ゲートの世界にHALOの軍隊が出現したら…   作:ライダーGX

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第31話 静かなる怒り

健二達は遊園会から離れて行った伊丹達を探しており、一度帝都の民家の影に隠れる。

 

「伊丹達のシグナルはこの先の方に居る様だ」

 

マップを見る方向に伊丹達が居ると確信する健二。

 

「それじゃあ行きますか?」

 

「ああ、行こうか」

 

健二達は立ち上がり、その場から身を隠しながら進んで行く。

そして伊丹達が居る場所に健二達は到着し、伊丹は健二の存在に気付く。

 

「大尉」

 

「待たせたな」

 

丁度伊丹達は議員たちを送った後であった為、何とか怪しまれずに済んだ。

 

「それでどうだった?」

 

「こっちは何とか議員たちを送った後に班を分けて行動しています」

 

「そうか、そっちも同じように班を分けたんだな」

 

伊丹の言葉を聞いて健二は頷きながら今の様子を見る。

現在伊丹達はピニャ達の迎えを待っている所で、それに健二は気づく。

 

「成程、姫さんの別荘に向かうんだな?」

 

「よく分かりますね?そう言う事です。あっ来ました」

 

するとピニャ達が乗る馬車がやって来て、健二達の前に止まってピニャが降りて来る。

 

「イタミ殿、アンドウ殿も一緒だったか」

 

「ああ、さっき着いたところですよ」

 

「そうか、では我が屋敷に案内しよう。乗ってくれ、お主らの鎧にも耐えられるようしてある馬車だ」

 

ピニャは乗り込み、健二達もその馬車に乗り込むのであった。

 

そしてレックス達は別々に行動している倉田達と合流する。

 

「倉田、黒川」

 

「レックス准尉」

 

「エイミさん、皆さんどうして?」

 

「大尉が黒川さん達の元に行けとの命令で」

 

エイミの言葉に納得する倉田達。黒川とエイミは悪所で亜人達の協力で情報収取をする事となった。

無論衛生兵であるエイミも黒川と共に悪所の亜人たちの観察調査を行う事となった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

その頃健二達はピニャの屋敷へとやって来て、その光景に圧巻する。

 

「ほぉ~、これが…」

 

「デカいな」

 

「そうでもない。これでも兄妹の中で一番小さいのだ。部屋はあるから今日はゆっくり休んでくれ」

 

ピニャはそう言ってお屋敷に戻り、ハミルトンとメイド達が出迎えをする。

その光景を健二はそれに少し見て考える。

 

「これで一番小さいって…、デカい物ってどんだけあるんだ?」

 

「これよりももっとあったりして」

 

「二人共、何時までも話をしてないで行きましょう」

 

そう栗林が言い、それに健二と伊丹は肩を上げながらピニャの屋敷へと向かう。

 

 

そして夜、健二はベットに付かずに壁にもたれながら端末を見て内容の再確認をしていた。

 

「講和の交渉に必要な物は全て揃った。後は…『ピピピ!』ん?」

 

健二の端末に突如謎のメッセージが届き、それを見る。

 

「何だ…?」

 

内容を開くと、それは地震速報の内容だった。

 

《まもなく大きな地震が発生、震源地は帝都から約数十k》

 

「この内容…一体『大尉!!』伊丹?」

 

健二は伊丹が大慌てで入って来る。

 

「今悪所から大きな地震が発生するとの報告を受けました!」

 

「何!?これと全く同じじゃないか!」

 

健二は端末の内容が伊丹の言葉と同じだと言う事に驚き、それに伊丹は頭を傾げる。

 

「どう言う事です?」

 

「それは…いや、説明は後でする!今はこっちが最優先だ!」

 

そう言いつつ健二は伊丹と一緒に外に出て、アシェリーや栗林と共に外に誘導されたピニャ達がいて、ピニャはすぐさま健二達に問いかける。

 

「一体何事だこんな時間に!この者達から聞いた所、大地が揺れる筈はなかろう!」

 

「それがもうすぐ現実になるんですよ!姫さん!」

 

健二はすぐさまブライアン達に指示を出し、伊丹は頭をかく。

 

「くそっ!交渉前の大事な時だって言うのに…っ!」

 

っと伊丹はすぐさまゆるい揺れを感じ取り、それに健二達も気付く。

 

「おい!ブライアン!富田!」

 

「ああ」

 

「揺れてますね」

 

それに感じ取ったアシェリー達も周りを見ると確かに揺れている事に気が付き、そして…。

 

「っ!!来るぞ!!!」

 

突如大きな揺れが襲い掛かり、帝都全域に地震に見舞われた。

周りの兵士達やメイド達は悲鳴をあげ、逃げ回ろうとするも大きな揺れに倒れてしまう。

 

「うああああああああ!!!」

 

「きゃあああああああ!!!」

 

パニックを起こしている人々の中、ピニャはハミルトンと一緒に抱き付きながら怯えていた。

 

「殿下ああああ!!」

 

ピニャは今すぐに悲鳴を上げたいと思った時だった。

 

「結構でかいな?」

 

「震度は4から5だな」

 

「震源は遠くの様ですけど」

 

っとピニャは平気な顔で居られる健二達の様子を見て唖然とし、すぐさま問いかける。

 

「アンドウ殿!イタミ殿!」

 

「「ん?」」

 

「よく平気でいられるな!!?」

 

それに健二は笑いながら言う。

 

「ははは、まあね。このくらい日本じゃあしょっちゅうですからね。すぐに収まります」

 

健二の言った言葉の意味が分からないピニャ、っがすぐに地震は収まり、それにピニャは驚きながら健二達の方を見る。

 

「ほらね、ブライアン!カイル!周囲の状況を確認だ!アシェリーは栗林と共に女性を集めて被害状況を確認!カレン!ホビーはジャクソン達と連絡を取って確認を取ってくれ!」

 

『『『了解!!』』』

 

その光景をピニャは唖然とするしかなかった。

 

 

───────────────────────────────────────

 

 

一方アルヌスの方では地震が収まったのを見て、難民キャンプの方ではようやく落ち着きが出て来る。

 

「収まった?」

 

「その様ね~?皆平気?」

 

「こっちは何とか…あれ?テュカは?」

 

「あっち…」

 

レレイの指さす方にテュカが居て、彼女は心配そうな表情をしていてある人物を探していた。

その人物にアルティア達はもう分かっていた。

 

「テュカ…」

 

 

そして再び帝都。

 

「また揺れるだと!!?」

 

「ああ、大きな地揺れの後には、大抵揺り戻しがあるんだ」

 

健二の説明を聞いたピニャはすぐさまハミルトンに言う。

 

「こうしてはおれん!すぐに着替えを!父上にこの事を伝えねば!」

 

「ではお気を付けて」

 

っと伊丹が言った言葉にピニャは思わず振り向く。

 

「えっ!」

 

「えっ?」

 

「えっではない!一緒に来てはくれんのか!?」

 

その事にすこしばかり困る健二達。

 

「いやだって…」

 

「いくら姫さんの願いでも、相手は皇帝閣下でしょう?敵対国である兵士がいくとなると…」

 

健二達の言葉に少々困り果てるピニャは健二の腕を掴む。

 

「ん?」

 

「それは何とかする。だからお願いだアンドウ殿!イタミ殿!童の側に居てほしい!」

 

その言葉に思わず唖然とする健二と伊丹、その様子にアシェリーは何やら頬を膨らませる行動を取り、それに呆れるブライアンと笑いをこらえるカレン。

健二はピニャの後ろを見ると、ハミルトンを始め多くの兵士達が来てほしいとの目をしていて、それに健二はため息を付いて言う。

 

「はぁ…、カイル!ホビー! ここを任せていいか?」

 

「はい」

 

「分かりました」

 

 

そして健二達はピニャ達と共に皇帝が居る宮殿へと向かう。

向かう途中で兵士達の様子を見ると、先ほどの地震で既に恐怖で怖じついてしまった兵士達が多くいた。

 

それには健二達はどうしようもなかった。

 

そして玉座の間に来た健二達、入ると玉座にオールバックの髪型をした男が座っていた。その男こそ帝国の皇帝モルト・ソル・アウグスタスであった。

 

「良いか!まずは大臣と軍営の将軍たちに伝令を出し、参集を命じるのだ!武官は近衛兵を小枠し急ぎ皇宮の守りを固めよ!!」

 

『『『はっ!!』』』

 

「メイド達は広場の片付けだ!」

 

『『『はい』』』

 

メイド達はすぐさま行動をする。

その様子を見たモルトは的確な判断が下せるようになったピニャの成長に感心する。

 

「一皮むけたな…ピニャよ」

 

「はぁ?か…皮がむける様な怪我はしてはおりませんが…?」

 

っと何かと勘違いをしたピニャにモルトは鼻で笑い飛ばす。

 

「…んで、先ほどからそこで控えておるのは何者だ?」

 

モルトは健二達の事を問い出し、それにピニャは慌てながら言う。

 

「あっ、陛下!紹介いたします! 日本国使節の菅原殿です!」

 

それに菅原は会釈をし、健二達は敬礼で挨拶を済ます。

 

「日本国…何故この様な時にお連れした?」

 

「こ!この者達は地揺れに精通しております! これより揺り戻しがあるとか」

 

「何と! そうであるか…」

 

モルトはそう言って立ち上がり、健二達に向かって話し始める。

 

「使節殿歓迎申し上げる。っと言いたい所だがあいにくご覧のあり様でな、歓待の宴はおわづけだ」

 

「心得ました陛下、改めて交渉の場を頂ければ十分でございます『父上!!』」

 

その時に門から聞き覚えのある男、ゾルザルが現れ、健二達はそれに警戒していた。

 

「おお!父上無事でしたか!さあ!ここから早く離れましょう!!」

 

「待って下さい兄上!今主だった者に召集を!」

 

「そんな悠長な事を言っている場合ではない!すぐでもまた地揺れが起こると“ノリコ”が言っておるのだ!」

 

「ノリコ…?」

 

ゾルザルが言うノリコの言葉に健二と伊丹はそれに目を目線合わせる。

 

「どうして地揺れの事を兄上が?何者何ですそのノリコとは?」

 

「おい!」

 

ゾルザルが合図を出すと、部下が鎖に縛ったある女性を引き連れて来たのだ。

 

そしてその姿を見た事に健二達の言葉がなくす。

どう見てもその女性は日本人の女性だからだ、しかも全身傷抱かれの。

 

「こいつだ、これがノリコだ。“門の向こう側”で攫って来た連中の生き残りだ」

 

 

 

 

ブチッ……

 

 

 

ゾルザルの言葉に何かが切れて、伊丹がもの凄く真剣な表情でゾルザルに向かおうとしたが、健二がすぐさま向かっていて。

 

 

 

「死ね」

 

 

 

っとゾルザルの頭を掴み、力いっぱい地面に叩き付けるように押し潰した。

そして健二の目には途轍もない怒りの炎が宿されていた。

 


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