東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

28 / 40
 
 サンダースの犠牲でバトルフィールドの結界が解かれ、
 そこにボーボボの鼻毛真拳が炸裂!

 服の隙間から見えるニンジャ=ゲッコウの身体は機械でできていた…



輝夜! 月の民と再会する !? …の巻
八意永琳


 

 

 バトルフィールドの結界が消えたせいだろう、

 石化で灰色に変色していた首領パッチと天の助に色が戻っていく。

 

 

「これで三対一に戻ったな、どうする? 続けるのか?」

 

 

『当然だ。俺を誰だと思っている? それに俺はまだ勝つつもりでいるぞ?』

 

 

「そうか…」と返して身を構える三人。

 

 

「 相手がたった一人でも人質を取る外道だ!

  情けも容赦もかける必要はない! いくぞ、首領パッチ、天の助! 」

 

 

 三人が両腕を交互に何度も前に突き出すと…

 

 

「「 忍法『気功弾のジツ』!!!! 」」

 

 

 開いた手のひらからエネルギー弾が生成されて次々と射ち出されていき――着弾。

 爆発と爆煙でゲッコウの姿が覆われる。

 

 

 忍法ってこんなだっけ…? 

 でもボーボボが持ってた漫画じゃこんなだったし…

 

 

 しばらくしてから、攻撃を中断。煙が晴れると…

 

 

『「イオン・バリア」どんな微細なモノでも逃さず除去する』

 

 

 三枚の細長い六角形の透明な青い膜。

 それを植物の花を彷彿させるように前面に展開させて、ゲッコウが腕を組んで立っていた。

 

 

「それって空気清浄機とかのやつでは…」

 

 

 メリーの指摘を聞き流してゲッコウは――

 

 

『「サイクロン式・エンジン」始動… 変わらない吸引力を生み出す』

 

 

「 それ掃除機ですよね !? 」

 

 

 モーターが激しく回転したような音を鳴らすと全身が淡く紅く発光。

 残像を残しながら飛ぶように地面すれすれを移動。

 ボーボボとの距離を一気に縮めて懐へ入り込み、ベルトを掴むと…

 

 

『 忍法「上手投げ」! 』

 

 

 自分の方に引き寄せて、首領パッチと天の助に向けて投げ倒し――ぶつける。

 

 

「「 なんてスゴい忍術なんだ――っ! 」」

 

 

「 ボーボボさん、それ相撲の決まり手ですよ !? 」

 

 

 団子状に一塊になったところでゲッコウは両手を前に突き出すと…

 両腕の袖が弾けとび、ゴツゴツとした機械の腕が露になる。

 その手のひらには銃口のような穴が空いていた。

 

 

『最大出力の「プラズマ・クラスター」だ。

 如何にお前たちでもすぐには復活できまい。

 その間に仕事を完遂することにしよう…』

 

 

「家電製品に使われてるイオンを発生させる装置で

 どうやってダメージを与えるんですか !?」

 

 

 銃口の奥から赤い光が漏れはじめて… 熱で赤く染まった瞬間。

 

 

 

 

 ――肘から先が消失。

 

 

 

 

 …さらに胴体が刃物で斬られたように半ばまで切断され、細かい部品が落ちていく。

 私たちではない第三者による奇襲攻撃。

 

 

『バカな… なぜ貴女がここにいる?』

 

 

 ゲッコウの視線の先には一人の女性。

 銀髪の長い髪を三つ編みにし、左右で色の違う赤青の服装。

 

 

 八意永琳(やごころ えいりん)

 私の元教育係――が弓とリボンのついた矢を手にしてゲッコウをじっと見据えていた。

 ゲッコウは彼女の姿をじっと見つめたあと、自分の置かれている状況を察してから…

 

 

『多勢に無勢。これ以上の戦闘は続行不可能… ならば――』

 

 

『自爆するのみ――』胸部を覆っていた金属板が外れ、黒い結晶のような物が目につく。

 おそらく爆弾、それも強力なもの… 三人は放っておいても問題はない。

 てゐとメリー、モヒカンの田吾作… あれ、いない? 彼の姿を探していると――

 

 

「姫様、田吾作なら戦闘中のいざこざに紛れて逃げてったよ」

 

 

 てゐの指差す先には背中を見せて逃げる田吾作の姿が… アイツも放っておこう。

 

 

『俺に仕掛けれている爆弾は小型のブラックホールを生み出す…

 ブラックホールはいわば非常に重たい物質であり、

 その質量の巨大さは周囲の空間すらも歪ませる…』

 

 

 その歪んだ空間で時間がどうなるのか… 超重力の下では生物の身体機能など…

 ゲッコウを送り込んだヤツは私の能力を知っている。

 

 

 だが――

 

 

 ゲッコウの足下に穴が開いて真下に落下。消える。穴が閉じる。

 紫が何処か遠いとこに邪魔にならないとこに捨ててきたのだろう。

 

 

 それがニンジャ=ゲッコウの呆気ない最後だった。

 

 

 彼の目的も気になるが… 今は――

 

 

「久しぶりね、一年以内に再び会うとは思わなかったけど…」

 

 

 彼女――八意永琳がここにいる理由を知ることの方が重要だろう。

 

 

「ここで立ち話もなんだし、移動しましょうか?」

 

 

 誰も反論はせず、同意。

 私たちは来たときに使った装甲車に乗って竹林へと戻る。

 道中、三人のせいで車内は騒がしかったが… 私と永琳との間に会話は一切なかった。

 

 

 無敵要塞ザイガスを一目見て「ヘンテコな建物ね」と感想を漏らした彼女に、

 首領パッチが憤慨する場面があったものの一同は中へと入っていく。

 その間、彼女に関心できるものが多々あったのか建物内を観察してた彼女。

 

 

 私たちが普段使っている居住区に足を踏み入れるが、

 ゲッコウをいずこへと消し去った紫とその従者、藍の姿がどこにもなかった。

 月の民である永琳を警戒しているのだろう。居間で一息をついてから…

 

 

「初めまして、そこの()()()の元家庭教師の八意××よ」

 

 

 月での呼び名で自己紹介する彼女にメリーは…

 

 

「すいませんが私には発音不可能なのですが…」

 

 

 と答えるが… ボーボボ、天の助、首領パッチの三人は――

 

 

「八意××か、随分と言いにくい名前だな」

「八意××といえば迷いの竹林にいた医者の名前がそうだったな、ボーボボ?」

「無敵要塞ザイガスをヘンテコ呼びしたこと、いつか覚えてろよ八意××」

 

 

「普通に言えてる !? それが言えて、何で私のフルネームが言えないんですか !?」

 

  

 

 そんなメリーを憐れんだ目で見る永琳。

 

 

「八意永琳。言いにくいのならば、そう呼んでもらって構わないわ」

 

 

「…ありがとうございます」

 

 

 不承不承ながらも了承するメリー。

 次に永琳は誰から言うわけでもなくここに来た目的を話す。

 

 

「かぐや… 次の満月の日。貴女を月に連れ帰ります」――と、

 

 

 ――静寂。静かになる。

 

 

 …なぜ?

 

 

 地上に追放――落とされてからどれくらい経った?

 少なくとも一年は経っていない。

 

 

 永琳が私を連れ戻すのは… 彼女の意思か、それとも月の…?

 

 

「いきなしやって来て本人の意思は確かめずに連れ帰る。

 …ってのは、どうかなと私は思うけど?」

 

 

「地上のウサギ、これは月が決めたことよ。部外者は黙ってなさい。

 それにこれは彼女のためでもある」

 

 

「ニンジャ=ゲッコウのことかい?」

 

 

「正しくはコペルニクス=スティーブン

 ゲルガッチャ=ニコス=ヴィル

 メイ=トロウ=ジャクソン三世よ」

 

 

 もうニンジャ=ゲッコウでいいじゃん。本人もそう言ってたし… 

 月光でゲッコウ、それにあの機械の身体。月と関わりがあるだろうか…

 

 

「まぁいいわ、あなたたちとは次の満月で別れる。

 それまでの付き合いだろうし、話しておくわ」

 

 

 永琳の話だと今、月では私が月に帰還することに二つに意見がわかれている。

 

 

 大勢の賛成派と、少数の反対派。

 

 

 その反対派の中に私を含む不死者たちの肉体を消滅させて魂を封印、保管する。

 ――を目的にゲッコウを送り込んだモノがいると、

 永琳はそういった刺客を排除、及び私の護衛のために来た。

 

 

「――でも姫様の罪が許された話が一個もない。

 肝心要のとこを言っていない。わざとらしくぼかしてる。

 それは姫様というよりは八意永琳に原因があったりしてね?」

 

 

 からかうように語る彼女に永琳は沈黙する。

 さらにてゐは続ける。

 

 

「姫様が地上に降りてから、問題が発生した。

 問題が生まれたけど姫様を月に戻せば元に戻る。だから――」

 

 

「ウサギ、それ以上喋ると… 射るわよ?」

 

 

「おお、怖い恐い。臆病でひ弱なウサギは黙るとしましょうかね~?」

 

 

 永琳に睨まれ、てゐは黙る。

 そこにボーボボが…

 

 

「やれやれ、お前は馬鹿か…?」

 

 

「一応、これでも賢者と呼ばれているんだけど?」

 

 

「賢者だから何だ? 月がどうした? 

 お前の言ってることとやってることは… 俺から言わせてもらえば

 誘拐、強迫、犯罪を正当化してるに過ぎん」

 

 

 何かを言おうとして口を開きかけたが、

 何か思うとこがあったのだろうか、一度口をつぐんで…

 

 

「次の満月、本隊が来るわ… 文字通り力づくで連れ去るでしょうね。

 そこにかぐやの意思はないわ――」

 

 

 彼女は自嘲気味に「私の意思も、ね…?」と付け加えた。

 

 

「輝夜よ、お前はどうしたい?」

 

 

「私の意思に変わりはないわ。あなたたちを元居た時代に送り返す。

 仕事を途中で投げ出すなんて、カッコ悪いでしょ?」

 

 

「俺たちの意見は決まったな…?」

 

 

 永琳を除く全員が軽く頷く。

 

 

「「 次の満月に来る本隊をぶっ潰す! 」」

 

 

 ――と。

 

 




 
 (´・ω・)にゃもし。

 年末年始は忙しいので → 投稿しました。

 遂に永琳が来ました。
 そしてニンジャ=ゲッコウが退場。切ない。
 でも相手が悪すぎた。仕方ない。

 ここまで読んでくれてありがとうです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。