※なお、漸く始めた艦これと東京喰種の新刊を読む時間はあった模様。
新暦67年 1月×日
あービックリした。
オーリスの知らせに無表情のまま狂喜乱舞して我ながら実に不気味だったと思うが、オーリスも慣れたもので、右斜め45度からチョップをかまして止めてくれた。
さて、取り敢えず即効で病院に行ってもらって検査してもらい、妊娠8週目との事なのでレジアス義父に連絡を出すと、義父も狂喜乱舞した、が丁度来ていたゼストさんに苦笑しながら止められていた。
相談した結果、安定期に入るまで自宅で療養してもらい、安定期に入ってつわりが酷くなるまでは仕事をする事となった。
ただし、体調管理はしっかりとし、つわりが酷いようなら産休を取るという事で落ち着いた。
取り敢えず、マンションのセキュリティを見直さなきゃ(使命感
追記 ついついうっかり現場でレッツパーリィして弾薬を無駄に消費してしまった。いや、全弾当てたけどね?
新暦66年 2月○日
とち狂った馬鹿な犯罪者共が自宅周辺に湧いたので、局に連絡しつつ蹴散らした。
うちの奥さん達を人質にしようとしたらしいが、生憎と今日は非番なのですよ(にっこり
別動隊が侵入しようとしていたが、生憎と此処は地上本部の局員専用の集合住宅でもありまして…数の暴力でボコボコにされました。
まぁ侵入段階で即効で最新式に換装していたセンサーが反応してくれたが故の即応だったが。
うむむ、これは用心を込めて更なる改良を施した方が良いか。
追記 流石にセンサー系とリンクした自動対空砲台群はやり過ぎと奥さんに怒られた。仕方ないから警備用の傀儡兵の配備を具申したら通ってしまった。
また図面とにらめっこの日々だお…。
新暦66年 3月○○日
漸く傀儡兵が出来た。
基本、以前作ってオーリスにプレゼントして怒られたスヴァンヒルドを更に重装化して非殺傷兵器(ゴム・ネット・トリモチ・閃光・音響・スタン・催涙ガス弾等)をこれでもかと搭載しまくった一品だ。名前はランドグリーズとしよう。
重装化しているとは言え、傀儡兵も装甲材も武装も元々割と安いものを使用しているので地上本部向けに発売したり、性能を下げて民間に売るのも良いだろう。
取り敢えず、早速義父に提出して予算を獲得だ!
これ書く暇あるならオーリスに構えって怒られたお…。
追記 嫁さんにちょっと怒られた後、「あんまり無理しちゃダメよ?」と言われた。うちの嫁マジ天使、聖女、女神!
(以下、嫁への惚気で埋め尽くされる)
新暦66年 4月×日
レジアス義父中将(もうすぐ昇格の噂有り)とゼストさんから今度違法研究所の摘発をするとか。
元々近年テロリストに流れている特殊な質量兵器(レールガン、コイルガン、粒子砲等)の出荷元として調査候補となっていたのだが、この度調査が終わり、所有している企業の方にも同時にがさ入れする予定なのだとか。
ただし、施設はかなり広大な地下空間を持っているらしく、直ぐに制圧できずに逃げられる公算が高いそうな。
んで、施設への突入はゼスト隊が主に行うのだが、人手が足りないのでこっちに御鉢が回ってきた訳だ。
取り敢えず、色々思いついたから、ちょっと待っててほしい。
でもゼストさん、一応AD導入しないの?
あ、やっぱり使い慣れた道具の方が馴染みますかそうですか・
AMF対策に多重殻弾と物体加速に身体強化を重点的に鍛えているとは言え、何処までやれるか…何にせよ、対策を練らねば。
新暦67年 5月∴日
今日は実にいい天気だったが、実に不愉快で、遣る瀬無く、そして腸が煮えたぎる日だった。
先月相談された施設制圧だが、①最初にベーオウルブズが地上施設を制圧し、制空権を確保する。②施設外周の土地(無人)目掛け高高度から輸送機により試作バンカーバスター×10を射出して地下にあるであろう脱出路を破壊する。③その後、OWグラインドブレードを用いて地下施設を掘削して侵入路を確保する。④ゼスト隊による地下区画の制圧開始。
大まかな流れはこんな感じだ。
味噌はゼスト隊は無傷かつ消費無しで突入してもらう事だ。
また、その気になればこっちで穴掘りして救出にも行けるし、まぁ大丈夫でしょ。
なお、バンカーバスターは先日のマスブレードのブレード部分を改良したもので、地下深くまで突き刺さった後に内部の大量に埋め込まれたカートリッジと共に起爆します。火薬ではなく魔力を使用し、あくまで廃材の塊を投下するのであって、質量兵器ではありません。
グラインドブレードは背部のロケットブースターは共通だが、ブレード部分を6本の掘削用ブレードを束ね、回転機構に載せた野蛮極まりない代物だが…これはあくまで工具であり、兵器でありません。よって合法です。
まぁ初期の問題は制空権が確保できるかどうかと通常の輸送機では高度を確保できなかったので、急いで改良した事なんだけどね。
割と地上部分で敵航空兵器(何年か前にやりあった人型モドキ=リオン)が20近くいたので部下達が手古摺った様だが、いい加減対空戦闘も慣れた部下達によって30分待たずに制空権は確保された。
その後は手順④まで恙なく完了したのだが、施設内が高濃度AMF下にあり、更にAMFに左右されない改造人間、それも高ランク魔導士級が複数存在するため、苦戦しているとの事。
仕方ないから掘削しまくって施設を露天掘りにしてAMFの密度を下げていたのだが…いきなり不意打ちを食らった。
いやさ、ガチでセンサー系に何の反応もねぇでやんの。
ただ、こちらの装甲を抜く程の攻撃力は無いのか、頭部のカメラアイや推進系を狙ってきた。
でもまぁ、存在するならやりようはあるよね?
推進系の逝かれたOWを外し、大体どの辺にいるか当たりをつけてから跳んでかーら-の、広範囲へのクレイモア!
そしてクレイモアが防がれた当たりに部下達と共にドカスカ撃ち込む。
そしたらスーっと出てきたのは何処のマブラウ?ってなデザインのボディースーツに身を包んだ眼鏡の少女。
そう、数の子の4番だった。
しめしめと捕えようとしたのだが、その前に地面にトプンと現れた腕に掴まれて、これまたトプンと地面に沈んでいった。
どうやら6番まで実戦投入されているらしい。
そこに人型モドキの大量増援が来てしまい、増援に行けなくなってしまった。
しかも通信も妨害されていたのか、近隣の部隊と本部に向けた通信は届いていなかったそうな。
全てが終わったのは、手遅れになってしまった後だった。
ゼスト隊の隊長陣は重傷、メガーヌさんとクイントさんに至っては連れ去られたらしい。
メガーヌさんはゼストさんとは長年恋人関係だったし、クイントさんは自分のクローンとは言え二人の娘と夫であるゲンヤさんがいる。
皆泣いていた。やり切れない。
病院で消沈するあの人達に、なんて声をかけたらよいのか分からない。
十分対策を練っていたつもりだったのに、嘗てからの恩人方にオレは何も出来なかった。
しかも、ドクターとその一派には逃げられた。
まぁその点はあの6番がロールアウトしてたのだから仕方ないが。
追記 ゼストさんは回復後は局に戻らず、一度フリーの魔導士になってメガーヌさんの行方を追うそうな。
ゼスト隊自体は損耗が激しく、解散になるとか。
嘗ての古巣が消える事を残念に思うが、もううろ覚えな原作の流れでは全滅?だったし、被害は軽減できたので良しとしよう。
やはり、まだ、オレは捨て切れていないのだろう。
何だかんだ言って、オレは人並みの幸せを得ようとしているのだから。
だが、このままではその幸せはオレの掌から零れ落ちるだろう、間違いなく。
スカ博士?否、オレは今更だが恨みを買い過ぎた。
今更第一線を退いた所で、犯罪者が喜々としてやってくることだろう。
それら全てを薙ぎ払い、それら全てを踏み躙るだけの力が必要だ。
そのためには権力はいらない。分かり易い恐怖こそが必要だ。
ならばあの場所へ行く必要があるだろう。
管理局創設からの全ての知識がある場所、無限書庫へ。
試作高高度超音速輸送機クレーエ
元々設計が開始されていた新型輸送機を原型として、改装と言うよりは殆ど新造に近い程弄り倒されたこの輸送機はその最高巡航速度がマッハ7を誇る。
そんなから化け物級輸送機から10個の試作バンカーバスターが次々と投下される。
既に試験を終えているとは言え、実戦投入は初めてのそれらは上手く着弾の5秒後に爆発し、地下施設の一部を破壊した。
『ベーオウルブズ、降下開始。』
それを確認した直後、大型コンテナと共にアルトアイゼン・ナハトが空へと身を投げる。
それに続く様に、本来空戦用の装備を空挺作戦に代用したベーオウルブズもまた空へと踊り出す。
『ヒュー!雲より上から落ちるたぁすっげぇな!』
『騒ぐな。既に作戦は開始されている。』
『私は何時も通りなんですけど…。』
『雲、綺麗。』
『各機、次期に対空砲火が来る!散開して火線を散らせ!隊長の邪魔をさせるな!』
『『『『了解!』』』』
降下しながら、コンテナは原型が分からぬ程に変形していき、次々とナハトへと展開したパーツを接続していく。
【警告 不明なユニットが接続されました。】
【警告 システムに深刻な障害が発生しています。】
【警告 直ちに使用を停止してください。】
背面には追加されたロケットブースターが、右腕部には一列に並んだチェーンソーが接続され、更に6本ものチェーンソーが右腕に巻き付く様にして巨大な円柱形のドリルユニットへと変貌する。
直後、鋼の擦れ合う音と共にドリルユニットの無数の刃が回転を始め、火花を散らしながら赤熱し始める。
「撃ち貫く。」
そして、高高度から真っ逆さまに落ちてきたドリルは施設からの対空砲火を更に加速する事で振り切り、轟音と共に装甲をぶち抜き、地下施設目掛け突貫した。
開幕の一撃によって地下5階までぶち抜いた後、ワラワラと集合してきたカプセル型と球体型、全翼機型の無人兵器を掃討した後、ゼスト隊は地下施設の制圧しに向かい、ベーオウルブズは地上で警戒のために残っていた。
『随分な数でしたね…。』
『確実に何処かに大規模な生産拠点があるな、こりゃ。』
『二人とも、無駄口は叩くな。』
ウルフ4と6の無駄口をウルフ3が咎めるが、彼女も内心では二人と同意見だった。
(このタイプの無人兵器は以前から散見されたが…誰の仕業だ?)
明らかに管理世界内の技術水準を超えている。
否、自分達の隊長の様な異物染みた人物なら可能だろうが、それとて誰の支援もなく、こんなものは大量生産できないだろう。
(そこまでの規模を持ち、尚且つ管理局に気取られない組織…一体何処に…。)
大量の敵を文字通り全滅させ、後は退路を確保しながら、精鋭で知られるゼスト隊からの報告を後詰として待つ。
この配置はサイズが2m以上あるADを主力とするベーオウルブズよりも既存の通常デバイスを主力とするゼスト隊の方が地下空間内で自由に動ける事を考慮したものだ。
無論、ADが弱いという事は無いが、それ以上にゼスト隊が精鋭として知られ、レジアス中将からの信任も厚いための選択だった。
だが、だからこそ、地上で騒ぎを起こせば、その二つ部隊のどちらか、或は両方を釣る事が出来る。
特にベーオウルフは技術者としての側面も大きく、近年の地上本部の戦力拡充の立役者でもある。
それは地上本部が力を持つ事を厭う者にとって、周知の事実だった。
「狼さん、死んでくださいな♡」
それを察知できたのは、理性でもセンサーでも偶然でもない。
戦場を梯子し続けた、孤狼の持つ直感だった。
突然、何も無かった空間から、ベーオウルフ目掛け粒子刀が突き出される。
瞬時に感知したセンサーによれば、その威力は至近距離かつ装甲の継ぎ目や関節を狙えればナハトの装甲を抜くに十分な熱量を保有していた。
『…。』
現状、至近からの一撃を回避するだけの出力は瞬時に出せない。
何せもしもの時の支援のためにデカブツを背負ったままだからだ。
だから、瞬時に左半身のスラスターに命じた。
全力噴射と。
「がッ!?」
結果、ナハトはその場で大きく旋回した。
機体本体よりも更に大きな、グラインドブレードを鈍器として。
無論、敵の粒子刀の脅威が消えた訳でもない。
強引にブースターユニットとグラインドブレードを鈍器代わりに旋回させたがために、ブースターユニットが損傷してしまった。
これではもう容易に地下への直通路を作る事は出来ない。
【警告 ブースターユニット損傷 パージします。】
「は、ははは!やってくれるわね狼さん…!」
少女と言ってよい声音が、姿も無く聞こえてくる。
周囲に感じる殺意が消えていない事から、未だに彼女は近くにいるのだろう事は解る。
だが、音も匂いもセンサーも感知する事は出来ない。
完全に敵のステルスがこちらのセンサーを上回っていた。
【警告 撤退を推奨。】
『却下。』
【…至近距離なら敵の粒子刀の熱量を感知可能。】
「あはははは!さっきはよくもやってくれちゃって!このまま死んじゃなさいな!」
哄笑と共に、次々にナハトの表面装甲に傷が走る。
まるで甚振る様に重要箇所を傷つけないその行動は、彼女のプライドの高さと先程味わった屈辱の程を語っていた。
「じゃぁそろそろ死んで頂戴!」
『ナハト、フルブースト。』
そして、最後の言葉が吐かれたと同時、ナハトは直上に飛んだ。
後に残ったのは、姿形は無くとも粒子刀の熱量を止めのために最大値にしていた間抜けだけだ。
『抜けられると思うなよ。』
そして、両肩の散弾魔法が真下目掛けて発射された。
「ッ、この程度で!」
だが、彼女の装備の中にはガジェットに用いられるものよりも高出力のAMF発生装置もあるため、小粒過ぎる散弾では落としきれない。
『えぇ、その程度で。』
『狙うには十分だな。』
「か、ぁ?」
AMFを展開し、余計な被弾を止めるために動きを止めた瞬間。
本来なら散弾でボロボロになる筈の所に、ぽっかりと空いた綺麗な場所。
そこに遠方から砲撃・狙撃魔法が放たれた。
次いで、次々と射撃魔法が降り注ぎ、ボロ雑巾の様にそこにいるであろう間抜けを蜂の巣にしていく。
『乱戦なら兎も角なー、つか暗殺者が正面から来るなよ。』
『馬鹿なのだろう。ステルスを過信し過ぎだ。』
『取り敢えずボコりましょう!』
『どうせ降伏とかせんだろ。意識無くすまで撃っとけ。』
『終わったら腱をチョキチョキ…。』
間抜けな彼女が救出されるのはそれから3分後、二つ下の妹が急いで駆けつけてくるまでだった。
それまでずっと執拗に撃たれ続けていた。
『z…ザザ…ッ…k…ゼス…隊!…救…乞う!繰り……救援…う!』
ベーオウルブズが馬鹿を取り逃がした直後、地下から救援要請が届いた。
ゼスト隊程の面々が窮地に陥る程の何かがある。
それを確信しながら、ベーオウルブズの動きは速かった。
『ウルフ2から5は地下へ。ウルフ6はオレと共に残り、本部にも増援を要請。』
『『『『『了解!』』』』』
繰り返すが、彼らの動きは速かった。
救援要請が届いて一分もせずに行動を決定、実行に移そうとした。
だが…
『ッ、センサーに感あり!敵増援来ます!』
この場においては、敵の方が上手だった。
数は先程の無人兵器よりも少ない、半数程だろうか。
だが、それら全てが空戦A相当の機動性を持つ人型モドキなら、後者の方が遥かに厄介だろう。
『…命令を変更。全機、この場で戦闘続行。』
『『『『『了解!』』』』』
この選択が例え味方を見殺しにするものであっても、それでもまだマシな事は確かだった。
『クレイモア。』
無数の散弾魔法が一度に数機の人型モドキを撃墜する。
だが、その倍以上の数のリオンが範囲内にあったにも関わらず、一瞬で間合いから離脱してしまう。
ナハトはあくまで重装の陸戦仕様機で、人型モドキは空戦特化。
つまり、相性以前の問題だった。
『この、何機いるんだ此奴ら!?』
『ウルフ4、陣形を崩すな!』
『後ろに付かれました!ブレイク、ブレイク!』
『一部にレドーム装備がいる?指揮官機か?』
だが、彼らとて修羅場は腐る程に通ってきた。
装甲と障害物の多い地の利を生かして、次々と人型モドキを撃墜していく。
この場でこいつらを撃破しなければ退路を確保する事も出来ない。
救援に行きたい気持ちを抑えながら、それでも彼らは己が職務に忠実だった。
『ウルフ1、前に出る。』
ナハトがその推力で強引に前に出る。
その動きに釣られ、人型モドキの照準がナハトに集中する。
『モーションセレクトシステム、リミット解除。フルドライブ、オーバードブースト開始。』
【了解。MSSリミット解除。オーバードブースト開始、終了まで30秒。】
本来、陸戦仕様のナハトが、強引に推力任せに空を飛んだ。
飛行のための慣性制御も重量軽減も無い、強引で無謀な突撃。
だけどそれは、突拍子もない事態には弱い無人兵器にとって、ほんの半秒程度のロスとなって現れる。
大気を押しのけながら、ナハトが加速を開始、敵中に向けて切り込んだ。
『一つ。』
一番手前の機体に破砕音と共にステークを叩き込み、そのまま盾代わりにしながら加速。
『二つ。』
盾代わりにした人型モドキごと更にステークで貫き、カートリッジロードと共に衝撃変換術式を発動させ、吹き飛ばしながら更に加速。
『四つ。』
左右から迫り、接近戦を仕掛けようとした人型モドキを両手で鷲摑み、更に加速。
『六つ。』
それらを正面の弾幕を張る二機目掛け投げつけ、射撃が鈍ったと同時にクレイモアで全機撃墜しながら加速。
『七つ。』
正面から大型砲を持って突撃してくる機体をヒートホーンで両断する。
そこで、限界が来た。
【警告、排熱限界。フルドライブ、オーバードブースト緊急停止。】
一瞬の振動と共に、ナハトの突撃が停止する。
魔力・体力双方の消費は蓄積し、機体にかかった負荷も限界が見えてきている。
それを残った人型モドキは見逃さず、一斉に火器を向ける。
それらが放たれれば、消耗したナハトでは撃墜は必至だろう。
だが、それは…
『オレらを無視しんなや、なぁ?』
『所詮は機械か。』
『ヴァイス、照射射撃に変更。』
『死ね。』
『つまらん物だが貰ってくれ。』
先程から戦っていた目の前の敵から目を外した事に他ならない。
ルーチンに欠陥のある様な機械が晒した隙を、ベーオウルブズは逃さなかった。
この日、彼らが挙げた戦果は目覚ましいものであり、普段であれば褒められた事だろう。
だがしかし、彼らが眼前の敵を倒した時、本当に大事なものはもう掌から滑り落ちていた。
新暦67年 7月○日
幾度もの理論の構築と検証の結果、現状取り得る手段として一つの回答が出た。
嘗て闇の書事件で手に入れた、闇の書の根幹データ。
解析するだけして、後回しにしていたこの危険物の封を解く日が来たのだと。
こいつのデータに関しては義父にすら秘密にしているし、流石のスカさんも知らないだろう。
否、知っていた所でそう簡単に対処できるものではない。
念のため、うちで今使っているPCとは別のオフラインの端末を用意し、更に通常使用しているナハトとも接続しないで開発しているので、情報漏洩は早々無いだろう。
あるとしたら数の子の6番が端末を丸ごと奪取する事だが、用心のために勝手に起動・移動したら自爆する様にセットしておく。
少なくとも室内に鉄片の嵐が吹き荒れる事は間違いないだろう。
早々、用心と言えば義父だ。
オーリスはもう腹が目立っておいそれと動かせないし、警備状況は万全とは言え、義父は数の子らに暗殺されかねない。
そのため、義父にももしもの時を考え、オーリスに送った自衛用ADの二号機を送った。
銘をシグルーン、緑のカラーリングに変更されたスヴァンヒルドの二号機だ。
ただ、シグルーンはあくまで自衛用の装備でしかない。
陸の、ミッドチルダ地上本部の実質的指導者であるレジアス・ゲイズの乗機としては物足りない。
戦を行う者、そのTOPに立つ者には相応の責任がある。
嘗て義父は酒の席で「本当は親友の隣に立って戦いたかった」と零した事がある。
酒の席の話だ、と笑い飛ばすにはその言葉は余りに真摯だった。
だからこそ、長年の夢を是非とも果たしてもらおう。
オレもまた、全力で以てそれに応えよう。
そして、時代は流れる。
A`sからStrikersへ。
少女から女性となった魔法少女と
青年から父親となった男と
人形から人間となった狂人の
地球から鉄風雷火の限りを尽くされる異世界へ
魔法少女リリカルなのは二次創作
~ リリカルでメカニカル Strikers ~
ミッドチルダ争乱編
乞うご期待!
なお、暫く更新が遅れる模様。