東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 「ぬのトラップ」でミサトが率いる玉兎軍団を無力化し、
 永琳を味方につけ、藍の力と究極の召喚獣「首領パッチ・ウィルス」の力で
 巨大宇宙船「ザンボット」を乗っ取ったボーボボたち。
 これで残る敵は満月伯爵だけになった。
 
「お前にはこの奥義で人間の素晴らしさを体験させてやろう!」

 今まさにボーボボの奥義が炸裂しようとしている!



鼻毛真拳超絶奥義

 

 

 鼻毛真拳超絶奥義『鼻毛発人間超特急(はなげヒューマンエクスプレス)』

 

 

「お前はこの技で人間の一生を目の当たりすることになる」

 

 

 ボーボボを中心に空間が変化していく。

 無機質な蒼い鋼鉄の部屋から色鮮やかなお花畑へと…

 

 

 その中に不釣り合いなビルの建物が建てられていて、

 看板には「ボーボボ歯医者」と書かれている。

 

 

「まずは人体の神秘、ここで人の誕生を目にする!」

 

 

 ビルの内部では天の助が首領パッチの歯の治療をしていた。

 治療中、歯が抜け落ちて――それが顔の濃い赤ん坊へと変化していく。

 

 

「もうこの時点で人間じゃないのですが!?」

 

 

「赤ん坊の成長は早い、あっという間に大きくなる!」

 

 

 八等身になり、胸には謎の北斗七星みたいな謎の傷。

 

 

「ア―――――タタタタタっ!!」

 

 

 満月伯爵の側まで一気に距離を縮めると左右の拳で殴り始め…

 

 

「ほわたぁ――――っ!!!!」

 

 

 とどめの裏拳で吹っ飛んで壁と激突、磔にされる。

 

 

「よし次は小学校入学じゃぁぁぁ!」

 

 

 大鐘を突く木の柱で満月伯爵の顔面を突くボーボボ。

 壁を破壊、建物の中へと転がり入る。

 

 

 そこは教室になっていて教壇に立っているの天の助。

 教室には大量のゆっくり妖怪が席に着いていた。

 

 

「さて全員が揃ったので先生は職員室に行ってきます。その間は自習です」

 

 

 天の助が教室を出ていった瞬間、ゆっくり達が満月伯爵の周囲に群がり…

 満月伯爵に体をぶつけてはゴム毬のように「ぽよん」と弾んで跳ね返る。

 

 

「…? 一体、何なんですか、これは…?」

 

 

 困惑して問う満月伯爵にボーボボは深刻な顔で一言。

 

 

「イジメだ」

 

 

「イジメ!?」

 

 

「こうして心身ともに傷付いた満月伯爵は…」

 

 

「痛くも痒くないのですが!?」

 

 

「モンスターペアレントと対立」

 

 

「その間に何があったんですか!?」

 

 

 教室の扉が開かれ、廊下側に立っているのは黒いボディに銀色の手足。

 頭には羊のような角。顔の中央と胸には黄色い発光体。四角い突起物のような目。

 

 

「ポポポポポ……ゼ―ット――――ン…」

 

 

「ちょっと貴方!? モンスターそのものが出たんですけど!?」

 

 

 ボーボボに食って掛かろうとした満月伯爵にモンスターが生み出した火球が命中。

 建物の外へと吹き飛ばされる。

 そこにボーボボが運転するブルドーザで満月伯爵を押しながら進む。

 

 

「よし、このまま次のイベントまで進むぞ!」

 

 

「何ですか、この進み方は!? 普通に歩かせなさい!」

 

 

「ダメです」

 

 

「…………っ!?」

 

 

 その状態のまま「ボーボボ中学校」その校庭に到着。

 校庭の中央にはスーツ姿に長髪のカツラを被った首領パッチが待ち構えていた。

 

 

「3年B組――――っ!!」

 

 

 首領パッチが爽やかな笑顔でそう叫ぶと、

 

 

「「首領八(ドンはち)先生――――っ!!!!」」

 

 

 どことなくから男たちの首領パッチを呼ぶ声と共に、

 学校の制服を着たモヒカンの集団が首領パッチを目指して一直線に走る。

 

 

「「日頃の恨みじゃぁぁぁっ!!!!」」

 

 

 手にした武器で首領パッチに殴りかかり、

 首領パッチもモヒカン相手に応戦、次々に倒していく。

 その光景を見ていたモヒカンの一人が満月伯爵の元に駆け寄ると…

 

 

「すいません満月伯爵総長、俺たちじゃ敵いません。お力をお貸しください!」

 

 

「え? ちょっと、いつから私が貴方たちの代表になったんですか!?」

 

 

「満月伯爵、この騒ぎはお前の仕業か…」

 

 

 拳を鳴らして首領パッチが近づき…

 

 

「愛のある体罰!!!!」

 

 

 「おらおら、くたばれ!」と連呼しながら拳の連打を満月伯爵に浴びせる。

 全身に乱打を喰らい、校庭の外へと飛ばされる。

 

 

「喜べ! 次は手違いで「聖ミカエル雪女学園」に入学だ!」

 

 

 ボーボボが満月伯爵の首に腕を回して拘束しながら走る。

 やがて白い洋風の建物に到着、満月伯爵を窓に投げ込む。

 

 

「こちらの手違いで転入した満月伯爵君です。仲良くするように」

 

 

 教室の中には黒板を背にして立つ天の助。

 彼の眼前には白いゴリラたちが座っていた。

 

 

「何ですか、この白いゴリラの集団は!? 雪女はどうしたんですか!?」

 

 

 詰め寄る満月伯爵に天の助は答える。

 

 

「雪男の女、略して雪女」

 

 

「史上類を見ないガッカリ感ですね!!」

 

 

 数人の雪女が満月伯爵の周りを取り囲むと…

 

 

「んまぁ、これがみよがしにいい男!」

 

 

「是非ともお近づきにならねば!」

 

 

 左右から彼の両腕で引っ張り合いを始め、

 

 

「おお、モテモテだな満月伯爵。先生は嬉しいぞ」

 

 

「ひぃぃぃっ、全然嬉しくないモテ期とハーレム!」

 

 

 そんなやり取りの最中、教室の扉が開いてゴリラが現れる。

 そのゴリラは満月伯爵と雪女を交互に指差せて――

 

 

「うほっ! うほうほうほっ!」

 

 

「何言っているのか分からないのですが!?」

 

 

「違うのよ、婚約者のゴリ男! 私、この人に無理矢理やらせて…」

 

 

 ――と涙を流しながら満月伯爵を指差す。

 

 

「何この名女優!?」

 

 

「君が泣くまで僕は殴るのを止めない!!」

 

 

「喋った!?」

 

 

 ゴリラが満月伯爵を殴り続け、止めの一撃で外に飛び出す。

 

 

「ここで今日の豆知識だ! 頼むぞ、天の助!」

 

 

 天の助が「任せろ!」と応えると、

 玉座に腰掛けた因幡てゐが空から降ってきて満月伯爵を下敷きにする。

 さらに流れるテロップ。

 

 

【今日の豆知識】

 

 大陸では「因幡てゐ」は「因幡帝」と表記されている。

 

 

 なにそれ!? 強そう!

 

 

「まだまだ人生は始まったばかりだ。高校を無事卒業した君には――――」

 

 

 鉄球をぶら下げたクレーン車に乗り込んでいるボーボボ。

 

 

「鉄球をプレゼント♥」

 

 

 ボーボボの顔が描かれた鉄球を横に振って満月伯爵にぶつける。

 鉄球をぶつけられた満月伯爵は次の建物へと飛んでいく。

 

 

「ここからが人生の本番といって過言ではないだろう。

 だが満月伯爵が就職した所は所謂ブラック企業というとこだった…」

 

 

 満月伯爵が身を起こして顔を上げると…

 

 

「俺の名は「仮面ライダーブラック」だ。一緒に暗黒結社ゴルゴムを倒そう」

 

 

 黒い装甲を纏った昆虫のバッタのような仮面を被った男と、戦隊物の黒い格好をした集団。

 

 

「格好がブラック!?」

 

 

「ブラックさん大変です! 売り上げ、その他諸々が先月より落ちています!」

 

 

 黒い戦闘服を着た男が書類を片手に駆けてくる。

 ブラックは拳を強く握り締めて体を震わせると、

 

 

「ゴルゴムの仕業だ! おのれ、ゆ"る"さ"ん"!!」

 

 

 どう見ても無関係そうな人たちのせいにする。

 

 

「バレては仕方がない…」

 

 

 数名の社員が服を脱ぎ捨てると、正体を(さら)け出す。

 その戦闘服の下に隠されていたのは二足歩行の昆虫、怪人たち。

 

 

 …マジだった。

 

 

 少し遅れて扉を片手で豪快に音を立てながら入ってくる者がいる。

 風がないのに何故か(なび)いている銀色のコートを羽織った茶髪の青年。

 

 

「俺の会社に虫けら共が潜り込んでいたとはな、

 貴様らのその大胆な行動に敬意を表して俺自らが相手をしてやろう」

 

 

「「社長!?」」

 

 

「俺はこのターン、二体のモンスターカードを生贄に捧げてこいつを召喚する!」

 

 

 首領パッチと天の助が謎の空間の穴に吸い込まれていなくなり、

 代わりに青い瞳の巨大な白竜が召喚される。

 

 

青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)のダイレクトアタック! プレイヤーに滅びの爆裂疾風彈(バーストストリーム)!!!!」

 

 

 竜の口から白い光線が吐き出されて怪人もろとも満月伯爵を攻撃、爆発。

 

 

「そんなこんなで職場にも慣れた頃、運命の再会を果たす!」

 

 

 ぼろぼろになりながらも立ち上がる満月伯爵の前には白いゴリラ。

 満月伯爵を両腕で抱き締めるとぎりぎりと締め付ける。

 

 

「満月伯爵様ァ~~~っ! 会いたかったダス―!」

 

 

「ひぃぃぃっ、嬉しくない再会ぃぃぃ!

 貴女、確かゴリラの婚約者がいた筈ですよね!?」

 

 

「不慮の事故で亡くなったの…そしてお腹には彼の子供が

 でも嬉しかったは貴方が「子供も一緒にお前を貰う」って言ってくれて…

 シャルロットは嬉しいですわ!」

 

 

「過去を捏造しないでください! 

 あと貴女その容姿でシャルロットという名前なんですか!?」

 

 

「しかし、愛する二人には大きな壁が立ちはだかる…」

 

 

 ボーボボがナレーションをするように語ると、

 シャルロットの三倍はあるだろう大きな白いゴリラが現れる。

 

 

「お父様!?」

 

 

「「お父様、デカっ!!」」

 

 

「くっ、どうせ結婚反対といって殴るんでしょう。

 さあ、好きなだけ殴りなさい!」

 

 

 満月伯爵が腹をくくって、そう言い放つ。

 あのシャルロットと別れたいのだろうけど、

 大きなお父様はにっこりと観音菩薩のような笑みを浮かべると…

 

 

「君たちの熱意に負けた。

 君たち二人の結婚を認めよう」

 

 

「殺された方がまだマシでしたァ――――っ!!!!」

 

 

 場面はいつの間にかに結婚式場に変わり、

 床に剣を突き立てて抵抗する満月伯爵と

 彼の足にロープをくくりつけて引っ張る花嫁姿のシャルロット。

 

 

「ひぃぃぃっ、誰かお助け――――っ!!」

 

 

 空間が波のように揺らぎを生じ、やがて元の――鋼鉄の部屋へと戻る。

 

 

「むぅ、時間切れのようだな…」

 

 

「危なかった、危うく人生が終了するとこでしたよ!?」

 

 

 ボーボボが名残惜しそうに呟き、

 満月伯爵は剣を杖にして立ち上がる。

 

 

「甘いな満月伯爵、この奥義はこれで終わりではない」

 

 

「何ですって!?」

 

 

「この奥義は今まで積み重ねた日々の経験を力に変換して相手にダメージを与えるものだ」

 

 

 満月伯爵の元に飛び込んで胸と腹に両腕を突いて持ち上げ、上へと飛び上がる。

 さらに天井を突き破って、宇宙船の外へと飛び出す。

 

 

「お前たちと比べて人間の寿命は遥かに短い、

 それ故に必死に足掻く。それ故に命の重みを知っている。

 線香のように儚く、花火のように華やかに散って後世に残していく。それが人間だ!」

 

 

 満月伯爵の背中を下にして落下。眼下の宇宙船を目指して落ちていく。

 

 

「この奥義はそんな人間の一生を体感、体験できる技だ!

 そんな貴様には最後に言っておこう!」

 

 

 轟音と共に鋼鉄でできた床と激突。

 

 

「そんな人生を歩んでいる人間いるわけねぇ――――っ!!!!」

 

 

 ですよね…

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 まさか奥義で丸々1話が埋まるとは…これでも結構削った方なんです。
 今回の奥義はボーボボの過去に使われた奥義が色々入っております。
 やることはやった、後悔はしていない。
 そして今回でこの物語のバトルは終わりです。
 
 ここまで読んでくれて、ありがとうです。

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