとてもかかりやすいらしい。まぁバカだからな。

ただ一味の中で一番強いルフィが暴れたとなると手がとてもかかる。二番手に強いゾロと睡眠薬を持っているチョッパー、チョッパーの手伝いができる俺という三人で対処にかかった。因みにチョッパーは暑さでダウン、俺は動きたくないというわけでゾロが一人で当たったわけだが……何故かゾロとゾロをクロコダイルと勘違いしたルフィが素手で戦い始め、ダブルノックダウンをしていた。その時にはもう俺は暇で寝ており、チョッパーは砂の中に埋もれていた。つまりは起こす人物がいなかったわけだ。

 

「チョッパーの鼻も効かねぇからな」

「エド!おまえ空飛べるじゃんかー!」

「嫌だね、面倒だ」

「面倒って良いのか?それ」

 

いやいや面倒なのもあるけど、これ見てごらんよ。

 

「無理ってのもあるな。ドライヴが熱でバテてる」

「機械から蒸気出てるー!?!?」

「壊れたようにしか見えねぇ!!」

「それ、バテんのか?」

「バテるんだよ」

 

どうやらドライヴのクーリング機能があまり追いついていないらしい。中心部の可動部分は大丈夫だが外側が熱を持ち始めてる。だからこそクーリング機能で冷ましているのだが、四方八方から来る熱には対処しきれないらしい。延々とループを繰り返している。

そのおかげでずっと蒸気が立ち昇ってるわけだ。別に壊れたわけじゃない。まだ大丈夫だし、壊れたらとても困る。

というわけでれっつらごー!だ。ドライヴが壊れる前にな。

 

「これが壊れたら修理する手立てがないんだよ。知識はあっても材料はねぇからなァ」

「確かに、浮遊する機械なんて初めて見たからな」

「ハイテクだよな!それ!ドラム王国でもそんなのなかったよ!」

「要するに不思議機械だな!」

「「おまえの場合機械全部不思議になるだろ!!」」

 

チョッパーとゾロのツッコミを貰って首を傾げるルフィは、どうしてなのか途端に笑顔になる。今までぞろぞろと歩いていたのだが、ドライヴと同じようにバテ始めたルフィが笑顔になった事に嫌な予感がする。

一番後ろにいる彼の目線を辿ると、そこにはポツンと岩があり日陰が作られていた。あぁ嫌な予感がする。

 

「日陰だぁあああ!!!!」

 

両腕を伸ばした彼を見て即座にドライヴを展開する。辛いだろうけど頑張って貰って上空へ避難する。高速移動したからか少し風を受けて涼しかった。

 

「ぐうっ……!」

「ぐぇっ……!」

 

それぞれ小さな悲鳴をあげてルフィ共々に飛んでいった。ルフィはゴムなので打撃系が効かないが彼らには効くので頭打ったり、首が折れたり、助骨が折れて心臓に突き刺さったりしないと良いけど。

そんな物騒なことを考えながら、蒸気をあげ続けるドライヴから降りて彼らに近づいた。少し気絶していたゾロとルフィが言い合い、その遠くでチョッパーが砂の中に突っ込んでいた。やっぱり回避してよかった、と安堵する。

 

「ったく、巻き込まれる身にもなってくれよぉおおおおお!?!?」

 

木陰の中にある岩にゾロが座った瞬間、ゾロが消えた。

 

「なんだ、ゾロ。受け狙いか?」

「んなわけねぇだろ!!!!!」

「あ、生きてる」

「ゾロにそんな事できるわけねぇだろ、ルフィ」

「おー、エドー!」

 

日陰の中に入り、ゾロが消えた穴を見る。どうやら地下があるらしく中は暗かった。ゾロの声の反響具合からとても広いことがわかる。このあたり一面には広がっていそうだ。

 

「んで、ゾロが消えたわけだが……どうすんだ船長」

「追いかける!」

「……だと思った。チョッパーは?」

「チョッパーも落ちかけてるからな!大丈夫だろ」

 

ほら、と指差された場所には沈んでいくチョッパーが見えた。あぁあそこも穴が開いていたか。それともルフィが飛ばした衝撃で穴ができてしまったのだろうか。

ルフィは行こう!と言ってさっさと穴の中に降りてしまった。中は真っ暗であるしドライヴを冷やせるかと思い、俺も飛び込むことにする。人一人分しかない穴に入るのは少し怖さもあるが、ドライヴが難なく付いてきてくれるので落下途中でドライヴ二機を足元に持ってきて乗る。重力による落下から解放された俺は、ゾロに近づくルフィに近づいた。

 

「何してんだ?ゾロ」

「おおぁあ!?ルフィ!?なんでいんだ!?」

「降りて来た!」

「方法は聞いてねぇよ!理由を聞いてんだ!エドとチョッパーはどうした!?」

「エドなら」

 

チョッパーはともかく、俺の居場所を聞かれたのでルフィの隣に降りる。

 

「俺ならここにいるぞ」

「うぉおっ!?」

 

ゾロってば、驚いてばっかだな。まぁここ暗いからな、見えてないのかもしれない。

 

「驚かすなよ……おまえまで降りて来たのか。よりにもよってチョッパーを置いて来やがって」

 

まぁチョッパーが一番暑さに弱いからな。砂漠なんて冬島暮らしだった彼には厳しいだろう。トナカイだし。

でも置いて来たわけではない、彼も同じくここに来る予定だからな。

 

「あぁぁぁああああああっ!」

 

ほら。

天井から落ちて来た大量の砂をルフィと二人で指差せば、ゾロは呆れたようにこちらを見た。何だよ!ルフィはともかくおまえまで、みたいな目!船長の決定に従うのがクルーだろ!仕方ないじゃん!(開き直り)

 

少し経ち目が暗闇に慣れてきたとこ、でこの場所が人工的に作られた場所だとわかった。どうやら遺跡らしい。作って埋もれたのか、隠す為に埋めたのかはとか真意は定かではないが、太古昔の遺跡ということだけ判明した。

その理由は。

 

「この絵みたいなの……多分古代文字だよ!本で見たことがある!」

 

チョッパーが綺麗に切り揃えられた巨大な石に近づき、こう言ったからだ。

それはDr.くれはの持っていた書の中にあったのだろうか。話を聞くと医学の島として有名なドラム王国はそれはもう世界中から医師が集まったらしい。自分達の知識を持ち寄って彼らは当然医学書や論文などを持っていた。それを王城に集めたとかなんとか。そしてその書庫の中に混じってたんだそうな。

読めないし読み方を知る人もいなかったから読むのは諦めたが、その時にこれは古代文字だと知ったらしい。

いやその本めちゃくちゃ嘘くせぇ。何で石に刻まれるような古代文字が紙媒体に書かれてんだよ。絶対オマージュしたような何かだろ。それはただの字が汚いやつ。

チョッパーの話に呆れながら、正確にはその本を作ったやつを呆れて古代文字が書かれた巨大な青い石を見上げた。

正方形なこれは明らかな人工。しかもピラミッドのように昔の加工技術ではどうやっても作ることのできない代物。やべぇもの発見したな、俺たち。

それに……。

 

「(内容がやべぇ……)」

 

読んで行くとそれは、古代兵器の在り処の話であった。口に出すと災いが降りそうなので、黙っておく。幸い、古代兵器?何それおいしいの?って奴らばっかなので黙っておいて損はないだろう。

取り敢えずドライヴでスキャンして記憶させておく。文字だけでなくこの石そのものを記憶させておけば、“なんか珍しかったから良いものかと思って”みたいな言い訳できるんじゃないかと。苦しい言い訳だが、まぁ大丈夫だろう。

大した自身も無しにドライヴを動かした後は、その成分を分析して行く。ふむ……大体が解析不可能。今のデータベースでは照合できない物が多い、か。ただこれは砲弾でさえ傷一つつかず、雨風などの天候にも左右されない素材だそうだ。となるとずっと残していきたいものを刻み込んでおくに適切なものか。兵器だなんて物騒な文字があったが、自分達が折角作ったものを埋もれさせたくなかったのだろう。わかるわかる。

 

「……ん?」

 

投影された分析結果をスライドさせていたら、何やら気になるものを見つけた。正方形の右下の裏手。今や砂に埋まって見えない場所にそれは刻まれていた。砂下までスキャンできる優秀なドライヴだからこそ見つけたものだ。

 

「これは…………」

 

世界の核心に迫る言葉だ。少なくともオレにとっては。

自然と上がって行く口角を必死に隠しながら、内から湧き出る感情を抑え込む。ダメだダメだ。笑うな微笑うな嗤うな!

 

---ワラエ。

 

「くはッ」

 

声が零れたならもう駄目だった。

一度漏れ出た声は二度と引っ込みはしない。

 

「くくくっ、あはは!アハッははははははハハハハハハハハハハハッ!!!!!!」

 

アァッ、最ッ高だ!!!!

 

 

この言葉を残した古代人に感謝をッ!!

 

 

ここに落ちたゾロに感謝をッ!!!

 

 

古代遺跡だと見抜いたチョッパーに感謝をッ!!!!

 

 

そして!!

 

 

これを見つけた俺にも(・・・)感謝送ろう。

 

 

 

「まさかまさかまさかまさかまさかまさかッ!!ここで手掛かりを得られるとは思わなかったぞ!!クククッ!!思わぬ収穫だァッ!」

 

三人から向けられる目も気にせず、オレは狂ったように笑い続けた。

仕方が無い。だってそれ程嬉しかったんだからなァ、仕方ないってもんだ。

子供の頃から付き合った研究。◼︎◼︎◼︎はあると確信して、そして滅ぼされたもの。その続きが拝める。これで次の段階へと移れるかもしれない。

 

今はただ、この喜びに浸っていたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“◼︎◼︎◼︎文字ではなくこの文字で贈ろう。未来の人よ。もしこの文字が読めるならば、君に私の全てを授ける。私達はもう滅びる。行き過ぎた文明は滅ぼされるのが運命なのだ。だが、だが!それとこれとは別なんだ。諦めたくない、それは彼らも私も同じ想いだった。だからこそここに記す。この国の道を記した石へと向かえ。そこに全てがある”

 

 

 

それはエリオスの文字で書かれていた。

 

 




クロスオーバーではあるが単品ではない。彼だけだなんて面白くないからね。

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