Infinite Pandora   作:曾羅

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遅くなって申し訳ありませんでした。
ブラッドボーンが怖くて面白くて
#FEが楽しくて面白いのが悪い。


不思議の国への入り口は?

「さぁ、オズ。一足先にお茶を楽しみましょう」

 

 

 チェシャの力なのか、今俺がいるのはさっきまでアリスたちが食事をとっていた和室ではなく洋風の部屋だった。

 壁一面に棚がおかれ、その棚には様々な人形が置かれている。

 この雰囲気…ここはまさに…

 

 

「ここは…アヴィスなの?」

 

 

 そう。アヴィスだ。それもアヴィスの最深部。あの世界で最後に戦ったあの部屋に近い、いやあの部屋にいると言われても疑えないような空間だった。

 

 

「残念だけど、ここはアヴィスではないわ」

 

 

 丸いテーブルの上に置かれた俺の真正面。対面するように椅子に座る白いアリス。

 彼女は隠す素振りも見せずあっさりと答えてくれた。

 

 

「ここはチェシャの拡張領域(バススロット)の中よ」

 

「チェシャのってことは」

 

「…チェシャもお前と同じってことだ」

 

 

 いつの間に座っていたのか俺とアリスが対面している丸いテーブル、アリスを時計でいうと12時の位置にすると俺は6時、そして2時ぐらいの位置に椅子の上に座っていたチェシャが答えてくれる。

 チェシャも俺と同じ。俺と同じISになったってことか

 

 

「どうしてこんなことをしたの?アリスとお茶がしたいならわざわざこんなことしなくてもいいんじゃない?アリスはきっと怒るよ」

 

「怒ってもあの子なら許してくれるわ。それにお茶を飲むだけだと退屈だっていうでしょ」

 

 

 確かにそうだ。最初はじっとしていても少ししたらじっとしているのは性に合わないと言い出すだろう。

 

 

「多少運動してからここでお茶をして帰って寝る。単純でわかりやすいでしょう。それに…ウサギさんとは全然お話しできなかったし…いつもあの子に盗られて私も寂しいわ」

 

 あなたはアリスだけのオズじゃない。アリス(私たち)ウサギ(オズ)でしょう。

 

 

 そう言いながら照れたように微笑むアリス。いつも一緒にいるアリスと正反対の笑い方をするから俺もいつもの調子が出ない。

 これは俺の負けのようだ

 

 

「そっか。そうだね アリスが来るまでだけど僕たちだけでのお茶会をしようか」

 

 

 実際には俺は飲むことはできないけれど今まで話せなかった分たくさんお話をしよう。

 もちろんチェシャも一緒にね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく!最近のあいつは私のものだという自覚が足りんぞ!」

 

「アリス様。気持ちはわかりますけれど少し静かにしてください。」

 

 宴会場から場所を変え、私たちがいるのは私と従者娘の部屋だ。なんでも部屋の数が合わず本来は2組のこいつは私とオズと仲がいいということで私と同室になったそうだ。

 

 

「それにしてもお茶会の会場は不思議の国か」

 

「不思議の国ってあれだよな。ディズ…」

「それは正確には違いますしそれ以上は危険ですわ一夏さん」

 

 

 現在この部屋には私と従者娘。叔父にシャルと黒色とその他専用機持ちと千冬センセイとマヤ、最後に旅館の女将の12人がいる。ん?あの掃除用具みたいな名前の奴は専用機はなかったか?

 まぁそんなことはどうでもいい。

 問題はアリスがオズを連れ去り、去り際に残した謎の文章だ

 

                お茶会は不思議の国の中で

                 入り口は従者の魂の元に

                道しるべは卵が知っている

 

「流れから考えてもこれがオズ君の居場所のヒントってことになるのかな」

 

「従者の魂って何を示している?魂…墓場か?」

 

 

 従者の魂か。私たちの関係者で従者と言って思い浮かぶのは私自身がそう呼んでいる

 

 

「従者の魂というのはおそらく私の事でしょう。」

 

「えーと、私と同じクラスのトゥイーさんだっけ?」

 

「エコーで構いませんよ凰さん」

 

「っそ。なら私も鈴で構わないわ。それでどうして従者の魂ってのがエコーさんの事だってわかるの?」

 

「昔の話ですが、私はとある人の従者をしていたことがあるんです。アリスさんともそのころに知り合ってますから」

 

 

 中華娘と従者娘が確認するように話している。

 従者の魂というのはエコー=トゥイーの何かで間違いないだろう。

 しかし、わざわざ魂とつけているんだ。何か従者娘に関わる何かであり本人はあまり関係ないだろう。

 それからも他の意味について考えるが私は頭を使うことは苦手なんだ!

 あぁ!イライラする!

 

 

「まぁまぁ。落ち着いてアリスちゃん。そういえば不思議の国って穴に落ちて行くんだよな。わざわざ不思議の国でって書くんだからそのあたりも関係あるんじゃないか?」

 

 

 私がイライラしているのに気づいたのか白いISに乗っていた男がそんなことを言い出した。

 そもそもだ。その不思議の国ってなんだ

 

 

「アリス様は読んでいないのですか?」

 

 

 私が不思議の国というものについて知らないということに気づいた従者娘が聞いてきたので素直に知らんと答えると従者娘は「それでは説明しましょう」と不思議の国という者について説明を始めた。

 

 

「不思議の国。というのは世界的に有名な児童小説『不思議の国のアリス』についての事でしょう。

 簡単に冒頭を説明しますと

 主人公のアリスはある昼下がりに喋るウサギが通り過ぎます。ウサギを追いかけたアリスその先で穴に落ちてしまいます。

 そしてアリスは不思議な不思議な国に迷い込み、喋る動物や動くトランプたちと出会い冒険をするというお話です」

 

 

 ふむ、私はそんなもの知らないが…なんだろうか…何故か心になにかを感じさせる不思議な物語だ。

 

 

「アリス君の気持ちはよくわかるぞ。この物語には君がよく知るものが多く登場するからな」

 

「チェシャ猫やドルダム、チェイン達の多くはこの物語に登場するキャラクターと名前が一緒なんです。もちろんアリスさんも」

 

 

 周りの事情を知らない奴らは何を話してるんだと怪訝な雰囲気を醸し出しているがそんなことに気を使っている時間はない。

 けれど、こうも似た名前があると運命的なものを感じてしまうな。

 

 

「もしかしたらここはどこかであの場所に繋がってるのかもしれないな。この物語が綴られたのは遥かに昔だが、俺たちのように巡ってきた者が残したのかもしれん」

 

 叔父が遠い目をしながら呟いた。

 何やらしんみりしているがそんなことよりオズの方が大事だ速く見つけて私のものだということを再教育しないと駄目だ。

 

 

「従者というのがトゥイーさんの事を指しているということは道しるべを知る卵というのも人物を指してるんでしょうかね」

 

 

 行き詰った雰囲気をかき消すようにマヤがそう続ける。

 

 

「ふむ…卵で人物か…不思議の国で卵といえば、ハンプティ・ダンプティ…エリオット君か!」

 

 

 ハッと叔父が立ち上がると携帯を取り出し思い付いたあの少年へと連絡をしているのだろう

 

 

『もしもし、ナイトレイですが』

 

「エリオット君か!」

 

『オスカー様?こんな時間に電話とは何かあったんですか?』

 

「実はな、オズが攫われたんだ」

 

『何!?』

 

「それで犯人が残したヒントについて考えていたんだが、おそらくだがエリオット君が道しるべを知っている。と行きついてな」

 

『……少々お待ちよ』

 

 

 叔父はなにか安心したかのように息をつくと

 

 

「私が知る中で一番卵の可能性が高い者に連絡を取ったどうやらあたりかもしれん」

 

 

 にやけながら言うと再び携帯へと注意を向けはじめた。

 

 

『お待たせしました。実は今日ポストに妙な手紙が入っていたんです』

 

「手紙?」

 

『ええ。…まるで中世のように蝋で封をした手紙です。怪しかったので中身を確認していないのですがおそらく道しるべというのはこれでしょう』

 

「それで中身は?」

 

『待ってください。今開けてますから。えーと

 

                少女は扉を見上げ

                 扉へと落ちた

 

 です。』

 

 

 叔父はため息をつきながら手で顔を覆った。

 

 

「また謎かけか…」

 

 

 その言葉で道しるべがどういったものか予想してしまった私たちはまた全員でため息をついてしまう。

 

 

『そのヒントというの俺にも教えてくれませんか?』

 

「あぁ、今は人手が増えることは素直に嬉しい」

 

 

 叔父はそのまま謎かけを教えるとどうやら電話の相手も黙ってしまったのか顔を伏せてしまう。

 完全に手詰まりだが…

 

 

『従者の魂というのはエコーが契約していたチェインじゃないんですか?』

 

「!!エリオット君わかったのか!」

 

『分かったというか…卵が俺だったんです。ならエコーについての文もチェインに関連するものではないかと』

 

「…女将さん」

 

「は、はい」

 

「このあたりの地図を見せてもらえませんか!」

 

 

 電話で何かに気づいたのか慌てたように先ほどからおろおろとするばかりだった女将へと頼みごとをすると、その勢いに驚いたのかこれまた慌てて部屋から出て地図を持ってきた。

 

 

「…ふむ。ここだ」

 

 

 地図を見た叔父が指差したのはこの旅館から森を挟んである岬だった。

 

 

「一応理由を聞かせてもらえますか?」

 

「先ほどエリオット君が言ったのだがエリオット君を指したのが不思議の国のキャラクターだった。ならば逆にエコー君が指し示すのはエコー君に関わるキャラクターだろう」

 

「申し訳ありませんがどう関わりがあったのかは話すことはできませんが、私の関わりがあるということはトゥイードルの双子ですか?」

 

 

 よほど自信があるのか地図を見て迷いなく示したことに千冬センセイが理由を聞くと叔父も素直に答えてる。

 さすがに前世で契約していた怪物ですという訳にはいかないのでそこは話せないと言うことにしたようだ。

 事情が分からない9人は不満そうにするが何度も言うが気にしない。

 

 

「その通りだ。アリスが双子と出会うのは名無しの森を抜けた後だ。このあたりで森を抜けた先に入り口を置くにはこの岬が一番条件に合う。他は崖になっているか、道路を挟んでいるからな。」

 

 ふむ、決まったようだな。

 ならばさっさと行くぞ。

 こうしてる間にも時刻は9時になろうとしている。速く行かなければアリスが文句を言うかもしれない。

 

 

「ふむ…もうこんな時間か、織斑、それと専用機持ちと篠ノ之お前たちはもう部屋に戻れ。お前もだトゥイー、これ以上は教師として見逃せん」

 

「で、でも千冬姉!」

 

「まだ織斑先生だ。言い訳は聞かん。さっさと寝て来い」

 

「まて、従者娘は帰らなくていい」

 

「ほう。ベザリウス理由を聞こうか」

 

「あいつからのメッセージに使われてるんだ。こいつは関係者だ。私とこいつと叔父で行く」

 

「…まぁそういうならしょうがない デュノア先生この子たちの事よろしくお願いします」

 

「えぇ。きちんとオズも連れて4人で帰ってきましょう」

 

 

 ここまで時間をかけたんだ。

 これでお粗末なお茶会だったら殴ろう。パーではなくグーで殴ろう。




今年もあと1日と20時間ほどになりましたね。
年を重ねたら時間が経つのは速いっていうのはよく聴きますけど本当ですね。
あっという間の1年でした。

皆さんも残り僅かですが悔いのないようにしっかりと過ごしてくださいね
それでは2016年もよろしくお願いします。

読んでくださった皆様。よいお年を

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