モモナリですから、ノーてんきにいきましょう。   作:rairaibou(風)

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月刊誌スタジアム『ボス達の見解』②

Q ポケモンとの円滑なコミュニケーションは、ポケモンバトルに何をもたらすか?

 

 携帯端末にロトムを取り憑かせることにより、人間の言語を使用したコミュニケーションをとることを可能にする技術がこの世界に現れて数年が経った。

 ポケモンの思い出や夢などから感情を図る技術は研究されていたが、ここまでダイレクトなコミュニケーションが可能になる技術はこれまで無かった。

 種族は限定されているが、ロトムを介して手持ちポケモンとの会話を可能とする技術も発展しており、家族や友人のように手持ちのポケモンとの円滑なコミュニケーションを取ることができる未来はそう遠くないのかも知れない。

 さて、リーグトレーナーにとって、ポケモンとのコミュニケーションは切っても切れない関係にあるだろうが、彼等にとってロトムを介した『ポケモン語翻訳機』はどのような変革をもたらすと想像されているのだろうか。殿堂入りトレーナー、感覚派トレーナー、情報化トレーナーそれぞれから意見を伺おうと思う。

 もちろん最も正しい答えは『なってみなければわからない』であろうが、ここは是非とも未来での答え合わせを恐れぬ断言を期待したい。

 

 

 

 

A 共に暮らす事と共に生きることの大きな差異

(殿堂入りトレーナー ワタル)

 

 我々のような未だに井戸水を飲んでいる田舎育ちの人間からすれば、ロトムがサポートを行ってくれる携帯端末の存在は非常にありがたい。ポケギアすら使いこなせていなかったフスベの長老たちも、最近では通販サイトを使いこなしている。ロトムの技術は、我々の日常生活のレベルを非常に高めてくれるものだろう。ポケモンと共に暮らす手段として、円滑なコミュニケーションは大事である。

 だが、ポケモンバトルの面で何かが変わるのかと言われれば、恐らくそう大きく変わることはないだろうというのが私の見解だ。

 ポケモンバトルに必要なのは表面的なコミュニケーションではない、それを取った上でポケモンと築く信頼感だ。たとえ言葉で円滑なコミュニケーションを取れたとしても、ポケモンから信頼されなければバトルでの連携に昇華できないだろう。フスベシティに知見を授けようと百科事典を売りに来たセールスマンは長老たちと円滑なコミュニケーションを取ってはいたが、長老たちは彼を信用はしなかった。それと同じようなものだ。

 

 

 

 

A 一つの才能が消えるのは間違いない

(第〇〇代カントー・ジョウトリーグチャンピオン キシ)

 

 ポケモンとのコミュニケーション、彼等の機微を感じ取ること。

 これらは、ほんの数年前までは言語化されていない能力、言い換えるならば才能の一つだった。リーグトレーナーの中でもこの才能の差異は大きく、例えば僕などは、この才能にはあまり恵まれていなかったし、いわゆる感覚派のトレーナーの中には、この才能にずば抜けて恵まれている者もいる。

『ポケモン語翻訳機』は、この才能の差を埋めるか、もしくは大きく縮めるものになることは間違いないだろう。もちろん、その精度により縮める距離に違いは出るだろうが、少なくとも離れることはない。

 恵まれなかった才能をカバーしてくれるものになるので、僕にとっては非常にありがたい話だ。近い未来、ポケモンとのコミュニケーションについての問題は『ポケモンのタイプ』や『ポケモンの特性』のように、一々気にするようなことではなくなるのかも知れない。

 

 

 

 

A 私達にとっては大きな痛手

(カントー・ジョウトAリーガー イツキ)

 

 これは既に周知の事実であるが、エスパータイプのポケモンの中には、ある種のテレパシーを使うことのできる種族もある。それは非常に高いレベルと、パートナーである人間のスピリチュアルな資質が必要なのだが、一部のトレーナーはそれを使いこなしている。その一人が私だ。

 つまり私達エスパー使いは、既にポケモンとの言語的なコミュニケーションを取っていたということだ。ここでは到底書ききれないが、バトルにおいて、それによるアドバンテージは非常に大きかったように思う。

 翻訳機の充実によって、他のタイプのエキスパートやリーグトレーナー達もポケモンとのコミュニケーションを取ることができるようになれば、私達のアドバンテージは小さなものになるだろう。

 もちろん、翻訳機だけではカバーしきれないほどのコミュニケーションの技術を、私達はまだまだ持ってはいるが。

 

 

 

 

A 言葉を受け取ることだけがコミュニケーションじゃないのでは

(カントー・ジョウトAリーガー オグラ)

 

 正確性は置いておいて、ポケモンの言葉がわかるようになれば、随分と楽しいことが増えるように思いますね。

 もちろん、それはバトルの中にも反映されうることで、連携や戦術のミーティングなどが随分と楽になるような気もします。

 ですが、陥りたくないのは言葉によるコミュニケーションだけを盲信してしまう状況です。

 例えば、私はよくキノガッサと山を登ったり、トライアスロンに参加したりします。恐らく、キノガッサはそのすべてに喜んでいるわけではないでしょう。翻訳機を通せば『休みの日はずっと日陰の土管の中でじっとしていたいよ』と言うかも知れません。

 ですが、私は彼を連れて遊びに行きます。これは第三者には理解しづらいことかも知れませんが、僕はやりたいと思ったことはパートナーと共有したい、そして、パートナーも私に強引に引っ張られることを悪くは思っていない、そんな気がするのです。たまには一日を土管の中で過ごしたりもしますしね。

 ポケモンは機械ではありません、複雑な思考と感情を持った生き物です。生活にしろ、バトルにしろ、言葉だけのコミュニケーションをウッウ呑みにしないようにしたいですね。

 

 

 

 

A 別にいらなくない?

(カントー・ジョウトAリーガー モモナリ)

 

 海外の地方に飛ばされたときなどに、ロトムフォンによる同時通訳・翻訳機能には非常に助けられた。あれはものすごく便利だった。

 翻訳機に関しても使いたい人は使えばいいと思うし、多くの人には助けになるだろうと思うよ。

 だけど、手持ちのポケモンとのコミュニケーションに使用するかどうかと言われれば僕は使わないかなあ。

 僕だってポケモンの鳴き声でその全てがわかるわけじゃないけれど、大体目線とか体の動きとか見ればポケモンの主張は理解できるし、ポケモンにはそれぞれのポケモンのやりたいコミュニケーションの方法があるわけだから無理に言葉でコミュニケーションをとる必要があんまりないように思う。

 それにバトルのときには一々翻訳機を使っている暇なんて無いだろうし、そんな暇も作らせないだろうから、翻訳機がバトルに汎化できるとも思わないなあ。

 僕はそれより人間の気持ちがわかる翻訳機のほうが欲しいよ。




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