現代人 in エド in ONEPIECE 作:アディオス
おはこんばんわ、エドだ。
そろそろ挨拶ネタも尽きてきて、次どうしようかと頭捻るのが日課になってしまった。
さて、現状はというと。
ナミが復活しました!
わーパチパチパチ。
……ほら拍手しろよ。ナミさんぞ?あのナミさんぞ?拍手しなきゃお金取られんぞ。
ま、そんな冗談は置いといてだ。予想通りナミの病気は五日病と言って、その名の通り五日で死ぬ病気だった。ここに着いたのは三日目ぐらいだから、結構ギリギリセーフだな。
何万年も前に絶滅した種であるミノだっけ?知らないけど、そんな微生物が人の肌を咬んで発病する病気。どう考えてもリトルガーデンですね、ハイ。
原作知識としては死ぬ病気にかかったとしか覚えてなかったからな。助かってよかった。まぁ、わかってたとしても俺にはどうしようもできねぇし?医者に頼るしかないんだけどさ。
ん?ルフィたちはどうしたのかって?チョッパーを追いかけ回してるよ。ルフィは仲間に、サンジは飯にって、勧誘してる。がんばれ、チョッパー、応援してるぜ?(棒読み)
---人でなしぃいいいいーーーー…………。
うん?なんか聞こえた気がしたが……まぁ、気のせいだろう。
そんなことをつらつらと考えているとキィと木の擦れる音が聞こえ、ベットの右にある扉が開いた。入ってきたのはDr.くれはだ。
「ちょいと、坊主。話があるんだが」
「ん?なんだ、ばあさん」
「あたしゃまだ139のピチピチなレディーだよ!」
なん、だ……と?
141だと思ってた……。口に出さなくてよかったぁー。
「それ、何処で手に入れたんだい?」
それ、と言ってDr.くれはが指差すのはドライヴ。
……何処で手に入れた、ねぇ。
まるで存在を知っていたかのようだ。何処で手に入れたなんて、俺が一番知りたいことだけど……エドが作ったんだよな、きっと。
過去の産物である知識。今だ俺は引き出せてないが、この脳にあるんだろう。膨大な知識量を持っていて知恵熱が出ないのはさすがというべきか。あ、なんで自分を褒めてんだ俺。
とりあえず、目の前で睨みきかせてるばあさんに当たり障りのない返事でもするか。
「このドライヴのことか?」
「……ドライヴって言うんだね……名前までも」
最後の方は聞き取れなかったが、何やらDr.くれはが悩んでいる。俺まだ名称しか言ってないんだけど、それでわかるの?
「まぁいいか。すまないね、坊主」
「エドだ」
「そうかい、エド。余計な詮索はしないでおくよ」
……俺まだ名称しか言ってないんだけど(二回目)
邪魔したね、と言ってナミの部屋へ向かおうとするDr.くれはを見届けようとするが、結局何しに来たのか気になって声をかけてしまった。
「なぁ」
「ん?若さの秘訣かい?」
「聞いてねぇよ。ただ、結局何しに来たんだと思ってな」
「…………さっき言っただろう?質問だよ」
そう言ったDr.くれはは悪どい笑みを浮かべて立ち去って言った。扉が静かに閉まる。
暫くその閉まった扉を眺めてから、布団に入り込んだ。……この状況からわかると思うが、俺は今病人扱いだ。コートを着込んだルフィですら凍傷になりかけたんだ。元々薄っぺらい服装していた俺がならないと思うか?
まぁ、薄っぺらいとしてもこの服装じゃ秋や春がちょうどいいんだけどね。夏?暑いわ。
ふと、無意識に首を掻いていたことに気づく。そういや最近首が痒いんだよね。多分チョーカーしているから汗で蒸れたんだと思うんだけど、なにぶんチョーカーが馴染みすぎて付けているかどうかもわからないのが悩みものだ。
起き上がり首についているチョーカーを弄る。やがてカチリと音がして外れた。お、なんか涼しい。
近くにある上着の上に置いて、もう一度布団に潜った。目の前に移動してくるドライヴを横目に何もすることがないので、寝ることにした。
最近、何故か寝つきがいいんだよな。
数秒経つと俺の視界は暗転した。
「-----はっ、はっ」
荒い息。必死に動かす足。何かから逃げようとして、心には恐怖の色が混じっていた。
「いたぞ!」
「撃て、撃て!」
「クソガキがっ!一丁前に逃げやがって!」
「文句は捕まえてからにしろ、傷ついても構わない。ただし生け捕りだ」
なるほど、彼奴らから逃げているらしい。
右に、後ろに、左に、銃弾が着弾する。危ない。間一髪だ。
---と思った矢先に、右腕に銃弾が掠った。血が飛び散る。
小さく悲鳴をあげて倒れ込む。痛い痛い。熱い。撃たれた箇所を抑えて、立ち上がろうとする。しかし、震えて力が入らないからか左手を滑らして穴に落下した。
……穴?
なんで?さっきまで、岩が連なる荒野しかなかったのに。崖?
………………………シヌ?
ぞわり、と全身の毛が逆立った。嫌だ、それだけは嫌だ!生きたい、生きたいのにっ!!
せっかく売り飛ばされそうなところを逃げ出したのに!首枷の鎖を切って、同年代の子供を見捨てて、逃げ出したのに!ここで、終わり?
そんなの嫌だ…………!!
「あ"ぁああああああああ-----ッ」
死にたくない……ッ!!!!!
「あぁあああっ!?ッはっ!は!は、はぁーー………」
勢いよく飛び起きる。
過呼吸になりかけなのを落ち着かせ、必死に呼吸を整えてから下を向いた。
嫌な夢を見た。ここまでハッキリと覚えているのは初めてだ。死ぬ……自分が死ぬ夢。
……にしてはやけにリアルだった。
夢なのに、自分が作り出した妄想かもしれないのに、あの感触が、頬をよぎる風、右腕に走る痛み。本物だった。
なんだ?転移したとか?転生した身ではあまり驚かないけど、それぐらいじゃないと…………いや待てよ?あの光景。
連なる岩山。
荒野。
銃を持って追いかけてくる男たち。
「どっかで見たような……」
そこで乱れている髪を整える。男にしては少し長めでボリューミーな髪は、今や汗で濡れていた。Tシャツもピッタリと肌にくっ付いている。うわ、気持ち悪い。シャワー浴びてぇ。
「ん?」
Tシャツをパタパタしていると、ふと視線を感じて感じた方を向く。
完全な個室というわけではないこの場所は、出入り口が二つある。一つはDr.くれはが通ってきた、雪が降り積もる廊下に続く扉。もう一つは扉もない、違う廊下に続く場所。そこから、覗く角度を間違えた珍獣がいた。
チョッパーだ。
「おまえ……大丈夫なのか……?」
え?
「何が?」
「…………叫び声が聞こえたから」
ビクビクとしながらもそう問いかけてくるチョッパーに苦笑する。飛び起きた時の声を聞きつけて来てくれたんだろう。
人間が怖いと言って、人見知りなのにそう心配そうに見てくる姿は真剣そのものだ。やはり、麦わらの一味になる者は優しい。
「あぁ、大丈夫だ。ちょっと嫌な夢を見ただけで」
「……本当か?」
こくりと頷く。
すると安心したのかホッと息を吐いたチョッパーは、此方に歩んできた。
そう言えば、ルフィとサンジ達はどうしたんだ?そう問うと、撒いてきたと返事してくれた。このトナカイ、見かけによらず意外にやるようだ。あいつらから逃げてくるなんて相当な技術と根性が必要だぞ。
ルフィはこう!と決めたら絶対に揺るがない人物だからなぁ。サンジもそうだし…………あ、いやあいつは女関係と料理だけかな。
面会用かわからないが、側にあった椅子に飛び乗りチョッパーは座った。ちょこちょこと動きまわるその姿は愛らしく、女性にある意味モテそうだ。
そして、息を吐く。疲れたのだろう。少し疲労が見える。
「大丈夫か?」
まさかさっきまで心配してたやつに心配されるとは思わなかったのだろう。チョッパーは驚いたように此方を見て、それから頷いて大丈夫だと言った。
しかしチョッパーは何故か固まったように動かなくなった。どうしたというのか?
毛深い顔を青くしながら、それ、と自分の首を指差しながら言ってきた。チョッパーが指しているところが首なのか肩なのか顎なのか怪しいが、きっと首だろう。
俺は首を指された意味を理解して、あぁと納得した。
「この痕のことか?」
チョッパーはコクリと頷いた。
俺の首にはまるで縄で締め付けられたような痕がある。普段はチョーカーを付けて隠しているが、痒いと言って外したのは寝る前の自分だ。
あまり知られたくなかったのだけど。しくったな、と苦笑する。
「昔、首枷をはめられていてな。長いこと付けていたから痕が残ったんだろう。ま、今は気にならないが」
クククッと笑う。
「枷……」
「鉄でできた首輪の事だ。奴隷として売られそうになったが、ま、こうして生き延びてるからこの痕だけってのは幸運だったな」
もし売られていれば、それこそ人のような生活はできなかっただろう。ましてやルフィ達と冒険に出るなんてことも。
それにしては、感謝している。この世界に来て右も左も分からない俺を仲間に入れてくれたんだしな。入れてくれた理由がドライヴってのは、少し落ち込んだこともあるが…………あれ?
あれ。どういう、なんで?
俺、今なんて言ってた?
チョッパーになんて?
昔に首枷をはめられた?
生まれてこの方、此方に来るまで平和な毎日を送っていた。
奴隷として売られそうになった?
俺が住んでいた国、日本はそんな事を許す国ではない。
いや、まて。そう言ったことも重要だが、それよりも謎がある。
何故、なんで、どうして。
------
可笑しい。可笑しい。
だって、可笑しい。
俺にはエドの記憶はない。だって、異世界から来て、エドに憑依した日本人だもの。
日本の記憶はあっても、この世界で過ごしてきた記憶はない。
---本当に?
「ッ!!!」
本当、ほんと。
本当だよ。俺はエドじゃない。
エドの体を乗っ取った他人だ。
だって日本で男子学生してたただの日本人。
ほ、ほら?だって友達の顔だって、こんな鮮明に…………なんで?思い出せない?
俺のっ、親友で、名前は---……名前?
俺の名前は、親友の名前は、父さんは?母さんは?何も、思い出せない?なんで、可笑しい。
どうして、思い出せないんだ……?
----本当に俺は。
ドォオオン!
俺を思考の渦から救い出してくれたのは、デカイ爆発音だった。この音、尋常じゃない。
音がした方は……上か?また爆発音が響いたが。くそ、襲撃かよ。こんな城に大層なこった。それにチョッパーがいつの間にか居ないし……。
俺は立ち上がり、チョーカーと上着を着る。コートなんてないから……凍傷覚悟かな。ここマイナス五十度らしいし……マジかよ。ドライヴに温暖機能でも付けるか?
というか、ルフィ達無事だろうな?
-----本当に
ピピッ。
[記憶の消去率60%]
[対象の一部、自伝的記憶の消去を確認。エピソード記憶の記銘に移行します]
[対象からのエピソード記憶の記銘への移行を確認。続行します]
ピピピッ。
[記憶の復興率38%]
[エピソード記憶の復興を続行中。40%完了]
[意味記憶の復興率5%。エピソード記憶の復興が終了次第移行します]
[手続き記憶は正常に作動。支障はありません]
ピピピッピピピッ。
[お早い帰還をお待ちしております]
[MasterADD]
30日に投稿しようと思ってたら二日だった。どういうことだってばよ。
ドラムに来てから何かが可笑しい主人公。と言ってもエド編はまだまだ先、なんですけどねぇ……。