魔法少女リリカルなのはStrikers~風と桜の記憶~   作:strike

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皆様お久しぶりです。

暫くの間、離れてしまいましたが再投稿させてもらいました。
今更と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、せめて完結までは時間を掛けながらでも投稿しようとは思っていますのでこれからもよろしくお願いします。

さて、今回は機動六課再始動を祝っての模擬戦闘後半です。
どちらが勝つことになるのか。
お楽しみに!!

それでは第12話スタートです!!



第12話 機動六課再始動 (後編)

 

「うりゃぁぁぁ!!!」

「くっ!! そろそろこいつらの相手もしんどくなってきたな……だけど、副隊長としては負けられねぇんだ!! アイゼン!!」

 

スバルの重い一撃をプロテクションで受け止めたヴィータは以前より格段に成長している元教え子に少し嬉しそうな表情を浮かべながらカートリッジを打ち込み、出力を上げたアイゼンの一撃をスバルに放つ。

 

「ぐぅぅっ!! やっぱりヴィータ副隊長の攻撃は重いなぁ」

「まだ始まったばかりだぞ、腰に力入れろ!!」

 

ヴィータは反撃とばかりにスバルにアイゼンを叩きつけ、スバルも負けじとお得意のストライクアーツで拮抗した試合を繰り広げる。

そして別の場所では、ノーヴェがシエルと打ち合いをしていた。

 

「リボルバースパイク!!」

「水円刃!!」

 

黄色の魔力に包まれたローラーと水色に包まれた大太刀がぶつかり合うと、衝撃によってお互いに距離を取ると体勢を立て直す。

すると、シエルはおもむろに優しい笑みをノーヴェへと向けた。

 

「……どうかしたんですか?」

 

ノーヴェは自分に向けられる笑みに怪訝そうな表情を浮かべるとシエルは慌てて首を横に振ってそれを否定する。

 

「いえ、ただ、まさか貴女とまた一緒に戦う事になるなんてと思いまして……おかしな話だとは思いませんか? 2年前、この機動六課を襲っていた私達が今度は機動六課で働き、悪事に立ち向かうなんて。……って、少しこの話は不謹慎すぎましたか」

 

シエルは感慨深そうな表情から一転、苦笑いに変えるとノーヴェに向かってそう問いかける。

しかし、ノーヴェもそのことは少し気になっていたのかシエルに対して同じように苦笑いを浮かべ返した。

 

「あたしもシエル嬢とこんな形で一緒に戦うなんて思っていなかったですから」

「ですよね……さぁ、お喋りはここまでにしましょうか!!」

 

シエルは大太刀を正眼に構えると、ノーヴェもそれに合わせて構えを取る。

 

「ここからは真剣勝負、手加減などしませんよ?」

「あたしだって負けません」

「「はぁぁぁ!!」」

 

2人は同じように不敵な笑みを浮かべると同時に駆け出し得物同士をぶつけあう。

そして、更に場所は移ってエリオとフェイトはヒット&アウェイの高速戦闘を行っていた。

 

「ホントにエリオ、強くなったね……今までだって手を抜いていた訳じゃなかったけど、本気を出さないと逆に落とされちゃうかも」

「それは違いますよ、フェイトさん!! ストラーダ!!」

 

エリオはフェイトの上空からフリードの腹を蹴ってカートリッジを打ち込むと、ストラーダのジェット噴射を利用してさらに加速し、ストラーダから電撃が迸り始める。

そして、急速接近したフェイトに向かってストラーダを力の限り振り降ろす。

 

「紫電……一閃!!」

「ふっ!!」

 

しかし、フェイトは少し笑みを浮かべながらエリオの攻撃をプロテクションで防ぐと仕返しとして待機させてあったプラズマランサーをエリオに向かって放とうとした。

が、それは意外な所からの伏兵に拒まれてしまう。

 

「なっ!? フリード? いつの間に……って、エリオは!?」

「はぁぁぁ!!! サンダーレイジ!!!」

「っ!!」

 

攻撃のモーションを取ったフリードにほんの一瞬、気を取られてしまったフェイトはソニックムーブで移動したエリオを捉えることができず、慌ててバルディッシュで迎撃しようと体を捻る遠心力を利用して腕を振るう。

しかし、フェイトは迎撃が確実に成功すると確信した瞬間に何かに気が付いた様にハッとした表情になると、目つきを変えて即座にその場から消え去った。

 

「なっ!? フリード!!」

「ライトニングスマッシャー!!!」

 

エリオは自分が攻撃を外したという事を悟ると同時に、何か嫌な予感が体を駆け巡り空中で自由に動く事の出来ないエリオはフリードを呼び寄せてその足にしがみ付くと、上空からのフェイトの攻撃に間一髪で避けることに成功した。

エリオは若干、冷や汗をかきながらフェイトの方を見るとその姿を見て体が震えた。

 

「うん、さっきの言葉は撤回しないといけないね……さっきとは全く違う意味でエリオは強くなった。本気を出さなきゃ落されちゃうかもなんて、失礼だったよね。今のエリオには本気を出さなきゃ勝てない。母親代わりとして接していたからかな?いつまでもエリオの事……ううん、キャロも含めてまだまだ子供なんだってそう思ってたのかもしれない。まぁ、実際、私にとってはいつまでも大切な子供みたいな存在だけど……こうやって同じ職場に立ってるんだ。命の危険がある場所でストライカーとして頑張ってる後輩に……私は負けるわけには行かない。エリオ……ここからは、私の持てる全力で相手するよ」

「フェイト……さん」

 

エリオは震える体を意識してストラーダを持つ手に視線を落とすとガタガタとストラーダの先が震えているのをみて苦笑する。

元々、フェイトを越えるために今まで努力を重ねてきた。

少しでも愛する人たちが力なき人々が傷付かずに済むように。

しかし目の前の人を見て目指すべき人はまだまだ遠い場所にいることを自覚し、強張っていた体から力を抜いた。

そして、先程とは違う体の震えに満足したかのようにエリオは口元に笑みを浮かべると上空を見上げた。

 

「僕も全力で行きます!! 絶対に負けませんから!!」

「行くよ」

「フリード!!」

 

フェイトは戦闘開始を告げると同時に飛び出し、エリオもまた新たな戦場に向かってフリードと共に駆け出した。

 

「他の場所では面白い事になってるみたいだな?」

「最初は嫌々引き摺って行かれたような奴らが結構楽しそうにしてやがる……それにしてもシグナムは大人しいもんだな? 間髪入れずに打ち合いになるもんだと思ってたが」

 

全員の戦闘空域とは少し離れた上空でシグナムは下を見下ろして戦闘している3組と砲撃の牽制をしあっている1組に視線を向けていた。

しかし、その姿からは全く隙が伺えず、さすが剣将と言うだけの事はあると、翔馬は少しだけ苦笑いを浮かべていた。

 

「久々に懐かしい面子が集まっての模擬戦なのだ。少しは教え子たちの成長を見るのも悪くは無い……それとも今すぐにでも打ち合いたい腹か? 藤田三佐?」

「いや、俺はチームのサポートがメインだ。 今は下手に戦闘に介入するよりシグナムの相手をしていた方がいい。 その相手が動かないなら俺も動かない方が得策だろう。無駄に体力と魔力を使うのはこの面子での戦闘では愚策にもほどがある」

 

翔馬の言葉にシグナムは軽く笑うと、途中ではやてからの回線が開く。

 

「シグナム!! 何やっとんねん!! ちゃんと翔馬君を削ってくれへんとこの模擬戦負けてまうで!! 向こうの要は確実に翔馬君や!!」

「申し訳ありません、わが主。 少々感傷に浸っていました。 との事なので、翔馬、悪いがここで倒されてもらおうか。」

「丁度こっちからもお叱りが飛んできた所だ。 さて、久々に派手にやろうぜ?」

 

翔馬とシグナムはお互いに回線を閉じると鞘に入れた得物に手をかけてお互いに抜刀の準備を整えつつ構える。

そして、同時にその場から駆け出すと得物を引き抜いて、敵に向かって振り下ろした。

 

「ゼフィロス!!」

「レヴァンティン!!」

 

その瞬間、魔力衝突によって大爆発が起こると、戦闘を行っていた全員が上空で腹に響き渡る程の大音量に視線を向けていた。

 

「いや、削ってくれとはゆうたけど……」

「翔馬さん、やりすぎですよ……」

 

そうやって、他の面々は次元の違う戦いに少し冷や汗をかきながらその姿を見ている間、翔馬とシグナムは激しい撃ち合いをしていた。

 

「エアリアルサイス!!」

「レヴァンティン!! シュランゲバイセン!!」

 

翔馬の放った刃をシュランゲフォルムにしたレヴァンティンで撃ち落とすと、翔馬は隙のできた背後を狙い高速移動をして首を狙う。

しかし、それを読んでいたのか、シグナムは翔馬の姿を捉えると、口元に笑みを浮かべた。

その瞬間、翔馬は嫌な予感を感じ視線を巡らせると、そこはレヴァンティンの檻の中だった。

 

「飛龍……一閃!!」

 

翔馬が視線を巡らせている一瞬のうちに、シグナムはレヴァンティンを横に振り抜くと、鎖で繋がった刃が一瞬のうちに翔馬の身体へと殺到する。

そして、振り切ったレヴァンティンをシュベルトフォルムに戻すと振り切った刃を正面に叩きつける。

 

「……今のは流石に焦った」

「まぁ、今のでは流石に落ちんか。 だが!!」

「なっ!?」

「紫電一閃!!」

 

立て続けの連撃に翔馬はそれを避けることができず、シグナムは爆煙の中から飛び出し、警戒をしながらその中を見つめる。

すると、暴風がシグナムを叩きつけ思わず、目を覆う。

 

「それで終わりか? それなら今度はこっちから行くぞ!! エアリアルシューター!!」

「本当に以前にも増して化け物になったものだな……はっ!!」

 

無傷で佇む翔馬を見てそう呟くと、翔馬の攻撃を回避するために動き始めた。

それから程なくして、戦場は最終局面を迎えていた。

隊長チームは、はやて・シエル・シグナムの撃墜。

フォワードチームは、スバル・エリオ・ノーヴェが撃墜している。

 

「……この形は結構マズイですね」

「クロスレンジが潰されるとなると……戦い方としては前衛2人から逃げながらミドルレンジで応戦。敢えて向こうの得意レンジで戦うことも無いでしょう。翔馬さんも私と一緒に砲撃で応戦して下さい。キャロは私達の援護と、向こうの足止めお願い。 多分キャロが一番忙しくなると思うけど、行ける?」

「はい。 私も今まで遊んでいた訳じゃありません。 やって見せます!!」

 

翔馬は、いつの間にか頼もしくなった教え子たちに嬉しさを感じながら笑みを浮かべて頷くと、向こうの陣営に視線を向ける。

 

「向こうは、後衛2人に前衛1人だから、後ろが厚いよ」

「狙って来るのはミドルレンジの維持……かな」

「こっちは前が2人だ。 うまくクロスまで潜り込まねぇと火力不足と手数不足で厳しくなるだろうな」

 

「「これは陣地取り合戦になるか(な)」」

 

翔馬となのはは同じ考えに至ったのか、別の場所でそう呟くと即座に行動を始める。

 

「一気に攻めよう!! 援護射撃は任せて!!」

「「おう!!」」

 

なのはの言葉に頷いた2人は、速攻で飛び出し要であるティアナを狙う。

逆に翔馬達は、その場で迎撃態勢を整えて数多くのシューターを展開させた。

 

「キャロ!!」

「はい!! ブーストアップ・バレットパワー!!」

 

ティアナの声に応える様にキャロはティアナ達の展開させたシューターに向かって攻撃力上昇の補助魔法をかける。ティアナ達はその補助魔法が完成するのは待ち続け、それが完成した瞬間、

 

「エアリアルシューター……」

「ヴァリアブルバレット……」

「「フルバースト!!」」

 

キャロの補助魔法で強化された翔馬とティアナの弾幕が打ち放たれる。無数の弾幕にフェイトは厳しい表情を浮かべながら速度をさらに上げ、ヴィータもそれに続く。

 

「来たよ!!」

「わ~ってる!!」

 

フェイトはお得意の速度で弾幕の中を掻い潜り、ヴィータは弾幕を避けながら、避けきれないものは持ち前のプロテクションの硬さで防ぎながら前へと進む。

だが、その弾幕は急に勢いを無くしたかと思うとフェイトと、ヴィータは一定の空間に100近くのシューターに囲まれていた。

 

「フェイトちゃん、ヴィータちゃん!! そこから抜けて!! ディバイン・バスター!!」

 

なのはは、フェイトとヴィータの背後に向かって砲撃を放ち、近くにあったシューターを消し飛ばして道を作るが、それを黙って見ているほど翔馬達も甘くはない。

 

「シューット!!」

 

ティアナの掛け声と共にその場に残ったシューターはフェイト達の元へと殺到する。

 

「ヴィータ掴まって!!」

「わりぃ!!」

 

しかし、それでも隊長達のポテンシャルも高い。フェイトはブリッツアクションでヴィータを引き寄せると、ヴィータは体にフィールドプロテクションを全力出掛けてフェイトに身を任せる。そして、迫り来る弾幕を針の糸を通すような正確さで掻い潜り、見事その窮地を脱して見せた。

 

「プラズマランサー!!」

「シュワルベフリーゲン!!」

 

さらに、追撃させまいと攻撃を放ち体制を整える。

それに素早く反応したのはやはり翔馬だった。

 

「2人とも作戦通りに!! ……エアリアルサイス!!」

「「はい!!」」

 

翔馬は2人と共にその場から離れてフェイト達との距離を維持しつつ、フェイト達の攻撃を迎撃し、キャロとティアナは次の作戦の準備を進めていた。

そして、準備ができた2人は魔法陣を展開する。

 

「ティアナさん!!」

「行くわよ、キャロ!!」

「「ブーステッド・イリュージョン!!!」」

 

その瞬間、フェイト達を阻むように無数のティアナ達3人組のフェイクシルエットが現れる。その数は以前の機動六課時代とは比べものにもならない数だ。

 

「くっそ……アイゼン!! カートリッジロード!! モードドライ!!」

「私が先に粗方落とす!! サンダーフォール!!」

「私も忘れないでね? ディバイン……バスター!!」

 

フェイトとなのはの攻撃で殆どのシルエットは消え去り、残るはあと僅か。

それを見たヴィータは口角を釣り上げ、手に持ったグラーフアイゼンが火を噴く。

 

「まとめて叩く!! ギガントシュラーク!!」

 

振り上げたグラーフアイゼンは残ったティアナ達を一掃できるほどの巨大さ。

その巨大な槌が無情にも振り降ろされた。

しかし、その相棒から感じられた感触は何もなく、まるで空気に向かって振り下ろしたような感覚。

そしてその感覚は、ハズレを意味し……

 

「そう、うまくはいかないか……でも、準備はできた!! 翔馬さん!!」

「任せろ。お前達が作った隙、有効に使ってやる!!」

「フェイトちゃん!! ヴィータちゃん!!」

 

いち早く異変に気が付いたなのはは、声を上げると同時にレイジングハートを構えて砲撃体勢に入っており、フェイト達は警戒態勢に入る。

 

「翔馬のための時間稼ぎかよ!!」

「私が迎え撃つよ!! 2人は射線から離れて!!」

「了解!! ヴィータ!!」

翔馬の展開する魔法陣に3人は連携を取って反撃の布石を敷いて行き、翔馬の準備が完了した瞬間になのはも準備を終えた。

 

「切り裂け!! エアリアル・スマッシャー!!!」

「エクセリオン・バスター!!!」

 

2人の砲撃が中間地点で衝突し、魔力衝突による激しい爆発と共に暴風が巻き起こる。

思わず、翔馬となのは以外の全員が目を覆い、衝撃が止むのを待つ。

しかし、それが運命の分かれ道となった。

 

「戦闘中に足を止めるのはどうかと思うぞ? ……エアリアル・ディザスター!!!」

「えっ!?」

「嘘だろ!?」

 

ヴィータとフェイトの後ろに回り込んだ翔馬は両手に持った剣を目の前の魔法陣に叩きつけると、先程の砲撃をはるかに上回る大きさの砲撃がフェイト達を包み込む。

そして、次の瞬間にはなのはを探し出して動こうとするが、その時リィンからの声が響き渡った。

 

「模擬戦しゅ~りょ~で~す!!」

「は? まだなのはは落してないぞ?」

 

リィンの声に疑問を感じながら声を出す翔馬に申し訳なさそうな表情を浮かべたティアナが回線を開く。

 

「すみません、私がなのはさんに落されてしまいました……」

「ごめんなさ~い……」

 

ティアナの後ろでは肩を落としたキャロが映っており、爆煙の晴れた光景を目にして翔馬は苦笑いを浮かべた。

そこでは、なのはが中距離でアクセルシュータを周囲に展開し、砲撃を撃ち終えた格好からレイジングハートを振り払うとなのはの相棒は冷却状態に入ったのか蒸気を吹き出してキラリと光る。

 

「同じことを考えてたわけか。 先になのはを落としに行けばよかったな。 俺の判断ミスだ。 ティアナ、キャロ。 よく頑張ったな」

 

そう言って少し微笑むと、再度翔馬に向かって頭を下げて地上に舞い戻る。

 

「とういう事で今回は隊長チームの勝利や!! やったな」

 

はやての言葉に隊長達は当然とばかりに頷いて、逆にフォワード陣は悔しそうに反省会を開いていた。

そんな中で、はやては手を打ち合わせて全員の注目を集めた。

 

「皆お疲れさん。 久々の戦闘でうまく行った人もいかなかった人もいると思う。 これからはそれぞれに訓練しながら現場の感覚を取り戻していこう」

 

全員がはやての言葉に頷くと、今日はこれで模擬戦を終わるとの事で全員が後片付けを終えて隊舎へと戻っていく。

その道すがら翔馬の元へ駆け寄って来たのはフェイトだった。

 

「翔馬。 お疲れ様。 さっきのだけど、前よりさらに速くなったんじゃない?」

「ん? フェイトか。 それはお前が前より遅くなっただけなんじゃないか?」

 

翔馬は少し悪戯な笑みを浮かべてそう言い返すと、フェイトは翔馬を睨んだ。

 

「その言い方は無いんじゃないかな? ……最近は事務仕事ばっかりだったから戦闘の勘は少し鈍ってるかもしれないけど」

 

翔馬の冗談に本気で落ち込み始めるフェイトに翔馬は少し苦笑いすると、肩を軽く叩いた。

 

「冗談だよ。 フェイトも前より鍛えてるのは打合った俺はわかってる。 ただ、俺は現場の仕事だからな。 日々精進は当たり前だし、取柄と言ったら魔力総量と速さだけだからな。未だに本気のフェイトには追い付く気はしないが」

「もぅ……褒めたって何にも出ないんだから」

「俺は単に事実を言っただけだって」

 

翔馬の言葉に顔を少しだけ赤く染めたフェイトはそっぽを向きながらも軽くありがとうと呟くと、少し微笑んで翔馬の隣を歩き、翔馬はその様子に少しだけ微笑むと辺りを見回した。

そこではフォワード陣と隊長陣が混じって、さっきの模擬戦の反省会を開いており、そんな中から無意識になのはを探すと、偶然にも探し人と目が合ってしまい、なのはがこちらに微笑んで近づいて来た。

 

「藤田君はフェイトちゃんと反省会?って、フェイトちゃんなんか顔赤くない?」

「そ、そんなこと無いよ!! ただ、前より翔馬は早くなったねって話をしてただけ」

 

フェイトの言葉になのはは少し表情を曇らせたが、それは一瞬の事で笑顔を浮かべると翔馬の前に出る。

 

「それにしても、まさかあの距離からフェイトちゃんとヴィータちゃんを落とすとは思ってなかったよ。 凄く早いっていうのは聞いてたけど、フェイトちゃん位に早いんじゃない?」

「そう言うなのはだって得意レンジまで動いてただろ? なのはの反応があそこまで速いとは思ってなかったからな」

 

翔馬は少し会わない内に随分と成長しているなのはに、なんともいえない感情が湧き上がってくるのを押えて笑いかけると、なのはもそれに合わせるように笑い、3人で話に花を咲かせながら隊舎へと向かって行った。

 

「さてさて、機動六課再設立がこの事件にどう影響するんか……ええ方向に転がってくれればええんやけど」

「そればっかりはわからないですからねぇ~。 皆さんの活躍に期待するしかないですよ」

 

隊員達が隊舎に向かう姿を後方から眺めていたはやてとリィンは少しばかり不安げな表情でその姿を見つめていた。

 

 

 


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