――人々の対等でいたいという願い。
――あるいは対等な存在が欲しいという願い。
――特別ではなく普通でいたいという願い。
弱者である人の願いを母とし、強者である妖の願いを父として、一つの存在――半人半妖が世に誕生した。
妖怪とは世に産声を上げた瞬間から己が生まれた意味を知っている。
鳥が空を飛べるように、蜘蛛が糸を紡ぎ巣を張るように、人が立ち上がり歩くように妖怪も誰に教えてもらうことなく自らが何者かを理解している。
その生まれた妖怪もまた自らの生まれた意味を知っていた。
弱者の強者と共に肩を並べたい。共に在りたい。対等でいたい。その願いを叶えるために力を貸し味方となった。
強者の対等な存在が欲しい。強き者として生まれた苦悩を晴らす為に時に自ら力を奮い孤独を癒す友となった。
普通に生きたい。生まれ持った力に翻弄される者には力を制御する術を教える助言者となった。
贅を尽くさなくていい。せめて人並みに生きたい。虐げられ続け理不尽に喘ぐ人々を受け入れる為に縄張りを持った。
強固な絆でなくともいい。ただ何気なく笑い合えるだけの隣人が欲しい。強さや異端さ故に畏れられた者共を縄張りへと招き入れた。
長年住み着いた土地には、主である妖怪の持つ対等であるという性質とその地に生きる者達の願いが浸透し、いつしか人妖が入り混じりつつも共に生きれる場所になっていた。
そこは小さな、小さな村と呼べる程度ではあるが人と妖怪が確かに対等に生き笑い合える世界だった。
ある時、その村の噂を聞きつけた妖怪がいた。
小さな規模であるが長年追い求めてきた理想を体現していた世界。
そして当時既に賢者と呼ばれていた大妖怪は決めた、ここを幻想郷の基盤にしようと。
大妖怪は土地の主である半人半妖に接触することになる。
始めは土地の主を従えさせようと数多の小競り合いを起こし、力を認めた大妖怪は暴力ではない理性ある話し合いや交渉を行う。
そうしたのち、土地の主は大妖怪に協力することになった。
賢者の大妖は規律と秩序を組み込み管理者となり。
半人半妖は土地と住人を提供し地主と呼ばれた。
後に閻魔も派遣され規律もより明確化され、管理者により結界が敷かれ一層安寧な世界となり、住人達を纏める巫女という役割が生まれ、地主の元へと新たに弱者たる人間に妖怪、強者であり厭世的な存在が集い始める。
そして人妖が笑い合えていた小さな村は、様々な問題を抱えれどもそれらを乗り越えあらゆる人妖の楽園――幻想郷という名前を得た。
気ままに思いついたものを書いていく小説です。
このキャラとのこんな絡みがみたいとかあればインスピレーションが刺激されて書くかもしれません。
まったりいこうと思います。