差し伸べられた手   作:カプロラクタム

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地の文が雑になってるかもしれません。

気になるところがあれば感想にどうぞ。

では、本編開始します。


比企谷八幡は深く考える

あの後俺は逢を連れて行けなかったことから妄言だのと少しは言われたがどうやら明日まで猶予はあるらしい。 つまり、明日逢に用事があったならば俺は奉仕部でずっと友達がいると妄言を吐いている痛々しいぼっちという格付けがなされてしまうのだ。

 

明日まで伸ばしてもらったから今日はもう奉仕部はおしまいらしい。 まぁ、対象の俺が明日連れてくるといったからしょうがないことではあるのだが。

部室から教室に行くまでに考える。

俺はこのまま不名誉な格付けでいいのか?

答えは否だ。逢がいるのにこんな不名誉なことは避けたい。 もう祈るしかない。 て言うかデートを誘う勢いで逢に「明日暇?」って言ったほうがいいかもしれない。

 

流石にぼっち歴が長い俺でもこういったことは直接言う方がいいのは知っているからな。 それに相手は逢だ。 ……つまり俺が恋をしている人物。

 

さっき直接いいのがいいと言ったが正直に言えば俺自身がそんなことを信じていない。 ただ、誠意を見せたいという自己満足のためだけだ。

直接言って過去に失敗した俺は辛い時間を過ごした。 過ごして得たのはかけがえのない人。 それが本物かどうかはまだ自信が持てない。

 

……けど、本物を得るために足掻いたっていいだろ?

 

とまぁ、逢に直接言うのは俺の中での確定事項だとしてもいつ会えるかな。 今朝は逢がたまたま起こしに来たけど奴は気まぐれやだからな。

……って同じクラスだからいつでも会えるか。 いつまでも去年の感覚を引きずってはいけない。

 

そう考えると教室に着いた。 じっくり考えると早い早い。

俺は荷物を取るために教室の戸を開けた。

 

「遅いよ、八幡。 私待ってたんだからね。」

 

ん? おかしい。 幻聴かな? 幻覚かな?

俺の視界には既に帰ったはずの人物がいて、俺の鼓膜にはその人物の声の振動が通り抜けるのを感じた。

 

「あれ、おかしいな。 逢の姿が見える。 帰ったはずなんだが。」

 

思わず口に出すほどの驚き。 いや、本当にビビりますって。

 

「八幡流石に酷くない? 八幡の一番の親友が待っててあげたんだよ? 感謝の言葉の一つや二つくれたってお釣りがくるくらいじゃないかな?」

 

そろそろ認めざるを得ないな。 俺の片想いの対象、星野 逢がいることを。

 

「逢、お前何でここにいるんだ? 先に友達と帰ったんじゃないのか?」

 

「八幡が勝手に友達と帰れって言ったんだよ。 私は友達に帰りを誘われなかったし、自分の意志で八幡を待っていたよ。」

 

お前が帰り誰にも誘われないわけないだろ……。 俺にだってそれくらいわかる。 なんで俺の事を待ってたんだ? 単刀直入に聞きたい。 が、聞けない。

それを聞いた途端何かが壊れる気がする。 正確に言えば"今の仲で"それを聞いた途端壊れる、だが。

 

確かに仲良くなったとは思う。 中学であいつが話しかけてくれて話し相手ができた。 ある時からか、あいつから積極的に話しかけてくるようになった。 あいつはトップカーストの一員だってのに俺によく話しかけてくるようになった。

俺としてはあいつの立ち位置が心配で仕方がなかった。 そりゃそうだろ? あいつの立ち位置がおかしくなってるのは俺という存在のせいだ。

 

けど俺はそれをあいつに直接は聞けていない。 聞かないのは俺がチキンハートを持っているからではなくあいつなりに知られたくないことがあるだろうし何かあるならあいつから離れていくと思ったからだ。

 

それの思いとは逆にあいつは離れて行かなかった。 不思議で不思議で仕方がなかった。 俺の中での逢の存在が次第に大きくなっていくのを感じた。

これが俺の逢を好きになった理由の概要だ。 実際にはもっと色んなことがあった。 いずれ具体的な事を思い出す時がくると思うがそれはまた今度の機会だな。

 

つまりはまだ足りないってことだ、両者の理解が。 ……俺は心の中でまだ逢が償いで話していると思っているのかもしれない。

 

俺は同情とかで話して欲しくない。 そう思ってたはずなのに、逢が俺を助けてくれた時俺は逢に恩を売ったと思ったから俺は話し始めた。 返す見込みのない長い長い道を歩んだ。 いつの間にか惚れていた。 惚れた男というのは辛いですねぇ……。

 

話が長くなったな。 色々考えた結果俺が取る行動はいつも通りだった。

 

「そうか。ありがとうな。」

 

「うん。 じゃあ、八幡帰ろっか♪」

 

「おう。」

 

俺は荷物をまとめ帰る準備をする。 逢を待たせるわけにはいかない。 そして、俺は覚悟を決めないといけない。

 

教室の戸を閉め、昇降口へと向かう。 校舎内にはもう誰も残っていないのだろうか? 人気が感じられない。

 

「そういえば、八幡平塚先生に呼ばれたにしてはやけに長時間だったね。 何かやらされてたの?」

 

と逢が突然聞いてくる。 俺もそれを話題にしようと思っていたから都合がいい。

 

「あぁ。 呼び出された理由は授業に集中していないことじゃなく高校生活を振り返る作文が酷いって言う件だった。」

 

「あぁ……。 確かに八幡が呼び出されそうだね。」

と逢は内容を想像したのだろうか? ジト目でこっちを見る。 かわいい。 ずっと見つめていたい。 付き合ってください。

 

そんな事は言えるわけがありません。 はい。

 

「後は平塚先生にお前は友達がいるのかって聞かれているってら答えたら何故か分からないが奉仕部という部活に入部されされた。」

 

「突っ込みたいところが色々あるんだけど……。」

 

と逢は額に手を当てて困惑に耐えながらも聞いてくる。

 

「何で友達いるって答えたの?」

 

俺たちは今昇降口に居たのだが、俺のこの驚きは今手に持っていた靴を落とした事により表現されました。 Nice shose

 

「え、俺泣いちゃうよ?」

 

「うそうそ。 八幡と私は親友だよ……うん。」

 

何故か分からないが逢が声のトーンを落とした気がする。 前も言いましたけどね、私はその動作一つ一つに勘違いするわけにはいかんのですよ。 ねぇ、逢さん。 男を勘違いさせる行為によって世の中の男は何人戦場へ赴いてその大半がそういったトラップにより死んでいくのですよ……。 私を惑わせないでください、もう恋を失敗したくないんだ。

 

「よかったよ。 おかげで今日の俺はコンビニでロープを買いに行くところだった。」

 

「重いよ、八幡……。」

 

おっと、重い発言をしてしまった。 八幡の青春ポイントー50

 

「すまんすまん。」

 

「まぁ、そういうところも面白いからいいけどね。 ごほん。 まぁ、平塚先生がなんでそんな質問をしたのかは気になるけどじゃあ次。 奉仕部って?」

 

「俺も知らなかったんだが、なんか困ってる人がいたら手を差し伸べる部活だとよ。」

 

本当に説明するところがこれくらいしかないのが既におかしい部活である。

 

「そんな部活あったんだ……。 で、なんで八幡がそこに入部させられたの?」

 

「なんか友達いる発言が妄言だと思われてペナルティとして入部に。 何を言ってるか分からねーと思うが。」

 

「じゃあ、私が会いに行ってあげるよ。」

 

「え?」

 

俺は驚いた。 何にって? そりゃあ、俺が頼もうと思ったことを自主的に言ってくれたからだ。 ……逢は優しいよ。

 

「八幡が友達いないって言われるのはその親友である私も馬鹿にされてる気がするからね。 一度ガツン!と言ってやらないと。」

 

と逢は大袈裟に動作をしながら俺に言う。 微笑ましく俺はつい笑ってしまう。 中学の頃からこういうやつだったな。

 

「ありがとう、逢。 じゃあ、明日の放課後一緒に奉仕部について来てくれるか? ……後、明日は友達と帰る約束とかないよな?」

 

「だから誘われないって、大丈夫だよ八幡。 ……気遣いありがとね。」

 

「ばっか、そんなんじゃねぇよ。」

 

そうだ、これは気遣いではない。 恩の支払いの一環だ。 惚れた男の醜い行動だ。

 

「ふふ、八幡ったら。」

 

「なんだよ逢。」

 

「いや、何でもないよ。 早くか〜えろ♪」

 

「おう。」

 

よし、これで雪ノ下に吠え面をかかせられる! 明日の楽しみが一つ増えたぜ。

 

夕日は疲れたとばかりに輝きを少しずつ失い、やがて夜になっていく。 夜が過ぎればまた朝となる。 今夜はどんな夢を見るのだろうか。

 

「どうしたの、八幡? 夢が気になったようか顔をしてさ。」

 

「え、お前俺の心読めるの?」

 

「何と無くだよ。 なんだかんだ長いしね。」

 

「そうか……。 」

そういえば長くなるな。 そう思ったからだろうか。 口からこぼれてしまった。

 

「今朝過去の夢を見たんだ。 ……逢との出会ったときあたりのこと。 俺がボコボコにされててお前が来たあたりの事。」

 

逢の肩がピクンと動く。 逢にとっても色々あったことなのだろう。

 

「改めて思ったよ、逢ありがとう。」

 

「だからそういうのはやめてって。 感謝されるようなことはしていないよ、八幡。」

 

「あぁ……。 事あるごとに毎回言うのやめないとな。 大分俺お前と会ってから変わったよ。」

 

「ふふ、私もだよ八幡。 けど、勘違いしないでね。 私の変化は良い方への変化だから。」

 

と逢は明るく言う。 俺も負けず劣らず言い返す。

 

「俺だって大分良くなったよ。 見違えるくらいにな。」

 

「ほんと、そうだね。 想像もできないよ。」

 

 

ついつい過去の回想に耽ってしまう。 それほど過去が大きかったのだ。 だが、履き違えてはならない。

過去を乗り越える時を間違えないこと。 それが今俺に必要なことだ。

 

 

……だけど今くらい振り返させてくれ。

 

 

 

× × ×

 

ずいぶん長いこと話していたと思う。 もう辺りは真っ暗だ。

あいつのことを家に送って俺は帰宅した。

 

「おっかえりー!お兄ちゃん♪」

 

なんかエンジェルの声が聞こえますね……。

 

「おう、ただいま小町。」

 

「ご飯にする? お風呂にする? それとm「ご飯でお願い。」」

 

こういうのは早くいうのが大切である。 気持ちは逆でも男には我慢しないといけない時がある。 それが今だ。

 

「おっけー。 あ、お兄ちゃんちゃんと逢さんと話した今朝?」

 

「おう、ちゃんと話したぞ。 今に通してくれたの小町のおかげだろ?」

 

「えっへん! 小町頑張りました! あっ、今の小町的にポイント高い!」

 

ナイスだから特別に頭を撫でてやろう。 ほーれ、よしよし〜。

 

「ちょ、お兄ちゃんやめて。」

 

ちょっと怖いトーンが聞こえたのですぐにやめます。 お兄ちゃん辛い。

 

 

 

× × ×

 

ご飯を食べ終わり俺は今夜見る夢が気になっていた。 2日連続はないとは言えないがもしかしたらありえるかもしれない、そう思ったからだ。

 

そんなことを考えていたらメールが来ていた。 メールなんてくる相手ダエモンか逢しかいないので自動的に逢である。

 

「今から寝るんだけど八幡の話を聞いてたら私も自分の夢が気になってきちゃった笑。今日は私も夢を気にして寝てみるよ。 明日話し合おうね、八幡^ ^」

 

どうやら、逢はもう寝るようだ。 俺もそろそろ寝ようか。

 

長かった1日はもうそろそろ終わりを迎える。 けど、この1日は俺にとってはスタートを切らせてくれた一日だと思う。

 

こんなも逢の回想が見れますように……そう思って闇の中へと落ちていった……。

 




第6話終了です。

多くの方に見ていただけて嬉しいです。
今朝見たら赤評価で本気でびっくりしました。

稚拙な所はありますので低評価もつけられるとは思いますが頭の中で描けてるゴールまで突っ走りたいと思いますり

では、次回もよろしくお願いします。

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