Fallout 運び屋の少女   作:Ciels

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第六十三話 ネルソン、攻撃

 

 

 

 

 

 「……全員、攻撃開始」

 

 

ヘイズ中尉が、静かな声で呟く。

同時に他の隊員が復唱する様にそれを繰り返して言った。

 

すると彼らヘイズ分隊と、同行している攻撃部隊が遮蔽から身を乗り出し、ネルソンへと走り出した。

はっきり言って軍隊の行動、つまり戦略としては正面からの突撃というものは好ましくない。指揮官であるならば、被害を最小限にしつつ相手に効果的な損害を与えられる行動をすべきなのだ。

 

しかし、彼はあの少女の事を信用している。

分隊とは反対の位置に陣取り、守護者と化しているあの少女の事を、分隊全員が信頼しているのだ。

 

 

「コンタクトッ!!!!!!」

 

 

ヘイズ中尉がネルソンの町の守備隊と接敵する。

即座に手にしたレバーアクションショットガンを構え、トリガーを引いた。

 

銃声とマズルブラストが銃口から発生、大きな反動が中尉の腕にのしかかる。

しかしそれだけ見返りも大きく、放たれた12ゲージのフレシェット弾が見張りの兵士に襲い掛かった。

刹那、小さな矢の雨が見張りの兵士を八つ裂きにする。

 

 

「殺った!」

 

 

報告するのと同時にショットガン下部のレバーを上下する。

排莢と装填をこなすと、彼らの分隊はネルソンの町へと侵入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……よし。攻撃が始まったわね」

 

 

双眼鏡から目を離すと、私はバーミンターライフルのチャンバーに弾薬を装填する。

今回使用するのは一般的なファクトリーロード弾ではない。パウダーをたんまり入れた、ハンドロード弾だ。

 

ボルトアクションの銃は手動で排莢、装填を行うため、この手の弾薬と相性が良い。

ガス作動式のオートマチック式ライフルなどでは、予め装薬量を調整しなければならないし、逆にガスシステムをいじらなければならないのだ。

下手にオートマチックで相性の悪い弾薬や、強化弾を使用すれば銃の破損に繋がる。

 

 

「撃っていいか?」

 

 

ブーンがライフルを構え、聞いてくる。

どうやら早くリージョンを殺したくて仕方ないようだ。

彼の経歴を考えて見れば仕方ない事だが、せっかちすぎるとモテないとよくお兄ちゃんが言われていた。

 

私は町に散らばるリージョン兵たちが、正面ゲートへと向かっていくのを確認する。

本格的に交戦を開始したようだ……ふむ、これならばもうやってしまってもいいだろう。

 

 

発砲許可(Weapons free)

 

 

そう言うと、ブーンがにやりと笑う。

すぐさま彼の特製ライフルが火を噴く。

真横で轟音が響き、一瞬私はびくっと身体が動いてしまったが気を取り直して狙い直す。

 

ブーンが殺したのは私達支援組に一番の脅威となるスナイパー。

どうやらこの寡黙なスナイパーは、優先的に私たちの脅威を排除しようとするらしいので、私はヘイズ中尉たちを優先的に守るとしよう。

 

 

攻撃隊に集中砲火を浴びせているマシンガン持ちを狙い、トリガーを絞る。

シアーが落ち切ると、ファイアリングピンが弾薬のプライマーを叩く。

 

瞬間、発砲。

 

いつもより強い反動が肩に来る。

痛いというよりもビックリしたが、その頃にはもうマシンガン持ちは頭を貫かれ死んでいた。

頭を狙うなら通常のフルメタルジャケットでも良かったかなぁ。

 

 

 




お久しぶりです。
遅くなって&短くて申し訳ありません。
ここ数週間非常に忙しく、更新する時間がありませんでした。
また亀更新になってしまいますが、エタったりはしませんのでご了承下さい。

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