ゲートの世界にHALOの軍隊が出現したら… 作:ライダーGX
アルヌスFOBとアルヌス駐屯地から二機のF-4ファントム戦闘機とF-41『ブロードソード級戦闘機』が発進して行き、帝都へと向かって飛んで行った。
帝都市街地では真夜中の地震により崩落した民家のがれきを民間人たちが撤去している中、空からF-4ファントムとブロードソード級戦闘機が飛んで来るのを民間人たちが目撃した。
その民家の中に特戦群の隊員たちがターゲットマーキングを使って帝都議事堂に合わせ無線誘導する。
「こちらセイバー、目標をマークした」
『了解!680よりアタッカー1!熱い物をかましてやれ!!』
『了解した! 爆弾投下!!』
F-4ファントムがその場を離れ、ブロードソード級戦闘機が底部に装備している爆弾を投下する。
爆弾は帝都の元老院議事堂に直撃し、議事堂は跡形もなく消滅した。
「アタッカー1、目標に命中。見事だ」
『了解した!特戦群よ!誘導に感謝する!アウト!』
そう言い残しブロードソード級戦闘機はF-4ファントムと共にその場から離脱して行き、特戦群もその場から急ぎ退避した。
そしてこの報告は軌道上のUNSCスフィンクスに伝えられた。
「そうか。犠牲者はなしか」
「はい、ですが…本当にこのやり方で良かったのでしょうか?」
ユフィが空爆のやり方にどうにも納得が行かない様子にオルブは椅子にもたれながら言う。
「仕方あるまい、これは奴等が招いた当然の結果だ」
オルブはそう呟いて外を見るのであった。
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翌日、崩壊した元老院ではモルト皇帝を含む数十名の議員たちが集まり、ピニャとカーネル候がその中心に立っていた。
カーネル侯爵はモルト皇帝に話しかける。
「陛下にお尋ねしたい、キケロ卿によれば日本国の使者は和平を望み、会合を重ねていたそうではありませんか。なのにこれはどう言う事でしょうか!何故元老院が粉みじんにされなければならない!」
その事を尋ねても、モルトはただ玉座に座ったまま黙っていて、それに見かねたカーネル侯爵は腕を下ろす。
「お答えできないのであれば、私が話しましょう。事の発端は開戦前、門の向こうの民を数人攫って来た事にある!」
それを聞いた元老院議員たちは思わず耳を疑う。
「何と!」
「そんな事が!?」
議員たちが騒ぐのをカーネル侯爵はその場で抑えた。
「その事実を知るや、事もあろうにゾルザル王子を打擲するに及んだ!!」
それに議員たちはゾルザルの包帯とガーゼまみれの姿を見て騒然とする。
「何故彼等はここまで起こったかを、当元老院はピニャ・コ・ラーダ殿下に招致いたします」
カーネル侯爵はすぐ横に居るピニャに回し、ピニャは一歩前に踏み出して言葉を開く。
「彼等日本人は国民一人一人を大切にし、その心豊かな思いは我ら帝国の捕虜でさえも大切に扱っていると聞いた…、その者達は殺したり奴隷にしたりなどはしていないと」
「何だと!?」
「そんな馬鹿な話があるか!」
「綺麗事を!彼等は神か何かと言うのか!?」
その事に声を上げる議員たちにピニャは大きく声を上げる。
「民を愛し!!捕虜でさえ厚遇する!…例えて敵であっても、金に換えようとは思ってもいない。彼等…日本人とはそう言う物なのだ。だが」
っとピニャの言葉に議員たちはピニャの方に目を向き、ピニャは重大な言葉を言う。
「日本人の他に…自衛隊とは違う軍隊を…妾達は……怒らせてしまったのだ。それが…………UNSC軍だ。彼等は日本人よりも優れた物を持ち、圧倒的な鎧をも持つと聞いている。それが…兄上をあの様にしたと」
それに議員たちは騒ぎ始め、ピニャは拳を握りしめながら話し続ける。
「その中の一人に日本人が居て、彼が自国民を奴隷として弄ばれて、その結果が…これだ」
ピニャは議事堂を見て言い、それに議員たちはその事に言葉をなくすのであった。
ゾルザルはその場を離れ、殴られた傷を抑えながら怒りを露わにする。
「おのれ…!おのれおのれおのれ!! 絶対に……許しはしないぞ!!!」
ゾルザルは健二に怒りと憎しみを抱きながら心に復習を誓うのであった。
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その頃、ペリカン降下艇でアルヌス駐屯地に向かっている中で拉致被害者『望月紀子』はペリカン降下艇の中を見渡しながら隣に座っている栗林に問う。
「あの…自衛隊ってこんな飛行機を持っていましたか?」
「えっ?ああ~違うよ。これはUNSCの航空機なの」
「UNSC…?」
紀子の頭に?が浮かび、その事に健二が振り向いて言う。
「俺達の事だ、UNSC、またを国連宇宙軍だ」
「…な、何ですかそれ?そんなの聞いた事ないんですが…」
「まあ知らないのも無理はない、俺達は君達より遙か遠い未来から来た者だからな」
「…えっ?」
紀子は健二が言った言葉に思わず唖然とする。
そしてペリカンがアルヌス駐屯地に到着し、待っていた自衛隊が紀子の元にやって来る。
「望月紀子さんですね?」
「は、はい」
「どうぞこちらへ」
自衛隊に案内された紀子は黒川に支えられながら付いて行き、健二はアシェリーと栗林とエイミに付いて行く様命令する。
「後は頼むアシェリー」
「了解です」
アシェリー達は付いて行き、健二はそのまま見送り、伊丹はため息を付く。
「派手にやらかしましたな大尉?」
「ん?」
健二と伊丹は外を見ると、柳田とアントラが居て、それに健二は外に出て、伊丹は「フッ」っと鼻で笑う。
「皇宮で乱射事件を起こすなんて、私はてっきり伊丹だと思っていましたよ。おまけに拉致被害者救出とは…」
「うるせぇ」
伊丹は面白くもない表情で言い、健二はアントラと向き合いながらため息を付きながら見る。
「全く、お前もやるもんだな? こんな大胆な事をするとは…」
「…んで、状況はどうなんだ?」
「分からん」
っとアントラの言葉に健二は頭を傾げる。
「はぁ?分からんってどう言う事だよ?」
「言った通りの言葉だ、良い方向に向かってるか悪い方向に向かっているか全く分からないだそうだ」
「その事ですが」
横から柳田が口をはさみ、健二はそれに振り向く。
「どうした?」
「政府はこの一件を支持率アップの起爆剤にするつもりらしいです、敵国からの法人救出…良い宣伝になると思います。となるとその立役者を処罰する訳には行きません、狭間陸将はどうするか弱り切っているみたいです」
「そうか…」
健二は自衛隊本部の方を見て呟き、伊丹は手を合わせて「毎度すいません陸将!」と謝った。
そして気になって居る事を柳田が言う。
「それと、望月紀子の家族についてですが…」
「彼女の家族がどうした?」
「彼女が行方不明になって以降、残された家族は銀座で情報を集めるビラを配っていたそうだ」
「まさか…」
伊丹はその事に何となく気付き、それに柳田は頷く。
「…そうだ“あの日”も目撃されている」
「銀座事件か…」
そう健二は呟き、伊丹は少々重苦しい表情となる。
「大尉、この事をまだ彼女に伏せといたほうがいいと思いますよ」
「…分かった、そうする。伊丹、一度彼女の様子を見に寄ろう」
「分かりました」
そう言って健二達は医務室に向かった。
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医務室に着くと、丁度紀子は血液検査を終えた直後だった。
「どう調子は?」
「あっはい、大分落ち着きました、あの…きっと家族が心配してるので電話を」
「あ~それなら『っん!』え?」
栗林が携帯を取り出そうとした時に健二が咳払いをし、伊丹が紀子に言う。
「御免望月さん、民間の回線はまだ轢けてないんだ。ゲートを潜るにも書類手続きが必要だし、連絡はもう少し我慢してくれないかな?」
「そう…ですか」
その事に紀子は残念そうにし、アシェリーは健二の方を見て、健二は指で《ついて来い》とジェスチャーをし、アシェリー達は付いて行って、健二達はアシェリー達に事情を話し、それに少々暗くなる。
「そんな…」
「この事は彼女にはまだ内緒にしてくれ。良いな?」
「はい…」
アシェリー達はそれに従うと同時に紀子が出て来て、それに健二達は振り向く。
「望月さん」
「安藤さん、伊丹さんに栗林さんも、伝えるのが遅くなってしまいましたけど…本当にありがとうございました」
紀子は深々くと頭を下げてお礼を言い、それに健二達はただ黙ったまま見ている事しか出来なかった。
何も言えない事に見ているだけしか…。