変身した怒んパッチは強かった。
その力で天の助を解放。
しかしフェニックスはコロセウムの力を使ってパワーアップ。
しっぺを腕に喰らって身体中に刀傷をつけられて倒れる!
全身につけられた刀傷のせいで出血。それに
その影響は早くも目に見えて現れる。
それでもなお立ち上がろうと上半身を起こす怒んパッチ。
喰らったのは「 しっぺ 」だけど…
二本の指を立てて相手の腕を叩くあの「 しっぺ 」だけど…
「 いい加減、諦めたらどうだァ…?」
対するフェニックスは不愉快そうに顔をしかめて敗北を催促する。
「 輝夜はなぁ… 」
怒んパッチが片膝をつきながら立ち上がる。
「 赤ん坊のころから見てきたんだよ… 」
うん。間違ってはいないけどね。
正しくは薬品で幼児にまで戻されただけど。
「 そのせいか親心にも似た感情を
それはキサマに倒されたボーボボと天の助も同じだ 」
ボーボボはともかく天の助を上下真っ二つにしたのは怒んパッチ。
「 くっくっく… 天の助、一人殺ったぐらいでガタガタ抜かすなァ…
お前も今すぐ潰してやるよ。あの妖怪のようになァ?」
あんたらはそれでいいのか…?
あと天の助は妖怪ではない。姿形は妖怪そのものだけど。
「 ん? 呼んだ?」
……復活しとる。
「 ちょっと天の助! 手助けしなくていいんですか !? 」
「 メリー… 俺だって力になれるならやるさ…
だが瀕死の俺が今出ていったところで―― 」
もくもくと作業を続ける天の助。
ピンピンしているように見えますが…?
「 ――せいぜい味方の足を引っ張って邪魔をするのが関の山だ。
そんな俺が怒んパッチのためにしてやれること――それは… 」
どこからともなく寿司屋のカウンターのようなものを取り出すと――
「 寿司を握ることだ !! 」
憤怒の形相で次々と寿司を握っていく。
なんで…?
「「 くださいな~ 」」
カウンター前に並ぶ人。人。人。
観客相手に商売してるし…
「 お陰さまで立派なお店になりました♪ 」
木造のお店ができあがっていた。
この短時間で !?
「 ありがとよ。おかげで回復したぜ 」
刀傷がキレイさっぱり消えている。
どういう原理で !?
『 傷だらけのハズの怒んパッチ選手が回復しているんですが…?』
『 友情パワーというやつじゃな… 』
『 はぁ… 』
どこかに目頭を熱くさせて感動させる要素でもあったのか涙をぼとぼと流して答える。
その先代の帝の解答に投げやりな相づちを打つ天狗。
この一連のやり取りを見ていれば首を傾げるのが普通でしょうね。
「 そして俺たちの友情パワーは
両手を前に突き出すと紫色の
その黒色の物体には崩れた人の顔が幾つも貼りついており口から声を発している。
『 …俺よりも…目立ちやがって… 羨ましい…けしからん… 』
絶対、友情じゃない! 妬みとか負の感情だよ!
そんなものがもう一つ。バラバラになったボーボボの近くにも漂っていた。
『 …怒んパッチ…殺すゥ… 怒んパッチ…殺す…コ、コロ…スゥゥゥっ… 』
こっちは明からな殺意!
触れれば体に害しか及ばさないような見た目のモノが解き放たれてリング上空に移動。
雲のように漂い… 顔を生み出しては潰れ――絶えず形をイビツに変形させて
「 怒んパッチ! 俺たちの力の結晶だ! 受け取れぇぇぇぇぇっ !! 」
二つの塊は黒い稲妻となりマットに突き刺ささって爆風を発生。リングを煙で覆い隠す。
やがて煙が晴れると怒んパッチの足下には…
二匹の黒くて細長い魚類がぬるぬるとマットの上で蠢いていた。それは――
ウナギ !? 力の結晶がウナギ !?
「 いや、我輩は電気ウナギイヌですワンワン 」
うち一匹にはウナギにはない四本の足が生えていた…
なにこの生き物 !? ウナギなの !? 犬なの !? どっち !?
「 失礼なお嬢様ですワン。電気ウナギイヌは電気ウナギイヌなのですワンワン 」
わかんないよ!
「 父がイヌで母が電気ウナギなのですワン。
その間に生まれたのが我輩、電気ウナギイヌなのですワンワン 」
スゴいな
怒んパッチは二匹の首根っこを掴むと…
左腕は右脇腹、右腕は右肩の後ろに回して二匹が背後で十字に交差するように構える。
「 ハハハッ。なんだァ? その構えはァ? 怒怒んパッチ・スラッシュ・クロスかァ?」
「 …その派生技だ 」
「 だったら打ってみろォっ!
打てるものならばなァァァっ !? 」
拳を――脚を――膝に――肘を交えつつ怒んパッチに振るわれる暴力。
しかし、その全てを残像を残しながら紙一重に
『 怒んパッチ選手、構えたまま避ける! 避ける! 避ける!
相手の隙を
『 おそらくカウンターを狙っているのじゃろ…
あの " 怒怒んパッチ・スラッシュ・クロス " ですら通じなかった相手じゃ
最高のダメージを与えられる瞬間を待っているんじゃろ… 』
「 それだけではないな… 」
黙って見ていたソルジャーが口を開く…
「 先ほどの力の結晶は… 悪意、敵意、殺意などの感情を形にしたもの…
あれを携帯することは、すなわち常にその感情をその身に受けるということ。
そしてヤツは怒りを力に変化させて強くなり進化する… 」
" ヤツはカウンターのタイミングを待つと同時に己を強化し力を溜めている!"
…とはいえ怒りによる強化は避け続けなければならない。
フェニックスの剛力は先ほど証明されている。
一発でも当たれば… ただでは済まない。
それにこのコロセウムに仕掛けられている魔方陣がある限り相手は回復、強化する。
一撃で相手を倒すほどのダメージでなければ…
コロセウムの外ならば――魔方陣の外ならば…
攻撃を
両手を起点に黄色い闘気で身体を覆ってその上に電気を纏わせたのだ。
フェニックスの方は筋肉がさらに盛り上がりパワーこそ上がっているものの
スピードは変わらず… むしろ落ちている。
顔中に汗をかき、息を切らせて――
…これは?
フェニックスの変化にメリー、てゐも気づいていた。
「 そうか… 筋肉が肥大化した分、体重も増加してます。
急激な体重の増加に、あれだけのスピードで戦えば疲労も溜まります。
そしてコロセウムの結界は疲れまでは癒さないみたいですね 」
「 それにいくら人間以上に身体が頑丈でも…
これだけの力を取り込んで無事でいられるわけがないし
そもそも妖怪の力を人間が扱えるわけじゃないわね… 」
それに対して怒んパッチは極力、体を動かさずに避けに徹して体力の消耗を避けている。
疲労は判断を鈍らせ思考を曇らせる。
コロセウムの特殊な結界はメリットがあると同時にデメリットを生み出していた。
獣じみた咆哮を轟かせ空気を唸らせて右腕が振るわれる。
大振りの右腕の一撃を相手の懐に潜り込みつつ踏み込んで接近。避ける。
腰を落として、捻りを入れて、バットを振るように
両手の黒い得物を縦横同時に振るわせて――
『 ご注文はウナギですか?
はい、心がぬるぬるするんじゃァァァっ !! 』
十字に交差させて切り裂き、フェニックスの体に黄色い闘気が十字に走り炸裂する !!
ウナギで斬っちゃったよ !?
『 怒んパッチ選手、技の名前はともかく凄い威力です!』
『 やったか !? 』
『 お前はそのセリフを言わないと死ぬ病気でもかかっているのか !? 』
突如ぶちギレた
胸からもうもうと煙を立ち上げて片膝をつくフェニックス。
十字につけられたキズから血を流すものの見る間に塞がっていく…
やはしキズは癒しても疲労までも回復しないようだ。そこへ――
「 この技はゼロ距離からエネルギーをぶつけさせるもので… 怒雷蜂( どらいばち )
というんだがな… 」
両手にはウナギは消えていて… 代わりに掌から黄色いエネルギー球が造り出されていた。
その球体からは青白い電気が駆け回っている。
「 コイツはボーボボと天の助の力に電気ウナギの電力が合わさったモノでな
さらにテメーは炭酸飲料で体を濡らしている… 」
不純物を含んだ水は電気を通しやすくなる。
「 従来の怒雷蜂よりも威力は上になる。
さしずめ名付けるとしたら―――― 」
さらに踏み込んで近づく。
二つのエネルギー球を相手に押しつけるように触れさせる。
そこは怒んパッチが何度も攻撃した箇所。
タケノコソード。怒怒んパッチ・ソード( 炭酸飲料水 )二匹のウナギ。
…あれ? 字だけにするとまともな攻撃が一個もない…
怒んパッチが吼える! 叫ぶ!
『 超 絶 ・ 怒 雷 蜂 !!!! 』
黄色い閃光が徐々に大きくなり二人を飲み込んで、さらにリングを覆い隠してしまう。
青白い雷電が飛び交い、その幾つかが天の助とビッグボディに直撃。痺れさせる。
少し遅れて雷鳴が鳴り響き音という音を強引に消し去る。
轟音が空気を押し出し衝撃波となり地震のようにコロセウムを揺らして天の助の店が崩壊。
「 俺の店がぁぁぁっ !? 」
よほどショックだったのか吐血。糸が切れたかのように前のめりになって倒れる。
やがて怒んパッチが生み出した雷球は弱まって
激しい放電現象もおさまっていく…
あとには片膝をついたまま全身を黒い煤にまみれたフェニックスと
右拳を天に突き上げた白い首領パッチ…
なにそのポーズ…?
そして砂が崩れるように右拳から崩壊。
マットに白い砂の山ができる。
「「 はいぃいぃいぃっ !? 」」
(´・ω・)にゃもし。
エアーシップQやってたスマン。
あとモンハンに備えて一狩りしてた。
コメントとツッコミあるとありがたいです。
ここまで読んでくれて感謝です。