東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 天の助にゴースト・キャンパスという技で首を捻り切ろうとするフェニックス。
 ボーボボのカットを妨害するマリポーサ。
 しかしボーボボの「足かっくん」で撃破する。
 そして… てゐの「貴族たちの目的は月では?」という憶測。



最後の貴族

 

 

 月人たちは時折、地上の権力者と接触することがある。

 彼ら貴族たちが月の民の存在を知っていても不思議ではない。

 

 

 実際フェニックスは月人たちの遺跡を知っていたし…

 ゼブラに(いた)ってはバイクマンという乗り物を持っていた。

 盗まれたあげくに破壊されたけど。

 

 

 月の文明は地上よりも遥かに進んでいる。

 彼ら貴族たちからしてみれば喉から手が出るほど欲しいのでしょう。

 

 

( 姫様。詳しい話はあとにした方がよさそうだね )

 

 

 てゐが軽く指差す先にはソルジャーとマリポーサ。

 リングから降りる彼らを待ち構えていたのは…

 薬を手にしたビッグボディとゆっくりたち。

 

 

「 さあ早くこの薬を飲むん… 」

 

 

「 飲むか!」

 

 

 (すね)にローキックをかます妹紅( もこう )

 地味に痛いのか蹴られた部分を両手で押さえながら地面を寝転がる。

 さらにボーボボがそれに便乗して…

 

 

  " 命令通りに可能な限りに痛めつけて任務完了しました。輝夜大佐… "

 

 

 私そんな命令出してない!

 

 

 片膝をマットにつけて私に(うやうや)しく頭を下げるボーボボ。

 その言葉に反応して睨みつけてくる妹紅。

  

 

 ゆ"る"さ"ん" …って感じで睨んでいるんですけどォォォっ !?

 

 

「 ボーボボさん! それよりも早く天の助を助けないと!」

 

 

 メリーがボーボボを急かす。

 そういや天の助の頭が大変なことになっていたことを思い出す。

 

 

「 わかっている! だがこの… 」

 

 

 ボーボボの体というか骨には先ほどまでになかった亀裂が生じていた。

 苦しいのか片膝をマットにつき胸のところを押さえている。

 

 

『 ボーボボ選手の体にヒビが入っている !? これは一体 !? 』

 

 

『 強力な技にはその分… 反動で自分自身にもダメージを(こうむ)るのもある。

 おそらくアレもそのうちの一つなのだろう… 』

 

 

 足かっくんで !?

 

 

「 このぼろぼろの状態では返り討ちが関の山! まずは回復に(つと)めねば !! 」

 

 

 …とリングの上で布団を敷いて豪快なイビキをかきながら寝入ってしまった。

 

 

「「 おいっ !? 」」

 

 

 □ 守護者休息中 □

 

 

「 復活!」

 

 

 敷布団を跳ね退けて骨の状態から元の姿に戻ったボーボボ。

 

 

 なんで !?

 

 

「 寝ることによって無駄な動きをなくして、体力の全てを回復に回して… 」

 

 

 メリー !? 真顔で何を言っているの !?

 

 

「 復活したところ悪いが手遅れだ!」

 

 

 今までゆっくりと天の助の体を(ねじ)っていたフェニックスが…

 

 

 

 

『 ゴースト・キャンパス・フィニッシュ!』

 

 

 

 

 高速で回転。天の助の首が捻り千切られ。首と胴体が分離。さらに…

 

 

 

 

『 おい磯野! サッカーしようぜ! お前がボールな www 』

 

 

 

 

 メガネをかけた少年が坊主頭の少年の腹部を蹴りあげる光景を背景にして

 天の助の胴体にミドルキック。

 

 

「「 技名が酷い上に背景はもっと酷い !! 」」

 

 

 吹っ飛ばされた身体がボーボボと激突。

 天の助の胴体が砕け… 幾つもの塊となって散らばる。

 いつもなら欠片同士で結合して人型になるのだが…

 

 

「 さすがに頭がなければ復活もできまい!」

 

 

 肘を伸ばした右腕。その右手にあるのは…

 白目を剥いた天の助の頭部が(かか)げられていた。

 

 

「「 天の助 !? 」」

 

 

 フェニックスはズボンのポケットからカプセルのようなものを取り出して

 スイッチを押してマットに軽く投げると煙が発生。

 中から『 大魔王封じ 』のお札が貼られた炊飯器が現れる。

 炊飯器を開けて――――

 

 

 

 

『 魔封波だっ !!!! 』

 

 

 

 

 その中に天の助の頭部を突っ込む。

 

 

「「 入れただけじゃん !? 」」

 

 

 蓋を閉じて『 ねねね封印 』と書かれたお札を貼ると

 煙となって小さなカプセルになる。

 それを口の中に入れて呑み込んでしまう。

 

 

「 安心しろ。試合後には出してやる 」

 

 

 勝ち誇ったような顔を私たちに向けるフェニックス。

 

 

「 くうっ… 俺がもう少し早く駆けつけていれば… 」

 

 

 対照的に悔しそうに顔を歪めるボーボボ。

 

 

 まったくだよ…

 

 

「 キサマを倒して天の助を解放するまでのことよ!」

 

 

 フェニックスに向かって二本の鼻毛を伸ばすボーボボ。

 身を(かが)めながら疾走。鼻毛が頭上を(かす)めるものの回避。接近。

 

 

「 ボディがお留守だぜ?」

 

 

『 フェニックス選手の強烈なボディブロー!』

 

 

 右腕の半ばまで胴体に突き刺さる。めり込む。

 フェニックスと比べて身長も体重もボーボボのが上にも関わらず

 ボーボボの体が宙に浮く。苦痛で歪む表情。顔中、汗をかき。血を吐く。

 

 

 半時計回りに回転移動。ステップ。ボーボボの後ろに回り込み

 背後から腰に抱きつくように両腕を回して組んで――――

 

 

『 ジャーマン・スープレックスだ~~~ !!!! 』

 

 

 体を後方に反らしてブリッジ。

 ボーボボの頭をマットに叩き込む。

 

 

『 いや… あれはただのジャーマン・スープレックスじゃない!』

 

 

 両手のクラッチを外さぬままフェニックスがマットを蹴って後方回転。

 再度ボーボボの頭をマットに叩きつける。

 

 

「「 連続ジャーマン・スープレックスだ !! 」」

 

 

 さらにもう一回転。両足から着地。そこからマットを蹴って跳躍。

 空中でボーボボの体を上下逆さまに回転。重力でくの字に折れるボーボボ。

 腰を掴んでいた腕を解放。手首を掴む。

 さらに両脚、両足首をボーボボの膝の裏辺りに当てて

 ボーボボの足をハの字に体を限界まで折りたたむ――

 

 

『 フェニックス選手! ボーボボ選手をくの字に折り曲げて

 両手両足をクラッチしたァァァっ !! この技は一体 !? 』

 

 

『 マッスル・リベンジャーだっ! 一気に勝負をつける気じゃな !? 』

 

 

 

 

 落下。

 

 

 

 

 その先にあるのはコーナーポストの頭。

 ボーボボの頭をそこにぶつける気だ。

 

 

 

 

「 うわ――ッ! 動けない~~~ッ !! 」

 

 

 涙を流しながら頭を左右に振るボーボボだが…

 一転して口の口角を鋭角につり上げて

 

 

「 ――とでも言うと思ったかマヌケがァァァっ !! 」

 

 

 接触する間際。激突する瞬間。

 ボーボボのアフロが開いて中から右足が飛び出す。防ぐ。

 

 

 ――――が…

 

 

 アフロから出ている右足にヒビが入る。

 そこを起点に植物の(つた)ようにボーボボの全身へと伸びていく。連鎖する。覆う。

 やがて陶器が割れるような音を立ててガラスのように()()()()が砕き散る。

 

 

「「 防いでいねぇぇぇっ !!!! 」」

 

 

『 ボーボボ選手、文字通りバラバラになった~~~!』

 

 

『 これで輝夜チームには戦えるモノはいなくなった。貴族チームの勝利じゃな… 』

 

 

 放送席から流れてくる声はボーボボたちの敗北の報。

 心なしか先代の帝の声には落胆を感じ取れる。

 

 

「 ボーボボたちがやられるなんて予想外だわね… どうする? 姫様? 」

 

 

「 この場合フェニックスと結婚なんでしょうか…? 」

 

 

 てゐとメリーが心配そうに見つめる。

 彼女たちにとってもボーボボたちの敗北は予想してなかったのだろう。

 

 

「 まずはボーボボたちのケガを理由に結婚を延期。

 アイツらの欲している『 月の技術 』をエサにして交渉。

 すまないね姫様。今のところ、これしか思いつかないよ 」

 

 

「 いっそのこと逃げるなんてのは… どうなんですか? 」

  

 

 ばつの悪そうな顔のてゐに必死になって意見を述べるメリー。

 コーナーポストに立ち握り拳を天に向けるフェニックス。

 観客からのブーイングがせめての救いか…

 

 

 

 

  " 気が早いな。もう勝った気でいるのか? "

 

 

 

 

 コロセウムに響く男の声。

 

 

「 何者だ !? 」

 

 

 振り向くフェニックス。

 忌々しげに視線を送るその先――コロセウムの出入り口に立つ影が答える。

 

 

「 つけものだ!」

 

 

 壁を背にして親指を立てた右手をこちらに向けるのは

 つけものに手足が生えた謎のイキモノ。

 私たちの一行に何度も加わろうとしたアイツだった。

 

 

「「 …………は?」」

 

 

 予想外の珍客に目が点になる私たち。

 

 

 フェニックスは無言でコーナーポストの一つに近づくと

 中から鉄柱を引き抜いて…

 

 

 ――投げる。

 

 

 コロセウムを駆け抜ける細い影。

 つけものに到達。激突。高速で回転しながら上に吹っ飛ぶ。

 頭が天井に刺さり止まる。観客の視線が集中。流れる沈黙。

 

 

「 ふん。ザコが要らぬ手間をかけさせおって… 」

 

 

 吐き捨てるように言い放つ。

 

 

「 だが、ムダではなかったぜ 」

 

 

 リングから聞こえる声。

 コーナーポストに仁王立ちになって立つオレンジ色の物体。

 ソイツはマイクを片手にフェニックスを指差していた。

 

 

「「 首領パッチ !! 」」

 

 

 ただし四人いる。

 

 

「「 ええええぇぇぇぇっ !? 」」

 

 

「 魂でーす 」

「 背後霊でーす 」

「 エクトプラズムでーす 」

「 ドッペルゲンガーでーす 」

 

 

 と名乗ったあと…

 

 

「「 不気味カルテットでーす 」」

 

 

 横一列に並んで足を上下に上げてのラインダンスを披露。

 のちに本体と思われるトゲをしおらせた白い首領パッチに暴行を加え始める。

 白い首領パッチが助けを求めるように手をこちらに向ける。

 

 

「 く、くるしい… 」

 

 

「「 自分で自分を苦しませるなっ!」」

 

 

 どうでもいいんだけど何で増えているの… アレ?

 

 

 横にいるメリーとてゐに訊いてみる。

 

 

「 薬の副作用か何かじゃないでしょうか… でも首領パッチだし… 」

 

 

「 まあ… 首領パッチだからね 」

 

 

 納得できない答えだけど… なぜか納得できてしまう。

 

 

『 毒で倒れていた首領パッチ選手が復活!

 試合がどう転がるのか、わからなくなりました!』

 

 

『 だが短時間で毒が抜けきるとは思えん。

 そこを人数でカバーしているというわけじゃな… 』

 

 

「 ゼブラに負けるヤツが… ゼブラより強い俺に勝てるわけがない!」

 

 

 いやいや、マトモに戦う前に自分の仕掛けた毒で自滅したんですけど?

 

 

 近くにいた一人目の首領パッチにボールを蹴るようにローキック。

 蹴飛ばされた先にはコーナーポスト。避けきれずに頭から衝突。マットに横たわる。

 

 

「 ひ~! 首領パッチがやられたぞ !? 」

「 このままじゃ俺たちも首領パッチのようになるぞ !? 」

「 どうするんだよ !? 首領パッチ !? 」

「 落ち着け! 首領パッチと首領パッチ!」

 

 

 「 首領パッチ、首領パッチ 」うるせぇぇぇっ !!

 

 

 殴る。蹴る。目潰し。等々して全ての首領パッチをマットに沈めたフェニックス。

 一体の首領パッチが「 目が… 目が… 」と転げ回っているが…

 さすがに精神的に疲労しているようで肩で息を切らしている。

 

 

 いや、あと一人。白い首領パッチが残っている。

 

 

 無言で振るわれる剛拳。勝ちを確信した表情。

 

 

 

 

 パシッ… 

 

 

 

 

 軽い音を立てて拳が受け止められた。驚愕する一同。

 

 

 

 

  " オレってヤツが許せねえよ "

 

 

 

 

 リングに静かに聞こえる首領パッチの声。

 全身の(しお)れたトゲが元に戻り…

 毒の影響で白く変色した身体がオレンジ色に戻る。

 

 

「 毒が抜けきったというのか !? だが今さら… 」

 

 

 言い終える前に拳が頬にめり込む。中断される。

 マットに叩きつけられるフェニックス。

 すぐさま体勢を整え離れる。

 

 

 首領パッチはさらに変化する。

 

 

 両手首には黒い布が現れて身体が金色に変化。

 

 

 

 

  " オレは怒んパッチ。キサマを倒す者だ "

 

 

 

 




 

 (´・ω・)にゃもし。

 なんとか連日投稿間に合ったかな?
 様子見だね。結果次第でこのパターンになるかもです。

 ここまで読んでくれてありがとうです。
 コメントとツッコミがあると助かるです。かしこ。


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