差し伸べられた手   作:カプロラクタム

4 / 10
今回は原作1巻の内容を含みます。

含むどころか会話までもが大体同じになっております。 この回は奉仕部へ繋ぐ回ですのでしっかりとしておきたかったと思っていたら会話文が……。

本当にすいません。
それとですが、このssくらいですかね?
このくらいのネタの配分お真面目なところでいいよ〜っていうなら続けます。 要望があるなら感想などにどうぞ。
では、本編を開始します。


やはり俺のきっかけは間違っている

平塚先生に呼び出された俺は職員室へ向かいノックしてそして入る。 なんの無礼もなく入ることが呼び出された者への最低限の義務……というより平塚先生が怖いだけです。 衝撃のファーストブリッドとか打ちそうでびくびくしてる。

 

職員室内で目的の人物を見つけその人の前まで行く。 向こうもこちらに気付いたらしく体をこちらへ向ける。 う……。目を合わせて会話するの地味に辛い。

 

「やぁ、比企谷。 なんで呼び出されたかわかるかな?」

 

え、頭叩かれたしどう考えてもあれだけしか思いつかない。 他に解があるのだろうか。

 

俺は首をかしげつつ答える。

 

「授業に集中していなかったからじゃないですか?」

 

「それもある。 ただな比企谷。 私は若いから仕事がたくさんあって忙しいんだ! 若いから! だからそんなくだらない理由で呼び出す訳無かろう。」

 

ちゃっかりこのひとすごいこといってる。 てか、教師がそんな事言っていいんですかね。

 

「はぁ、じゃあなんでしょうか。」

 

今日は逢と一緒に帰れなかったためいつもの9/10不機嫌だ。 え、なんで1より小さいかって? そりゃ大きくしたら平塚先生にボコられますよ。 いや、ボコられはしないだろうけど。

 

実際は73/10ぐらいの怒りはあるが全力で抑えてる。

 

「私が授業で出した課題は何だったかな?、比企谷。」

 

課題は ……? はて、そんなものあったであろうか。 全く記憶にない。 今朝見た夢の方が覚えているレベルである。 いや、今まで逢が家に尋ねた回数の方が覚えているかもしれない。 ……俺が予想以上にキモさの闇を抱えていた。 ふぇぇ……八幡キモいよぉぉ……。

 

「ほら、『高校生活を振り返って』っていう作文のテーマの奴だ。 なんだこの犯行声明みたいな作文は? テロリストなのか? バカなのか?」

 

そういって平塚先生は俺の書いたであろう作文を俺に見せる。

 

 

× × ×

 

レポート提出用紙

「高校生活を振り返って」

2年F組 比企谷八幡

 

 

青春とは嘘であり、悪である。

青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺く。

自らを取り巻く環境の全てを肯定的に捉える。

何か致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、思い出の1ページに刻むのだ。

例を挙げよう。 彼らは万引きや集団暴走という犯罪行為に手を染めてはそれを「若気の至り」と呼ぶ。

試験で赤点をとれば、学校は勉強するだけの場所じゃないと言い出す。

彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。 彼らにかかれば嘘も秘密も、罪科も失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。

そして彼らはその悪に、その失敗に特別性を見出す。

自分たちの失敗は遍く青春の一部分であるが、他者の失敗は青春でなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。

仮に失敗することが青春の証であるのなら友達作りに失敗した人間もまた青春ど真ん中でなければおかしいではないか。 しかし、彼らはそれを認めないだろう。

なんのことはない。全て彼らのご都合主義でしかない。 現に俺もそれで苦労している。

なら、それは欺瞞だろう。 嘘も欺瞞も秘密も詐術も糾弾されるべきものだ。

彼らは悪だ。

ということは、逆説的に青春を謳歌していかい者のほうが正しく真の正義である。

結論を言おう。

 

リア充爆発しろ!

 

 

 

× × ×

 

読み終わって少し考える。 確かに俺の名前が書いてあるし俺の書きそうな文面だ。 本当に書いたこと思っていなかった。 てか平塚先生怖い、怖いですって!

 

「何か言うことはあるか?」

 

「俺はちゃんと高校生活を振り返って書いたんですけれど……。」

 

これだけは胸を張って言える。

 

「普通こういう時は自分の生活を省みるものだろう。」

 

「だったらそう前置きしてください。 そうしたらその通り書きますよ。 これは先生の出題ミスであってですね。」

 

「貴様屁理屈を言うな。」

 

教師に貴様って言われたの初めてだよ……。

 

平塚先生はタバコを取り出し火をつける。 俺から見てもかなりしっくりとくる動作で俺は驚きを隠せない。 マジで似合ってるよ。 俺が同年齢なら惚れていたかも。 まぁ、今の僕は片思い中なのでごめんなさい。

 

「なぁ、比企谷。 君は部活をやっていなかったよな?」

 

「はい。」

 

「……友達とかいるか?」

 

「はい。」

 

人数は聞かれていないので逢1人だけだったがいることには変わりない。 言うと同時に逢との友情が切れないことを俺は望んだ。

 

「え、なんだって?」

 

おい、そこ難聴系かぁ? マジで難聴姉貴はNGです。

 

「嘘をつくんじゃない。」

 

「いや、嘘じゃないんですが。」

 

「え、本当か?」

 

「はい。」

 

俺に何回同じ返事をさせるんだ。 てかまだ信じてないでしょ先生。

 

先生はふぅっと煙を吐きだし、落ち着いてから口を開く。

 

「……よし、こうしよう。 レポートは書き直せ。」

 

「はい。」

ですよね。 さすがの俺のあれは酷いと思ったししょうがないか。 けど思ってることを書けないのは辛い。

 

「ただ、君は心に闇を抱えているらしく自分の嘘を誠だと信じている。 君みたいな腐った魚のような目をしている者に友達など出来るわけがない。」

 

「え、さすがに酷くないですか。」

 

さすがの俺もドン引きである。

 

「そこで君には罰として奉仕活動を命じる。 罪には罰を与えないとな。」

 

なんでこの先生嬉しそうなんですかねぇ……。

「奉仕活動って何をすればいいんですか?」

 

「ついてきたまえ。」

 

いきたくねぇ……。 足がすごい重くなる。 逢の帰りを断った選択がこれとかあんな作文を書いた俺を恨む。

 

「おい、早くしろ。」

 

脳裏に逢を想像しつつ俺は平塚先生の後ろをついていった。

 




第4話終了です。

本当に大半が一緒ですいません。 次回以降は無くなりますので許しいただけると幸いです。

次回もお楽しみm(_ _)m

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