ゲート 元セーラー服の男、斯く地で戦えり   作:オンドゥルッフ

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 ※注意!

 この作品は陸自の隊員の中に色々不遇な海自隊員を無理やり詰め込んだ作品で、参考にしている原作はアニメ版、コミックス版をもとにしているため書籍版しか読んでない方はいろいろ違う部分があると思いますがどうか海のような穏やかな心で見てください。



第1話「特地」

 ~アルヌスの丘自衛隊特地駐屯地~

 

 ザッザッザッ

 

 「銀座と合わせて12万か…ちょっとした地方都市丸々の人口が失われたのか」

 

 「ええ…私たちが言うのもなんですが、酷い有様ですね。」

 

 様々な鎧をつけた大量の死体が焼けた大地を伊丹と遠坂は銃を持ちながら歩いている。死体の多くは昨晩まで駐屯地を襲撃していた軍隊の物で二人は生存者がいないか見回っていたのだ。

 

 「送られた62(62式機関銃)が早速使う時が来るとは思わなかった。」

 

 「ああ、しかしどんな国か知らないが末期症状じゃねーの?」

 

 と歩いていると遠坂はあることに気づいた。

 

 「伊丹2尉、今気づきましたが、ここにある死体たちの鎧には、写真資料にあった古い死体の鎧のほぼ全てにあったマークがないですね。ほらここの部分」

 

 と近くにあった死体の鎧を指さし、同じ部分の写真を取り出し見せる。

 

 「お、本当だな。それといつも通りでいいよ。お前に敬語で話されると鳥肌が立つ。」

 

 「そうですか。それともしこの通りで、最初の敵がこの世界一番の規模を誇る王国で、今回の敵が王国に謀反を企てる軍隊たちとかだったら…私達はその王国の反乱分子の掃除に使われたかもしれないな。」

 

 「…そうかもな。でも、やらなきゃやられるんだ。仕方ないだろ。」

 

 「そうだね…でも仲良くしていきたいですね。」

 

 「そうだな…おっし戻ろうか。」

 

 と二人は駐屯地に戻っていった。

 

 ~駐屯地科員食堂~

 

 「そういえば遠坂君、この世界にケモ耳少女とかいると思うっスかね?」

 

 食堂で私が食事を取っていると反対側で座っていた倉田さんがそう話してきた。私は少し考え

 

 「いないとは…言い切れないかもしれませんね。」

 

 「固いッスね~俺が先任とはいえ同じ3曹同士気楽に話して構わないッス!」

 

 「ありがとうございます。もし、ケモ耳娘がいるような世界だったらいいですがゼロの○い魔だったり指輪○語みたいな世界だったらエルフはいてもケモ耳娘はいないと思うぞ。」

 

 「あ~やっぱりそう思うっスか~でもいたらいいッスよね~因みに遠坂君は好きッスか?」

 

 「モン○みたいな下半身蛇のラミアとかケンタウロスがいれば異世界感があっていいな。それか天○無用G○Pみたいな顔が完全に猫とか犬っぽいのとか」

 

 「うわ~変わってますね。」

 

 「何か耳だけというのは…物足りないかなって…」

 

 「もしかして重度のケモナー?」

 

 「そういうわけじゃないけれど…」

 

 「お、ケモナー談義か?」

 

 と私たちが話しているところに少し疲れた顔のようちゃんが鉄板を持ってきた。

 

 「お疲れ様です。どうでしたか?」

 

 「ああ、明日からこの世界の調査をするらしくて俺もその隊を指揮することになった。名簿をみると倉田と遠坂は俺と一緒になった。」

 

 とようちゃんの話で了解はしたもののふと思った疑問があったので尋ねてみることにした。

 

 「わかりましたが、何故私まで?はっきり言って足手まといだとは思うけど…」

 

 「お前は俺達以外では知合いいないから肩身狭いだろうってさ。後は上からの指示だよ。」

 

 「しかし装備は貸してもらえるのか?流石に海自のカポックに灰色の鉄ヘルはマジレンジャーの中に一人だけ仮面ライダーウィザードが混じっているみたいで嫌だぞ?」

 

 「そこらへんは防弾チョッキは立検(立ち入り検査)達の奴で靴は江田島のを、他は陸自から貸すよ。お前のサイズならちょうど余ってたからな。明日朝には来るらしい」

 

 「何か嬉しくないですね・・・」

 

 「ああ、そうだついでに小太刀は今のまま武器庫に保管するけど軍刀はもっていく予定だってさ」

 

 「ああ、こっちは帯刀している人でもいるんですかね?」

 

 「そうだな。この前の敵さんもエラそうな服を着てた人は持ってたし、いいんじゃないかな?」

 

 「でもそうなると遠坂3曹より伊丹隊長が持ってた方がいいんじゃないですか?一応指揮官ですし」

 

 「俺は剣を装備するのはゲームの中で十分、それに遠坂は居合を習っている。少しはましだろう。」

 

 「居合は実践ではあまり役に立たないような気がしますが…まあ、了解しました。」

 

 「あ、そうそう、遠坂今日の筋トレは軽めにしとけよ。」

 

 「了解しました。それじゃあお先に失礼します。」

 

 と食器を片付け、宿所に向かった。

 

 

 ~翌日1300 第3偵察隊 軽装甲車車内~

 

 『『メイコン!メイコン!ヘイヘイ!!』』

 

 「何よこれ…」

 

 前の車両から来る変な歌声に顔をしかめると

 

 「なんか、同じオタクとしてすいません…」

 

 と私の向かいに座っていた遠坂3曹は謝ってきた。そういえば親戚らしい。アニメ好きなのも伊丹隊長からの感染らしいし

 

 「いいわよ。所属的には私達側だし、むしろあんたの方こそ大丈夫?」

 

 「ええ、乗り物には慣れてますしこの程度荒れたバシー海峡とかインド洋に比べたらまだましですよ。」

 

 と言っていたが

 

 「いや、そっちじゃなくてさっきの村の事よ。」

 

 「あ、ああ…あまり気にしてないですよ…ええ、孝仁は大丈夫です。」

 

 と言いながらあからさまに落ち込んでいた。

 

 ~数時間前~

 

 「いいな、俺達は隊の中で一番優しそう黒川があいさつした後まず俺達3人が優しい顔で出ていくんだぞ。その後に栗林達が出る」

 

 「了解ッス!」

 

 「了解!」

 

 「なんで私が二番手…遠坂3曹より後なのよ。」

 

 「栗林、お前は目が怖いからな。」

 

 「何ですって!?」

 

 「ま、まあまあ落ち着いてください栗林陸曹。私も不安ですが決めたからには仕方ありませんよ。」

 

 と村の門の前の茂みの中で手取りの確認をすると門の前にいた黒川が合図をしたので隊長たちが立ち上がり、遠坂3曹が立ち上がると

 

 『ウ、ウワアアアアアア!』

 

 『トロルだあああああ!?』

 

 「あ、あれ?」

 

 遠坂3曹村を魔物と勘違いした人は逃げていしまい、その後隊長達の説明と遠坂3曹が刀を持ってたことにより遠坂3曹はヒトであることは納得してもらえたが、少しの間車の中で落ち込んで小さくなっていた。もう大丈夫かと思って言ったがまだひきづっていたようだ。

 

 「あれ?でも確か遠坂海曹は護衛艦乗りじゃねえけど海外行ったことあるんだ。」

 

 と同じ車両に乗っていた笹川がそう切り出してきた。

 

 「ええ、入って2年と3年目に中東の国際訓練で補給艦代わりの掃海母艦と掃海艦という船で行きます。と言っても大半は海の上で、外国を回る理由は広報だけどね。艦上パーティの片づけがもう大変なんですよ。海曹士、幹部まとめて酔っぱらってますから」

 

 「へ~、なんか楽しそうだな。」

 

 「掃海部隊の特徴の一つはアットホームな環境ですから。」

 

 と話していると

 

 『森の前で夜営することを提案します。』

 

『賛成』

 

通信が聞こえてきて、遠坂3曹は

 

 「夜営ですか…経験ないので準備とか教えて頂けると…」

 

「ああ、そっちは夜営とかは無いのね。」

 

「タグボートとかじゃない限り寝床と食堂も一緒に移動してますから…飯も一応作れますし…」

 

「今回はレーションだと思うから作る必要はないわ…でもあなた1分隊(※船で言うところの射撃や運用員のこと主に甲板上の作業する人たちのことを差す)よね?」

 

 「掃海艦艇は調理員が休日絶対いるわけではないのでその時は船にいる海曹士が飯を作る事があるので一応ブタの生姜焼きとかお浸しとかオムライスみたいな比較的簡単な料理は一通り作れます。」

 

 「そ、そう色々やるのね。」

 

 「同じものを作っても文句言われるだけなので…ん?」

 

 と話していると遠坂3曹は窓の外を見たとき顔をしかめた。

 

 「どうしたの?」

 

 「向こうから煙が…何かが燃えているのか?」

 と視線を向けると空を覆いつきそうなほどの黒煙が上がっていた。私達は驚いていると台地があったので一度様子見の為、そこに止めるとコダ村の村長が言っていた森は赤く燃えていた。

 

 ~森の手前の台地~

 

 私達は車が止まると同時に降りると森は夜の闇よりも赤く燃えていて明るく照らしていた。私は桑原曹長ことおやっさんがメガネ(双眼鏡)をのぞき込んでいたので私もそれに倣い自分のメガネで燃えている森を見た。

 

 「燃えてますね~」

 

 「盛大に燃えているね~大自然の驚異?」

 

 と倉田さんと耀ちゃんは茫然としているが、

 

 「いえ、それよりも怪獣映画ですよ。」

 

 とおやっさんが言うと私の後ろでガチャガチャと音が聞こえた。その時大きな2本の木の間から何かが見えたので

 

 「私から見て左15度、30(約3キロメートル)に何か視認って…」

 

 と報告しているとその何かがはっきりと見えた。それは50m以上はありそうな竜だった。

 

 「あれま」

 

 「首一本のキングギドラか?」

 

 「リオレウスって…手があるっすね。」

 

 と伊丹隊長は驚き、おやっさんは某宇宙超怪獣の名前を倉田さんは有名ゲームの看板モンスターの名前を挙げた。

 

 「伊丹隊長どうしますか?」

 

 と栗林さんが伊丹隊長に言ってきたが

 

 「どうしますか隊長、あいつが倉田さんの言ってるほうなら閃光玉か肥し玉、おやっさんの言う通りならメーサータンクか轟天号あたりでも持ってこないと勝てませんよ?」

 

 と私はメガネを降ろして尋ねたがドラゴンは咆哮を上げた。私達は身構えてたが、翼をはためかせ、飛び去って行った。

 

 「なあ、あのドラゴンってさ、ただ何もない森を焼き討ちする習性があると思うか?」

 

 と尋ねてきたので

 

 「ドラゴンの習性に興味がごありなら、隊長自身があのドラゴンの後を追われては?」

 

 「あれほどの森を焼き払うだけということはかなりのカロリーを消費するから普通ならやりませんよ…そこに奴の“餌”となる何かがあるとするなら別ですが…」

 

 「やっぱり遠坂もそう思うのね…いやさっきコダ村の村長さんからあの森の中にエルフの集落があるってさ…」

 

 その言葉に私達は目を合わせ、

 

 「ヤッベエ!?」

 

 「こんなところでちんたらしている暇はありませんよ!」

 

 「おやっさん、野営は後回しでいいかな?」

 

 「了解です。全員乗車!」

 

 「「「「了解!!」」」」

 

 と車に急いで乗り込んだ。そして車に乗り込む際私は隊長達と同じ高起動車に乗り込み

 

 「隊長!もしかしたらスコールが来るかもしれないから雨具の準備もしておいた方がよいと思います!」

 

 「なんで分かる!?」

 

 「森の上空やや西寄りの空から積乱雲みたいな雲とその下の視界が極端に悪いからそう判断したまでです!」

 

 「見たことあるのか!?」

 

 「インド洋で何回かぶつかりました!」

 

 「了解っとお前もちゃんと座れよ!」

 

 「了解しました。」

 

 私達は車を飛ばし、激しい雨が降りながらも燃え盛っている森へ向かった。

 

 ~翌日~

 

 私達は焼き焦げた村の門らしきところまで。

 

 「それじゃあ、ここからは車ではなく分隊を組んでいくすまないが何名かはここで待機してくれないか?それとこっちの指揮はおやっさん頼めますか?それと黒川もこっちでいいか?」

 

 「了解しました。」

 

 と話していて私も手を上げ

 

 「なら私もこっちに残ります。練度の低い私がいても邪魔になるからな。」

 

 「…わりい、遠坂」

 

 「いいえ、その代わり可能な限り準備しておきます。黒川2曹準備するものがあれば手伝います。」

 

 「え、あ、ありがとう。それでは隊長」

 

 「ああ、行ってくる…皆行くぞ。」

 

 と伊丹隊長達が陣形を組みながら焼けた村の中へ進んでいった。そして私は居残り組と一緒に生存者がいたときのために応急手当等の準備をしていた。

 

 「なあ、遠坂」

 

 「はい、なんでしょうか桑原曹長?」

 

 「いや、作業しながらでいいよ。それと俺の事はおやっさんでいいよ。」

 

 「了解しました。」

 

 と桑原曹長に声をかけられとりあえず手を動かしながら返事をすると

 

 「お前さんまだ20代だよな?なんで轟天号知っているんだ?確かお前さんが生まれる前の作品だけど…」

 

 「ああ、それは伊丹隊長がアニメとオタクなら私は特撮オタクみたいなものでして東宝、大映、円谷、東映の怪獣映画やヒーローものが大好きでして、駐屯地にも特撮作品のDVDとか持ってきているので、娯楽室にありませんでした?」

 

 「確かにあったがあれはお前さんだったのか?」

 

 「ええ、それに轟天号だけなら2003年のゴジラ映画に出てましたよ。その作品も持ってきてますよ。」

 

 「へえ、暇があったら見てみるか。」

 

 と準備を完了して周囲警戒をしていると

 

 「おやっさ~~~ん!!」

 

 と倉田さんが慌てた様子でこっちに来て

 

 「どうした倉田?そんなに慌てて」

 

 おやっさんが倉田さんを落ち着かせると

 

 「井戸の中に生存者を発見したッス!黒川2曹は直ちにこちらに来てくださいッス!」

 

 と言った。私達はその報告に内心安堵しながらも

 

 「もし昨日の晩から井戸の中にいたとしたら低体温症になっている危険性があるわ。」

 

 「ああ、車をバックの状態で井戸に近づけて後ろからロープを垂らし、引き上げるぞ!」

 

 「了解しました。車は…私が運転します。(ウチみたいに人力じゃないんだ。)」

 

 私は車に乗り込み誘導されながら井戸に近づき、おやっさん達がロープを垂らし車の後ろに固定させ、おやっさんの合図と共に車をゆっくりと前進させた。

 

 数メートル前進させると停止の合図が車を止めたが、後ろが少し静かになりおかしく感じると

 

 「人命救助急げ!」

 

 「「「「了解!」」」」

 

 と伊丹隊長の声と共にみんなの足音が聞こえる。

 

 「運転ありがとう変わるッス。」

 

 「いえ、しかし少し間が空いてましたがどうしたんですか?」

 

 と尋ねると

 

 「生存者を見ればわかるっす。」

 

 と言い運転を交代して隊長の手助けに行くと

 

 「人ではなくエルフだが…」

 

 と伊丹隊長の背中にいたのは金髪ロングのエルフで昨日の晩と続きここが異世界だと実感させられた。


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