ゲート 元セーラー服の男、斯く地で戦えり 作:オンドゥルッフ
それではどうぞ
~高○県四○○市にある民家~
「ただいま~~」
「あ、あんた帰ってきていいの!?」
久しぶりに実家に帰ると還暦を過ぎた両親と一足先に帰ってきていたケチな姉は驚いた顔で玄関に出てくる。
「仕事は無いのか?それに空港からここへはどうやって来た?」
「ああ、それについては私にゃあ関係ないし、あさってには横須賀に戻らなければいかん。それとここまではタクシーで来た。後すまん土産は買えんかったよ。」
と靴を脱ぎ、リビングに移動をして荷物を降ろした。テレビには国会の様子が流れていた。議題はあの『門』の話だ。
『門』、数週間に銀座のど真ん中に突如現れ中から出てきたのはワイバーン、オークの化け物に中世のような鎧を着た軍勢だった。
その軍勢は銀座の市民を襲い約6万の人が死んだ。出てきた軍勢は警察と自衛隊…陸自の合同部隊によって多くが“逮捕”数日後日本政府により自衛隊派遣が決まった。
が、あくまでそれは陸上自衛隊のみの話、ゲートは陸地にあり大きさもそんなにないため海自や空自は派遣はなく、今までよりちょっとだけ仕事が多くなっただけである。因みに私は海自だが、シーレーン防衛やら海賊対処やらは船の性能上できない。今でもたまに見つかる世界大戦時や戦後直後の米軍と旧日本軍の機雷(ようは海の中にある爆弾)を処理し、予算削減のため縮小されていく掃海部隊の人間だ。
しかも一週間前に私のいた最後の木造掃海艇は廃船、掃海マーク(普通の会社で言うと営業課と総務課みたいなもの)の人間は今ある船には十分すぎるほど人がいて成績もよくなく若い(顔はすごく老けてるが)私は肩を叩かれ今は丘の上で陸自にあげる64式小銃等の整備とそれを届けたり、まもる君海士verみたいなものの中の人をやる毎日だった。(中の人をやった時に調子に乗ったら動画に乗るほど受けは良かった)
今回こうして帰れたのは職場の先輩と当直を先輩の有利になるよう交代させられてたのを班長に気にされ
「一度…実家に…カエレ!そして自衛隊グッズ、モッテケ!」
と北○棲○風(40代の班長は横鎮提督)に言われたため帰ることになった。
「でも、よかったんじゃない?その『門』から離れれるから危険もないし、」
「そうよ。お父さん。今のご時世、自衛隊にいるより民間の方が責められないし…」
と姉とオカンは言うが親父は顔をしかめて
「今我が大日本帝国は脅威にさらされている。そこで自衛隊は月月火水木金金の考えで任務を遂行しなくてはならない!…とお父さんは思うんだけどな~というかなんで海軍にいったのかな~」
と戦争映画に出てくる鬼軍曹的なセリフを言ったあと顔を元に戻し私に尋ねるが
「諦めてくれとしか言えないね…というかうちの陸軍にいた先祖だって訓練中に戦車から落ちて本国に帰ったり、寝過ごして乗るべきだった飛行機に乗り遅れたり、飲みの予約が入っているから会議をぶった切って無理やり終了させたりとあまり褒められた内容じゃないじゃん。それに私が決めたのもそうだけど制服のデザインと乗員手当が出るから海自に入れって言ったのはお父さんじゃないか!」
と反論すると親父は
「だってだって~3年4年くらいしたら軍曹になるかな~って思ってたのに6年経ってもセーラーなんだもん!?もうそろそろで20代も後半だよ?」
と言い返した。
「そういえば最初あんたがセーラーで帰ってきたのを迎えに行ったとき、近くにいた女子高生が引いてたわね。」
「しかもあんたの冬服上はあんたの隣の女子高とデザインがほとんど同じで笑っちゃったわね。」
とオカンと姉は言ってたがそれについては無視しておく。というか外国だと幹部にならないと制服が変わらなく40歳でもセーラー服着なきゃいけない国もあるんだからそれよりマシだと思う!
と少しの間言いあうが、お互いため息をつき
「まあ、こうして無事に帰ってこれたんだから、その無事を祝して…」
と親父がいうとオカンは「はいはい」といいながらテーブルにロックグラスを3個置き、姉は冷蔵庫に向かい。そして親父は背後から瓶を取り出した。
「まずは飲むか?」
「飲もう」
「飲もう」
そういうことになった。因みに最初はこの前親父が職場の取引相手からもらった「竹鶴」である。
~2時間後~
「お前、お父さんに似て酒を飲むね~」
「おかげで宴会に参加すると周りからひかれるがな…」
「二人とも飲みすぎでしょ?これで何本飲んだの?」
「確か…」
「「ウイスキー1本、焼酎2本、日本酒10合くらいかな?」でしょ?」
「とりあえず、これでおしまいにしましょう」
「「ちぇ~~~」」
と親子揃って口を3の形にして酒は没収され酔い覚ましにお茶を飲んでると
ブ~~!ブ~~~~!
「お父さん、携帯鳴ってるぞ」
「そういうお前こそ」
お互い自分のガラケーを取り相手を見る。私は職場からかかってきていて、すぐ出た。
「はい、もしもし遠坂です。」
『あ、もしもし~分隊長の後藤だけど~実家どう?楽しんでる~?』
「え、まあついさっきまで酒飲んでました。」
『え?今午後二時だよ?』
「こっちじゃあ朝7時からでも飲む人は飲んでますから~でもどうしました許可申請に不備が?それともベッドのシーツのしわが多かったり、ロッカーに鍵がかかってないとか?」
と酔った頭で考えるが
『そっちで流れているのかわからないけど、テレビのニュース確かめてみてくれない?後ネットも見てくれない?後お父さんもいるかな?いたらかわってくれない?』
「あ、はい…」
と送話部を抑えて母親にテレビを、そして姉にはネットのニュースを開いてもらうと
『銀座の英雄は二人いた!?』
『もう一人の英雄は海上自衛官!?』
と言った内容でテレビの画面には私の顔写真が映っていた。
「孝仁(たかひと)、孝仁!伊丹君がお前に電話だとよ。」
と親父がスマホを私に見せるとそこには親戚の兄さん、伊丹耀司の名前があった。
「そ、そう…こっちもお父さんに電話」
とお互いの電話を交換し耳に当てる。
「耀ちゃん、これは一体…」
『あ、そっちでもテレビでたんだいや~悪いばれちった☆退職間近のお前を巻き込むわけにはいかなかったんだが、あの交差点付近に警官いただろ?』
「え、ええ…まさかあの人が?」
『そう、大方不公平だ―お前にも何かないのはおかしいだとかそんなんだろ?すまないなせっかくあの後ダッシュで逃げたのにな』
とあの時を思い出してしまう。いくら守るためとはいえ自分の手で人の命を殺めたあの時を
「しかし、それが一体まさか明日表彰式があるとか?」
『いや、そうじゃないんだが…お前、今船には乗ってないんだよな?』
「ああ、今頃解体されているんじゃないでしょうか?鋼材の代わりに木材が出そうだけど」
と半笑いで言うとようちゃんはとんでもないことを言った。
『なら、俺と異世界行かないか?』
と言われ親父の方を見ると
「孝仁、お前アニメが好きだけど異世界に興味ってあるか?」
その時だろうかもし本当に神様がいたらキン肉バスターをかけたくなったのは、そしてその2日後から横須賀に戻った私は昇任やら配置換えやら下宿整理やらで本当の月月火水木金金になったのは…チキショーメ!!
~1週間後横須賀の駐屯基地~
「ここか…はあ、気が重い…」
門前で新しい制服に身を包み荷物両手に肩を落とし、門をくぐった。貰ったメモを頼りに迷いながらも進むと
「お、よう元気なさそうじゃないか!」
「知合いですか?伊丹2尉」
ランニング中の伊丹の兄さんと部下らしき人と出会った。私は伊丹の兄さんを見て
「まあ、昨日まで書類に追われて当直だったのでね。眠いしこんな中で青虫一人が入るのは肩身が狭くなるなと思っただけですよ。」
「青虫って?」
「ああ、俺達の先輩が海自の奴らをそういってたらしい。ほら海自の作業服って青いじゃん?そこからだとさ」
「ちなみにそれに対抗して海自のほうは陸自の人の事を緑虫と言ってたらしいですね。あ、私は海自の遠坂3等海曹です。」
「まあ、しょうがないな。しかしお前も災難だよな~~えっと掃海だっけ?もうそろそろ昔の物なんてないだろうからっていう理由で勝手に縮小され、使っていた銃を磨いてそれを渡し、折角の休暇に衝撃発言だし、お前の親父さんは現防衛大臣とプライベートでは仲が良いしな~」
「まあ、兄さん、いや伊丹2尉達には借りがありますからね。」
「あはは、ってお前は大方人事課に行こうとして迷ったんだろ?案内するよ。」
「すいません」
私達は人事課へ行き、手続きを済ませ伊丹2尉の部下になり、ついでにオタクということもばれランニングの時に一緒にいた倉田さん(しかも夏の即売会いたらしい)、敢えて言わせてもらおう私は専門は特撮だ!!そしてようちゃん、体力をつけるためとはいっても最近少しは減ったけど私の体系ジャ○おじさんか安西先生なのに前の課程並の訓練はやめて!新しい何かが開きそうで怖いから!!
~食堂~
特地出発前最後の日、私と耀ちゃんと倉田さんは訓練を終え、最後の食事を取っていた
「で、明日0900からお前は俺達と一緒に特地に行くことになった。」
「向こうに行って即戦闘も…」
「ああ、あるかもな。ゆりかもめに乗り遅れてどうしてこうなったんだか…」
「それは同意っすね…」
「私なんか実家からなぜか先祖が使ってた軍刀1振りと小太刀が数本、それに前の職場から陸自から借りるわけにもいかないから余ってたミニミと軽機関銃を送りつけられましたよ。いつ使えっちゅうねん!小太刀は友好の証に送ればいいのかな?しかもミニミなんて当たらないだろう?」
「上司の人は何考えているんでしょうかね~」
「下っ端の私にはわからないよ。今回だって横須賀行く前に万歳三唱されながら送られたし…あれは昔の陸軍のやり方なのに…」
「「「ハア・・・・」」」
そこまで話すと私達はため息をつくが、私は残ってたコンソメスープを飲み干し
「ま、ここで野郎3人がグチグチしてても仕方ない。とりあえず目標として生きてもう一度日本の土を、コ○ケ会場の床を踏むことだね。」
「そうだな。よっしそれじゃあ風呂行くか!」
「うっす!お供するっす!」
「おっと待ってください二人とも!」
私達は傍から見ればしょうもないかもしれない決意を固め食器を片付けのに立ち上がった。
――――そして異界の地での最初の仕事が、本当の戦闘だった。
※主人公は酒豪です。