剣姫の弟ですが何か 〜ジャガ丸君の好みは豚キムチ味〜   作:木野兎刃(元:万屋よっちゃん)

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皆さんのコメントが心の支えです。


小話『ほっこりしたらいいなぁ………という話』

アイズとレオンハルトがロキファミリアに拾われて一年が経った頃か………アイズ・ヴァレンシュタインが史上最速のランクアップを果たし名を売り始めた辺りの事。

 

ロキファミリアの歴史に残る事件が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も冒険者になりたいー!!」

 

 

まだ幼い少年レオンハルト、当時6歳。

 

ロキから恩恵は貰っているが冒険者登録はさせて貰えてない為ダンジョンに潜る事が出来ない。

 

他の団員が語ってくるダンジョンの話とか格好の良い装備への憧れ…………そして何より姉に負けたくないという意地からか副団長のリヴェリアに直訴していた。

 

 

「はぁ………だから何度も言っているだろうレオン。

 

お前にとってまだダンジョンは危険だ、実力を付けてから潜っても遅くは無いと」

 

 

アイズは誰が唆したのか気がついたら冒険者登録していて気がついたらダンジョンに潜っていたのだ。

 

レベル6になってもダンジョンという場所は危険が多いとわかっているリヴェリアは予備知識と相応の実力をつけてから潜るべきとレオンハルトにそう教育していた。

 

 

「お姉ちゃんはもう冒険者じゃん!何で俺は駄目なの!?」

 

 

「アイズはロキの馬鹿が唆した所為で勝手に許可なく冒険者になっていただけだ。

 

どうした、今日はご機嫌斜めじゃ無いか。腹でも減ったのか、ジャガ丸君買ってやろうか?」

 

 

普段ならある程度言えば引き下がるのだが今回は中々引き下がろうとしない。

 

独身のリヴェリアから見てもレオンハルトは大人びて………いや、ませているように見える。

 

涙目を浮かべ訴えかけるその姿に母性本能をブチ抜かれまくるリヴェリア。

 

思わず許可してヘファイストス装備で整えて送り出してやりたくなるが副団長の責任感でその気持ちを抑え込む。

 

 

「リヴェリアは…………俺のこと嫌いなの?」

 

 

今にも涙腺を崩壊させそうに涙を貯め小首を傾げてながら聞くレオンハルト。

 

 

「うぐっ!!」

 

 

涙目+上目遣いのアルティメットコンボが炸裂。

 

今更引き下がる訳にも行かないから何とか説得しようと試みるリヴェリア。

 

 

「い、いや別にお前が嫌いとか言っている訳じゃ無いんだぞ?」

 

 

「皆お姉ちゃんばっかり褒めて俺の事褒めてくれないもん!!

 

リヴェリアもお姉ちゃんは褒めて俺には怒ってばっか!!

 

皆俺の事が嫌いなんでしょ!?俺もみんなだいっき………へっ?」

 

 

思わず手が出てしまった。

 

確かにアイズは幼いながら武功を立てランクアップを果たし周りが認めているだろう。

 

リヴェリア自身もアイズの才能と努力、そして勇気を認めていた。

 

だが、レオンハルトはアイズを超える才能があるとリヴェリアは踏んでいた。

 

甘やかしていてはこの子を強くしてやれない、だからこそ厳しく教えてきたのだ。

 

愛情故に厳しくしている事を分かって欲しいと思わないが最後の一言を口にしてしまっては引き返せなくなると思っての平手打ち。

 

 

「う、う、うわぁぁぁぁぁあん!!リヴェリアなんか大ッ嫌いだぁぁぁぁぁ!!」

 

 

レオンハルトなりに耐えてきた涙腺をけさせホームを飛び出す。

 

後悔先に立たずと言うがやってしまってから駄目だったと気づくリヴェリア。

 

もっと他の選択肢があったんじゃないかと後悔がやってくるがそれ以上に

 

 

「大嫌い……………だと…………」

 

 

余りのショックに追いかける事も出来ずただただ固まっていた。

 

夕食の時間になっても来ないリヴェリアを心配したフィンが来た時には真っ白な灰と化していた。

 

冒険者依頼を出そうと暴れるリヴェリアをベートとガレスがボロボロになりながらも抑え込む。

 

 

「まだレオンは6歳なんだ、お腹が空いたら帰ってくるさ」

 

 

この時にはロキファミリアの敵はフレイヤファミリアぐらいなものでレオンハルトに手を出そうものなら相手を完膚なきまで叩き潰す実力がある。

 

だからか大した心配をしてないと言うフィンだが貧乏ゆすりが止まらない。

 

 

「だからって怪我していたらどうする!?空腹で倒れていたらどうする!?」

 

 

「まぁまぁ、ちょっと落ち着いた方がええ「うるさい!」ガフッ!!」

 

 

背後からリヴェリアの胸をさりげなく揉もうとする変態な神に容赦の無い制裁を加える。

 

倒れるロキを一瞥して棚へ向かって歩き出す、それはロキが買ってきたソーマ酒を中心とした酒が多数並んでいた。

 

リヴェリアはそこから無雑作に酒をとり真夏に飲む烏龍茶の如く一気飲みをする。

 

リヴェリアの突然の奇行に目が点になるフィン、お気に入りを飲まれ血涙を流すロキ、唖然とする団員達。

 

 

「うぅ〜〜、ヒック…………何だこの酒は大した事無いのだな」

 

 

そう言ってどんどん瓶を取り出しては飲むリヴェリア。

 

 

「レオ〜〜ン、私を嫌いにならないでくれぇぇぇぇ!!」

 

 

冷静沈着、寡黙などいった言葉が似合いエルフという種族に恥じぬ美しさを誇るリヴェリア。

 

そんなリヴェリアが今、アルコールのせいか顔を赤くし涙を流しがら酒を煽っている。

 

 

「ふ、副団長そろそろ止めたほ………ヘブライ!?」

 

 

勇気を振り絞って止めにいったヒューマンの若手が一瞬にして吹っ飛ばされる。

 

 

「ガレス、僕は今からレオンを探してくる、その間にリヴェリアを何とかしてもらえるかい?」

 

 

この状況はレオンハルトが居なくては収集がつかない。

 

修羅と化しているリヴェリアを止める為に団員達に時間稼ぎを頼むフィン。

 

ガレスはやれやれといった風に溜息をつきリヴェリア沈静作戦に躍り出た。

 

 

「さてさて…………一体どう探したものか…………とりあえずギルドかな?」

 

 

探す当てもないフィンはとりあえずギルドへ向かった。

 

冒険者になりたいと言っていたレオンハルトならギルドにいって冒険者登録をしようとする可能性が高い。

 

受付嬢に聞いて見るとレオンハルトは既に来た後だった。

 

しかしリヴェリアがギルドに言伝してあったおかげで冒険者登録が出来なかったレオンハルトはそのままメインストリートの方を歩いていったという。

 

普段の教育で知らぬ店には入るな、知らない人には付いて行かないと教え込んでいるから次の目的地もすぐに決まった。

 

豊穣の女主人、打ち上げの際に贔屓している居酒屋だ。

 

 

「すまない、ここにレオンは来なかったかい?」

 

 

「あの坊主なら適当に飲み食いして今は上で寝てるよ。

 

それよりもあの坊主の分の代金を払って欲しいもんだ」

 

 

例え子供といえど客は客。

 

無償で食わせる事は出来ないからフィンに支払いを求める。

 

フィンは手持ちで支払いを済ませレオンハルトが寝ているという部屋に入った。

 

 

「やぁレオン、初めての家出…………いや冒険はどうだったかな?」

 

 

「ふん!」

 

 

フィンが部屋に入るまでは仰向けで横になっていたレオンハルトだがフィンが来た瞬間にうつ伏せになり顔を合わせようとしない。

 

 

「君は何怒っているんだい…………って答えてくれそうにないね。

 

君は本当に恵まれているね、僕の時と比べたら天と地の差があるよ」

 

 

フィンが駆け出しの時はこんな資金的な余裕も無く人数も少ないから余り深い層にも潜れ無かった。

 

 

「君にはまだ難しいかもしれないが怒られるという事は期待されてるって事なんだ。

 

寧ろ怖いのは誰からも相手にされず常に独りであること。

 

教えている方は期待しているからこそ出来なかったり失敗すると悔しいんだ、だからリヴェリアは君を厳しくしているんだよ。

 

だから君に嫌いと言われたリヴェリアは今ホームで泣いている。

 

君にはこうして迎えに来てくれたり呑んだ暮れながら心配する家族がいる。

 

その事をどうか忘れないで欲しい」

 

 

話し終えるとレオンハルトの様子が変わった事に気が付いたフィン。

 

心配してくれていた安堵感、そして一方的に突き放した事への罪悪感からなみだが溢れたのだ、その事を察したフィンは優しく頭を撫でた。

 

 

「さ、帰ろうか僕達の家に」

 

 

「うっ、うっ………リヴェリアは俺の事嫌いになってないかな?」

 

 

「ははは、それはこのオラリオが崩壊しようとあり得ないだろうね」

 

 

やっと泣きが治まってきたレオンハルトを連れて歩くフィン。

 

某お使い番組のワンシーンのようなその光景はショタコンの女神達の間で都市伝説的扱いを受ける事になる。

 

ホームに着くと喧騒は落ち着いていてリヴェリアのバーサクタイムを上手く止める事に成功したようだ。

 

食堂に入るとボロボロになって倒れる団員と縄で縛られ只管踏まれているベート、それを見て爆笑するアマゾネス姉妹に息絶え絶えになっているガレス………中々に混沌だった。

 

思わず苦笑いをしてしまうフィンだがレオンハルトにとってベートが縛られているのは良く見る光景なので特におかしくはない。

 

強いて言うならば何故みんなここまで疲れているのだろうか……ぐらいだ。

 

誰か来た事に気付いたリヴェリアが食堂の入り口の方を見るとフィンとレオンハルトが並んで立っていた。

 

ベートの頭をサッカーボールよろしくな具合に蹴り飛ばし残像が見える程の速さでレオンハルトの前に近づき

 

 

「レオン…………よかった………本当に良かった。

 

ありがとう、戻ってきてくれてありがとう。

 

そして本当にすまない……こんな私で本当にすまない」

 

 

抱き締めると涙が溢れた。

 

ガレスの作戦で「酔っ払うって事は体が異常状態って事だよね?って事はポーションとかぶっ掛ければ解決じゃね」という考えのおかげでリヴェリアの髪は少し濡れていた。

 

ポーション特有の柑橘系の香りとアルコールの匂いが混ざって変な気分になるレオンハルトだがそれ以上に自分を抱きしめてくれているリヴェリアの暖かさに幸福を感じた。

 

次の日、レオンハルトはギルドにて冒険者登録を済ませた。

 

一年と半年という姉に次ぐ歴代2位の速さでランクアップ、そしてレオンハルトのみが開眼してると思われるアビリティ剣術と共に忍術を習得。

 

その8年後、異例中異例………レベルの飛び級をしオラリオにその名を轟かせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自室に飾ってある幼き頃のレオンハルトと自分が写っている写真を眺めながらしみじみとした気分になるリヴェリア。

 

 

「ふふ、本当に大きくなったんだなレオン…………………今日頑張ったら久しぶりにあいつの好物でも作ってやるか」

 

 

写真を伏せ立て掛けておいた杖を握り気持ちを整える。

 

アポロンファミリアとヘスティアファミリアの戦争遊戯の観戦はオラリオ中で可能だからロキファミリアが懇意にしている居酒屋へと赴くのだった。

 




はぁ…………長かった。

今回はマジで長かったっすわ、ほっこりする話が書ければいいなと思い書きましたがどうでしょう?

今回のようにリクエストしてくださればこういった形で書きますのでコメントとかしてくれたら嬉しいです。



p.s エミヤシロウとかセイバーとか英雄王とか色々あるけど征服王のやつ書いてる人いないっすよね。

おれイスカンダルが一番好きなんだけどなwwww

野球系の二次創作とかやりてぇーなー

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