東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 無敵要塞ザイガスを、天元突破ヒソウテンソクを囮にして、犠牲にして
 宇宙船内部に侵入を果たしたボーボボ、天の助、首領パッチ。

 だか、月の使者である満月伯爵、ミサト、ザンボットは手強かった。



再戦

 

 

「八意永琳殿ですよ」

 

 

 満月伯爵はあっさりと吐いた。

 

 

「永琳殿はお優しくてですね。

 輝夜殿が罪と罰で地上に落とされたというのに… 自分には全くない。

 故に心を痛めた… 作業に支障を来す程に――――」

 

 

「お前話長すぎィィィっ!!!!」

 

 

「ぶべらぁぁぁぁぁっ!!!?」

 

 

 ボーボボが伸ばした右足を満月伯爵の腹部に叩き込んで吹き飛ばす。

 吹っ飛ばされながらも剣を床に突き刺して――――蹴りの衝撃を削いで、(こら)える。

 

 

「あなた… 人が会話してる時に… これだから地上人は…」

 

 

「輝夜を強引に連れて行こうとする奴に言われたくないな。

 それに俺達がこれからやることに変わりはないし、早い方がいいだろ?」

 

 

「不本意ですけどその考えには同感ですね」

 

 

 満月伯爵が「ミサトさん、ザンボットさん」と声をかけると満月伯爵に近づいて両脇に立つ。

 対してボーボボには首領パッチと天の助、さらに私が…

 

 

「そうそう最初に言っておきますが、この部屋は輝夜殿のために用意されたものでしてね?

 魂が外に出ないためのと「時間」に関する能力を封じるための工夫がされてますので?」

 

 

「ちょうどいいハンデだわ」

 

 

 ザンボットが腕を水平に広げ両手と頭にある三日月の飾り付けを光らせ、

 ミサトが懐から黄金の輝きを放つ片手銃を取り出し狙いを定め、

 満月伯爵が黒いマントで自身を覆うと風景と同化していき姿が消える。

 

 

『ムーンアタック乱れ撃ち!』

 

 

 三日月形のエネルギー弾を乱射。夜に浮かぶ星々のような密度で迫る。

 

 

「なんのボーボボ・タイフーンいくぞ!」

 

 

 後ろから首領パッチと天の助の頭を掴むと、その場で高速回転。竜巻が発生。

 三日月で出来た力の塊が渦に巻き込まれて弾同士で衝突して次々と爆破。

 

 

「ふう、なんとか凌いだぜ」

 

 

 ただし首領パッチと天の助の体には破片が突き刺さっており重傷。

 安堵をしたのも束の間ボーボボの胸から剣の先が生える――満月伯爵が背後から刺したのだ。

 さらにミサトが撃った弾丸が額に当たる。

 

 

「ボーボボ!?」

 

 

 ボーボボに突き刺した剣を抜いて、再び姿を消す満月伯爵。

 ミサトとザンボットの間に挟まれる形で現れる。

 

 

「大丈夫だ、背中を刺されたおかげで後ろにのけ反り… 弾丸が頭蓋骨を掠める程度で済んだ」

 

 

 額にデカイ穴があって向こう側の景色が見える。

 

 

「さすがに手強い。こうなったらアノ技を完成させるか… 首領パッチ、天の助!

 俺が奴等の攻撃を受け止めている間に――――っ!!!!」

 

 

 ザンボットの背後から射ち出された小型ミサイルを、

 満月伯爵が剣を振るう度に生み出された三日月形の斬撃を、

 鼻毛で迎撃、打ち落としながら…

 

 

「3割で構わん、地震発生のメカニズムを解明してくれ!!!!」

 

 

「「それ今やる必要あるの!?」」

 

 

 二つ返事して真剣な顔でレポートに何かを書き込んでいく二人。

 それを変な目で眺める私と永琳。

 

 

「ボーボボ、なんとか9割解明したぞ!」

 

 

 分厚いレポートの束をボーボボに差し出す天の助。

 

 

「「あの短時間で!?」」

 

 

「よし、これさえあればアノ技が完成する!」

 

 

 レポートの束をぱらぱらと捲って目を通していく。

 

 

「喰らうがいい、これが「地震発生のメカニズム」を応用した――――!!!!」

 

 

 月の使者たちの頭上に黒い雷雲が発生。雷が落ちて直撃する。

 

 

「カミナリだ!!!!」

 

 

「「地震発生のメカニズム、どこいった!?」」

 

 

「この技はこれで終わりじゃない!」

 

 

「地震、雷、火事、オヤジ!」

 

 

 豹柄の上着にパーマ頭の中年の女性が現れると、床に拳を叩き込んで震動を起こす。

 

 

「オバハンタックル!!!!」

 

 

「「オヤジじゃない!」」

 

 

 そこへ震動でふらついた月の使者たちに腕を交差させた体当たりで撥ね飛ばす。

 さすがに雷の直撃から始まった連続攻撃は効いたのか床に片膝をつく月の使者たち。

 その一人であるミサトは銀水晶を頭上に掲げると――

 

 

「銀水晶の浄化能力は穢れ、不浄なモノだけではなく… ケガをも消し去る」

 

 

 言葉通りにケガが消えていき、元通りになっていくが…

 

 

「――生物限定で、疲れまでは消せないけどね…」

 

 

 立ち上がるミサトと満月伯爵。

 ザンボットは胸部が三つに展開。丸いコアのようものをさらけ出す。

 さらにザンボットの近くに細長い黒い棺桶のような物が出現。

 扉が開き、中に納まっているのは胸部が開いた状態の無傷のザンボット。

 コアを手に取り出し無傷のザンボットに装着。

 

 

『スペアボディってやつだ』

 

 

 無傷のザンボットが動き出す。代わりに破損したザンボットが黒い棺桶に入り床下へと消える。

 その光景を見たボーボボが首領パッチが天の助が――――

 

 

「見たか、お前たち…?」

「ああ、随分と分かりやすい弱点だぜ」

「これでまず一人目だな」

 

 

 さすがに戦闘に関して素人である私でも分かる。

 あのコアを破壊すればザンボットを破壊、無力化できる。

 

 

「ザンボット、まずはお前をぶっ潰させてもらう!」

 

 

 アフロが開いて中から長く捻れた二本の角が生えているゆっくりを取り出すと、

 

 

「ゆっくり萃香(すいか)・ブゥゥゥゥゥメランッ!!」

 

 

 片方の角を手にして投げる。縦に回転しながらザンボットに向かって飛んでいく。

 途中で回転が止まり、ゆっくり萃香が四つに分裂。再び回転を開始して空を駆ける。

 四体のゆっくり萃香がそれぞれザンボットの手足に頭の角が突き刺さり動きを封じる。

 

 

「コイツを使えボーボボ、首領パッチ・ツゥゥゥゥゥルゥッ!!!!」

 

 

 首領パッチの体に生えているトゲが射出。不規則な軌道を描いてボーボボの指に填まる。

 腹這いになった天の助の背中に飛び乗り、意味不明の呪文を口にしながら両手を合わせる。

 

 

「何をするのか知りませんが私達が大人しくしていると思いますか?」

 

 

 剣を構えた満月伯爵が銃を構えたミサトを連れだってボーボボへと襲いかかる。

 

 

「「うにーっ!」」

 

 

 私と首領パッチが【うに】を手にして頭上に掲げると淡い光を放って輝き出す。

 二人同時に左足を真っ直ぐ上に上げて、床を踏み抜く勢いで下ろし【うに】を投げる。

 

 

「伯爵シールド!」

 

 

 ミサトが満月伯爵の背後に回り込んで羽交い締めにして盾にし、

 【うに】が満月伯爵の顔面と腹部にそれぞれ突き刺さる。

 

 

「うわ、痛そう…」

 

 

 思わずこぼした私の言葉に満月伯爵が反応する。

 刺さった【うに】を外して手に取って…

 

 

「あなた達が投げましたよね、これ!? あとミサトさん、私を盾にしましたよね!?」

 

 

「気のせいですよ、伯爵様。いったいどこの世界に上司を盾にする部下がいるんですか?」

 

 

 息をするように嘘を吐くミサト。

 渋々と銀水晶を掲げると、満月伯爵の傷が癒えていく。

 

 

 ――――この瞬間ボーボボの詠唱が終わる。

 

 

 組み合わせた両手を前に――ザンボットに向けて突き出すと緑の竜巻が発生。

 天の助に乗ったボーボボとゆっくり萃香によって拘束されたザンボットを渦で覆い隠す。

 

 

「終わったな、このハジケトルネードはいかなる攻撃も弾き返してしまう。

 この竜巻が消えるのは二つに一つだ。ボーボボが自らの意思で技を中断するか…」

 

 

 緑色の竜巻が消え去り、胸部を大きく抉られたザンボットと背を向けるボーボボの姿が現れる。

 

 

「――――技が決まって敵を倒した時だ」

 

 

 ボーボボの背後でザンボットのボディが爆発。破片が飛び散り、炎が揺らめく。

 握り締めた拳を開くとそこにはザンボットの丸いコアが置かれてあった。

 

 

 緑髪を黄色いリボンでサイドテールに纏めた手のひらに収まる小さな妖精が飛来。

 コアの近くで浮遊すると口を忙しなく動かし指先を向けるとコアが光の粒子と化して宙に散る。

 小さな妖精はそれを見届け終えるとボーボボのアフロの中へと消えていった。

 

 

「さすがにコアそのものがなくなればスペアボディがあっても動けまい」

 

 

 ボーボボが勝利を確信して言った――――その時に。

 

 

『それは俺のコアではない。電波を受信するアンテナの役目を果たしている物だ』

 

 

 部屋全体に響き渡るザンボットの声。

 

 

『スペアボディっと言ってはいるがあれは「端末機」…。

 わかりやすく説明すると手足みたいなものだ』

 

 

 あの丸っこいのは本体ではない。

 それじゃ本体は別のとこから遠隔で操作している…?

 

 

『俺の本体というか機体なら、お前たちはすでに見ているぞ?』

 

 

 記憶を振り返る。

 だがザンボットらしきモノと遭遇した記憶はない。

 

 

『ああ、()()過ぎて分かりづらかったか?』

 

 

 巨大…? 

 一つの考えが脳裏を掠めて、ボソッと口にする。

 

 

「この()()()そのものがザンボット…?」

 

 

 この部屋の壁という壁が開き、中から人型の機動兵器たちの大軍が現れる。

 「1」の番号が書かれた上下白の制服に黒いヘルメット、左手には木製のバット。

 さらに後ろには緑色のザンボット軍団。

 それらが一斉にこちらを見つめて…

 

 

『『総勢1000体の「101匹(ワン)ちゃん」とザンボット軍団だ。さあ、どうする?』』

 

 

 ――得物をこちらに向ける。

 

 

「背番号1のスゴいヤツだろうが、ぶっ潰すつもりだが?」

 

 

 強気を見せるボーボボだが、先ほどよりも余裕がないのが伝わる。だが…

 

 

「――――ところでお前ら、ゆかりん達が今どこで何をしているのか気にならないか?」

 

 

 ボーボボたちが不敵に笑っていた。

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 本当はいろいろ書きたかったけど、あんまし長いとね。
 ラスボスであり本作ではラストバトルになるけど、
 ボーボボたち視点と月の使者たち視点と目標もやっぱし違うわけで…
 
 まずは完結目指さねばだわね。

 ここまで読んでくれて、ありがとうっ!

 

 

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