東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 激闘の末にザンボットのコアを破壊した、かに見えたが…
 それはコアではなくアンテナのような役目を果たす物でしかなかった。
 そして巨大宇宙船そのものがザンボットの正体であった。
 さらに総勢1000体の機械兵隊が現れ、窮地に立たされたボーボボだが――

「ゆかりん達が今どこで何をしているのか気にならないか?」



乗っ取り

 

 

 ボーボボが言い終えると同時に巨大宇宙船ザンボットが揺れる。

 すぐに空中に投影されたモニターを通じて玉兎の報告が入る。

 

 

『第2エンジンに小型ブラックホールが出現!

 部屋ごと跡形もなく消滅! 出力が低下!』

 

 

「小型ブラックホール!?

 コペルニクス=スティーブン 

 ゲルガッチャ=ニコス=ヴィル

 メイ=トロウ=ジャクソン三世の自爆装置ですか!?」

 

 

 ニンジャ=ゲッコウはフルネームを言わないとダメな理由でもあるのか…?

 紫の能力で異空間にでも収納されたのだろう、それをここで使うとは…

 

 

 さらに異変は続く、101匹王ちゃんとザンボット軍団の動きが鈍くなり、完全に停止する。

 

 

『満月伯爵、何者かがこの船を乗っ取ろうとしている。発生源はここだ、映すぞ』

 

 

 映し出された画面の中には高速で指を動かしてキーボードを叩き込む藍と、

 それを見守る紫、てゐ、メリーに数体のゆっくり妖怪たち。

 

 

「ミサトさん、玉兎を引き連れて妖怪たちを討ってきなさい。

 ザンボットさん、兵隊たちを自動に切り替えて、対象は「月の民」以外です。

 それからコントロールを取り戻すことに専念しなさい」

 

 

 部屋の中の兵器たちが再び動き始まり、ミサトは部屋を出ていく。

 満月伯爵の三日月の顔が満ちていき……名前の通りに満月になる。

 

 

「あのザイガス、ヒソウテンソクとかいう兵器は貴方たちを侵入させるための囮。

 貴方たち三人は、あの妖怪たちを侵入させるための囮。

 あの妖怪たちこそが本命であり、この船を乗っ取ることが目的。

 やってくれましたね皆さん。初めてですよ、ここまで私をコケにしたおバカさんたちは――」

 

 

 何もない頭の岩石に顔のパーツが現れる。

 黒い眼球に光る黄色の瞳。歯を剥き出しにして睨む憤怒の形相。

 

 

「絶対に赦さんぞ、虫けらどもめ!! じわじわと嬲り殺しにしてくれる!!!!」

 

 

 剣を両手で持ち、下段に構える。

 部屋の壁際にいる兵器たちも動き出す。

 

 

 その一角が爆発する。

 

 

 永琳が矢を番えては放ち、標的の兵器たちを次々と射って破壊したからだ。

 

 

「永琳殿、何をなさっているのですか!?」

 

 

「そうね、ケンカに機械を使うのは不平と思ったから… 射りました」

 

 

「地上人の味方をする、ということはかぐや殿を地上に残すことなんですよ!?」

 

 

「知っています。知った上で行動しているのです。

 貴方たちがあの子を私に対する免罪符として私を束縛しようとしていることもね?」

 

 

「だが、かぐや殿を月に連れ戻すには賛成していたではありませんか!?」

 

 

「地上で生活していれば、月に帰りたくなるだろう、と思っていましたからです。

 実際は楽しんでいたみたいですけど」

 

 

「ならば、このままでも月に帰還するのみ!

 対象「月の民」は捕縛。対象以外は殺害しなさい!」

 

 

 機械特有の正確な射撃がボーボボたちを襲い、体が穴だらけになっていく。

 穴だらけになりながらも首領パッチは対策はないのか、ボーボボに尋ねる。

 

 

「こっちも何か武器はないのか、ボーボボ!?」

 

 

「この前貰った【うに】があるぞ」

 

 

 【うに】が詰まったダンボールを差し出し、天の助がツッコミを入れる。

 

 

「武器じゃねーじゃん!」

 

 

 でもトゲを持つ【うに】は武器になると判断したのか次々と敵に投げ込む。

 鋼鉄でできている筈のボディを破損させて数体を再起不能に陥らせる。

 

 

「【うに】が無くなった! もっとくれ!」

 

 

「こっちもだ!」

 

 

 【うに】に数があり、すぐに底が突き空になる。

 首領パッチがボーボボに要求し、天の助が空のダンボールの底を見せる。

 

 

「【うに】はない! 【うに】はないが!」

 

 

 

 

 ――――手榴弾ならある。

 

 

 

 

 三人が敵に向けて手榴弾を投げ込み、爆破。数十体が金属の破片と化す。

 しかし、壁の奥から破壊された分を補充するようにザンボットたちが現れる。

 満月伯爵もザンボットたちを(けしか)けるだけで前には出てこない。

 

 

 ――いや、

 

 

「満月伯爵が姿を消しています、気をつけなさい!」

 

 

 永琳が警告を発した瞬間。

 

 

 真後ろで姿を現し、首領パッチを縦に真っ二つに斬り裂いて、天の助を賽の目状に斬る。

 そこに101匹王ちゃんとザンボット軍団の砲撃が集中。塵になる。

 永琳が懐から薬品の入った瓶を取り出して二人に振り掛けると元通りになる。

 

 

「肉体を失い、魂だけになったら封印されます。気をつけなさい」

 

 

 永琳が何もない空間に向けて矢を射ると、途中で矢が二つに折れて、

 剣を斜め上に傾けた満月伯爵が出現。

 さらに立て続けに矢を射って満月伯爵をその場に釘付けにして足止めする。

 

 

「輝夜、遂に()()を使う時が来たようだな」

 

 

 アフロから五色に輝く「龍の頸の珠」を取り出すと、それが光を放って弾け…

 鮮やかなエメラルドグリーンの龍を模したオブジェが現れる。

 その龍のオブジェが分解、変形しながら私の身体に装着。身に纏う防具となる。

 背中には6枚の羽。左腕には丸い盾が備え付けられていた。

 

 

 

 

――これは、新生聖衣(ニュークロス)!?

 

 

 

 

 小宇宙(コスモ)

 

 それは誰しも持っている体内に秘められている宇宙的エネルギー。

 聖闘士(セイント)たちはこのエネルギーを燃焼させることで絶大な力と破壊を可能とするのだ。

 

 

「――で、戦闘中の時に何をやっているのあなた…?」

 

 

 永琳が冷めた目で見るのはダンボールを机にして書き物をしている天の助。

 

 

「はっ!? 俺は一体何を!?」

 

 

 絶対、わざとだ。

 そうこうしているうちに得物を持ったザンボット軍団が接近。

 

 

「昇れ龍よ! 天高く!!」

 

 

 廬山昇龍覇(ろざんしょうりゅうは)――――ッ!!!!

 

 

 闘気が背後で緑色の華人服を着た赤髪の女性を象り、

 背後の女性と共に半開きの拳を上空に向けて打ち放つ。

 

 

「「ぐわぁぁぁァァァ――――ッ!!!?」」

 

 

 大量のザンボットたちが大きく仰け反ったり、前屈した状態で上空に吹っ飛び――

 防具や装飾品が砕き、床の一部が巻き上げられ、背景が銀河になり幾つもの惑星が同時に砕く。

 

 

 攻撃を受けたザンボットたちが空中で向きを変えて頭が下になる。

 受け身の体勢を一切なく頭頂部から垂直で落下。鋼鉄の床と激突。停止。目から光を失う。

 

 

 半数以上を潰した所でボーボボが動き出す。

 その右手は円柱のような金属製に変わっていた。 

 それが警告音のような音を鳴らし、丸い装飾品が淡く発光する。

 

 

「動いた…? ソイル、我が力!」

 

 

 金属の塊から巨大な手裏剣のようなものが展開され、回転する。

 金属が分解して右腕の周りを浮遊しながら別の形へと組み上げていく。

 

 

魔銃(まがん)、解凍」

 

 

 三連装の巨大な黄金の銃へと変化する。

 

 

「お前に相応しいソイルは決まった!」

 

 

 虚空を指差してから弾丸を入れるシリンダーに色つきの薬莢を入れていく。

 

 

『冴え渡る知性のきらめき』マーベラスオレンジ!

 

 

『限り無き探究への欲望』マニアックパープル!

 

 

 そして『完全勝利の誓い』ウルトラショッキングピンク!

 

 

 これぞ完璧無敵の組み合わせ!

 唸れ召喚獣! ソイルの導くがままに!

 出でよ! 究極の召喚獣!

 

 

 最後の一つは首領パッチのトゲの一つを強引にもぎ取り、挿入。

 トゲを取られた首領パッチは頭から噴水のような出血をしてから倒れる。

 心臓のような部品が激しく脈動し、ドリルが高速で回転する。

 その力の流れは永琳を唸らせる程のようで…

 

 

「なんて凄まじい気の流れ…」

 

 

「略してS.K.Nか…」

 

 

 永琳の漏らした呟きに天の助が腕を組んで真面目な表情で応える。

 

 

「略すな」

 

 

 ――侵蝕せよ召喚獣『首領パッチ・ウィルス』

 

 

 銃口から灰色の煙が吐き出され、三色の弾丸が飛び出す。

 三つの弾丸が彗星のように尾を引きながら螺旋状の軌跡を描き、煙が渦を巻く。

 やがて三つの弾丸が一つに重なり、強い光を放って弾ける。

 

 

 光が収まると首領パッチを模した小さなオブジェが空中に浮いていた。

 手足がなく顔もないそれは暫く浮遊していると上下二つに分かれてから光の粒子になり、

 周囲の壁の奥へと消えていった…

 

 

 不審に思った満月伯爵はボーボボに問いただす。

 

 

「何ですか、今のは…?」

 

 

「首領パッチ・ウィルスはありとあらゆる機械に侵入、侵蝕し…

 侵蝕された機械類は「首領パッチ」と同じ思考になる!!!!」

 

 

「……? 要は機械類を乗っ取るウィルスってとこですか、ですが私たちが…」

 

 

「忘れたか満月伯爵、今もこうしてる間に藍が内部から乗っ取ろうとしていることを!」

 

 

 私たちとは別行動をしていた紫たち、

 私たちが戦闘してる間も彼女たちは船内のどこかで無力化を試みていたのだ。

 戦闘中、拮抗していたバランス… そこに新たな力が加われば――――

 

 

『くぁwせdrftgyふじこlp』

 

 

 どうやら首領パッチ・ウィルスに侵蝕されたようで

 宇宙船ザンボットが意味不明なことを宣い。

 ザンボット軍団も一体も残さず常人には理解し難い行動を取り始める。

 

 

「バ、バカな… 宇宙船ザンボットが乗っ取られただと…!?

 ミサトさんは何をやっているんですか!?」

 

 

 満月伯爵の言葉に反応して、玉兎たちの様子が映し出された画面が現れる。

 そこには大量のナマコとウナギに埋め尽くされた通路。

 その中に埋もれるようにして玉兎たちの姿が…

 

 

「「なんじゃこりゃ――――っ!?」」

 

 

 ボーボボたちを除く月の民出身が声を合わせる。

 

 

「プルプル真拳奥義『ぬのトラップ』これに触れた者は「ぬるぬる」な目に遭う」

 

 

 犯人はコイツだった。

 画面の中の玉兎はなんというか「ぬるぬる」していて、ぬめっていて、

 中にはどういうわけか下着姿になった者もいて… うわぁー…

 

 

「バ、バカな… 我儘な娘を連れ戻すだけの簡単な任務の筈が… なぜ、こうなった…」

 

 

 力なく肩を落とす満月伯爵だが… 突然、顔をこちらに向けて、

 

 

「お前たち三人だけでも封印してやる!」

 

 

 剣の切っ先をボーボボたちに向けて吼える。

 

 

「面白い、ならばキサマにはこの奥義を見せて人間の素晴らしさを体験させてやろう!」

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 以上、別行動を取っていたゆかりん達でした。
 ボーボボを知っている方なら、もうすでに分かっているでしょうね。

 思った以上に別作品のが書き上げたので投稿しました。
 ここまで読んでくれて、ありがとうです。

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