東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 輝夜がいなくなった…



敗北者達の会話

 

 

 ――無敵要塞ザイガス

 

 

 その巨大な要塞の一角に設けられた居住区にて数名の男女がたむろしていた。

 その中で一際背の高いアフロの男が口を開く。

 

 

「俺たち三人が敗れたのは、いつ以来だ…?」

 

 

 アフロの男が人外の二人に向かって問う。

 

 

「オイオイ、お前たち二人はともかく… オレは敵の攻撃を受けて再起不能になってただけだ。

  オレまで一緒にすんじゃねぇよ」

 

 

「いやいや、世間一般じゃそれを「敗北」っていうだろ?」

 

 

 オレンジ色のトゲトゲが理解できない反論をし、水色がツッコミを入れる。

 そんな三人のやり取りを眺めていた大小二人の女性が覇気のない声で…

 

 

「どちらにしろ、輝夜さん。物語の通りに月に帰ることになりましたね」

 

 

「今はまだだよ。連中の無駄に壮大にバカデカイ船は未だにぷかぷかと、

 平安京の上に陣取ってるみたいだしね」

 

 

 小さな体格の頭部にウサギの耳を生やした女の子が壁の向こう――

 空に浮かんでいるだろう宇宙船に向けて視線を送る。

 

 

「あなた達には珍しく元気がないわね?」

 

 

 妙齢の女性の声――しかし、発生源が何処にも見当たらない。

 彼らが驚かないのは見慣れつつある光景だからだろう。

 

 

 虚空から細い線が一本、縦に生まれ――それを境に裂けていき広がり穴が穿たれる。

 その穴から出てくるのは二人の女性。八雲紫とその従者――八雲藍の二名。

 

 

「一応、あなた達のお姫様にお願いされて来たんだけど」

 

 

「お願い?」と一同、声が重なり聞き返す。

 

 

「あなた達を元の時代、元の世界に戻すお手伝いをね?」

 

 

「こいつは驚いた! 何の得が…? って言いたいとこだけど、

 不死の存在に時間移動、さらにこの要塞の存在を考えたら…

 むしろ、こっちがむしり取るべきだろうね」

 

 

「そういうことよ因幡の兎。あなた達の存在そのものが見る人が見れば――

 『宝の山』といっても過言ではないわ。

 そしてあの月の姫は月の民があなた達に目をつけることを恐れた」

 

 

「…それで夜中『永遠亭』に妙な術式を施したわけね」

 

 

「あの永琳とかいう賢者は知った上で見て見ぬふりをしてたみたいけどね」

 

 

「『永遠亭』に『術式』ってどういうことですか…?」

 

 

 聞き慣れぬ「術式」という言葉にメリーが問いただすと…

 

 

「そうね… あなた達にわかりやすく説明するならば…

 あの『永遠亭』の中で過ごせば年を取らなくてすむのよ」

 

 

「それって…」

 

 

「あなた達のためでしょうね。

 無論、完璧とはいえないし不完全な部分もあるでしょうね。

 急場凌ぎで作成してたみたいだし…

 そのために私にお願いしたのでしょうね、護衛の意味も兼ねて…」

 

 

「――不完全か… ゆかりんの言う通り、あの永遠亭は不完全なモノだ。

 なにしろ建物の主――輝夜がいないんだからな」

 

 

「…まるでこれから敵の本拠地に乗り込むみたいなことを言うわね、ボーボボ?」

 

 

 アフロの男――――ボーボボが不敵に笑って…

 

 

「大丈夫だ。ゆかりんにいい考えがある」

 

 

「「お前が考えるんじゃないのかよ」」

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 輝夜視点じゃない、ボーボボたちの会話です。
 正直悩んだ。でも必要と判断して執筆。
 明日は32話を投稿するよ。

 ここまで読んでくれて、ありがとう。

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