ブラック・ブレット 紅き守り手   作:フルフル真

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なんか長くなりました...

書きたい事が多すぎて微妙になったかもしれません

そして案の定話が進んでない...が、頑張る...


第9話

 

最初に聞こえて来たのはシャリ、シャリと何かを切る音だった

そして身体は何かに包まれており非常に暖かくて心地良い

次に薬臭い刺激臭が鼻の粘膜を刺す

目蓋の裏からほのかに光を感じる

 

やがて意識が完全に回復する

 

蓮太郎「ッグ...生きてる...のか?」

 

重たい目蓋を開け何度も目を瞬かせる

すると天井がぼんやりと見えてきた、ベッドに寝かされている、蓮太郎はやっとそう理解できた

するとすぐ隣りから薬品の匂いではなくシャンプーの良い匂いがした

 

その蓮太郎を覗き込んできた蓮太郎の上司の天童木更は蓮太郎を眺めていた

 

蓮太郎「...よう、木更さん」

 

蓮太郎の言葉に少し涙を浮かべながら木更は答える

 

木更「お帰りなさい、里見くん」

 

蓮太郎は苦笑して話す

 

蓮太郎「ここは天国かよ?」

 

木更「まだ地獄よおバカ...」

 

木更の言葉に蓮太郎は苦笑を漏らしテーブルを見るとテーブルにはカットされたリンゴが置いてあった

 

蓮太郎「...リンゴ、剥いてくれたんだな」

 

木更「食べる?」

 

木更は袖で涙を拭い蓮太郎に聞く

 

蓮太郎「いや、大丈夫だ、何も食べてないはずなのにお腹が空いてないんだよ...」

 

蓮太郎はダルそうに首を動かし窓に顔を向ける

外は澄んだ夜空が広がっていた

 

蓮太郎「...俺はどれくらい寝てた?」

 

木更「丸1日と3時間くらい、それでも手術は少し厳しかったけどドクターヘリの中で真莉くんが里見くんの応急処置をしててくれたの」

 

蓮太郎「助けられた...な...真莉は?」

 

木更「一旦家に帰ったわ、貴方の無事だと分かったからって」

 

 

 

 

 

木更《古畑くん、本当にありがとう、里見くんを助けてくれて...》

 

真莉《いや、こっちももっと早く到着できれば良かったんだが...悪いな》

 

木更《ううん、君が来てくれなかったら里見くんは...》

 

木更は震えていた

 

真莉《ッフ、仮に俺が行かなくてもあいつは死ななかったろうな、あいつを見てると何でも解決出来そうだ...俺と違ってな(ボソ)》

 

木更《えっと、古畑くん?》

 

真莉《苗字はあんま好きじゃない、普通に真莉で良いぞ》

 

木更《何処に行くの?》

 

真莉《どうせ直ぐに七星の遺産は見つかる、今のままじゃ俺にも覚悟が足りなかった、ちょっと自分を見直してくる、蓮太郎を頼んだぞ?天童社長》

 

真莉の言葉で木更は驚愕した表情を浮かべた、真莉の口から七星の遺産が出るとは思わなかったのだ

 

木更《っまって!真莉くん!もしかして...真莉くんは七星の遺産について知っているの?》

 

真莉《あぁ、最初聞いたときはどっかで聞いたと思っていたんだがな、影胤の言葉の大絶滅を引き起こすって言葉を思い出してな、それでまた考えてみたら、あ、聞いたことあったと思ってな》

 

木更《七星の遺産ってなんなの?》

 

真莉《七星の遺産ってのはな...》

 

 

 

木更「七星の遺産はステージVを呼び出す為の何らかの触媒らしいの、これは真莉くんが帰った後民警を集められて今回の依頼の本当の裏を教えに来たから間違いないわ」

 

蓮太郎は驚愕した

 

蓮太郎「ステージVって世界を滅ぼした11体のガストレア...だよな?」

 

木更「それ以外に何かいる?」

 

蓮太郎「だから大絶滅か...」

 

ガストレアはステージによって大きさや個体能力が異なる

その中でもステージVは大きさも個体能力も桁違いにデカイ、それにバラニウムから発生される磁場の影響も受けない

故にステージVが召喚されてしまえば...

 

蓮太郎「ステージVを擬似的にでも呼び出すのは不可能だ!」

 

木更「それが可能なのよ、私も始め聞いたときは驚いたわ、聖天子一派...と言うよりお偉いさん達が隠していたみたいね」

 

蓮太郎は目蓋を閉じ浮かんできた聖天子と天童菊之丞に舌打ちをした

 

蓮太郎「続けてくれ」

 

蓮太郎は続きを促す

 

木更「民警の代表者達はみんな気丈だったわ、失神もしないしパニックにも陥らない、洗面台に駆け込む人が数人いたぐらいで後は静かだったわ...」

 

蓮太郎は何も発さない

すると木更は

 

木更「延珠ちゃんから聞いたわ。里見くん、貴方蛭子影胤に遭遇したのよね?どうだったの?」

 

蓮太郎は震える

 

蓮太郎「強すぎる、人間業じゃねぇ...」

 

すると扉が開く、蓮太郎と木更がそちらに目を向けるとそこにいたのは真莉とアカネだった

 

真莉「お、起きてたか蓮太郎、無事で何よりだ」

 

アカネ「無事?良かったぁ」

 

真莉とアカネの登場に少しビックリしていた

 

蓮太郎「あぁ、真莉のお陰でな...」

 

蓮太郎は思い出したかのように真莉に問うた

 

蓮太郎「そうだ!真莉!お前あれなんだったんだ?」

 

理解していないアカネと木更は首をかしげる、真莉は面倒くさそうに目を細めたがやがて溜め息を吐き椅子に座った

 

真莉「いつだか言わなかったか?俺は化け物だと」

 

蓮太郎「言ってねぇよ!てか冗談でも自分を化け物呼ばわりするのはやめといたほうが良いぞ」

 

蓮太郎は親切心で言ったのだろうが2人、アカネと木更が絶句しているのを見てもう一度真莉の方を見た、そして蓮太郎もそれを見て絶句した

 

そこにいたのは炎を思わせる程に真っ赤な髪に真っ赤な目になった真莉がいた

 

真莉「これは俺の力の副産物でな、ちっとばかし本気になるとこうなる、前は制御出来なくてな、今は制御できるようになった、この状態だとまぁそうだな...イニシエーターとほぼ同クラスと思ってくれた方が楽だな」

 

真莉はそう言うと元の黒髪黒目に戻った

 

真莉「...そういや延珠は?」

 

真莉の言葉で蓮太郎はやっと延珠がいないことに気がついた

首を振って探すと木更は苦笑しながら言った

 

木更「里見くん、布団の中よ」

 

蓮太郎は驚き布団を捲る、すると気持ち良さそうに眠っている延珠がいた

 

木更「延珠ちゃんは里見くんが起きるのを待っていたのよ、寝ちゃったみたいだけどね」

 

蓮太郎はそれを聞き笑顔を見せ延珠の頭を撫でる

すると延珠は目を覚ました、蓮太郎を見ると万遍の笑みを見せ抱きつく

 

延珠「蓮太郎!良かった!目を覚ましたのだな!」

 

延珠はその後蓮太郎に抱きついたまま真莉とアカネが居ることに驚いたり少々騒がしい病室となった

 

 

騒がしいのも収まり本題に入る

 

真莉「さて、とりあえずどうすれば影胤に勝てるかを考えるか」

 

延珠「真莉なら勝てるのでは無いか?」

 

蓮太郎「そうだよ、お前影胤にあんだけの接近戦をやってたんだから」

 

真莉「まぁ可能だろうな、だが多分俺では本当の意味では勝てない」

 

蓮太郎達は首をかしげる

 

蓮太郎「どうして?」

 

真莉「その前に聞いときたいことがある」

 

蓮太郎「え?」

 

真莉「蓮太郎、天童、お前らは《新人類創造計画》ってのは知ってるな?」

 

真莉の言葉に蓮太郎は驚愕した

 

真莉「とくに蓮太郎、お前はよく知ってるだろ?」

 

蓮太郎「お前...何処でそれを!」

 

真莉「それは内緒だ...さて、なんでこんな話をしたかというとだな、蛭子影胤、あいつはその新人類創造計画の生き残りだ」

 

木更、蓮太郎、延珠は驚く

 

木更「どうして分かるの?」

 

真莉「それも内緒だ...と言いたいところだが流石に教えとかなきゃな、俺はな、バラニウムの磁場を感じることが出来る、あいつとやりあった時あいつからバラニウムの磁場をほんの少しだが感じた、それだけだとどうなんだってところだがちゃんと調べたよ」

 

蓮太郎「じゃあ俺のことも?」

 

真莉「お前をおぶった時にな、まぁ諸々はあの変人の室戸に聞いた、悪いとは思ってるがまぁ今はそれどころじゃ無いからな」

 

そこまで言って真莉は一息付く

すると今まで黙っていたアカネが口を開く

 

アカネ「ねぇ、その新人類創造計画って何なの?」

 

真莉「それはな...」

 

真莉がそう言おうとした瞬間真莉の携帯が鳴る

 

真莉「...悪りぃ、ちょっと待ってくれ」

 

ディスプレイには聖天子の文字、真莉は顔を真剣にさせ電話に出る

その表情を読んだのか蓮太郎も木更もアカネも延珠も真剣な表情になる

 

真莉「もしもし、電話がきたということはそう捉えていいんだな?」

 

相手が聖天子と言えど何時もと同じ口調で話す真莉に蓮太郎と木更は更に驚愕の表情をした

 

真莉「あぁ、あぁ、あ?今は病院だよ、里見の入院しているところだけど...ちょっと待っててくれるか?」

 

真莉はそう言うと携帯を蓮太郎に渡した

 

蓮太郎「え?」

 

蓮太郎は驚愕する

しかし受け取るまでこのままだぞとでも言いたそうな表情をした真莉に蓮太郎は折れた

 

蓮太郎「...もしもし?」

 

聖天子《里見さん、私です》

 

電話からの声はやはり聖天子だった

 

蓮太郎「...今さら何の用だよ?聖天子様」

 

聖天子《里見さん、蛭子影胤追撃作戦が始まります、多数の民警が参加する史上最大規模の作戦です、病み上がりで申し訳ありませんが私はあなたにも参加して欲しいと思っています》

 

聖天子の言葉に蓮太郎は目を閉じ答える

 

蓮太郎「一つ聞きたいことがある、蛭子影胤、あの男は」

 

蓮太郎の言葉を遮り聖天子は答える

 

聖天子《彼は元民警で問題ばかり起こしライセンスは停止処分にされていますが処分時のIP序列134位でした》

 

蓮太郎は驚愕し声を張り上げる

 

蓮太郎「134位!?」

 

木更と延珠は、その言葉でどういう会話か理解し同じく驚愕した

蓮太郎は怒りを隠さずに聖天子に言う

 

蓮太郎「...どうして何も対策を打たなかった!」

 

聖天子《...新人類創造計画は存在し無い計画です、存在し無い兵士は脱走出来ません》

 

蓮太郎は携帯を握りつぶさんとばかりに力を込める

 

蓮太郎「ッ!ふざけんな!何人殺されたと思ってる!全部あんたらのせいだ!どうしてあんたらの尻拭いをさせられなきゃなんねぇ!やってられっか!」

 

蓮太郎は怒りをぶつけるが電話口の聖天子は凛とした声で言う

 

聖天子《里見さん、今あなたが戦わなければもっと多くの人が、あなたの大事な人が死にます、あなたに耐えられますか?》

 

非情とも言える発言に蓮太郎は手で顔を覆い首を振った

 

蓮太郎「なんで俺なんだ...ッ!それこそ真莉でもいいじゃないか!真莉は俺なんかより...いや、それこそ影胤よりも強い!」

 

蓮太郎はそう言うと聖天子は答えた

 

聖天子《その古畑さんからの進言なのです、政府は古畑さんに更なる依頼をしました、しかし古畑さんはそれを断ったのです》

 

蓮太郎「ッ!?真莉!なんで断った!」

 

蓮太郎の矛先は真莉に向かう

 

真莉「理由は諸々あるが一番の理由は俺は民警じゃ無い、それだけだ」

 

真莉のセリフに唖然とする一同

東京エリアが絶滅するかもしれない時に民警じゃないからやらないと言ったのだ、当然だろう

 

聖天子《それに私はあなたなら蛭子影胤に勝てる、そう思ったのです、彼を止めれるのはあなたしかいません、その理由はあなたが一番よくわかっていると思います》

 

聖天子はそう言うと蓮太郎は諦めたのか大きく息を吐いた

 

蓮太郎「分かった...ただしあんたらのためにやるわけじゃないことを忘れんな」

 

聖天子《結構です、ご武運を、里見さん》

 

そう言うと電話を切って真莉に携帯を投げ返した

少し怒りもあったのか強目に投げた携帯だったが真莉は何事もなかったかのようにキャッチした

 

蓮太郎は身体に付いている電極や針などを慎重に外し起き上がる

傷口に少し触れたのか顔をしかめるが無理さえしなければなんとか動ける、棚の上の紙袋に自分の制服があるのを確認し病院服を脱ぐ

木更は「おバカ」といって頬を染めながら後ろを向いた

真莉はアカネに見せないように自分の身体で目隠しをした

 

木更「...勝てるの?里見くん?」

 

蓮太郎「勝たなきゃみんな死ぬ、だから勝たなきゃダメなんだよ」

 

木更「死ぬわよ」

 

蓮太郎「覚悟の上だ」

 

木更「...分かったわ...里見くん、社長として命令します、影胤、小比奈ペアを撃破してステージVの召還を止めなさい!君は私の為に今までの百倍働いて、私は君の千倍働くから」

 

蓮太郎「絶対に止めます!あなたの為にも!」

 

蓮太郎はそう言う、すると今まで黙っていた延珠と真莉も言う

 

延珠「蓮太郎は死なないぞ!妾が守るからな!」

 

真莉「死ぬ覚悟なんて捨てちまえ、最初っから死ぬ気で行くんなら足手纏いになる、安心しろ、政府の依頼を受けなかったのは受けたらいろいろ行動を制限されるからな...平気さ、友達は守ってやるさ」

 

真莉はニヤッと笑う

蓮太郎もつられて笑う

 

蓮太郎「それじゃ頼もうかな」

 

真莉「ッフ、まぁお前は殺しても死ななさそうだし平気かな」

 

そう言うと二人して笑い合う

二人はガッチリと握手しあった




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