モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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カントー日報『灯火』⑯

Q ポケモン向け漢方薬の在り方について

 

 実家がちょっと由緒ある漢方薬のお店をしてます。小さい頃からお婆ちゃんにいろいろ作り方を教わっていたおかげで材料さえあればちょっとしたポケモン達のケガ程度なら対処できるのが密かな自慢だったのですが、いざ旅に出てみてビックリ、フレンドリィショップに並ぶ道具の使いやすさに圧倒される毎日です。「不味いからこそよく効くんだよ」と教わっていましたが、ポケモン達がそんな我慢をしなくても済む道具が溢れている中、漢方薬に意味なんてあるんでしょうか。

(10代女性 学生)

 

A 苦いが、かゆいところに手が届く。

 

 今でこそフレンドリィショップには様々な効果を持つ薬が置いてある。あまり使ったことはないがポケモンの体力と状態異常を完全に回復してくれるものもあり、非常に便利であろうことは想像できる。

 ドラゴンつかいの長老に聞いたことのある話だけど、昔はフレンドリィショップなんて当然無いわけで、ポケモンの状態異常や体力の減少はそれこそ死に至る病だった。

 漢方やマッサージによる状態異常や体力の回復はそれこそ今で言うポケモンセンターの役割を兼ねていただろうし、それらを行うことのできる知識と技術は、何よりも重要なものだっただろう。

 ところが、それらは人々の技術と努力により、今では無料で体力を回復させることができるし、ワンコイン払えば状態異常を回復することもできる。ここらへんは、ポケモンバトルにおける技術の変遷とよく似ているね。

 確かに単純な体力の回復や状態異常の回復において漢方薬がフレンドリィショップに並ぶ回復薬に勝る点はない。それは仕方ない、研究者は開発者達はそれを目指して努力していたわけだからね。

 だが、だからといって漢方薬に意味がない訳ではないと思うよ。

 実は僕も、いくつか漢方薬のレシピを知っている。

 そのうちの一つは、コダックの頭痛を軽減させるものだ。

 コダックというポケモンは常に頭痛に悩まされているポケモンなんだけど、ごくたまにより強烈に痛むことがあるらしいんだ。そして、それを軽減する薬はフレンドリィショップには置いていないし、ポケモンセンターでも直せない。

 まだゴルダックがコダックであった頃、そうやって頭を悩ませる彼に薬を作るのは僕の役目だった。教えてくれたおじいさんはもう亡くなってしまったから、若い人で作り方を知っているのは僕とシロナくらいじゃないかなあ。

 回復、となると僕達は状態異常や体力の回復に意識が向きがちだけど、ポケモンも人間と同じで色々な体調の問題を抱えていたりする。

 そして、その症状が珍しかったりすると、経験の浅いジョーイさんでは原因がわからなかったり、フレンドリィショップの薬では対応できなかったりするものだ。

 そういう時に、必ず歴史の古い漢方の出番が来る。漢方は苦くてたまらないが、パートナーのポケモンの苦しみを少しでも和らげようと四苦八苦していた先人たちの優しさの積み重ねであるのだ。

 実家が漢方屋さんであるというのはある意味で非常に羨ましい環境だ。機会があるのなら、少し勉強させてもらっても良いんじゃないかな。歴史は意外と嘘をつかないものだよ。




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