魔法少女リリカルなのはStrikers~風と桜の記憶~   作:strike

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まず……更新が遅くなってしまい申し訳ありませんでした!!

こんなに遅くなってしまうとは私も予想外でした……。
少しずつでもペースを戻していけたらなと思います。

さて、今回はなのはの精密検査……結果はいかに!?


第8話スタートです!!


第8話 診断

シエルの家に連行された翌日。

夜が明け、窓から差し込む朝日を浴びて翔馬はベッドの上で目を覚ました。

まだ重い瞼を押し上げて時計に目をやると、いつも起きる時間よりもいくらか早い時間。

しかし、二度寝をする気にもなれなかった翔馬はゆっくりとベッドから体を起す。

そして、寝起きのゆったりとした動きで洗面所まで行くと目を覚ますために冷たい水で顔を洗い、翔馬は昨日の朝を思い出していた。

まだ事件が起きてから1日しか経っていないというのに、何故か翔馬は目の前の光景に懐かしさを感じて、動かしていた手を止める。

 

「そう言えば、なのは達と出かけたのは昨日の事だったか……」

 

翔馬は無意識にそう呟くと、時間の感覚がおかしくなっている自分に気付いて苦笑いを浮かべ、気分を変える為に少しだけ体を伸ばした。

そして、翔馬は完全に覚醒した頭で今日の予定を思い出す。

 

「今日はなのはの精密検査の日だな……」

 

翔馬は1人そう呟くと少しだけ表情を引き締めて身支度を整え、最後に長年の付き合いであるゼフィロスを手に取ると、相棒は翔馬を励ますかのように一度輝きを放った。

それを一瞥した翔馬は少しだけ笑みを浮かべて玄関へと歩いていき、玄関をくぐると翔馬はゼフィロスを首からぶら下げて愛車へと向かう。

そして、愛車に乗り込み少しだけ時間に余裕を持ってなのはの入院している病院へ向かうのだった。

 

 

 

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車を走らせること数十分。

翔馬は予定通りはやてとの待ち合わせの時間より少し早い時間に病院に辿り着き、車を停めて正面玄関をくぐった。

 

「すみません。 面会の申し込みをしたいのですが」

「はい。 それではこちらの用紙に必要事項を記入して下さい」

 

翔馬は病院の中に入ると受付のナースさんに声を掛け、慣れた様子で面会手続きを終わらせる。

そして、面会カードを首から下げて昨日の夜とは少し違う雰囲気の病院を歩き、なのはのネームプレートが掲示されてある病室の目の前に立つ。

すると、中からははやてとなのは、そして、ヴィヴィオの笑い声が聞こえ、翔馬は安心した様な表情を浮かべてドアをノックする。

 

「俺……、藤田翔馬だ。 入ってもいいか?」

「……あ、はい。……どうぞ」

 

翔馬が声を掛けるのと同時に部屋から楽しそうな声が消え、部屋の中の雰囲気が一瞬で変わるのを感じた。

今聞こえたなのはのか細い声が何よりの証拠だろう。

なのはの声を聞いた翔馬は、せっかくここに来る前に作ったいつもの雰囲気が一瞬で壊れそうになり、溢れそうになる感情を抑えるため、ゆっくりと目を閉じて深呼吸をして気分を落ち着かせようとする。

そうして暫くすると、段々と気分も落ち着いてきたのか、いつも通りの自分に戻れたことを確認してから目の前の扉を開けた。

 

「昨日ぶりだな、高町一等空尉」

 

翔馬が声を掛けると部屋の中にいた3人の目線が集まり、なのはは少し目を伏せてから勇気を振り絞るかのように翔馬の目を見つめると口を開く。

 

「はい……。えっと……「あ、パパ!!」あの!!……って、……ふぇっ?」

 

何かを言おうとしたなのはの言葉を遮って翔馬に飛びついてきたのはヴィヴィオだった。

どんな形であれ、昨日に引き続き翔馬に会えたことが余程嬉しいのか、尻尾があればぶんぶん振り回しそうな勢いで翔馬に縋りついていた。

 

「全く、昨日会ったばかりだろうが……」

「だって、パパと会えるのってたまにしかないんだもん」

 

翔馬の苦笑いに対して、ヴィヴィオは頬を可愛らしく膨らませるとお互いに堪え切れなくなったのか笑い合っていた。

その様子はまるで親子のようで、今では当たり前となっている光景だが……

若干1名は現状を理解していないらしく、奇妙な表情でフリーズしていた。

 

「え~と……ど、どういう事、かなっ? ふ、藤田三佐が……ヴィヴィオの……パ、パパ?……って」

「ちょ、ちょっと!! なのはちゃん、一旦落ち着こか? めっちゃどもっとる上に、顔が茹でタコ並みに赤いで!?」

「だ、だって!! ヴィヴィオのママは私なんだよ!? なのにパパのヴィヴィオは藤田三佐で!!」

「いや、言いたい事は分かるんやけど……そのままの意味で聞いとったら訳が分からへんからな?」

 

なのははヴィヴィオの言葉の所為で先程の神妙な雰囲気は何処へ行ったのか完全なパニックに陥り、恥ずかしそうに赤く染めた顔で、翔馬達に言葉の意味を問い質そうと捲し立てた。

それに対してはやてはなのはの表情に苦笑いを浮かべ、翔馬はバツの悪いような表情で固まっており、唯一ヴィヴィオが笑顔でその回答を口にしようとするが……

 

「え~と、それは……ふぐっ」

「悪いな、なの……高町、その話は検査が終わってからにしよう。 ヴィヴィオも検査が終わるまでは何も言わない事。 いいな?」

「(コクコク)……ぷはぁ~。 もう、苦しいよパパ!!」

 

ヴィヴィオは突然口を塞がれ呼吸がしづらかったのか、翔馬が口から手を離すと大袈裟に深呼吸して翔馬を睨み付た。

そんなヴィヴィオに対して翔馬は苦笑いで謝るが、ヴィヴィオは完全に機嫌を損ねてしまったのか翔馬の謝罪を聞こうともせずプイッと顔を背けてなのはの元へ戻って行ってしまった。

そして、なのはは先程のやり取りを見て少し落ち着いたのか自分のベッドまで戻って来たヴィヴィオを優しく受け止めると先を聞きたいかのように翔馬へと顔を向けた。

しかし、そこから口を開いたのは翔馬ではなくはやてだった。

 

「ゴメンな、なのはちゃん……昨日は色々と混乱してたみたいやったから何も言えへんかったけど、今日の検査でなのはちゃんが覚えてる事と覚えてない事をしっかりと把握してもらわなあかん」

「はやてちゃん……」

「まぁ、さっきの事も含めてな?そしてそれは私達も同じ。だから今日、なのはちゃんの記憶から消されている情報の中で必要最低限の記憶は知識として持ってもらおうと思ってるんや」

「あ……うん、それは、そうだよね……」

 

はやてはなのはが自分の言葉に納得してくれたことを確認するとこれからの予定について話し始めた。

そして、一通りの説明が終わると、なのはは少し疑問を持ったようで少し考えながらはやてに尋ねる。

 

「フェイトちゃんに急用が出来たのはわかったんだけど、どうして立会人が藤田三佐に? 失礼だけど私、藤田三佐の事は……」

「……だからこそや。 なのはちゃんの記憶から消された本人に立会って貰えば消えた記憶の詳細までわかるやろ? そして、この人は仮にも三佐や。 なのはちゃんに必要な情報、今は必要ない情報の区別もできる。 せやろ?」

 

はやてはなのはの言葉にそう答えると最後に顔を翔馬に向ける。

すると、翔馬は苦笑いでその視線を受け止めた。

 

「仮にもってのは酷くないか? まぁ、それは置いといてはやて」

「うん?」

 

翔馬は表情を苦笑いのままにして、自分の左腕を右手で指さした。

それにつられてはやては首を傾げながらも自分の左腕を見つめる。

 

「って!! 時間過ぎ取るやん!! なのはちゃん、最後の最後にドタバタしてゴメンな!! この後仕事やから……後は頼んだで、翔馬君」

 

はやてはあっと言う間に身支度を整えて翔馬の耳元で最後の言葉を囁くと、そのまま病室の扉まで駆けて行く。

 

「ほんならなのはちゃん、頑張ってな!!」

「うん。 今日は忙しいのにありがとね。はやてちゃん。 結果は検査が終わったら報告するから」

「了解や。 それじゃ行ってきます!!」

 

はやてはそう早口で言うと、急いで仕事場へと向かって行くのだった。

まるで嵐のような彼女に3人は顔を見合わせて少しだけ笑い、翔馬はベッドの近くにある椅子に腰を下ろした。

 

「すまない。 話が逸れたな。 ここからは俺が説明を引き継ぐ」

「はい。 よろしくお願いします」

 

翔馬はなのはからの返事が硬いものになっていない事に何となく安心するとそのままはやてが伝えきれていないこれからの予定をなのはに順を追って説明していく。

なのはは翔馬の言葉をしっかりと聞きこれからの予定を頭に入れて行く。

 

「それでは、私は今の状態のままで検査を受けてどの程度影響を受けているのか確認するという事ですね」

「ああ、今回は総合の精密検査だ。 知識・記憶・身体能力・魔力制御といった項目も実施するが、無理そうならしっかり言ってくれ」

「了解しました」

 

翔馬が今回実施する項目や流れなどを説明を終えるとタイミングよくなのはの主治医がやって来て定刻を伝える。

そして、翔馬達はヴィヴィオを一旦子供用の待合室に預けて主治医の後を付いて行き診断室へと入るのだった。

 

 

 

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「さて……一通り問診は終わったけれど、やっぱり藤田翔馬さんの記憶だけが完璧に消えていますね」

「そのようですね。 まぁ、逆に言えば他の記憶に関しては問題なさそうなんですよね?」

「ええ。 これから身体能力検査、魔力制御・出力検査を行いますが、問題なく終わる事でしょう」

「……。」

 

あれから少しの時間が経ち、なのはの問診が終わっていた。

結果は、会話の内容からわかるようになのはの記憶からは綺麗に翔馬に関する記憶が消えていた。

その事を理解しているつもりでいてもやはり医者から言われるとショックが大きいのだろう、なのはは問診が終わると肩を落としていた。

 

「あの……、」

「はい、何でしょう高町さん」

「私の記憶は……元に、戻るんでしょうか?」

 

なのはは、不安げに瞳を揺らしながら問診が終わって初めて口を開いた。

その表情は硬く、辛そうに見え、記憶の大事さを知らない彼女がどうしてこんな表情をすることができるのだろう。

隣に座る彼女の姿を見て翔馬も表情を硬くした。

 

「……正直な話、私にもわかりません。 このようなケース事態が少ないものですので」

「そう、ですか」

 

どちらともとれる回答に、なのは達の表情が和らぐことは無く、なのはに至っては主治医の言葉を聞いて何かに耐えるように自分の手を強く握り締めていた。

翔馬は隣にいるなのはに視線を移すと、無意識のうちになのはの手に自分の手を重ねた。

 

「っ!?」

「わ、悪い。驚かせるつもりは無かったんだけど……」

「い、いえ……こちらこそ、ゴメンなさい」

 

翔馬の突然の行動に驚いたのかなのははビクッと体を振るわせて握りしめていた手を胸に持ってくると翔馬から目を逸らし、翔馬もなのはの行動を見てバツが悪そうに目を逸らしていた。

そんな様子を傍から見ていた主治医は最初は目を丸くしていたものの、2人の様子を見て笑い出す。

 

「あはは、なんか君達を見てると初々しいカップルみたいだね。 見てて微笑ましいよ……っと、仕事の先輩と後輩に対しての言葉じゃなかったかな?」

「カ、カップルだなんて、そんな……藤田三佐に失礼ですよ」

「え~と、この話は終わりにしましょう。 今は検査の最中ですよね? ……高町。 これから体を動かすわけだが、行けるか?」

 

翔馬は不味い方向に話が逸れそうだったため、わざとらしく立ち上がって、話を無理矢理変える。

なのはは先程の会話で少し調子を取り戻せたのか翔馬の問いに対していい笑顔で頷くと、主治医と共に今度はリハビリルームへと移動を開始した。

そして、リハビリルームへ着くとなのははなぜか普段着を渡され、着替えるために翔馬達と一旦別れることとなる。

なのはは、未だ現状が掴めていない状態で着替えを終えて再度リハビリルームに到着すると、今日何度目かの奇妙な表情を見せた。

 

「それではさっそく検査を開始します」

「了解しました。 さぁ、高町、準備しろよ?」

「……え? いや、ちょっと!? どうして藤田三佐がバリアジャケットを!?」

 

そう、なのはの目の前には広いリハビリルームの中央に仁王立ちでバリアジャケットを纏った翔馬がおり、主治医からは相棒であるレイジングハートを手渡され、自分がこれからやるべきことがわかってしまうだけに逆に混乱していた。

 

「この状況を見ればわかると思うが、これから俺と模擬戦をしてもらう」

「そ、そんなこと言ってませんでしたよね?」

「うん? 身体能力検査、魔力制御に関しても見るって言った筈だが……」

「それは言いましたけど何で模擬戦なんですか!!」

「お前の今の実力が記憶を消される前の状態と変わっていないかを見るには一番これが手っ取り早いってことになったからだ」

 

なのはは、記憶が消えてからの戦闘はずっと先になると思っていただけに戸惑うが、翔馬の最後の言葉は本気だったように思えてそれ以上言えなくなってしまう。

翔馬はなのはの表情が硬くなり始めたのに気付くと表情を緩めてこう付け足した。

 

「言っておくが、これはあくまで模擬戦だ。 始めから本気でぶつかり合う気は無いから、訓練の一環とでも思ってくれればいい。 それに何より、なのははここから出たらすぐに現場復帰しなくちゃならないんだろう?」

「……そうですね。 分かりました。 お受けします」

 

なのはは翔馬の言葉に頷くと、レイジングハートを掲げた。

 

「レイジングハート、セーーット・アーーップ!!」

「なのはとの模擬戦はいつ振りだったかな……不謹慎かもしれないが、楽しませてもらうぞ?」

 

翔馬はなのはがバリアジャケットを身に纏っている最中にそう呟くと、敵意を向けて来るなのはに心を躍らせた。

そしてお互いに、地面に足を付けたまま得物を向かい合わせると主治医の声が響く。

 

「レディ……ゴーーー!!」

「はっ!!」

「アクセルシューター!!」

 

そして開始の合図と共に両者が素早く動き始める。

翔馬は即座になのはの正面から逃げるように右へ動き、なのははそれを追う様に体を移動させつつアクセルシュータを展開させる。

翔馬はそれを横目で確認すると、少し笑みを浮かべた。

 

(今の所は定石通り。 ……問題なさそうだな)

 

翔馬はなのはの記憶喪失が戦闘にまで影響がないか確かめつつ、攻撃を仕掛け始める。

 

「行くぞ!!」

「っ!! シューット!!」

 

翔馬はなのはが体を捻る瞬間に加速しなのはの頭上に移動して剣を叩きつけようとするが、なのははそれをプロテクションで受け止めると周りに待機させてあったアクセルシューターを翔馬に向かって全弾発射させる。

 

「くっ!! エアリアルブリッツ!!」

「き、消えた!?」

 

翔馬はアクセルシューターが着弾する前に、身体強化の魔法でその場から離脱すると、なのはの数m背後でゼフィロスを構える。

 

「エアリアルサイス!!」

「っ!? アクセルッ!!」

 

なのはは背後から迫る魔法刃に気付くと即座にアクセルシュータを迎撃に向かわせ翔馬の攻撃を相殺し、空中へ飛び立ち視界を確保する。

そして、翔馬の姿を探すがまたしても視界から消えてしまっていた。

 

「三佐のスタイルは一撃離脱の近中距離型……戦い方はフェイトちゃんに似てるかな。 だったら……」

「だったらなんだ!!」

「くっ!!」

 

翔馬はなのはの目の前に姿を現すと、そのままゼフィロスを振り降ろすがなのはは間一髪でプロテクションを張って翔馬の攻撃に耐えた。

 

「こうする!!」

「……なるほどな」

 

翔馬は自分の左足と右腕になのはのバインドが掛かっていることに気付くと、苦笑いで目の前のなのはに視線を戻す。

すると、なのははゆっくりとその場から距離を取ってレイジングハートを翔馬に向けた。

 

「これで終わり!! ディバイン……バスター!!」

 

なのはから放たれた砲撃は翔馬を飲み込もうと直前まで迫るが、翔馬はむしろそれを待っていたかのように口角を釣り上げると、砲撃が当たる直前に空いている左手でもう片方の剣を手にした。

そして、その左手に握った剣を抜き放つと同時に砲撃を放つとなのはの砲撃を完全に相殺してみせた。

 

「悪いな。 俺は二刀流なんだ」

「うそ!? そ、そんなのありですか?」

「別に隠してた訳じゃないだろ? 始めから剣は腰に2本ぶら下げてたし」

 

なのはは翔馬の言葉に何か不満げな表情を見せるが、翔馬は関係ないとばかりにバインドを破った。

そして、見るべきものは見たという事、これ以上はなのはの負担になるだろうという事から、翔馬は自分の戦闘を知らない人間では確実に防ぐことのできない完璧なタイミングと位置でなのはの意識を駆りに行った。

これで決着する。

誰もがそう思っていた。

しかし、翔馬の一撃は桜色の魔法陣に阻まれ、更に自分の腕には無数のチェーンバインドが巻き付いていた。

翔馬は目の前の光景に驚きの表情で固まっていた。

 

「この完璧なタイミングで……バインディングシールド?」

「私……どうして……っ!!」

 

しかし、この光景に驚いていたのは翔馬だけでは無かったようで、なのはも翔馬に振り向いた状態で固まっていたが、この光景から先に我に返って現在の状況を理解したなのはは即座に距離を取ってレイジングハートを再度構える。

 

「モードエクセリオン!! 今度こそ……決めます!! エクセリオン……バスター!!!」

「くっ!!」

 

なのはが放った砲撃は今度こそ翔馬を飲み込み決着を迎えた。

そして、模擬戦が終了したことを告げるアラートが鳴ると2人は地面に降り立ち、バリアジャケットを解除する。

 

「まさか、あのタイミングでやられるとは思ってなかったよ。 攻撃が読めてたわけではなさそうだったが……」

「すみません。 私自身、何が起こったのか……ただ無意識のうちに展開させてたみたいで」

 

翔馬はなのはの言葉に何故か少しだけ嬉しそうに笑みを零して、そうかと呟くとなのはと共に主治医の元へと戻って行った。

その後、診断室に戻り、翔馬の感覚となのはの実践データから魔力系統、運動神経、判断能力や戦闘スキル等の問題は無いと診断された。

 

「それでは今日の診断はここまで。 高町さんもこれで退院という事で問題ないでしょう。 ただ、体の調子が悪くなったり記憶に変化があった場合には直ぐに病院へ来るようにして下さいね」

「はい。 分かりました」

 

なのはは主治医の言葉に素直に頷くと、一礼して翔馬と共に診断室から出て預けていたヴィヴィオの元へ向かう。

その最中、なのはが少しだけ戸惑いながら口を開いた。

 

「あの……この後はどうしましょうか?」

「そうだな、取り敢えず腹を空かせてご立腹なお姫様の御機嫌を取りに昼食へ出かけて……その後ゆっくりできる所で、話をしよう」

「結構長い時間ほったらかしにしちゃいましたもんね……拗ねてなければいいんだけど」

 

翔馬の言葉からヴィヴィオの様子が明確に想像できたのか、なのはは苦笑いを浮かべながら翔馬と共に娘の元へ少しだけ急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 


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