ゲート 元セーラー服の男、斯く地で戦えり   作:オンドゥルッフ

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はいどうも、ブレスクにはまったオンドゥルッフです。今回はイタリカ防衛戦の前編となります。

 今回、台詞の中に渡る世間は鬼ばかり並に長いものがありますので目が疲れるかもしれませんので疲れたら休憩を取りながらお読みください。

 それと自衛官にはふさわしくないかも知れない台詞がありますが、そこはどうか気にしないでください。もし本当に実践だったらこうなるかもしれないと思って書きました。



第4話「たった一人の防衛戦:前編」

 私達は防具の注文を終え、店から出て隊長達と合流してから怒られたのち作戦会議となったが、

 

 「南門を私達だけでとか…敵の数は100とか200ですか?」

 

 「いや、聞いた話じゃあ600だ。しかも敵はアルヌスで戦ったやつの残党だ。」

 

 隊長の話に肩を落とし後ろを見る。南門のすぐ内側に柵があり、

 

 「突破されること前提の門で600人相手に私達13人…ミニガンとか20mm機関砲でも欲しいよ…」

 

 「無い物ねだりしても仕方ないだろ。俺達がやらなきゃならないんだから。」

 

 伊丹隊長はそう言いながら栗林さんから貰った暗視装置を取り付けようとして私は門の外を眼鏡で見張っていた。

 

 「ねえ、イタミ、トオサカ」

 

 「ん~?」

 

 「どうしましたロウリィさん」

 

 私達に突然話しかけるロウリィさんに私は振り向いた。

 

 「どうして敵であるはずの帝国の姫様を守るのぉ~?」

 

 「町の人を守るためさ」

 

 「本当に言っているの?」

 

 「そういうことになっているはずだが?」

 

 「というよりそうですね。鉄やすり持ってません?」

 

 「ダムダムかワッドカッターにするつもりかもしれんがやめろ。あれでちゃんと打てるのは映画だからな?実際やったら銃が暴発して指が全部なくなるぞ。」

 

 「怖っ!?…了解しました。では私は下から62式とミニミ持ってきますね。」

 

 私はそう言いながら降りて車に向かおうとすると

 

 「トオサカ、話がある。」

 

 レレイちゃんに止められ、私は足を止めた。

 

 「どうしたんだい?」

 

 「何故ジエイタイは敵国のはずのピニャ・コ・ラーダの要請を受ける?しかもこんな捨て駒同然の扱いで?それにジエイタイの戦力なら帝国なんてすぐ侵略できるはずなぜこのようなことをする理解不能」

 

 レレイちゃんの質問に私は少し考えて体をレレイちゃんの方へ向けて

 

 「レレイちゃん、自衛隊ができる前、日本は70年ほど前戦争をしたんだ。相手は数も装備も上の大国と、最初は何とかなったが最後の方になると圧倒的戦力差を叩き付けられながらも日本は必ず勝てると…」

 

 「門の向こうにはニホンより大きな国が…」

 

 「まあ、その最後の方じゃあレレイちゃんと同じくらいの男が無理やり軍に徴集されたり、女の子も弾丸を作ったりした。そして相手の攻撃で多くの人が死んで負けた。そして学んだんだ。戦争なんかしてもいい事なんて何もない。もし勝てたとしても悲しい気持ちしかない。でも守る力がなければ蹂躙させられ搾取されるだけだ。」

 

 「だからニホンは…」

 

 「ああ、戦争は仕掛けない、護るための戦力の自衛隊ができたわけ…まあ、これは私の憶測なんだけどね。それに話を分かってもらえるならウチ(自衛隊)と戦をするより仲良くしてもらった方がいいとわかってもらいたいからね~~」

 

 「なるほど、参考になった。ありがとう」

 

 「どういたしまして…それと上の神官さんは勘違いしそうだけど話を分かった貰うって脅迫の類ではないからね!もしそういう解釈が日本まで知られたら野党の方々に批判されてしまうよ。そう、上のハイテンション神官に伝えてくれない?」

 

 と上で「恐怖!」とか「あの姫様に見せつけるのね!」とはしゃいでいる合法ゴスロリに見えないよう指を指しながら言うと、レレイちゃんは首を横に振り

 

 「エムロイの神官にそれは無理。私だって死にたくない。」

 

 「そうか~~~しゃあないね。しかしロウリィさん、あの子?に銃を持たせたらトリガーハッピーになりそう。」

 

 私はレレイちゃんと別れ車から銃を取り出すと町民の人が一人来て

 

 「トオサカさん、盾が10個できたそうですがどこに持っていけばよろしいでしょうか?」

 

 そう言ってきたので、

 

 「そうですね。(北門は切り立った崖が多いから除外南門は私達がいるから要らない、残ったのは東門と西門だけど…)東門に6個、西に4個で、追加でできたら東門を多めにお願いします。」

 

 と伝えた。すると町民は

 

 「南門はいらないのですか?いくらあなた方が強いとはいえ…」

 

 恐る恐る尋ねてきた。私は

 

 「これは私の推測なんだけど、敵は一度南門の構造を知っているみたいだし、数も少ないから広い南門は来ないはずなんですよ。そして襲ってくるなら集中力が切れかける日の出近くか日の出とともに来るかもしれない。それと、西はもしかして陽動で来るかもしれないからかな?」

 

 「なるほど…」

 

 「そういうわけで東門を多めでお願いします。それと城壁には石でも瓦礫でも油でも糞尿でもいらないものならなんでもいいから用意して、なるべく白兵戦はしないように伝えてください。」

 

 「へ~戦の事よく知っているんですね~。」

 

 「いやいや、これは書物にあった戦法を使っているだけですよ。盾とかなら矢よりも石とかの方が効果的の筈ですし、矢にも糞をつければ即席の毒矢にでもできますからね。」

 

 でも騎士の人達はやりたがらないだろうな~と思い、無理のない範囲で用意しておくよう伝えるよういうと村人さんは

 

 「分かりました!それでは失礼します。」

 

 「気を付けてね~それと梯子は外すだけで壊す必要はないことも伝えてください!」

 

 町民を送って私は銃の射全点検をして用意して時間が過ぎ腕につけているGショックを見ると日が変わり、襲撃の可能性が高くなることに気合を入れ直していると

 

 「失礼、トオサカ殿はこちらにおられますかな?」

 

 ハゲ頭の体格のいい騎士の人が門まで来ていた。私に用があるみたいだが心当たりが…うん、ある。取り敢えず知らないフリをして

 

 「私が遠坂です。いかがなさいましたか?」

 

 「私はピニャ殿下の部下のグレイともうします。ピニャ殿下があなたの知恵を借りたいそうなので来てください。」

 

 グレイさんの言葉に私は隊長の方を向いたが、逝ってこいとばかりの笑顔とサムズアップをしてきた。普段だったら地獄な兄貴みたいに「今、俺の事を笑ったな?」と言って殴りかかるけど、てかしてた。

 

 今はそんなことしている暇は無いので私のミニミと62式を持ち、古田陸曹から無線機を渡され、64式を肩にかけてからグレイさんの後についていきピニャ殿下のいる陣まで向かうと

 

 「来たかトウサカ殿、貴公に来てもらったのは他でもない。盾の件と瓦礫等の件だ。」

 

 「あぁ、やっぱり…勝手な事をしてしまいましたか?」

 

 と恐る恐る尋ねると

 

 「いや、とんでもない。確かに民兵に兵士相手に剣や槍で戦えと言うのは酷だ。しかも龍の鱗で作った盾を無料で配ってくれた。これは普通では考えられないことだ。一体何が狙いなのだ?」

 

 ピニャ殿下はそう睨みながら私に尋ねた。私は最初意味がわからなかったので

 

 「狙い?そうですね…出来れば防具を注文する際少しまけてもらえたらな~、でも本来はレレイちゃん達の自活の為に必要な鱗の換金目的ですから手数料を控え目で換金してくれるといいですが、実際になったら私達が脅したと思われて、上から怒られてしまいますがね。」

 

 そう言うとピニャ殿下はポカンとした後難しい顔になり、

 

 「(ジエイタイというやつらは欲がないのか?いや、このイタリカ程度では足りないというのか?最大限の利益を獲得するまで手を出すなとは、なんという考えなんだ!?)」

 

 なんか凄く考えているがあまり私達に良くなさそうなので

 

 「あの~ピニャ殿下、特に用事がなければ元の配置に戻らせてほしいのですが…」

 

 「あぁ、すまない…だが戻る前に一度東門に行ってくれないか?」

 

 「ウェッ!?」

 

 「トオサカ殿、すみませんが実際に東門へ行ってもらい、色々と教えていただきたいのです。」

 

 「え、ええっと…隊長に許可をいただかないと…」

 

 「今から南門に行ってからでは遅い!イタミ殿達には後で妾が言っておくから!さぁ妾は馬を用意してもらってから行くため、先に行ってくれ!」

 

 とピニャ殿下は私達を置いて出ていかれた。そのはしゃぎように私は心の中でのみピニャ姫様に変える事にした。ふと時計をみると0200を指してげんなりしていると、

 

 「すいませんな。殿下は昔からああいう人でして…」

 

 グレイさんは自分の頭を撫でながら言った。きっと昔からピニャ姫様の下にいて心労で禿げたんだろう…飲む毛生え薬でも手に入ったらあげようかな?と相手に失礼かもしれない事を考えてながら東門へ歩いていると

 

 『遠坂、遠坂、此方古田、応答しろ。』

 

 私のところから声が聞こえ、無線機を貰った事を思いだし、声が大きくなりつつあることに慌てながら

 

 「ディ、This is 遠坂、オーバー!」

 

 『やっとでたか…なぜ英語?』

 

 「ついトランシーバーみたいな無線の応答の最初は英語という癖が中々取れなくて…後、まだ南門には帰れそうに無いです。」

 

 『な、何故!?』

 

 古田陸曹に東門の私のやった小細工のことをピニャ姫様に説明しろと言われ、しかもこっちの了承なしで勝手に行く事を伝えると、ため息をつかれ

 

 『隊長からいつ敵襲があるかわからないから早めに終わらせて帰ってこい、だそうだ。』

 

 「了解、では無線を一度切りますね。」

 

 『あぁ、きをつけてな。』

 

 私はそう言いながら無線を切ると地面に置いたミニミをもう一度持ちグレイさんと東門へ向かった。

 

 東門の近くの建物の屋上にいこうとしたとき

 

 「東門に敵襲だ!」

 

 当たってほしくない報告と東門からあがる喧騒が聞こえてきた。

 

 ~~~~

 

 「…以上が遠坂海曹の報告です。」

 

 「あの姫様、遠坂も元々敵なの忘れたのかしら?」

 

 「それには同意、しかし遠坂もちゃんと断ればいいと思う」

 

 「やっぱりあの姫様にはイタミ達の恐怖を身をもって知って貰った方がいいわよ~~。」

 

 古田の報告にテュカ達は言っていたが、まぁ遠坂もNOと言えない日本人だなと感じた。

 

 「しかし、大丈夫なのですか?一人でいかせましたが…」

 

 「大丈夫だと思いたいね。まぁあの姫さんの考え通りならこっちに来るはずだからね~それに日の出の頃には増援も来るからね。東門に来ないことを切に願うよ。」

 

 おやっさんの言葉に俺はそう返すと

 

 「やはりそれは遠坂海曹は身内だからですか?自衛官として身内贔屓はいかがなものかと思います。」

 

 と栗林は冷たい目で俺を睨んでくる。俺は

 

 「まぁ確かに良くないが、遠坂の一家には色々とお世話になったし色んなことで助けられたから、もし長男のアイツに何かあったら、俺は一生日本に帰れなくなっちゃう。しかもアイツは他の海自隊員がいないなかでたった一人でやってるから辛いだらうからな…」

 

 「そうなんッスか。でもやりにくいのに納得ッス。」

 

 「私も狭間陸将から気を使ってやってくれと言われました。誰も栗林のように強くないんだ。」

 

 「すいませんでした…。」

 

 おやっさんからの意外な援護に栗林は謝ったが俺は手で制し

 

 「謝んなくていいよ。実際そう取られてしまう行動を何回かとってしまったから、むしろ指摘してくれてありがとな。」

 

 「い、いえ…」

 

 「さて日出まで後少しだ。気を引き締めよ…」

 

 俺は皆を見渡しながら声をかけようとすると

 

 「隊長!あれを!?」

 

 「嘘…まさか…!?」

 

 突然黒川が驚いた顔である方向を指差した。俺達はその方向を急いでみると、激しく燃える炎らしき光と煙が“東門”から上がっていた。

 

 「どうして!?なんでぇこっちじゃないのぉ!?」

 

 「チッ、古田は遠坂と連絡!遠坂には敵の数、状況報告を最優先で行わせ、戦闘行動は控えるよう伝えろ‼他の奴はこっちに敵がきて確認!それと誰か姫様から救援要請を貰ってきてくれ!」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 俺は指示を出し、皆は即応してそれぞれ行動していく、俺はテュカとレレイにここで待機しておくよう言うと、ロゥリイの様子がおかしい事に気づいた。

 

 近づこうとするとレレイに止められた。レレイの説明を三行に纏めると

 

 死んだ人の魂はロウリィの体を通して昇天する

 

 その通る際にロウリィの体に快感を与える

 

 びゃあああ、我慢できないいいい!

 

 との事らしくロウリィは身をよじらせ、ハルバードを振り回して城壁やら土嚢を八つ当たりすかのように壊す。あのハルバードに当たったらと思うと背筋が冷えた何かが通った感覚がした。

 

 「あぁ、いやぁ!アァン!」

 

 「え、エロいッスね…」

 

 「たったら終わりたったら終わり……」

 

 ロウリィの喘ぎ声に男たちが耐えていると

 

 「おい、待て!俺達が行くまで待機していろ!」

 

 古田が無線に向かって叫んでいる。その様子に俺はあることを思い出した。

 

 「遠坂は東門に向かっていた…まさか」

 

 「一人で行動するな!やめろ遠坂‼…遠坂!?くそっ!?」

 

 「古田どうした!」

 

 無線から顔を放した古田に俺は声をかけると

 

 「隊長…遠坂からの報告で、東門に敵のほほすべてが攻めてきて、城壁にいた指揮官は戦死、門は突破され今は別の人が指揮をとり混乱をおさめているようです。」

 

 「分かった…遠坂は?」

 

 遠坂の事を尋ねると古田は目を閉じて顔を下に向け

 

 「…現地住民達のお願いで隊長達が来るまで一人時間稼ぎを…最後に謝罪したのち、無線を切られました…」

 

 古田はそう言いきり、皆が静かになった少し後に東門から機関銃の射撃の音が聞こえてきた。

 

 ~~~~

 

 「斥候が南門に来たからこっちにはこないと思ったのに…」

 

 「トオサカ殿の予想が当たりましたな。」

 

 「こっちとしては当たって欲しくなかったけどね…」

 

 「南門の仲間達にはその箱(無線機のこと)でつたえないのですか?」

 

 「伝える前に敵の数と状況を伝えないといけません。まず敵が見える位置かあなたの部下に会わないといけません。」

 

 東門へ通じる路地で私とグレイさんは話し合うと門の方から正規兵らしき一人の男が走ってきて、私達の前に止まると、

 

 「東門に、敵襲!数はほぼすべてが来ています。それと指揮の騎士ノーマは戦死しました!」

 

 「な、なんとノーマが……」

 

 兵士の報告にグレイさんは悲しそうな顔をしていたが、私は兵士

 

 「では今、東門で指揮を執っているのは誰ですか?」

 

 「…え?い、今ですか…騎士ノーマの他にいるわけないでしょう!」

 

 兵士の叫びに私は舌打ちしそうになったが、今まで理不尽なパワハラで鍛えられた忍耐力で心の中のみにした。そしてグレイさんの方へ顔を向け、

 

 「グレイさんは急いで東門へ行き指揮を執ってください。指揮官がいなければイタリカの民は混乱するばかりです。敵が余程の馬鹿じゃなければそこを必ずつくはずです。」

 

 「了解した…トオサカ殿は?」

 

 「隊長達に報告、増援を、要請した後向かいます…」

 

 「わかりました……なるべく早くでお願いします。」

 

 グレイさんは頭を軽く下げた後、兵士と東門に向かった。早く来るよう頼まれたが、私は隊長達が来るまで待機するつもりだ。

 

 私は昭和ライダーのように全身を改造されてない。したのは目のレーシックだけだ。

 

 平成ライダーや戦隊ヒーローのような特殊なスーツによる特別な力や、1分間に5000発でて弾切れの心配がない武器もない。ランボーやコマンドーのように機関銃を片手で走りながら撃つなんてこともできない。

 

 ただのこの世界にない武器を持っているだけでこの間まで平和ボケした人間だ。たかが一人で戦況を変えれるわけがない。そんなのグルカ兵でもできない。

 

 「すいませんね…。」

 

 私はボソリと呟いた後、無線機に手を伸ばそうとした時、

 

 「おじさん、“緑の人”の仲間なんでしょ!?」

 

 私の後ろから声をかけられ振り向くとそこには12歳くらいの少年がいた。成人前の子供や老人は確か街の中央付近まで避難させているはずなのにと思っていると少年は近づき、私の服の橋を掴むと、

 

 「お願いだよ。父さん達を助けて‼おじさんは炎龍を退けた“緑の人”の仲間なんでしょう?“鉄の逸物”で倒してよ!」

 

 少年はそう泣きながら私に叫ぶ、鉄の逸物とは恐らく腕を吹き飛ばしたRPGの事とだろうが私は持ってない。その事を言おうとすると

 

 「もう3日以上戦い続けているんだ。姫様は3日後には騎士団が来るなんて言ってるけど、待てないんだ。一番上の兄ちゃんは昨日殺された。二番目の兄ちゃんと父さんは東門にいるんだ。このままだと皆殺されて家がなくなっちゃうんだ!」

 

 少年は私に言わせる間もなくそう叫ぶ。はたから見れば少年の家族のために数百の敵と戦えという理不尽なことかもしれない。でも私は馬鹿だから、目の前で子供に泣かれながら頼まれたら、

 

 「断れないな…」

 

 日本語でそう呟くと、少年から少し離れ機関銃を置いて目線を合わせるようしゃがみ、少年の肩に手を置き、

 

 「私は異世界の兵士だ。神様じゃないから無敵じゃないし、君の願いを全ては叶えられない。」

 

 「そ、そんな…「でも!」え?」

 

 「最大限の努力はするから君は中央の方へ避難しなさい。」

 

 私は少年の肩から手を離し、機関銃を手に取り東門へ向いて歩く。門が見えるとそこには

 

 赤く燃える城門、気味の悪い笑い声を上げる盗賊、引きづられる町娘の死体、バラバラにされたのか頭しかない中年の男性の死体

 

 日本ではあり得なかった光景に私の頭は理解できなかったのか恐怖や嘔吐感を感じず、ただ死体にまでいたぶり、挑発の道具に使う敵に対する怒りのみだった。

 

 私は62を立てかけ、無線機に手を伸ばす。

 

 「南門、南門、こちら遠坂」

 

 『遠坂、こちら南門の古田!』

 

 「報告、東門に敵の全兵力が集中、城壁の指揮官戦死、城門は突破された。現在後任の指揮官が指揮を執っている。」

 

 私は古田陸曹に淡々と報告する。

 

 『な、なんだって!?遠坂わかっていると思うが…』

 

 「私は市民の要請により、隊長達が来るまでの間、敵の戦力を削ります。」

 

 『なっ!?何を言って』

 

 「これより戦闘に入るため無線を終わります。」

 

 『一人で行動するな!やめろ遠坂‼』

 

 「ごめんなさい…以上通信終わり!」

 

 私は無理矢理通信を終わらせると暗視装置と無線を外し近くにいた兵士に渡すとミニミの弾を込め、民衆の中を進んでいく。民は私を見ると道を開けてくれて進みやすくなった。

 

 「へっ、これお前の女だったのか?」

 

 「生きてる間に犯したかったな!」

 

 「首だけ返してやるよ!」

 

 前から盗賊の声が聞こえてきて、柵の外に出そうな青年がいたが、私は柵の前まで来ると62式を置きミニミのグリップを握り柵に銃を乗せ、狙いを軽く定めた後、引き金を引いた。

 

 ダタタタァン!

 

 ミニミから出た5.56mm弾は先頭にいた盗賊の頭に当たり、叫ぶ間もなく倒れた。私はミニミのグリップを握ったまま62式を柵の外側に置き、街の人に柵の外側に出ないよう言った後に出た。

 

 「き、貴様不意討ちとは卑怯だぞ!名を名乗れ!」

 

 盗賊は銃声にビビりながらも剣や槍の切っ先を向けながらそう叫ぶが私は

 

 「アルヌスから来た。ただの通りすがりの元水兵だ。」

 

 自分でも心の中で驚くほど素っ気なく答えるとミニミの銃身近くにあるハンドルを掴み、銃口を向ける。真ん中にいた盗賊達は下がり始めると右の端にいた盗賊が近づこうとしのでそっちに銃口を向け、引き金を少しずつ引きながら右から左へと銃口を変えながら撃ち続ける。

 

 一回で弾の3/1ほど使うと弾に当たった盗賊は死んでるかあまりの激痛にのたうち回る。私はそれを見て怯むかと思ったが、

 

 「気にするな!進み続けろ!」

 

 城壁にいた首領らしき盗賊の号令に突っ込んできた。

 

 「街の人は死にたくなければ私の前に絶対出ないでください!」

 

 私はそう叫んだ後、一人だけの防衛戦を再開した。




 今回書いて思ったのが、G3ユニットとかプロテクトギアが欲しくなるほど無茶がある回になった気がします。

 遠坂「できればG3-Xが欲しい!ってか普通死ねる!」

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