Infinite Pandora   作:曾羅

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あけましておめでとうございます。(遅刻)
もっと早めに投稿しようと思ったんですけどねー。体調不良でぶっ倒れていました。
そして全然話が進まない!

なんて言うか臨海学校で終わりの予定なんで、終わりたくないなぁって感情が露わになってるんですかね?
ちゃんと銀の福音とは戦う予定ですよ。
一夏達は相変わらず空気だけど


合流

…どうしてこうなった

 

 

「っぐ…こ、これ以上チェシャに余計な事するな…!!」

 

「えー?何のことかなぁ」

 

「ほらチェシャもう少しよ!頑張って」

 

 

最初の頃は普通?のお茶会だったはずだ。

チェシャはお茶会なんて興味がなかった。アリスがそこにいるからチェシャもいる。ただそれだけだったはずだ。

実際にお茶会と言っても実際にお茶を飲んでるのはアリスだけだったし、ウサギの奴は楽しそうにしていたけれど飲食ができない体だったから、以前の世界の話や今住んでる学園という場所についての話をするだけだった。

そんな少し変わったお茶会で変化が起きたのはまさかのアリスの一言からだった…

 

 

「そういえばオズは猫のおもちゃって知ってるかしら?」

 

「猫ってもしかしてチェシャの?」

 

「えぇ。チェシャと一緒にいるのも楽しいんだけれどこの世界は私たちがいた場所よりも娯楽が多いのでしょう?猫用の物とかってあるのかしら?」

 

「チェシャはアリスが楽しいなら楽しいからおもちゃなんていらない…」

 

 

というか恥ずかしい。ただの猫だった場合は気にするほどの知能はなかったけれどチェインとなり多くの時間を過ごし現在はISとなり様々な知識が身についた今そう言った行為に羞恥心を覚えるようになっていた。

 

 

「うーん。俺も詳しいことは知らないけど猫のおもちゃっていうと猫タワーとか?」

 

「タワー?」

 

「うん。猫って高いところに移動したがる習性があるらしくてそれに上り下りする運動もできるから結構好きな猫多いらしいよ」

 

「でもタワーってことは結構大掛かりよね。もっと手軽なものってないのかしら」

 

「手軽なおもちゃっていうとエノコログサかな?」

 

「エノコログサ?」

 

「そうそう猫じゃらしって言った方がわかりやすいかな?先端がブラシみたいでブラブラしてる草だよ」

 

 

それは、あれか。アリスと一緒に外を歩いてるとたまに見かける妙な魅力を持った草か。

チェシャはあれは好きじゃないぞ。だってあれを見てるといつの間にかアリスから離れてしまうからな。

 

アリスはふと考えたように黙ると突然立ち上がり部屋から出て行ってしまった。

 

 

「あれ?アリス?どこにいったんだろ」

 

「…外に行ったみたいだ。チェシャも行く。…戻ってきた」

 

 

一瞬外に出たと思ったらすぐにアリスが帰ってくる感覚がチェシャの中に伝わってくる。

そして、アリスはすぐに部屋に帰ってきた。

―――その手にたくさんの例の草を持ってきて

 

 

「これ?」

 

「そうそう!それだよ。それをチェシャの前でプラプラ振ったらいいと思うよ」

 

「ふーん。ほーらほらチェシャー」

 

 

話しながらアリスはチェシャの前で草、エノコログサを振る。

けれどチェシャは反応しない。頑張る。チェシャはアリスを守る存在だからこんなおもちゃに惑わせられなんかしない。

しないったらしないぞ。

 

 

「ほーらほら」

「どれどれ」

 

 

チェシャが必死に我慢してるのに面白がってるのか黒ウサギの奴もアリスが持ってきたたくさんのエノコログサの一本を取ってチェシャの前で振り出す。

チェシャはそれでも我慢する。我慢しすぎて目がエノコログサから離せない。

 

 

「フリフリ」

「フラフラ」

 

「…ナッ!」

 

「チェシャ!もっとよもっと」

「アハハハハハ」

 

 

それからはチェシャにとっては地獄だった…

一度反応してしまってからは形無しだった。目の前で振られる二振りのエノコログサ。

アリスが振っているからということを少しの免罪符にして全力で目の前で揺れる草を全力で追いかけていた。

悔しいが黒ウサギが振るエノコログサもチェシャの関心を突く絶妙な動きをしていた。

 

結局もう一人のアリスたちが来るまでチェシャはエノコログサを追いかける羽目になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「絶対に殴る!顔の形が変わるまで殴ってやる!」

 

「落ち着いてください…後々が面倒なので我慢して下さい。」

 

 

目的地が決まってから十数分、森を歩いている私と従者娘、叔父の三人はヘトヘトだった。

普段歩きなれない地形に暗いこともあり目の前を塞ぐ枝やらが一層私を怒らせる要因となっていた。

 

 

「本当にこの道で会ってるんだろうな!」

 

「そこは安心してくれ。人の手が全く入っていない未開の地というわけじゃないんだ。方向もあってるしもう出るはずだ」

 

 

叔父が言うと同時に私たちの視界の先に開けた地が見えてきた。

 

 

「岬というのはあそこか。あそこからオズたちの所に行けるんだな」

 

 

岬に出るとそこはまるでどこかの舞台か何かを連想させるように整った場所だった。

木々どころか雑草も生えていない広場に落下防止の為だろうか叔父の腰ぐらいまでの柵が淵をなぞり、上空には満月が静かに君臨し、私たちの眼下には月明かりのみでは足りず海に反射する月だけが暗闇の海にまるでそこにだけ穴が開いてるように存在し異彩を放っていた。

そして…この地に来てからは感じることはなかった懐かしい匂いを私は確かに感じている

 

 

「さて、俺の推理ではココのどこかに不思議の国の入り口があるはずなんだがな」

 

「それらしいものは見当たらないですね…」

 

「いや、そこにあるじゃないか」

 

 

私は入り口を見上げたまま断言する。その言葉に疑問を感じたのか二人が私に視線を移すが私が見上げていることに気づいてその視線の先を追いかけるように二人もそれを見上げた

 

 

「…月か!」

 

「なるほど。確かに見上げてます。ということは落ちる入り口は…」

 

 

従者娘の言葉が言い終わると同時に私たちは眼下に広がる扉を見下ろす。

 

 

「なるほど…海に反射する月か」

 

「アリスは二度不思議の国に行きます。一度目は穴に落ちて2度目は鏡を潜って…これはその二つをかけているということですか」

 

 

従者娘の説明を聞きながら私は助走をつけるために後ろに下がる。

それに気づいた叔父が慌てて私の前に出てくる

 

 

「ま、待て待て!まさかと思うがここから飛び込む気か!?」

 

「それ以外にどうしろというんだ。あいつのヒントには落ちろとあるんだ。ならば落ちるしかあるまい」

 

 

私の言葉に反論できない叔父は諦めたかのようにため息をつき。従者娘も私と同じ位置まで下がってくる。

 

 

「オスカー様。迷ってる暇はないかと。」

 

 

従者娘も飛び込む準備を始めたことにより反論できないと悟った叔父は素直に私たちの隣に並び立つ。

 

 

「ふん。不満があるならあいつにぶつければいい。私が許可するぞ」

 

「さすがに子供を殴るなんてことはせんよ…」

 

 

叔父が覚悟を決め、前を向いた瞬間三人で走り出し、柵に飛び乗りその勢いのまま空中へと身を投げ出す。

下が暗い海ということで距離感が全然わからなかったが、こうしてみるとだいぶ高いな。

もし間違いだったら大変だぞ

 

そんな考えはよそに海へと落ちると思った瞬間、私たちは洋館の廊下の様な場所に飛び込んでいた。

ご丁寧に上から下へと落ちているはずだったのに洋館に出た瞬間まるで幅跳びのように空中に投げ出され

今まで感じていたのとは違う重力によって床へと崩れ落ちていった。

 

 

「うぉぉ、こ、腰がぁ」

 

「オスカー様!?大丈夫ですか?湿布貼りますか?」

 

「おぉ。ありがとうエコー君。何故湿布を持っているのかは聞かないでおくよ」

 

 

そんなやり取りをしている二人を無視して私は廊下の先に見える扉へと駆け出す。

私にはわかる、ここにオズがいる!

 

 

「オズ!」

 

 

 

「ほらほら、こっちだよー」

「ッシャ!」

 

「チェシャ!こっちにもあるよー」

「ゥーニャ!」

 

 

「…なんなんですかこれ」

 

 

知るか!

扉を潜り抜けた私たちの目の前に広がるのは予想していたお茶会とは完全にかけ離れていた。

最初は使っていたであろう机たちは部屋の隅に追いやられ、部屋の真ん中ではオズとアリスが草を振り回しチェシャがそれを追いかけていた。

なんかあいつ目が死んでいるぞ。

その光景に呆けていると

 

 

「あ!アリスいらっしゃい」

 

「思ったより遅かったわね。おかげでチェシャといっぱい遊んじゃったわ」

 

 

私たちに気づいたオズとアリスがこちらを振り向いた瞬間チェシャはどこかに隠れてしまった。

 

 

「チェシャも隠れちゃったしお茶会と再開といこうか」

 

「そうね。あなたたちもそこに突っ立ってないでこっちに来ていいわよ」

 

 

オズは隅に置いてあった机を小さなぬいぐるみの姿なのに、軽々しく持ち上げ部屋の中央に持ってくる。

アリスはおかれた机に近づいて手を、パン、と一度鳴らすと机の周りに椅子が。机の上には湯気が立つティーカップと色とりどりのお菓子が現れる。

 

 

「お茶会というには少し遅いわね。夜会といった方が似合うのかしら?」

 

「どっちでもいいんじゃない?ほらほらアリスもエコちゃんも叔父さんも座って座って楽しい楽しいお茶会はこれからだよ!」

 

 

確かにそろそろ小腹がすいてきたところだ。結局食事も途中でやめてしまったからな。

まずは素直に食べるか。オズとアリスに教育をするのはそのあとでもいいだろう。




語れることない裏設定

今作での不思議の国のアリスとPandoraHeartsの関係性について
ルイス・キャロルは百の巡りで転生してIS世界に来たフィリップの父親。
アヴィスは時の狂った空間。アヴィスから出る瞬間が入った時と同じとは限らない。逆に入った時にその時代のアヴィス(狂ったアヴィス)とは限らない。
フィリップの父親は刻印が完成する直前に死んだために一瞬だけアヴィスに触れた。
そのアヴィスは物語中の狂ったアヴィスではなく後日談、元の輝かしいアヴィスだった。
そこで偶然彼はアヴィスの意思に触れチェインたちについて知る。が彼はすぐに百の巡りへと旅立った。
ルイス・キャロル…チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン に転生した後も彼が記憶を完全に取り戻すことはなく、まれに夢にうっすらと見る程度だった。
その後、彼は近所の少女、アリスにせがまれ物語を綴った。その題材となったのがうっすらと記憶に見るPandoraHearts世界でのチェインたちの姿だった。
彼に子供ができることはなかった。
けれど彼の子供への愛情は現在も物語を通して満ち溢れていた。


これが本編で語られることはないです。

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