Fallout 運び屋の少女   作:Ciels

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第六十四話 ネルソン、攻撃2

 

 

 

 

 NCRとリージョンの戦いは予想よりも激しかった。

先制攻撃が決まったNCR側だったが、リージョン側も死ぬ事を厭わない防衛で食い止めている。

時間が経てば経つほど、最初に後手に回った防衛というものは陣地が構築されていく。

今回も例外ではなく、目覚めた他のリージョン兵がヘイズ分隊を討ち取らんと武器を手に町中を駆けまわっていた。

 

もちろん、不利になっていくのはヘイズ中尉達だけではない。

それを支援している私達にもそのとばっちり……なのかな。ともかく、攻撃が集中していた。

 

 

「ブーン!真下!真下!」

 

 

「クソッ!」

 

 

射撃を中止して周囲を観察してみれば、やぐらのすぐ下にリージョン兵が到達していた。

私の位置と角度からは狙えない位置であり、ブーンに知らせて対処する様に言う。

 

彼は左手で9㎜ピストルを背中のホルスターから抜き、即座に対応する。

数発撃ち、彼の放った弾丸はようやく命中した。

ライフルの腕は素晴らしいが、それ以外は苦手なのだろうか。まだ撃たれたリージョン兵は生きている。

 

 

そろそろこの場所も限界か。

そう思った矢先、ふと反対側から気配がした。

本能的にマチェットを取り出してそちらへ振りかぶる。

 

 

「ぐあっ」

 

 

振りかぶった先には、やぐらを登っていたリージョン兵の頭があった。

簡易的なヘルメットはマチェットの刃によって押しつぶされ、頭も同様に破壊されていた。

瞬間的にマチェットを離し、ショットガンを背中から手繰り寄せる。

一度私達がここを突破しない限り、中尉達の援護は難しいだろう。

 

ライフルを背負うと、やぐらから飛び降りる。

 

 

「そこから援護してっ!」

 

 

かなりの無茶振りをブーンに出す。

 

 

「お前はッ!?」

 

 

ハンティングライフルのクリップを変えると、ブーンは叫んだ。

 

 

「攻めるわッ!」

 

 

それだけ言い、私はショットガンのフォアエンドを前後する。

装填されているのはスラッグ弾ではなく通常の00バック。

フォアエンドを少しだけ後退させ、シェルがしっかりと装填されている事を確認すると、私は駆けだす。

 

駆けだすと、それを妨害する様にリージョンの新兵が鉈を振りかざして迫った来た。

 

 

「シーザー万歳!」

 

 

反射的に腰だめでショットガンを発砲する。

当たり前のように小さな鉛の球が新兵を襲うが、当たった場所は足。

 

腰だめだが、当たればいい。

フォアエンドを前後しながら、転倒する兵士を飛び越える。

飛び越えつつ、9㎜ピストルを片手で抜きつつ兵士の頭と胴体に発砲。

 

死亡は確認していないが、少なくとも動けないのは確かだろう。

 

 

このまま西ゲートには直進しない。

ヘイズ中尉達の流れ弾を受けたくはないからだ。

北側へと大回りし、家屋の間からリージョンたちを狙う。

 

距離は40m、00バックで撃つには最適な距離だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フラグアウトッ!」

 

 

他の分隊員がグレネードを投げる。

 

 

「バカ!捕虜に破片が当たるぞ!」

 

 

中尉が叫ぶもすでに投げられたグレネードはリージョンどもの足元に落ちていた。

爆発したグレネードは爆風と破片をまき散らし、周囲に死をもたらす。

急いで奥にいる磔の捕虜を見ると、どうやら破片のいくらかが当たってしまったようだ。

 

中尉は舌打ちしつつ、遮蔽に隠れてショットガンのリロードを行う。

ショットガンは使いやすいが、再装填に時間がかかる。

おまけにシェルは通常の弾薬よりも大きく、そんなに持ち運びができないものでもあるから、使いどころに困るものでもある。

加え、一発撃つごとに装填を行わなくてはならない。

 

あの少女はどうやってこれを使いこなしているのだろうか。

 

 

「フランクリンッ!着いてこい!」

 

 

装填を終えると、特技兵の上等兵に指示を出す。

 

 

「曹長とカレンは制圧射を絶やすなッ!!!!!!行くぞッ!」

 

 

銃弾が飛び交う中、一番階級の高い中尉が飛び出す。

はっきり言って異常としか思えないこの行動だが、ある意味で彼の良い所でもある。

 

15mほど走ると、崩壊した家屋へと滑り込むように隠れる。

すぐ後に上等兵も隠れ、その場から制圧射撃を行った。

 

 

「中尉ッ!この後のプランは!?」

 

 

「殲滅だッ!」

 

 

脳筋プランを提示すると、上等兵は苦笑した。

 


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