ゲートの世界にHALOの軍隊が出現したら… 作:ライダーGX
イタリカへの盗賊滅却から数分、UNSC軍と自衛隊はイタリカが受けた損傷の一時修復作業へと入っていた。
その中でも自衛隊が投降した盗賊達の見張りを、UNSC軍は瓦礫の撤去や負傷者を運んでいて、瓦礫の撤去はアントラ達が率いるSPARTANⅣ部隊が行っていた。
その様子を健二達は見ていた。
「これだけの犠牲で済んだけど…」
「酷いもんだな」
健二が言ったのをブライアンが言った所に、アントラが健二に近寄る。
「ラプターチームか?」
「ん?ああそうだけど…、アンタは?」
「俺は先ほどの部隊にいたプライナリーチームのリーダー、アントラだ。よろしくな」
そうアントラが手を差し出すと、健二も同じように手を出して握手する。
「よろしくアントラ、互いのリーダー同士。よろしく」
「ああ、それよりもあんた等…毎度の事だが厄介ごとに巻き込まれるな?」
「…それを言うなよ」
健二がそう言ってその場を去って行き、ブライアンとアントラはそれを見て、ブライアンは手を上げて健二の後を追いかける。
「ふっ。やれやれだな」
っとそう言ってアントラは撤去作業を続けているプライナリーチームの元に向かう。
そしてピニャ達は先の戦いで戦死したノーマの最後の別れをしていた。
別れを告げた後にグレイはピニャに話しかける。
「終わりましたな…」
「確かに盗賊は撃退した…」
「はい、我々の勝利です───」
「違う」
っとピニャはハミルトンの言った事をすぐに否定し、勝利したのは誰かを言う。
「勝利したのは…エムロイの使徒ロゥリィとジエイタイ、そしてユーエヌエスシーで…妾ではない。そしてジエイタイは聖なるアルヌスを占拠し続けている…我らの敵」
ピニャの言葉から聞いたハミルトンはそれを聞いて思わず唖然とし、ピニャはその事を感じつつ言い続ける。
「…妾はイタリカを救うつもりで、もっと恐ろしい物を引きずり込んだのではなかろうか…、あの大部隊だった盗賊をたった数人と圧倒的で滅却した鋼鉄の天馬と強大な魔道が…もしこのイタリカに向いたとしたら…妾も」
ピニャは降伏している女盗賊の一人を自分の顔を重ね合わせ、それにピニャは思わず震えが出てしまう。
「っ…フォルマル伯爵皇女ミュイも簡単に虜囚となり、この帝都を支える穀倉地帯は敵の物となり、住民たちはそれを歓喜の声で迎えるだろう…」
「そんな事は!」
「ないと言い切れるか? 実際に街を救ったのは彼等だぞ」
その事にハミルトンは言えず黙り込んでしまう、ピニャは二人の間を歩き通りながら言う。
「もし彼等があらゆる物を要求してきたら、妾も取り縋って辞儀をして…足の甲にキスしてしまうかも知れない」
ピニャの言葉を聞いて、ハミルトンとグレイはただ黙って聞くしかなかった。
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そして健二達はフォルマル伯爵家の屋敷で協定条約の内容を聞いていた。
その説明をハミルトンが話していた。
「イタリカ救援に感謝し、その対価の交渉を行いたい。第2の施設の往来の無事と、諸経費に関しては慣例通りとする。
第3のアルヌス協同生活組合の貿易特権それも問題ない。だが捕虜の権利はこちら側にあると心得て頂きたい」
ハミルトンの説明を聞いた健二達、健二はアシェリーの方を見て頷き、アシェリーは頷いて言う。
「イタリカの復興への労働力、それは理解しました。ですがこちらはまだこの辺りの事を知りませんので、出来れば数人程度の捕虜をこちら側にも与えてほしいのです。そちらとの人道的にも」
「人道的?」
「はい、友人、知人、親戚の様に扱う様の事です」
アシェリーの説明を聞いて、ハミルトンはその事を聞いて思わず怒鳴り声を出す。
「友人や知人が平和に暮らす街を襲い、人々を殺め虐殺などするものか!」
「それが私達や自衛隊のルールです。破る事は…絶対にありません」
その事を聞いたハミルトンはそれに黙り込んで、間を空けて皆を見る。
「…了解した。では捕虜に関しては以上だ。残りは軍隊の退去と協定期間に対して───」
「条文通りで異存はない」
っとレレイがそれを言い、それにハミルトンはピニャの方を向き、それにピニャは頷き。ハミルトンは再び前を向く。
「ではそれで条件をのむと決する」
それを健二達は了解し、協定条約を結んだ。
協定を結んだ後、健二達は外に出て今の状況を確認する。
「協定条約を結んだから今後の情報もより入りやすくなった」
「ですが我々がどこまでこの世界に干渉すれば良いんでしょうか?」
「それは自衛隊達と考えれば良いんだ。それは」
ブライアンの言葉に健二は考えながらその事に頷き、健二達は一旦捕虜の確認する為、伊丹達の元に向かう。
そこでは伊丹が既に連れて行くメンバーを決めていた。
「あの子とあの子…それにあっちの子だな」
「あの頭に羽が付いた子ですか?」
「そう」
健二達が伊丹達の側にやって来て決めているメンバーを見ると、連れて行くメンバーは女子ばかりであった。
「…女ばかりだな伊丹」
「わざとやってないな」
「まさか偶然ですよ」
そう答える伊丹に栗林が目線を反らしながら言う。
「そうは思えませんが…」
「偶然だって」
「偶然…ね」
「そ♪偶然♪」
その事に呆れ返る健二とブライアンに栗林に黒川、アシェリーは苦笑いしながら伊丹の考えに少しばかり賛同する。
「ま、まあ~女の子を此処に残す訳には行きませんからね…」
「まあ、それもそうですね」
っと黒川もアシェリーに同意し、それには健二とブライアンは見合うのだった。
そして捕虜を乗せたペリカンはUNSC軍と自衛隊の航空部隊と共にアルヌスへと帰還して行き、それを街の住人達は感謝の言葉を送りながら見送った。
その様子を健二達は下から見ていた。
「…では我々も帰りますかね」
「あれ?お嬢さん方は?」
「例の商談中だ、本来の目的の」
「あっそれが目的でしたね?」
富田はこの街に来た目的の事を思い出し、それに健二は頷く。
「ああ、本当…巻き込まれるばかりだな」
「あの~リーダー」
健二はアシェリーに声を掛けられ、アシェリーの後を付いて行き、健二は問う。
「どうしたアシェリー、俺を呼んで?」
「はい、あの…どうでしたか? 今回の戦闘を…感じて?」
それを聞かれた健二はそれをすぐに答える。
「何にも感じなかった」
「えっ?」
「人を殺しても何も感じなかった、しかし少しばかり加減もあった…まだまだって事もあるけど」
それを聞いたアシェリーはその事に少しばかり不安になる事もあったが、健二のこの後の様子を見守る事にする。
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そしてレレイ達が龍の鱗を売って、ラプターチームと第3偵察隊と共にイタリカを出てアルヌスへと帰投する。
「さてと…無事に帰投すれば俺達の任務も終了だな」
「ああ、これで無事…ん?」
っとブライアンはブレーキを踏み、それに健二は問いかける。
「ん?どうした?」
「リーダー、前方から何かが接近中だ」
それに健二は前を向いて、双眼鏡で前方を見ると、煙がたち誇り、徐々に近づいているのが分かる。
健二はそれを見て目を細め、通信で伊丹達に言う。
「おい伊丹、また厄介ごとが増えるぞ」
『ええ!?マジっすか!? んで…』
伊丹がその事を言う前に倉田が叫んだ。
『隊長!ティアラです!』
『ああ~ティアラね…ってティアラ!?』
『金髪です!』
『金髪!?』
『縦ロールです!』
『縦ロール!?』
「…お前等、楽しんでないか?」
健二は伊丹と倉田の漫才的な会話を聞いて思わずつぶやく、そして倉田がそのまま報告する。
『目標!金髪縦ロール一!男装の麗人一!後方に美人多数!』
「はぁ…、ん?あれは…」
っと健二は徐々に近づいて来る煙の中で旗が見えて、その旗が薔薇である事に気付く。
「…薔薇の旗。あの姫さんが言っていた騎士団だな」
「どうします?」
アシェリーがそう聞く中ですでに騎士団が最前列の73式小型トラックまで来ていた。
その内の騎士団の一人『パナシュ・フレガ・ルギー』が話しかける。
「貴様等何処から来た」
「我々、イタリカから、帰る」
少々片語で話すも、パナシュは怒鳴る風にもう一度問う。
「何処へ!」
「アルヌス・ウルゥ」
それを聞いた途端、騎士団が一斉に武器を構え、運転席に居る富田に向ける。
「アルヌスの丘だと!」
その様子にブライアンが健二に話す。
「おいリーダー、あいつ等俺達があの姫さんと協定条約を結んでいる事を知らない筈だよな」
「ああ…、俺が行く。何かあったらお前たちは即撤収しろ」
「え!リーダー!」
健二はそう言ってキャリゲーターから降り、騎士団が警戒している中で『ボーゼス・コ・パレスティ』が馬から降りて、騎士団の元に向かうと伊丹も同じように高機動車から出て来た。
「伊丹」
「ちょっとまずい状態になって来てるんで、ここは共に」
それに健二は頷いて、共に向かい、ボーゼスが富田の胸倉を掴む。
「貴様!異世界の敵か!!」
「あの~」
っとボーゼスが振り向くと、健二と伊丹が歩み寄って来る。
「部下が何かいたしましたか?」
すると目の前に剣が向けられ、それに二人は見るとパナシュが剣を向けていた。
「降伏なさい!」
「やめとけ、俺達は───」
「お黙りなさい!!」
っとボーゼスが健二のヘルメットに平手打ちをするも、逆に彼女の方に痛みが走り、それを見たパナシュが健二に剣を向ける。
「何をした!!」
「別に、それよりもお前たち、あまり過激な事は───」
健二がそう言うも既に騎士団の者達は完全に頭に血が上っていて、もう聞いても聞かないと感じた健二は皆に言う。
「全員!撤収!!急げ!!」
それを聞いたブライアンはすぐさま車両をバックさせて撤収をし、皆もそれに続いて撤収をする。
残された健二と伊丹は騎士団に武器を向けられていた。
「あははは…」
「…(さて、どうするかね…これから)」
っと今頃考える健二と手を上げて苦笑いしながら降伏する伊丹であった。