東方かぐや姫 竹取ボーボボの物語   作:にゃもし。

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 タツノオトシゴ、シャチ軍曹を犠牲にしながらも
 ゼブラから勝利をおさめた天の助。
 もはや戦える状態とはいえない彼に


 残虐技キャンパス・プレッサー


 二つ折りにされたリングの間に挟まれて潰されてしまった。




炎使いの貴族

 

 

 二人の貴族( 自称 )による両端からのドロップキックで二つ折りにされたリング。

 そのリングのマットにはボロボロの天の助と意識不明の首領パッチが取り残されていた。

 

 

『マリポーサとフェニックスのツープラント技が炸裂ゥゥゥ!

 リングが真っ二つゥゥゥゥゥっ!!』

 

 

『ロープを利用した技は数あれど… リングそのものを使ったのは初めて見るわい!』

 

 

「…って、あんなのいいんですか!?」

 

 

 憤慨するメリー。気持ちはわかるけど…

 タツノオトシゴを武器として使ってたのよ?

 

 

 リングの端と端を繋ぎ合わせ(くさび)のように止めていた二人が飛び退く。

 二つ折りに閉じられたリングが開いて… 中にいた二人が解放される。

 

 

 二人は床に貼りつく紙のように潰れていた。

 

 

「待っていろ! 今助けるぞ!」

 

 

 リングの外にいたお陰で難を逃れたボーボボが空気入れを手に二人の元へ駆け寄る。

 ホースの先を天の助の口に突っ込ませて、ハンドルを思いっきり下に一度押す。

 

 

『友情のところ風船!』

 

 

 シリンダーの中の空気がホースを通って天の助の体内へと送り込まれる。

 空気が体内に入っていき風船のように膨らんで宙に浮き…

 

 

 

 

 パン!!

 

 

 

 

 破裂音とともに(はじ)ける天の助。

 水色のゼリー状の欠片がリングに飛び散る。

 破裂音のあとの無音が時間が止まったかのような感覚を引き起こす。

 

 

「「一回で破裂したァァァっ!?」」

 

 

 バラバラになった天の助の欠片が中央に集まり人の形を型どっていき…

 身体をところどころ欠けながらも復活する。

 肩で息を切らせ… その顔は疲労困憊の色を隠しきれない。

 

 

「助かったぜ。ボーボボ…」

 

 

 どこが!? ボーボボのせいで破裂しましたよ!?

 

 

「噂以上の再生能力だな…」

  

 

 背後に立つ人影はフェニックス。

 彼は天の助を後ろから羽交い締めにすると、その体勢のまま跳躍。

 さらに後方に宙返り上下逆さまになり…

 

 

 

 

  " ゴースト・キャンバス!! "

 

 

 

 

『フェニックス選手、天の助選手の頭をマットに叩きつけた~~~!!』

 

 

『なんという威力じゃい… 頭部がすっぽりマットに埋まったぞ!』

 

 

 それで技は終わらず、自分の身体を限界までに時計回りに捻って…

 

 

 解放。

 

 

 反動する力で天の助の体ごと反時計回りに逆回転。

 ただし天の助の頭部をマットの下に…

 

 

 ()()()()()()()

 

 

 天の助の首の部分がヒモのように(ねじ)られていく…

 このままだと頭と胴体がねじ切られ切断されてしまう。

 ボーボボが巨大なしゃもじで止めに入るが…

 

 

『マリポーサ選手盗んだバイクマンでボーボボ選手のカットを妨害した~~~!』

 

 

 バイクマンという二輪の乗り物に跨がったマリポーサがボーボボを前輪で撥ね飛ばす。

 ボーボボはロープまで弾き飛ばされ、そのままリングの外へ。

 

 

「なんで平安時代にバイクがあるんですか!?」

 

 

 メリーの時代ではあの乗り物はバイクというらしい。

 てゐが予測しソルジャーが補足する。

 

 

「遺跡とかにたまに月の民のモノが残されていることがあるからね。

 あのバイクマンもそのうちの一つでしょうね」

 

 

「ついでにいうとあれはゼブラのモノなんだがな…」

 

 

 ボーボボのあとを追ってリングの外へと飛び出すマリポーサ。

 

 

『 " 園児に注意 " アッパー!!』

 

 

 バイクマン目掛けて園児の格好をしたボーボボが跳躍しつつ拳を振り上げる。

 

 

「 " 園児に注意 " はそういう意味じゃない!」

 

 

 拳がエンジン部分に接触。激突。激しい放電現象が起こる。

 バイクマンがひっくり返りマリポーサが空中に投げ出される。

 

 

『マリポーサ選手の右手から火が!?』

 

 

『あの一族特有の能力を使う気か!?』

 

 

 投げ出されながらも右手人差し指に火を灯してバイクマンに向けて放つ。

 小さな火の粉がバイクマンのボディに触れると火の玉が発生。バイクマンを包み込む。

 数回の小さな爆発を起こしたのちに…

 

 

「俺の出番これだけ!?」

 

 

 と言い残したあとに大爆発。

 破片がボーボボに降り注ぐ。

 衝撃で背中からマットに叩きつけられる。

 

 

 バイクマン… 喋れたのね。

 一言喋っただけで退場だなんて…

 

 

「まさか今のはメラゾーマ!?」

 

  

 体勢を立て直したボーボボがマリポーサの術で驚愕するも

 両足から着地したマリポーサは否定する。

 

 

「今のは " メラゾーマ " ではない」

 

 

「まさか " メラ " とでも言うつもりか!?」

 

 

 

 

  " 今のは『 メラミ 』だ "

 

 

 

 

「微妙につえーな!」

 

 

 よくわからんが最下位呪文ではないらしい。

 彼は右手の指先全部に火を灯すと…

 

 

『 例の技!』

 

 

 ボーボボに向けて投げ放つ。

 

 

「「 名前言えや !! 」」

 

 

 ボーボボの足元付近のマットに着弾。

 囲むように五つの火柱が天に向かって渦を巻いて伸びる。

 

 

 火柱の奥から見えるボーボボの影。

 その影も時間が経つと炎で塗り潰されて見えなくなった。

 

 

 それを見届けてから炎を消すマリポーサ。

 マットの焦げ跡部分が熱で陽炎(かげろう)のように揺らめいている。

 

 

 その中心部にはアフロ頭のサングラスをかけた骸骨が…

 

 

「「 ボーボボ !? 」」

 

 

 私たちの声に反応して振り向く。

 

 

「 どうした !? 」

 

 

 生きとる !?

 

 

「 ボーボボさん! 炎で骨にされたんですけど大丈夫なんですか !? 」

 

 

 メリーに言われて自分の身体を確認するボーボボ。

 

 

「 骨になっとるゥゥゥゥゥっ !!!? 」

 

 

 気づいてなかったの !?

 

 

「 鏡だ! 誰か鏡を持っていないか !? 」

 

 

 ロープに上半身を乗り出して訊ねる。

 あの業火でなぜアフロが燃えないんだろうか…? サングラスも無事だし…

 

 

「 ニンジンならあるけど? 」

 

 

 てゐが首と服の隙間からニンジンを取り出す。

 なぜそんなモノがそんなとこから出る?

 

 

「 おお! あるじゃないかボーボボ・ミラーが!」

 

 

 手に取りまじまじと見つめてから

 額を拭って安堵を漏らす。

 

 

「 ふぅ… アフロとサングラスが無事だ 」

 

 

 そこ重要なの !?

 

 

『 ボーボボ選手肉を削ぎ落とした分パワーが落ちてるのは確実です。

 どういった試合運びになるんでしょうか?』

 

 

『 体重が軽くなった分スピードが上がっとる。

 おそらく素早さを生かして手数を増やしてくるじゃろうな… 』

 

 

 骨になったことにツッコミはないのか…

 

 

「 たかがメインボディをやられただけだ!」

 

 

 ガシャガシャ骨を鳴らしながらマリポーサに襲いかかるボーボボ。 

 普通、骨になるまで燃やされた死にます。

 あとメインボディって何? 

 

 

『 ボーボボ選手! 手刀によるラッシュだ~~~!』

 

 

 左右上段からマリポーサに攻撃を叩き込んでいく。

 一撃一撃が重いのかリングの外にまで音が響く。

 

 

「 バカな… 骨だけだというのに… どこにそんなパワーが… 」

 

 

 頬に冷や汗を垂らしつつ両腕で手刀を捌いて猛攻を凌いでいくマリポーサ。

 

 

「 当然だ! なにしろこの俺は昨今の若者には珍しい " 骨のある男 " だからだ!」

 

 

 違う。そういう意味じゃない。

 

 

『 フシヤマ・ボルケイノ!』

 

 

 マリポーサが腕を交差して受け止めて炎を放出。火に包まれる。

 その熱気にボーボボは攻撃の手を止めて後ろへ後退する。

 

 

「 ならば! 骨すらも残さず灰にすればいい!」

 

 

 さらに温度が上昇。熱気で空気が揺らぐ。

 私たちのところにまで熱が伝わる。

 

 

「 なんという熱量だ! あの炎を消すだけの水量は… 」

 

 

 ボーボボが前を向きつつ片手を背中の後ろに、そこから取り出したのは…

 

 

 

 

 " これだ!"

 

 

 

 

 スチール製のぼろぼろのバケツ。

 その中には水がなみなみと注がれていた。

 

 

「「 無理 !! 」」

 

 

『 鼻毛真拳奥義 " 覆水盆に返らず " 』

 

 

 バケツの水を相手にかけるだけに技名つける必要ないよね !?

 

 

 バケツの底に手をかけて左から右へ凪ぎ払うようにぶちまける。

 マリポーサは全身にまんべんなく水をかけられ… 火が消え水蒸気が辺りに発生する。

 

 

『 マリポーサ選手、技を発動する前に鎮火されたァァァっ !! 』

 

 

 ショボ! フシヤマ・ボルケイノ、ショボ !!

 

 

『 火には水。当然のことだが…

 戦闘中にこれだけ冷静に対処できる者はそうそういるものではない。

 あのボーボボ… 戦い慣れしておる…』

 

 

 何を言っているのこの先代の帝は…?

 

 

「 炎さえなければキサマなど恐るるに足らずだ!」

 

 

 再度、突撃。マリポーサに殴りかかる。

 その手にはところてんが握られていた。

 

 

「 これはキサマの手によって潰れた天の助の分じゃァァァっ !! 」

 

 

 ところてんじゃ無理だよ !?

 

 

 肘を曲げて大きく振りかぶってからの打撃。

 マリポーサのこみかみに接触。

 頭蓋骨が硬い物とぶつかる鈍い音が鳴り、マスクの一部が破れる。

 

 

『 マリポーサ選手、顔面を血で赤く染まった~~~!』

 

 

「「 めっさ効いてる !? 」」

 

 

「 水を高圧高速で射ち出せば鉄すらも貫通します。

 同じようにところてんもやれば… 」

 

 

 何を言っているのメリー…

 そして何処へ向かおうとしているの…

 

 

 血で視界を制限されてダメージで足元がおぼつかない。

 …がその片目はまだ諦めていない。

 

 

「 今のを喰らってまだ立っているとはな… 」

 

 

 喰らったって… ところてんですよ?

 

 

「 車持皇子… 藤原現当主が… 貴族が情けない戦いを見せられるものかっ !? 」

 

 

 焦点の定まらない震える指先をボーボボに向け火が灯される。

 しかし先ほどの炎と比べたらホタルの放つ光のようにおぼろげで頼りない。

 動きも遅い。反応も遅く。ボーボボにあっさりと背後を取られる。

 

 

「 ボーボボさん!」

 

 

「 これで二人目だわね!」

 

 

 首領パッチがやられたときはどうなるかと思ったが…

 

 

「 任せろメリー! てゐ! お前たちが期待するような技を今から見せてやる!」

 

  

 背後からマリポーサの膝の裏に自分の膝を押し当てて曲げる。

 それにつられて相手の脚は曲がり体勢を崩す。 

 

 

『 足かっくん!』

 

 

 いい笑顔で私たちに勝利のVサイン。

 

 

「「 そんな技、期待していないよ !? 」」

 

 

「 ぐはぁぁぁぁぁっ !! 」

 

 

『 マリポーサ選手! 吹っ飛んだ~~~!』

 

 

 口から大量の血液を吐きマットを赤く染める。

 両腕両脚から骨が砕く音。あらぬ方向に折れ曲がる。

 衝撃でロープまで飛ばされる。

 

 

「「 今ので !? 」」

 

 

 それでもロープを掴みながらも立とうとする。

 もっとも… そんな状態で立てるわけもなく。

 足を滑らせ転倒。うつ伏せになってしまう。

 

 

『 マリポーサ選手立てない! このまま終わるか !? 』

 

 

『 全身をひどくやられている。もはや戦えまい… 』

 

 

「 お前の負けだマリポーサ。ときには負けを認めるのも貴族として必要なことだ 」

 

 

 そういって手を差しのべるのは

 

 

「 ソルジャー… 」

 

 

 リングの外で私たちと一緒に観戦してたハズなのに… いつの間に…

 彼は瞳を閉じて思案するも… やがて意を決したのか、ソルジャーの手を取る。

 

 

『 マリポーサ選手、ソルジャーの手を取りました!』

 

 

『 第三者の手を借りた以上、リングから降りねばならない。

 苦渋の決断といえよう… 』 

 

 

 だから、そんなルールは知らないってば…

 

 

 ソルジャーの肩を借りながらもリングから降りるマリポーサ。

 リングの下には黒髪のおかっぱ頭の少女が心配そうに見つめていた。

 

 

「 ん? ああ、あの娘はアイツ(マリポーサ)の娘で妹紅( もこう )だよ。たぶん 」

 

 

 訊いてもいないのにビッグボディが説明してくる。

 たぶんって何だ? たぶんって…

 イヤ、あの娘がマリポーサの娘ならば…

 

 

 既婚しているにも関わらず、この争奪戦に参加した…?

 

 

「 もしかしたら… アイツらは別の目的で姫様に近づいているのかもね 」

 

 

「 てゐさん…? それって、どういうことですか…? 」

 

 

「 うちらの姫様の出身は『 月 』だ。

 姫様を身内に取り込むことができれば… 」

 

 

「 でも姫様はその月から追放されたんですよ? 」

 

 

「 …だが、赦される可能性がある。それに姫様がいれば月人と接触する可能性もね…?

 おそらくあの貴族連中は… 」

 

 

 

 

  " 最初(ハナっ)から『 月 』が目的の可能性がある… "

 

 

 

 




 

 (´・ω・)にゃもし

 長すぎると飽きる。短いとつまらない。
 さじ加減が難しい戦闘シーン。作家ってスゴいね。
 マリポーサなのであの技とか考えましたがやめた。
 
 コメントとツッコミあると助かるです。
 ここまで読んでくれてありがとうです。かしこ。


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