Infinite Pandora   作:曾羅

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お茶会が最終回かと思った?残念ここでやるんだなぁ




お茶会

 学年別個人トーナメントから翌日。本来であれば2日目の試合で賑わっているはずであったが、ラウラの一件により中止してしまい学園は予定より静寂に包まれていた。

 しかし、トーナメントというイベントは終わってしまったが試合自体が無くなったわけではない。元々トーナメントは個人データなどの調査が狙いなのだ。故に一回戦のみを行うという結果になり現在は関係者のみがアリーナに集まっている状態であった。

 一応希望を出せば、先輩や友人たちの試合を見ることもできたが、ここ保健室に集まった面々はそんなことに興味はなかった。

 

 

 

 そんなことよりも―――

 

 

「一体これは何のマネですか……」

 

「なに、ラウラ君は気にせずベッドでゆっくりしておきたまえ」

 

「突然やってきたかと思えば人が寝てるベッドの周りで何かの準備を始めて気にするなというは無理があると思うのですが」

 

 

 何故この教師、たしか0組の担任をしてるデュノア社の元社長だったか、彼は保健室に突如やってきたかと思えば「突然だが少し失礼するぞ!」というと外からいくつかの机のパーツを運び入れ組み立て始めたのだろうか。

 さらに、その作業を行っているのはデュノア先生だけでなかった。

 

 

「何故私がこんなことをやらないと駄目なんだ!」

 

「まぁまぁ、もうすぐだから頑張ろうよ。あ、アリス、その足を支えてほしんだけど」

 

「む、これか?」

 

 

 私と試合をしたアリス=ベザリウスとその専用機オズ=ベザリウス。この二人も作業を手伝っていた。というか保健室に机などのパーツを持ってきた張本人だった。

 オズ=ベザリウスはぬいぐるみの姿ではなく、青年のような姿をしていて最初は戸惑ったが原理などは本人にもよくわかってはいないようでなんとなくできるというらしい。

 

 30分ほど経つ頃には机を組み立て終え、さらに軽い装飾を施す。

 

「よし!これで下準備はOKだな!」

 

 用意された机などは豪勢の一言についた。

 以前、隊に所属する女性が雑誌で見せてきたお茶会に使われたような食器が多くみられる。

 当時は浮つくな怒ったものだが、これで洋菓子を準備すれば立派なお茶会が…

 お茶会?

 もしやこの人たちは…

 

 

「あの…もしかしてお茶会ですか?」

 

「お!よく気づいたな!」

 

 

 私の予想は当たったようでデュノア先生は親指を立てて正解だと褒める。

 けれど、お茶会を開かれる理由がわからず呆けているとデュノア先生はコホンと一息ついてから

 

 

「昨日、あの事件のあと君のことは織斑先生に聞いたぞ」

 

「!?」

 

「随分と波乱万丈な道のりを歩んできたようだな」

 

「…それが私ですので」

 

「しかーし!それと君が学園生活をないがしろにすることはこれっぽっちも関係ない!」

 

「は?」

 

「日本では命短し恋せよ乙女という言葉があるらしいぞ!いい言葉だな!」

 

「はぁ…」

 

「クラスメイトとの仲が悪いなど言語道断!」

 

「おい!来たようだぞ!さっさと始めるぞ!」

 

 

 デュノア先生の勢いに呑まれ混乱していると突然廊下が騒がしくなりその音に反応するかのようにアリス=ベザリウスが騒ぎ始める。

 そして運ばれてきた料理はケーキやパンといったまさに私が雑誌で見たお茶会に出てくるようなものがたくさんあった。

 そして、最後にティーポットが置かれたワゴンを押してきたのは……

 

 

「織斑一夏!」

 

「……っ」

 

 

 私が低い声をだすと、奴は顔を伏せて足を止めた。そうだ、それでいい。私は織斑一夏が嫌いだ。

 尊敬する師の経歴に傷をつけたこいつが…

 

 

「何しに来た」

 

「お、俺は…」

 

「帰れ。お前がここにいることなど私は許さ…」

「フン!」

 

「あだ!」

「いで!」

 

「喧嘩は両成敗だ!そう毛嫌いするんじゃない。まずはお互いに話し合おうじゃないか。そのあとは一緒にお茶を飲んで握手だ!」

 

 

 私と織斑一夏の脳天に一撃入れそう言うデュノア先生を無視してむすっとした顔で他の生徒たちがお菓子を準備していく。

 よくよく見ればその生徒は私が痛めつけた専用気持ちの二人だった。さらに私がトーナメントでコンビを組んだ生徒もいた。

 

 

「さぁさぁ!ひと悶着を終えたらお茶を飲んで仲直りだ!言いたいことがあるなら今のうちだ!ただしここから追い出したり手を出すのは厳禁だぞ!」

 

 

 

 そんな一言から始まったよくわからないお茶会。

 戸惑ってる全員の中で最初に動き出したのは準備からここにいたアリス=ベザリウスとオズ=ベザリウスだった。

 

 

「いやぁ。突然ごめんね。叔父さんったらラウラちゃんの話を聞いてから慰めようと必死なんだよ」

「黒!なかなかに楽しい戦いだったぞ。ここは素人ばかりだからな」

「あ、あぁ。黒?」

 

 

「改めて、アリスの専用機【黒ウサギ(ビーラビット)】の自立AI。でいいのかな?オズ=ベザリウスだよ。オズでいいよ」

「アリスだ」

 

 

 二人が私に紅茶の入ったティーカップを渡し、話すを終わらすと自己紹介をする。

 黒?…もしかして私の事か?確かにシュヴァルツェア・レーゲンは黒色が主体だが…

 私はどう反応していいのかわからず戸惑っていると順番だと言わんばかりに一人の女生徒が近づいてくる。

 

 

「初めまして。私はエコー。2組のエコー=トゥイーです。よろしくお願いします。」

「よ、よろしく」

 

 

「私は専用機持ちではありませんがオズ様とアリス様とよく一緒にいるのでこれから先色々お話しすると思いますので。」

「そ、そうなのか?」

 

「はい。珍しくアリス様があなたのことを気に入っていらっしゃるので。それにオスカー様もあなたの話を聞いて放っておけない様子ですから。」

 

 

 オズ=ベザリウスとアリス=ベザリウスの次に話しかけてのはエコーと名乗る女生徒。

 エコー=トゥイーは、話は終わりだと私の持つカップに彼女はできる限り音を小さくなるように静かに自分が持つカップを当てた。

 静寂なお茶会にカップが当たる音は少しずつ響いていく。その響きを聞きながらエコー=トゥイーはその場から離れていった。

 

 流れができたのか次に来たのは金髪に短い髪の女生徒。たしか…私と共にこの学園に入学した…

 

 

「初めまして…って言うのはおかしいかな。シャルロット・デュノアです。さっき聞いたばかりなんだけど僕たち7月から同室になるらしいよ。仲良くしようね」

「ど、同室?確かに私は準備が遅れていると言われて2人部屋を一人で使っていたが…」

 

「うん。その準備が終わったから僕がそこに入るんだよ。あ、そうそう。僕のことはシャルって呼んでね。友達にはそう呼ばれてるから」

「よ、よろしくシャル…」

 

 

 話を終えるとシャルもトゥイーと同じようにカップに静かに乾杯をして離れていく。

 自然と私と話をした者は、していない者から少し離れてその場でまるで挨拶が終わるのを待つかのように立っていた。

 

 

「…私は篠ノ之箒だ。箒でいい。その、なんだ、私も諦めない。もう一度頑張ってみようと思う。だからお前もこのままで終わらせるな。」

「…どうしてお前はそこまで言えるんだ?」

 

「おまえは私に似ている。だからお前の考えはなんとなく理解できるつもりだ。けれど、一夏を見ていると思うんだ。強さというのはそんな単純なものではないとな…」

「…あいつは強いのか?」

 

「弱いさ。昔は私と剣道をしていたが、随分と剣を握っていないみたいで全然強くない。けれど、あいつを見てるとわかるさ。私たちが知ってる強さと違う強さをあいつは持ってるからな」

 

 わからない。強さとは戦闘力以外にあるのだろうか。もしあるのならば私につけられていた評価は一体なんだったろうか…

 

 

「セシリア・オルコット!イギリスの代表候補生ですわ!次は負けませんわ!」

「凰 鈴音!中国の代表候補生!あんたこのまま勝ち逃げしてんじゃないわよ!」

 

 

 箒が乾杯して去るとまるで競うように金髪の長髪と茶髪でツインテールにした生徒、私が負かした代表候補生がほぼ同時に自己紹介をしてきた。

 

「ちょっと鈴さん!貴女の声で私の声がラウラさんに届かないではありませんか!」

「そっちこそ!次は私の番でしょ!アンタは紅茶飲んどきなさいよ!」

 

 額と額を合わせるように睨み合ってる姿を見ると何故か笑いが込み上げてくる。

 

「えーい!鈴さんは下がってくださいな!」

「下がるのはあんたよ!」

 

「…喧嘩」

 

「両 成 敗!」

 

 言い争いをやめない二人に、ついにデュノア先生が手を出した。

 二人に頭にチョップを当てる。手加減をしていないのか二人は頭を押さえながら涙目になっている。

 

「まったく…そんな急がずゆっくり順番だ!」

 

「うぅ、痛いですわ…セシリア・オルコットですわ。詳しくは後ほど…」

 

「…凰 鈴音よ。まさかの手加減なしじゃない。」

 

 静かに順番に自己紹介をしながらデュノア先生から受け取ったカップで乾杯をすると二人とも頭を擦りながら下がっていった。

 あと、残っているのは…

 

 

「あー…織斑一夏だ。確かに千冬姉の経歴に傷をつけたことは認めるし、それがアンタが許せないって言うのもなんとなくわかる。それについて謝れって言うなら謝る。だから、せっかくクラスメイトになったんだ。仲良くしようぜ」

「おまえは…なんでそんなことを言える…?私とお前が仲良くする必要もないだろうに」

 

「っえ?別に仲良くするのに理由なんてないだろ」

 

 こいつは…どうしてあそこまで自分を嫌っていた私にそんなことが言えるんだろうか?

 これがこいつの強さなのだろうか…

 

「なぁ教えてくれないか。お前にとって強さってなんだ」

「んー、難しいな。俺にとっての強さってのは心の在処かな。自分がどうありたいかを常に思うこと。それがわからないっていうのは歩き方を知らないもんだろしうな」

 

「どこへ向かうのか。どうして向かうのか。それがあって人は強くなれる。強さを手に入れるんだと思う」

 

 そうか…それがこいつの強さなのか。私はどうだろうか私は一体どこへ行きたいんだろう。

 わからない。

 なるほど、これが教官が言っていた強さの意味か。

 私は…弱いな。自分で思っていたよりも私は弱かったらしい。

 

 

「私はこれからどうすればいいんだ…」

 

「探せばいいじゃないか。学園生活はこれからだろ?」

 

 あぁそうだな。私も探してみよう。私の生きる道を。強さの居場所を

 

 

「織斑一夏。今まですまなかったな。これからよろしくお願いする」

「おぅ!」

 

 私は初めて自分から乾杯のために自分からカップを持ち上げる。今までの乾杯よりも大きな音が保健室に響く。

 

 

「よし!湿っぽい挨拶もこれで終わりだ!せっかくの紅茶が冷めてしまうからな!皆!そろそろ始めようじゃないか!」

「そういえば…叔父さん、何を祝うの?」

 

「ん?さっき決まったぞ!ラウラ君の新しい門出だ!」

 

 

 

「ラウラ君の新しい門出を祝って乾杯!」

 

「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」




デビルマンVSサイボーグ009を見に行ってきました。
サイボーグ009は漫画が実家にあるんですがデビルマンは名前と容姿ぐらいしか知らなかったです。
デビルマンの変身シーンワイルドでかっけぇっすね!思わず映画館で「おおぉ!」って反応してしまいました。

デビルマンって最後はバッドエンドらしいですし、そんな情報を知ったら2次創作で幸せになってもらいたいですな。


話は変わるんですけどこの作品のお気に入りに入れてくれている方の中に血染めの黒ウサギ様がいるんです。
なんていうかね、「わぁ!お気に入りが50人超えてる!!」って名簿を見たら見つけちゃって…見つけた日はめっちゃテンションあがりました。
ただそれだけです。
血染めの黒ウサギ様!もちろん他の皆様もこれからの小説を楽しんでもらえると幸いです。

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