東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 二人組の妖怪を撃退し、ヒャッハー軍団を倒したのも束の間。
 翁と嫗の覇気にあてられ気を失うボーボボたち。
 しかし彼らの正義を愛する心が
 幼いシャイニング・ナイト・プリンセスを守るために
 彼らは今一度戦場に立つ!




満月の決闘

 

 

「昔はどうか知らんが今はヨボヨボの老人だ! 恐れる必要はない!」

 

 

「ボーボボの言う通りだ! コイツらなぞ、この首領パッチ様一人で十分だぜ!」

 

 

 翁は腕を腰の横につけると筋肉が膨張。体が膨れ上がり、上半身の衣服が弾け飛ぶ。

 古傷を纏った鋼のような筋肉の鎧をさらけ出す。身長もボーボボよりも頭一つ大きくなった。

 

 

「「えええぇぇぇっっっ!?」」

 

 

 嫗は背筋がピンと伸び、手足が伸び、白い髪が黒く変色。皺一つない瑞々しい肌に変化。

 黒髪を腰まで伸ばした目つきの鋭い若い女性になった。

 

 

「「こっちは若返ったぁぁぁ!?」」

 

 

 驚く私たちを尻目に、翁は指を三本立てて

 

 

「あいにく、この姿でいられるのはたったの「三日」だけだ。

 その間に決着をつけさせてもらおう」

 

 

 三日!? 十分足りるでしょ!? 

 

 

「聞いたか首領パッチ、天の助! なんとかして三日間耐え抜くぞ!」

 

 

 コイツらバカ!? 

 

 

「まずは首領パッチ! お前が一人で行け!」

 

 

「ええ!? ちょっ待って!」

 

 

「待てん! 客は1mmたりとも待たせてはならない!」

 

 

 長いヒゲを生やした料理人の格好になると首領パッチをフライパンで

 翁と嫗のところに打ち込んだ。

 

 首領パッチは飛ばされながらも「ボーボボ、てめぇ!? あとで殺す!」喚きつつ

 翁と嫗の元に飛ばされ

 

 

『翁のおきナックル!』

『嫗のおうナックル!』

 

 

 二つの拳が首領パッチの顔面に突き刺さる。

 「うごぉぉぉ…」そのあまりの破壊力に白目を剥け血を吐き口から魚の骨が飛び出る。

 魚の骨を丸ごと食ったのか、こいつは。

 

 

 翁は首領パッチを片手で掴むと、大きく振りかぶって

 右腕を右から左へ、ムチのようにしならせて首領パッチを投げ返した。

 

 

『翁のおき投げ!』

 

 

 投げられた首領パッチは曲線を描くようにして飛来。

 ボーボボたちへと迫る。

 

 天の助は飛んでくる首領パッチを「なんの!」ラケットで打ち返す。

 ラケットで打ち返された首領パッチは高速で回転しながら山なりに翁の手前に落下。

 

 

 打ち返す必要あるの!?

  

 

 地面に落ちたままにも関わらず回転の勢いは止まらず

 直後、真上に跳び跳ね。翁の遥か頭上へ。

 

 

「婆さん!」

「あいよ、お前さん!」

 

 

 短いやり取りをした後。翁は右手を下げてと嫗がそれに両足を乗せて身を屈むと

 上空の首領パッチに向かって投げる。

  

 高速で飛翔。やがて首領パッチに追い付くと… 両手首を掴み背中に片足の膝を乗せて

 首領パッチを下にして落下し始める。

 

 

『嫗落とし!』

 

 

 地面に激突。落下地点を中心に陥没が起こり、周辺の地面は隆起。

 隕石が追突したようなクレーターを作り上げる。 

 

 

「まずは一人目じゃな…?」

 

 

 砂塵がもうもうと舞い散る中。嫗は口角を上げて不敵に笑い。ボーボボたちに視線を向ける。

 

 

「なにが一人目だって?」

 

 

 首領パッチが腕を組んで偉そうにふんぞり返っていた。

 嫗は目の前の首領パッチと下敷きにしているのと見比べる。

 

 下敷きにしている方は色素が若干薄い気がする。

 嫗の技に耐えられなかったのか、その首領パッチは砕け散った。

 

 

「変わり身の術の(たぐ)いかい? 一体いつの間に?」

 

 

「婆さん。さっき奴の口から骨が飛び出したじゃろ? あれが核じゃよ」

 

 

 そう、首領パッチが殴られたときに口から飛び出した『魚の骨』が核であり

 翁と嫗が相手していたのは『抜け殻』だったというわけである。面妖な。

 そして飛び出した骨にボーボボが黒い液体をかけたら首領パッチになったのだ。

 

 

「腐っても人外の者ってわけかい。人間のようにはいかないねぇ」

 

 

「なぁに、壊れるまで壊せばいいだけのことじゃよ」

 

 

 「俺たちを壊すだと?」一歩前に進み、あの構えを見せると鼻毛を伸ばす。

 首領パッチと天の助もボーボボの隣に立つと

 

 

「悪いがお前たちの実力は見切った! 今度はこちらから行かせてもらうぜ!」

 

 

 地を蹴り、駆けて行く三人。

 ボーボボの鼻毛がさらに伸び、蛇行しながら翁と嫗へと伸ばしていく。

 

 嫗は四指を伸ばした両手を胸の前で交差させると『熊の爪!』爪が伸び

 後ろ向きで後方の竹の幹に飛び乗り、自身の重さで竹を弓のようにしならせ、

 元に戻る力、その反動で空を飛び宙を舞う。

 黒い影となってボーボボたちの頭上、竹林の森を縦横無尽に駆け抜ける。

 

 

「熊の爪真拳奥義『ベアークロー』!!」

 

 

 嫗がボーボボの背後から奇襲を仕掛ける。

 鼻毛を後ろに向けて放つが、嫗の鋭い爪で切り落とされる。

 

 右手を伸ばして迫る嫗の爪に、とっさに両腕を交差させる。

 腕が重なった部分に爪が刺さり、動きを止める。 

 

 

「肉を切らせて骨を断つだ! 至近距離からの鼻毛真拳を喰らえ!」

 

 

 再び鼻毛を伸ばして、うねらせる。が…

 

 

「若いの! 誰か、お忘れでないかい?

 竹取真拳奥義『雨後のタケノコ』!」

 

 

 翁が右手を地面に触れると

 地面からタケノコが生え、ボーボボに向かって飛び

 脇腹に突き刺さり、ボーボボごと竹林の奥へと消えていく。  

 

 

「まだまだ終わりじゃないよっ!」

 

 

 次に首領パッチへと腕を伸ばしたまま飛んでいく。

 「こいつを使え!」天の助がゴングを投げ渡し、掴み取り、盾にするが

 

 

「熊の爪真拳奥義『スクリュードライバー』!!」

 

 

 身体を時計回りに高速回転。きりもみ回転しながらゴングを破壊。

 さらに首領パッチの左こみかみに嫗の右の爪が突き刺さし、抉る。飛び去る。

 首領パッチは血を滴らせながら、ボーボボが消えた方向へと転がっていく。

 

 

「首領パッチが植物状態になってしまったぁぁぁ!」 

 

 

 と、思ったら車イスに首領パッチを乗せてボーボボが出てきた。

 首領パッチの額には包帯が巻かれている。一体いつの間に?

 

 翁と嫗の攻撃はまだ続く。

 二人は地面に手を置くと、周辺にタケノコが生え、上空へと飛んでいく。

 宙でタケノコは成長し、青い竹になり

 そこへ嫗が切り口を斜めにして斬っていく。

 

 

「「 合体奥義『上からマリコ』! 」」

 

 

 鋭く尖った部分を下にして、地上の三人に落としていく。

 

 

「なんの! 幾戦もの戦いを経験した俺たちにこの程度の攻撃など

 目を瞑ってでも、避けられるぜ!」

 

 

 竹槍が降り注ぐ中を

 

 

「よっ!」

「たぁっ!」

「はぁっ!」

 

 

 三人の発する声が響き渡り

 やがて竹槍の雨が止むと。

 

 

「ぜぇぜぇ…」

「はぁはぁ…」

「ひっひっふー」

 

 

 息も絶え絶えで、全身に竹槍が突き刺さった

 ボーボボ、首領パッチ、天の助の姿が… 

 

 

 全部、刺さっとるぅぅぅ!? せめて一本ぐらいは避けなさいよ!

 

 

「しぶといねぇ。次で最後にしてやるよ!」

 

 

 爪を伸ばした両手を空にかざすと「二刀流だと!?」驚くボーボボたち

 

 

「100万と100万で200万パワー!」

 

 

 竹の幹に掴むと限界まで、曲げ、しならせたのちに

 足の力を抜き、竹の反動で上空へと飛んでいく。

 

 

「いつもの二倍の跳躍力が加わって400万パワー!」 

 

 

 竹林の森より、上へと飛び出す。

 満月を背に受けて白く淡い光をぼんやりと放つ。

 

 腰を捻り。腕を大きく振りかぶって

 

 

「そしていつもの三倍の回転を加えれば――」

 

 

 きりもみに回転しながら地上のボーボボたちへと

 月光の光を浴びて、一本の光の矢となる。

 

 

「1200万パワーだ!!」

 

 

 螺旋を描きながら落ちてくる白い光にボーボボは

 

 

「1200万パワーか、俺たちでは敵いそうにないな…

 だが『爪』を武器にしているお前相手なら、この方の相手にならんわ!」

 

 

 アフロが上下二つに分かれて、中からおかっぱ頭の和装の女性が現れた。

 

 

「ネイルアート歴15年。やす子、参る」

 

 

 指と指の間に筆のような小道具を挟み、アフロから飛び出し、嫗の前に躍り出る。

 が、嫗はやす子の胴体を貫き、さらにボーボボの身体に大穴を空けさせて、着地する。

 

 

「ふっ、呆気ないねぇ… 一体、何のために呼び出したんだか?」

 

 

 瞬間。やす子、ボーボボの身体が花びらに変化して空に舞う。

 竹林の森が満開の桜に変わり、空も太陽が顔を出している。

 

 

「「 なんじゃとぉぉぉっ!? 」」

 

 

 翁と嫗。声を出していないが、この私も驚いた。

 その間にも景色は次々へと姿を変えていく。

 

 満開の桜から、新緑の青葉へと変化。セミが鳴き始めた思えば

 今度は燃えるような紅葉に包まれて、二体の熊が顔を出す。

 

 

 ……熊!?

 

 

 二体の熊は二本足で翁と嫗の元へと駆け寄り

 一体が両腕で翁の胴体を締め上げる。

 もう一体は嫗を逆さまに抱き上げ、空中に飛び上がり

 

 翁の頭部に嫗の頭部を叩きつける。

 

 

「「 テディ・クラッシャー!! 」」

 

 

 熊が高度な技を繰り出したぁぁぁ!?

 

 

 さらに場面は変わって、雪が積もった白銀の世界になる。

 辺りには雪ダルマとかまくらがあり、中から二体の熊が

 

 

 また出た!?

 

 

 先ほどと同じく翁と嫗の元へと駆けていくが

 そうはさせまいとそれぞれの顔面に拳を繰り出す。

 

 熊たちは身体を低くして避けると、下半身に体当たり。

 その際に足首を掴み、持ち上げ、その場でコマのように回転。

 翁の足を掴んでいるのは右回転。嫗のは逆回転で回し始める。

 

 数回転したあと、熊たちは翁と嫗の側面を激しくぶつけ合わせて

 

 

「「 テディ・クラッシャー・セカンド!! 」」

 

 

 だから何で熊が高度な技を出すのよぉぉぉ!?

 

 

「ベアークローはお前ごとき残虐超人が使っていいものではない」

 

 

 一体の熊がうつ伏せで重なっている翁と嫗にそう言い放って、かまくらへと戻る。

 

 

 残虐超人って何!? あと普通に熊が喋ってますけど!? あれも妖怪なの!?

 

 

 雪景色は蜃気楼のように揺らぎ始め、ガラスが割れるように砕け散り

 元の竹林へと姿を取り戻す。

 

 

「ジャスト一分だ。いい悪夢( ゆめ )は見れたか?」

 

 

 嫗の爪で胴体を抉り取られたハズのボーボボ。

 しかし、その胴体は嫗にやられる以前の姿に戻っている。

 

 

「い、いまのは一体、何なんだい?」

 

 

 嫗が弱々しく問いかける。

 うん。私も思った。とくに熊。

 

 

「ネイルアートのやす子は、己の腕を10年以上磨き続け… 神の領域まで達した。

 その作品は人の目どころか世界すらも錯覚してしまう」 

 

 

 熊は? どう見ても熊、攻撃してましたけど? あれも錯覚の一種なの?

 

 

「くぅぅぅっ、訳のわからんことを…

 だったら、もう一度やるまでのことよ」

 

 

 嫗が立ち上がり戦闘体勢に入る瞬間。

 嫗の背後に立つ謎の人影が「その爪でか?」…やす子だ。

 

 振り向きざまにその爪で喉元を狙うが、寸でのところで動きが止まる。

 その爪一枚一枚にはやす子が描いたと思われる作品が書かれている。

 

 春の桜。夏の新緑。秋の紅葉。冬の銀世界。二体の熊。

 

 

「 私が手掛けた爪は、美に目覚め、作品が壊されることを恐れるようになり

 姿を保つために己の身を守るようになる。

 無論、攻撃に使われことで作品が汚されることも嫌うようになる 」

 

 

「「 やす子、スゲェ! 」」

 

 

 やす子は、それだけ言うとアフロの中へと戻っていった。

 先ほどの四季の変化は嫗の爪が作り出した幻術なのだろうか?

 

 

「ならば儂一人で片付けるまでのことよ!」

 

  

 両手のひらを地面に叩きつける。

 衝撃で地面が揺れ、局地的な地震を引き起こす。

 その揺れに耐えきれずにボーボボたちは地面に手をついてしまう。

 

 揺れが収まらないまま地面から鋭く尖った竹の先端が

 地面に敷き詰められた状態で飛び出す。

 

 

「 竹取真拳最終奥義『高草群』!」

 

 

 足首までしかなかった竹の群生が、瞬時に竹林の森へと成長する。 

 下から槍で突き上げるようなものだ。それも隙間というものがほとんどなく

 あの三人も只では済まないだろう。場合によっては…

 

 

「トランスフォーム『手裏剣』!」

 

 

 首領パッチの声とともに、竹が伐採されていく。

 竹やぶの中を回転しながら飛来する橙色の手裏剣。

 全ての竹を切り終えると、巨大化。元の首領パッチになる。 

 

 

「あいにく、俺様は身体の大きさを変えられるんでね?」

 

 

 竹の隙間から水色の半固体、ゲル状の物質が集まり合体。天の助になる。

 

 

「俺も忘れてもらっちゃ困るぜ?」

 

 

 さらに上空からは

 

 

「ボーボボ式『ファラオ解骨術』!」

 

 

 ボーボボが身体を頭・胴・腰・両腕・両脚とバラバラに分割して宙に漂っていた。

 

 

「「 もうお前、人間じゃないだろ!? 」」

 

 

 翁と嫗が叫ぶ。

 でかくなったり、若返ったりするコイツらもどうかと思う。

 

 

「人間には、まだ知られていない未知の力が眠ってある!

 俺は努力と修行で開花したに過ぎん!」

 

 

「「 イヤイヤイヤイヤ、ムリムリムリムリ!! 」」

 

 

 手をパタパタと振って否定する。

 努力と修行で身体が分割できるものなのだろうか?

 

 

「首領パッチ! 天の助! 今度は奴らに俺たちの息の合った連係プレーを見せてやるぞ!」

 

 

 「集骨!」の一言でバラバラになったボーボボの身体が一ヶ所に集まり

 そこに首領パッチ、天の助が加わる。

 三人の全身が白い光を放ち。その光は大きくなり、夜を一瞬だけ昼に変える。

 

 光の収まった後には三人の代わりに人の身長の十倍ほどの大きさの

 黒と黄金の身体に赤い翼を持った鋼の巨人が鎮座していた。

 

 

「核熱造神『ヒソウテンソク』見参!!」

 

 

 連係プレー関係ない! というか何この人型兵器!?

 

 

 胸部の部分がスライドして中から正八角形の八卦炉が飛び出し

 中心部分から七色に輝く光線を撃つ。

 

 

「必殺『マスタースパーク』!!」

 

 

 光線で吹っ飛ばされ夜空の星になる翁と嫗。

 

 

「「やなかんじー!」」

 

 

 その後をヒャッハー軍団が「親父、お袋!?」地上を走って追いかけていく。

 ヒソウテンソクは腕を組んで彼らが去った方向に体を向けると

 

 

「正義は「これが「やった」俺たちの」勝つ!」

 

 

 一つしかないヒソウテンソクの口から三人が一斉に喋り出す。

 

 

 統一しなさいよね…

 

 

 

 




 

 こうして山賊集団『 竹取りの翁 』を倒した核熱造神『 ヒソウテンソク 』
 ありがとう、ヒソウテンソク! 僕らのヒソウテンソク!
 

 

 (´・ω・)にゃもし。

 ここから連載という形にしようと思う。
※嫗の爪は竹林ということなので、あの人です。
※翁のはモンハンの竹林のアイツですね。睡眠が厄介です。
※他にもいろんなところに…
※核熱造神『 ヒソウテンソク 』説明はいりませんね。
※翁と嫗はもはや別人なのでオリキャラタグ入れておこう。
 ヒャッハー軍団もいるし

※カッコと空白部分を修正しました。

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