ゲートの世界にHALOの軍隊が出現したら… 作:ライダーGX
あと此処から少しオリジナルも行きます。
アルヌスに帰投して、ヤオが起こした騒動によりテュカの心は崩壊寸前まで壊れてしまった。
それを何とか抑えるべく伊丹はテュカの心を安定させる為に自ら父親役になり、テュカと共にしばらく過ごす事にした。
それを見ていたブライアン達と栗林達。
「テュカ…そんなに危ない状態なんですか?」
「ああ、伊丹を本物の父親に間違えるくらいに酷くなっている。このまま元に戻ってくれたら良いのだがな…」
ブライアンは飲み物を飲み、栗林達は何とも言えない雰囲気になる。
そして健二は黒川に呼ばれて、二人っきりで話し合っていた。
「どうした黒川」
「大尉…私…どうやら間違っていたようです…」
「…間違っていたって何をだ?」
健二は黒川が言っている言葉に頭を傾げ、黒川は頭を下げながら重たい口を開く。
「私……今まで真実を話せば現実と向き合うと思って、伊丹隊長に話し続けて来ました…でも…テュカのあの様子を見て、思わずゾッとしました…もし私が真実を話していたら、私は間違いなくテュカの心を壊してました…」
「…現実は理想とは違うからな。だがこれで黒川も少しばかり慎重になったと俺は確信した、これをバネにして最多くの人々を救う自衛官となる事を、俺は願っているよ」
「はい…、ありがとうございます大尉、話を聞いてくれて」
そう言って黒川は立ち上がって頭を下げてお辞儀し、その場から立ち去って行く。
健二はそのまま出されている飲み物を飲み、一息つけて少しばかり考える。
そして健二の元にブライアン達がやって来る。
「おいリーダー、さっき去っていたのは黒川か?」
「ん? ああ」
「どうしてクロが此処に?」
「ちょっとばかり話しがあったんだ。もう終わったんだが…お前たちはどうした?」
健二はブライアン達に付いて来ている栗林達に問い、それに栗林達は見て頷きながら健二に問う。
「大尉、伊丹隊長に少し言って下さい。もうすぐ私達は再び帝都に向かうって」
「その事だが、ちょっとばかり無理だな」
「え、どう言う事ですか?」
倉田は健二が言った言葉に首を傾げ、健二は口を開く。
「伊丹の奴は…“もう二度”と自分の目の前で、他人が壊れて行く様子を見るは耐えられないんだ」
「どう言う事で…?」
栗林がそれに健二に問うと、健二はあるファイルを栗林達に渡す。
それを栗林達は受け取り、それを読む。
ファイルの内容に書かれてある物に、栗林達は思わず驚きを隠せなかった。
「うそ…」
「伊丹隊長の親が…テュカと同じ物?!」
「大尉!これをどこで見つけて来たんすか!?」
倉田は慌てた様子で健二に言い、健二はその問いに答える。
「そのファイルは、俺がどうも気になっていたのを上司が調べてくれてな、伊丹の経歴を調べてたらそれが出て来たのさ…不真面目なあいつの裏には少しばかり辛いものがあったんだ」
「隊長…」
「伊丹隊長の過去に…そんな事が」
富田と倉田は伊丹の過去を知り、少しばかり暗くなってしまう。
「隊長…いつもふざけて、馬鹿ばっかりしている人なのに…昔にそんな事で…」
栗林はそう言ってその場から立ち去って行き、それに健二達は見届けるしかなかった。
走って行く栗林は自分の宿舎に戻り、部屋に入って少しばかり考える。
「(馬鹿ばっかで…オタクで…気持ち悪い人が…)l…っ」
栗林は伊丹をただの馬鹿だと認識過ぎた事に後悔するばかりであった。
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そして数日後、アルヌス駐屯地での自衛隊事務所。
「伊丹、何時まで続けるつもりだよ?」
「お前には関係ないだろう」
柳田は父親役で居る伊丹の事を少々心配していて、伊丹はパソコンに書類を作成しながら言う。
「本当に大丈夫なのか…?」
「…すまん、本当はもうガタガタだ…、頭がゴチャゴチャしてる」
「簡単な事だ、ドラゴンを退治して行けばいい」
そう簡単そうに言う柳田。しかし伊丹はそれを言う。
「それで…部下の大半を死なせろって?そりゃあ駄目だ。任務ならともかく、俺の勝手に巻き込んで危ない目に合わせるわけには行かない。自分が自由に出来る命は自分の物だけだ」
「まあいいさ、伊丹。お前は行くと思うから準備だけはしておいてやるぜ、じゃあな」
そう言って柳田はその場から出て行き、伊丹はその事に思わず黙り込むのだった。
そして出発前日の夜、健二は少し外の空気を吸う為に外に出ていた所、伊丹が居るのを見て声を掛けようとした。っがその時ある老人がやって来る。
その老人は左側の手足が義手になっていた。
「若いの、其処を退くがいい」
「ええ、どうぞ」
伊丹はそう言って一歩譲り、それに老人は座る。
「うむ、良い心がけだ。此処はわしが毎晩よく座っている所だ。以後気を付けよ」
「はぁ…」
そのそっけない態度にその老人は少しばかり問いかける。
「こんな所で何を黄昏ておる?」
「…別に」
「話したくないのならそれもよかろう、時にお主らの世界では手足を失くすと皆、この様な物を付けておるのか?これがあれば走れることも出来ると言っておったが?」
「ええ、専用の義手があれば生身の足より速く走れることも出来ますよ」
「真か?ほぉ…」
そう言ってその老人は月を見る。
健二は物陰からその様子を見ていて、二人の会話を聞いていた。
「ふふふ…」
「何です?」
「その調子で黄昏ていた理由を洗いざらい喋ってしまえ」
伊丹はそれに少しばかり抵抗はあったものの、その老人に今までの事を話すのだった。
「ほほほ~…、確かに仇を撃てば気もはれるだろう」
「でもその仇が強いんですよ。大規模な部隊が遅れない場所なんです、UNSCが送れるかどうかもまだ検討も付かないのに…。でも…本当は行くべきじゃない、仮に少人数で向かったら全滅は必至。
どれをとっても何か失う」
「…なあ若いの、何か大きな物を忘れてないか?」
「大きな物?」
伊丹はそれに老人の方を向き、それに老人は伊丹の方を向いて言う。
「お主の心じゃよ」
「それで決められるなら苦労はしませんよ!」
思わず立ち上がって言い返す伊丹に老人は思わず大笑いする。
「がははははっ! 人生には危険と分かっていても退く事が許されない時がある。心では決まっておるのだろう?」
「……」
それに伊丹は思わず黙り込んでしまう。
その様子をずっと聞いていた健二は、何かを決心してその場から離れるかの様に歩いて行った。
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そして伊丹達が率いる第3偵察隊は再び帝都に向かう為にチヌークに乗り込んで行く。
その時に伊丹は外で見ているテュカの方を見る。
チヌークが上昇したその時にテュカの一筋の涙を見る。
「っ!!!おやっさん!すいません!俺行きません!!」
「はっ!?」
桑原は突然の事に驚き、伊丹はすぐさまチヌークから飛び降りる。
「テュカー!!!」
伊丹はすぐさまテュカの前に降り立った
「お父さん?」
「…テュカの側にいる事にしたよ」
「いいの?」
「ああ」
そう伊丹はテュカに言う。
っが同時に降りて来た者達も居た。
「隊長!!」
「えっ!?」
伊丹は後ろを向くと、そこには栗林や富田、そして倉田の三人が居た。
「お!お前等!!?」
「隊長!一人で抱え込まないでください!」
「僕達も一緒に行きますよ!」
「なっ!お前等言っている事分かっていてるのか!?」
「当たり前です!!」
栗林は前に出て堂々と言う。
「隊長!貴方がどんなに言おうと私達は付いて行きます!!!」
「お…お前等」
その事に伊丹はただ唖然とするしかなかった。
「伊丹…それにお前等も馬鹿か!!任務を放棄した上にたった五人でドラゴン退治だと!?この状況でどうやってお前たちだけ派遣する良い訳を作ればいいんだ!!?」
「それはあんたに任せるよ…」
柳田に問い詰められる伊丹は苦笑いをしながら柳田に言い、柳田はすぐに言う。
「伊丹、お前等も今からでも遅くはない!すぐに隊と合流しろ! 任務を終えてからドラゴン退治に行くといい!そうしたら良い訳も!」
「柳田、もう決めたんだ…。それにあいつ等もあの様子を見てたら。もう同意するしかない…本当は連れて行きたくないけど」
伊丹は栗林達の方を見て言い、それに柳田は呆れながらも眼鏡を整え直す。
「チッ!分かったよ!それじゃあ必要な物は──」
「必要ない」
っと伊丹達は振り向くと、そこには健二が立っていて、それに健二が立っていた。
「伊丹、決心が付いた様だな?」
「ええ…まあ、それであなたも?」
「ああ、俺達も行く事にする。ラプターSPARTANチームはな」
その事に伊丹達は思わず察しがついた、恐らくODSTチームは第3偵察隊と共に向かっていると分かったんだろう。
「あと柳田、食事と武器弾薬の事に付いては心配ないぞ、こっちで用意したから」
健二は外に出て、伊丹達も外に出て来るとそこにはビックマンモスが停留しており、後ろにはトレーラーが繋いであった。
「大尉、あれは?」
「あの中には大量の武器と食料に物資が積んである。本当ならフリゲート艦を持って行きたいんだけど、俺等のフリゲート艦がまだ出来てないって言われてな」
「あるんですか!?」
「ああ、それと伊丹。当然俺達だけじゃないぞ?付いてくるのは」
「えっ?どう言う…」
伊丹はその事に問いかけ、健二はある方に指差す。
そこにはレレイとロゥリィ、アルティアにヤオの四人が居た。
「あっ…お前等」
「あなた達だけいかせないわよぉ~、私達も行くわぁ~、でもその前に」
ロゥリィは伊丹に近寄り、伊丹の腕を噛みつく。
「いって~~~!!!!何するんだよ!!?」
「ペロッ♪契約完了~」
「け…契約?!」
伊丹はロゥリィの発言を聞いて傾げ、それにロゥリィは言う。
「これでヨウジが死んだら、魂は私の物よぉ」
「ええっ~!?」
その事に伊丹は驚きを隠せず、大胆発言に栗林と富田は唖然とする。
「隊長~!羨ましいっすよ!!」
「嬉しくねえよ!!!」
倉田の羨ましさに伊丹はすぐに反論したのだった。
そして健二達と伊丹達がビックマンモスに乗り込み、テュカがヤオがいる事に嫌気が出る。
「何でこの女も一緒なのよ!」
「そう言うなよテュカ、故郷に帰るって言うからには放っておくわけにも行かない」
「もう~!」
テュカはその事に呆れ、健二はブライアンに言う。
「ブライアン、ビックマンモス発進だ」
「了解だ!」
そう言って健二達を乗せたビックマンモスは出発し、それを見送るアルヌス住人達。
柳田は伊丹の性格の事に呟く。
「趣味が第一…仕事が片手間。なのにお前にはどうして…どうして自分から付いて行く奴が居るんだよ?」
ビックマンモスの旅立ちをあの老人が見届けていた。
「若者が行ったか…」
そしてビックマンモス内で健二は伊丹を呼ぶ。
「伊丹、こっちに来てくれ」
「何です?」
伊丹は健二の元に来て、健二はある物を伊丹に見せる。
あるカプセルが開き、その中の物を伊丹と見に来た栗林達は驚きを隠せなかった。
それは健二達が着込んでいるSPARTANⅣのGEN2アーマーであったのだ、形はODSTに似たタイプの『ヘルジャンパー』である。
「大尉…これは?」
「伊丹、お前にはこれを着込んでもらう。これはもうお前に合わせるように出来ているから普通に着込んでも問題ないぞ」
「ま…マジですか?」
「おうマジだ」
その事に伊丹は薄々とそれを着込んで行き、装着が完了してヘルメットのHUDが表示される。
伊丹は身体を少しづつ動かし、それを健二は問う。
「どうだ伊丹?スーツの着心地は?」
「どうって…なんか妙な感じで…力強さが感じる、これ…どのくらいの性能なんすか?」
「そのスーツの性能は炎龍で試してくれ。たっぷりと」
健二に言葉に伊丹はただ頷くしかなかった。
そう言う中、栗林は何故か羨ましそうな表情をしていたのには誰も気が付かなかった。