モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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月刊誌『マボロシ』とは
 カントー・ジョウト・シンオウ・ホウエンなどで販売されているオカルト系の月刊誌
 基本的に内容は眉唾ものであり「『マボロシ』で正しいのはタイトルだけ」と揶揄されていたが、数年前に乱調によりタイトルが『マホロシ』と印刷されてしまい、無事何も正しくない雑誌となったが、そもそも創刊当初から編集部が開き直りまくっているので今更なんてことはなかった。『続報を待て!』と締めくくられることが多いが、正しくないので続報が出たことは殆どない。



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『雑誌の立ち位置』『この世界の読者が知っている情報』『この作品の読者が知っている情報』『登場人物が知っている情報』などを頭に思い浮かべながら読んでいただけるとより楽しめるといいですね


月刊誌『マボロシ』 現代に蘇った『カロスの怪人』の正体に編集部が挑む!!!

☆ カロスに根ざしている怪人伝説

 

 美の地方カロス、美しい建築や精神に彩られた地方ではあるが、長い歴史を持つだけに魅力的な『怪異』もしっかりと存在している。

『カロスの怪人』と人々から呼ばれているその怪異は、カロス地方に神出鬼没に現れる伝説である。

 古くは三千年以上前からその存在が伝えられており、カロスの王に対して戦争を唆した存在であるとか、最終戦争を引き起こした存在であるとか、カロスにおける大きな災厄とともに語られることが多い。

 その姿は文献や言い伝えにより差異があり、三メートルほどある巨人であるとも言われていれば、少女の姿をしているとも言われており特定の姿を持ってはいない。

 その特殊な能力についても文献によって異なる、〇〇年の記録とされる『カロス戦記』においては「大雨と雷を操り、二つの街を水没させた」とあり、また〇〇✕年の「フードゥル書紀」においては「大吹雪を降らせ人々を苦しめた」とある。天候を操る点に関していくつかの共通点が見られる。

 また、同時に多くの記録に『ポケモンを使役している』との記載があり、『カロス戦記』では「数多くのポケモンを操り、ラランドル伯率いる軍勢を蹴散らし国王軍と対峙した」とある。

 その他文献からは「破壊と死を司る」「生命に溢れた処女の魂を求める」などの表記も確認できる。

 文献と伝承から確認できる『カロスの怪人』は、天候とポケモンを操る非常に強力な存在であり、それでいて人間とは敵対している存在である。カロスの高齢者の中には「そんなことをしていると怪人が来るぞ」と大人達に脅された経験を持つ人もいるというし、今でもその存在を信じている人もいるとのことだ。

 

 だが、ここまでの情報であればこの『カロスの怪人』はどこの地方でもよくある伝説にすぎない。人智の及ばぬ大災害を怪異の仕業にすることは地方に関わらず世の常であるし、敵対する部族や地方との戦いを記録する際に敵を『人間ではないもの』として扱うことも地方を問わない。我々の住む地方においても、そのような伝説はあるだろうし、それらはすでに手垢の付いた怪異にすぎない。記録媒体と知恵知識の豊富な現代においては、それらの『怪人伝説』は囁かれすらしないだろう。

 

 それではなぜ今更このような『怪人伝説』を取り上げるのか、それは近年になってカロス地方においてこの『カロスの怪人』が『都市伝説』として囁かれ始めているからだ。

 

 

 

☆ 世にも珍しい『公式に記録が残っている』カロスの怪人

 

 今から十数年ほどの過去である。当然だが、我々の住む地方で、これほど近年での『都市伝説』は存在しない。

 〇〇◯✕年、カロス地方でも有数の都市であるミアレシティにて、数多くのトレーナーが手持ちを失う事件が起きた。当時のポケモンセンター設備では対応しきれず、ミアレジムの回復施設を一部開放して対応したが、あまりのことに不安を感じたトレーナーの一部がヒステリーのような症状を起こしていたとある。

 

 更にその数日後、今度はプリズムタワーにて『怪人』が目撃され、地元のトレーナーたちと衝突、数多くのポケモンを戦闘不能にし、捉えられることなくその場から消えたのだという。

 当時トレーナーの一人としてその場に居合わせたのだというポケモンレンジャーのサンジェル氏はカロスの専門家からのインタビューにこう答えている。

 

「『怪人』が数日前にトレーナー達を襲っていたことは知っていた。だが、我々はその日『怪人』を見逃すわけにはいかなかったんだ。奴の直ぐ側には美しい少女がいて、今にも襲いかかろうとしていた。どのような結果になろうとも、カロスの男にとってそれは許せない状況だった。すなあらしの向こう側に大きな影を写し、鋭い爪や超能力を使う恐ろしい化け物だった。力の差は歴然だったが後悔はしていないよ、それは私の今にも通じている」

 

 ちなみに、カロスの専門家の尽力にも関わらず、その場に居合わせたという少女の身元を突き止めることはできていない。

 あくまでトレーナー同士の対戦の結果であるとの事で警察組織が動くことはなかったようだが、その事実がまたこの事件を特異たらしめている。

 これは言い伝えや伝説ではない、ミアレジムの回復施設開放はジム公式の記録にも残っているし、当時の新聞記事もその事件を報道している。そして、この事件を期にミアレシティのポケモンセンター設備の再編成が行われたことも記録されている。

 そして、この事件を引き起こした存在こそが『カロスの怪人』ではないのかと噂されているのだ。

 地元新聞社が当時の報道や目撃証言からその存在をまとめている。

 

・多くのポケモンを繰り出し、現地のポケモントレーナー達に勝負を仕掛けてくる

・『すなあらし』という天候を操り、人間業とは思えない精度で攻撃を行う。

・言葉が通じず、時たま出てくる言葉もカロス語ではない(古代カロス語に近い発音ではないかと検証している専門家も存在する)

・戦力を持っているにも関わらず、戦いと破壊以外は行わない。

 

 いかがだろうか、これらの特徴からこの存在が『カロスの怪人』であるのではないかと一部界隈が盛り上がった。専門家による細かい検証が行われるより前に、秘密結社『フレア団』によるテロ未遂行為が行われたことでこの『カロスの怪人』は都市伝説としての話題性を失ったわけだが、それらの事件が一段落した今再燃している。

 

 いまカロスで主流となっているのは『カロスの怪人』=『秘密結社の研究の結果生まれた改造人間』説や『秘密結社が作成した試作特殊スーツのサンプル』説、そして『伝説上のカロスの怪人が秘密結社のテロ行為に関係していた』説である。そのどれも秘密結社に関係したものであり、一見すると理にかなっているようにみえる。

 

 だが、我々はこれらの説を覆す一つの説にたどり着いたのだ。

 

 

 

 

☆ 現代版『カロスの怪人』の正体は、現役リーグトレーナーM氏!!!!!??????

 

 今回、我々は『現代のカロスの怪人』を凄腕のトレーナーであると仮定した。

 そして『すなあらし』という情報と『カロス語圏外』という情報から、カロス語圏外のトップトレーナーを絞り込むことで、我々はあるトレーナーに行き着いた。

 

 リーグトレーナーM氏は、現役のリーグトレーナーでありながら『新人時代こそが全盛期』と言われるほど活躍期間が長い、十数年前にカロスのトレーナーを蹂躙できる実力を持っていてもおかしくはない。

 更に氏はカントー・ジョウトリーグでも有数の『すなあらし』使いであり、しかもその戦法自体は新人であった頃から得意にしていたとのことから、時系列に矛盾は生じない。

 ここまでであればただのいちゃもんにすぎないだろう。だが、彼のスケジュールを確認をしていた我々は背筋が凍る様な事実に気がついた。

 

 なんと『現代のカロスの怪人』が現れたとされるそれぞれの日の間に、彼はカロス地方、しかもミアレシティにて当時アマチュアトレーナーであったカルネ氏とエキシビジョンマッチをおこなっていたのだ!!!!!!!

 偶然の一致と言うには出来すぎているようには思えないだろうか。

 我々は有志の力を借り、リーグトレーナーM氏にこれらの事実について質問を行った。

 返答をまとめたものを書き記しておく。

 

「え、僕がカロスにいた時にそんな事があったんですか? 覚えていないなあ、かなり昔のことですけど、そんなことがあったら覚えてると思います」

「いや、僕じゃないと思いますよ。女の子を襲ったりなんてしません。そう思われてることはちょっと心外だなあ。大体カロスでは僕女の子に負けてますからね」

「そうですかあ、そんなに強いんですか。勿体なかったなあ、どうせなら戦いたかったなあ」

 

 質問を行ったのは筆者であるが、氏は特にその質問に取り乱すこともなければ、純粋にその情報に驚いているように見えた。

 氏の言う通り、リーグトレーナーM氏はトレーナーとの戦いを重視する実戦派ではあるが、性的なスキャンダルに関しては驚くほど潔白の人物であるし、その様な噂を聞いたこともない。数年前に行われたチャンピオン・カルネ氏とのエキシビジョンマッチの際にはその様な事件は起きていない。

 

 ちなみにカントー・ジョウトリーグ協会にも同様の質問文を送っているが、未だに返答はない。

 

 限りなく黒に近いグレーと行ったところだろうか、編集部としては彼が『現代のカロスの怪人』である可能性を追いながら、そもそも彼が『カロスの怪人』である線も捨てずに検証を行いたい。

 新たな発見があれば適宜発表を行いたいと考えている。

 

 続報を待て!




今回は書いててかなり楽しかったです

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