差し伸べられた手   作:カプロラクタム

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どうも、カプロラクタムです。

前回から続けて書いています。

もう冬ですので皆さん体調管理気を付けてください。

では、開始します。


本音を語り合い、そして自ら変えていく

~逢 視点~

 

 

え、雪ノ下さんとの二人きりになったけど・・・・・・。

 

 

部屋に沈黙が広がる。 さっき怒声をあげちゃったからなんか気まずいな。 八幡早く帰ってこないかな。

 

 

「ところで、」

 

 

「はい?」

 

 

驚いて少し声が裏返ってしまった。 恥ずかしい。 けど、本当にびっくりした。 いったいなんだろう。

 

 

「あなた、比企谷君の事が好きなの?」

 

 

・・・・・・ん? 会ってまだ一時間もたっていない人から聞きなれない単語が聞こえたぞ? 聞き間違いかな?

 

 

「あの、すいません。 もう一回言ってもらえないですか? なんか聞き取れなかったようなので。」

 

 

雪ノ下さんは真面目な表情でこちらの目を見ながら言う。 その嘘偽りのない瞳からは思わず目をそらしたくなってしまう。 

 

 

「星野さん。 あなたは比企谷君の事が好きなの? 私は恋愛と言うものはしたことがないからよくわからないのだけれど、私にはそう感じたわ。」

 

 

雪ノ下さんはこちらを見るのをやめない。 どうやら嘘は付けないようだ。

 

 

「バレちゃいましたか。 はい・・・・・・、私は比企谷八幡君が好きなんです。」

 

 

「そう・・・・・・。」

 

 

そういうと雪ノ下さんはこちらを見るのをやめ、本に目を移す。

 

 

え、これで終わりなの? 私の心境としてはすごい・・・・・・言葉にできない晴れ晴れとしたものがあって、ここから話題が広がるんだろうなって思っていたのに、これで終わり?

 

 

思わず聞かずにはいられなかった。

 

 

「あの、それだけですか?」

 

 

「ほかに何か言ってほしいの?」

 

 

「あ、いや・・・・・・。」

 

 

それを言われると困る。 確かに雪ノ下さんに何かを言ってほしい訳じゃないのだ。 これは私の願望。

 

 

「はぁ・・・・・・。 あのね、星野さん。 私、はっきりしないのは嫌いよ?」

 

 

何も言い返せない。 そう思われてもしょうがないだろうなと私は率直に思った。

 

 

「そろそろ比企谷君が帰って来るわね。」

 

 

その言葉は私に何を伝えたいのだろうか。 考える。 後悔しない選択を選ぼう。 もうあの時みたいになりたくない。

 

 

「雪ノ下さん!」

 

 

「はい、なにかしら。」

 

 

雪ノ下さんは極めて冷静に返答した。 今の私とは対極。 けど、自然と怒りはない。

 

 

「ここって、奉仕部って言うんですよね?  困っている人に手を差し伸べる部活って聞きました。 それで・・・・・・相談いいですか?」

 

 

雪ノ下さんはそれを知っていたかのようにこちらをまた向いた。

 

 

「もちろんいいわよ。」

 

 

「相談内容は・・・・・・これから八幡とどう接して行けばいいのかという事なんです。 過去に八幡に関して少しありましてその時がきっかけで八幡のことが好きになったんですけど、同時に彼の事を好きになっていいのかと思うようになってしまって・・・・・・。」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

雪ノ下さんは黙って聞いてくれている。 そのことがただただ嬉しい。 こういった行為に会ってまだ間もない人に話せるこの人のカリスマというのを感じずにはいられない。

 

 

「私の思いは彼に対する気持ちでいっぱいなのに、過去に起こったことだけはどうしようもない! 私はどうすればいいんですか?」

 

 

雪ノ下さんは少し目をつむり、そして答えた。

 

 

「確かに難しい問題だわ。 こればっかりはあなたの問題でもあるわ。 過去に何かあったのかは知らないけれど。 あなたと比企谷君はどれくらい一緒にいるの?」

 

 

「え~と・・・・・・。 登校と下校、クラスでは一緒にいますけどあまり話していません。」

 

 

「あまり話さない? 聞いちゃいけないとは思うけど、はいかいいえで答えてほしいの。そのことは過去の事に何か関係あるのかしら?」

 

 

「・・・・・・はい。」

 

 

「・・・・・・そう。 大体は察したわ。  あなたのその問題は確かに時間が解決する問題じゃないわ。 けれど、すぐに解決する問題でもないわ。 具体的に言うなら、この高校生活中には解決しないとダメでしょうね。」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

やっぱりそうなのかな。 けど、どうすればいいのかな。

 

 

「星野さん。 私から言えることは少ししかないけれど言えることわね、まず教室でもちゃんと比企谷君と会話をしなさい。 それから、学校以外でのふれあい、例えば遊びに行くとかそういったことをしなさい。恐れないで進むことが唯一の道よ。」

 

 

その言葉を他者から聞いて私の心に届くものがあったと思う。 ”恐れないで進む”・・・・・・その心が私には足りなかったのだと思う。 

 

 

「ありがとうございました、雪ノ下さん。  だいぶすっきりしました。 ここからは自分で頑張って行こうと思います。」

 

 

「そう・・・・・・頑張って。 私からは何もできないから。」

 

 

雪ノ下さんはこちらを見て笑っていた。 たぶん私の顔も笑顔だと思う。 

 

 

その時、扉が開いた。

 

 

「お~い、買ってきたぞ。」

 

 

八幡が飲み物を買いに行ってたのから帰ってきたらしい。

 

 

「お疲れさま。  って、またマックスコーヒー?」

 

 

まぁ、どうせそれだと思ったけど。 八幡らしいし、私はもう慣れちゃったからいいけど雪ノ下さんが・・・・・・。

 

 

「ありがたくもらっておくわ。」

 

 

若干雪ノ下さんが驚いているように見える。 ふふ、かわいいな雪ノ下さんって。

 

 

マックスコーヒーに口を付けつつ私は考えた。 これから私の過去に起きた出来事の清算をしていくんだろうと。 けど、それは嫌なことに感じなかった。 むしろ私の前に現れた蜘蛛の糸なのではないかとそう感じた。 私はこれからの高校生活の一分一秒を楽しみ、苦しみそして自分なりの答えを出すのでしょう。 

 

 

まず、今日の下校は何を話そうかなと考え私はマックスコーヒーを飲み終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございました。


自分の中では区切りが良いので、この後の展開はじっくり考えていきたいと思います。


次回の更新は未定です。 けれど完結はしたいと思います。 もしくは、もうエピローグに入るか・・・・・・。


更新するとしたら3月以降だと思います。 はまち12巻もでるでしょうしね。
それではまた会いましょう。

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