Fallout 運び屋の少女   作:Ciels

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感想には出来るだけ返信したいと思っています(訳:感想待ってます)


第二十八話 二プトン通りの東ドライブイン、ギャング

 

 

 モハビ前哨基地で新たな仕事を手に入れた。まずは内容の整理のためにバックグラウンドを把握しておこう。

 

レンジャーに詳しく聞く所によると、と言っても一般人である私が聞ける範囲でだが、どうやらここ何日か二プトンと連絡が取れなくなっているらしい。

元々二プトンは裏では色々とNCRに好ましくない事をしており、リージョンの連中からの保護を名目に表面上NCR寄りだったそうだ。そのため、連絡もたいして重要ではなかったらしい。

だから、普段は連絡が取れない時があってもそのうちしてくるだろう、というようにそれほど問題視はしていなかった。

 

それでもあのレンジャー達が不審に思ったのは、町の方面から上がっていた煙だ。

二プトンは売春と薬の町。

ガラの良くない連中がうろつき、時にはギャング団さえもうろついている……だから、目立つようなことはしない。

 

仮に目立つような事をすれば、それは救難信号か、略奪ぐらいだと。

そう、あの女性レンジャー、ゴーストは仮説を立てた。

 

しかしNCRは慢性的な人手不足で、確認に送る人員もいない。

そこで、二プトンへこれから寄る私が現れた。

 

最初こそ一般人に危険な事はさせられないと反発されたが、私がモハビ・エクスプレスの゛優秀な″社員であるという事を説明すると、何とか了承してくれた。

 

さすがに行って帰って報告する時間はないので、彼らからNCRの無線を借り、それで現地から報告する……という手はずになっている。

報酬は200キャップと5.56㎜弾100発。最初は低く見積もられていた報酬も、私の交渉術にかかればこんなもんだ。

ちなみに、報酬の受け取り場所は第188交易所という場所だ。

ノバックから北にしばらく行った場所にあり、そこにはNCRの兵士が駐在しているとのこと。

 

 

さて、今私は前哨基地から少し西へ進んだ場所にいる。

丁度中間地点のこの場所は、一般的に二プトン通りの東ドライブインと呼ばれており、旅行者やトレーダーたちがよく襲撃される場所として認知されているらしい。

らしいというのは、前哨基地で足止めを食らっていたトレーダーから、レイシーが聞いた話だからだ。

 

 

「Beep……」

 

 

「落ち着きなさいED-E」

 

 

そして現在、私は危機的状況にある。

誰が流したのか知らないが、完全に待ち伏せされていたのだ。

 

周辺にある廃墟から、鉄パイプや鉈を持ったギャング達がこちらをなめ回すように見ながら出てきたのだ。

 

彼らは私の周囲10メートルを包囲した、10人の男女。

 

 

「おい見ろよ、上玉だぜ」

 

 

「あのロボット共々高く売れそうだぜ……」

 

 

「久しぶりに女ともしたかったのよ、ウェヒ!」

 

 

一人イケない女ギャングがいるが、それを抜きにしてもこういう輩は嫌いだ。

私は本当に好きになった人以外とは、そういう、あれだ、いけない事をしないのだ。

ていうか、普通の人ならそうだと思う。

そもそもしたことが無い。

 

 

私は刺激させないように武器を取り出したり構えたりはしない。

仮に銃を見せつけた場合、相手も銃を取り出す可能性がある。

何人のギャングが銃を持っているか分からない以上、無暗に刺激させるのは得策ではないだろう。

 

 

「二プトンに行きたいのだけれど、通してもらえるかしら」

 

 

そう言うと、ギャング達は笑った。

 

 

「娼婦希望なのかこの嬢ちゃん」

 

 

「俺もして欲しいけどな~」

 

 

「なんだその態度、態度まで偉そうじゃねぇかお前」

 

 

「やっちゃうよ?やっちゃうよ!?」

 

 

ゲスイ。

あと汚い、そしてくさい。

 

イラッとするがなんとか抑える。

こんな事今まで何度となくあった。

そう考え、必死に殺意を抑える。

 

が、

 

 

「なぁ嬢ちゃんよぉ」

 

 

野党の一人が私の肩に、後ろから手を触れた。

その瞬間、全身に鳥肌が立った。

 

 

 

ザシュッ、と、肉屋がバラモンの肉を切る時よりも心地よい音が響く。

続けざまにドサッという、何かが落ちる音……

 

その正体は、私のマチェットが野党の手を切り落とした音だ。

 

 

耐えられなかった。

汚らしい手で触られるのが、何よりも嫌悪感を抱いた。

 

 

「お」

 

 

痛みを感じる前に、私は右手が無いギャングの頭をマチェットで弾いた。

それだけで、その男は物言わぬ肉塊に成り果てる。

 

 

「こ、こいつ!」

 

 

仲間の死に慌てたギャングが一斉に私めがけて突っ込んでくる。

私は、激怒した。

 

 

「死ね」

 

 

 

彼ら、通称ジャッカル団の命運は尽きた。

 

 

 

 

「このガキィ!」

 

 

 

まずは一人が鉄パイプを振り上げて襲い掛かってくる。

 

振り下ろしてきた鉄パイプをマチェットで弾き返す。

伊達にStrength8(筋力)Melee Weapon75(近接武器)ではない。

 

 

「うおッ」

 

 

後ろへとバランスを崩した男に追撃する。

単純に、右から首を斬りつけ、そのあと反対側から斜めに胴体をバッサリ。

男は死んだ。

 

 

「こんの!やりやがったな!」

 

 

一人ひとり、順番に攻めてきているのは素人同士で連携が取れていないからだろう。

それはそうだ、こんな日本の時代劇みたいなこと、訓練や経験を積まない限りできるものではない。

下手をすれば仲間を殺してしまうし、殺されてしまう。

 

次に攻めてきたのはあのクレイジーサイコバイ。

彼女の手にはサバイバルナイフが握られている……

 

攻撃方法は身を低くしたところからの突き刺し。

ナイフでの常套手段だろう。

 

ナイフの位置は膝のあたり位まで低く、恐らく今までこの方法で多くの人を殺してきたのだろう。

行動の速さからして、自身があると見える。

 

 

だが。

 

 

私は突き刺そうとする女の腕を、ブーツの底で弾くように止めた。

要は蹴ったのだ。

 

足の力に腕は敵わない。

彼女の必殺技は、いともたやすく止められてしまった。

 

 

「嘘ッ……」

 

 

驚愕している女の胸にマチェットの刃を突き刺す。

突き刺さったマチェットは深く彼女の心臓を抉り、息の根を止めた。

 

抜き取ったマチェットの刃に血が滴る。

 

 

ここで私はマチェットを地面に突き立て、拳銃を抜いた。

 

 

いきなり取り出した拳銃に、一同が驚愕する。

 

 

 

「こいつ銃を……」

 

 

言い終える前に、レーザーガンの音が響いた。

いつの間にか少し上空に陣取ったED-Eが電気光線銃をギャングめがけて放ったのだ。

 

 

「Beep!Beep!」

 

 

死ねと言っているのか援護すると言っているのか分からないが、それを利用する手は無い。

ED-Eの放ったレーザーは男の一人にヒットし、身体を焼いて灰へと変える。

 

レーザー光線の恐ろしさは、この不確定要素にある。

詳しい事は分からないが、レーザー光線に当たった生物は稀に灰と塵になってしまうのだ。

ただでさえ強い威力のレーザーだが、電子部品に頼らざるを得ない面もあり、砂やごみが入りやすいモハビではあまり用いられていない。故障してしまうから。

 

 

まぁ今はそんな事はどうでもいい。

私は9㎜拳銃を構える。

 

普通のウィーバーやアイソセレス等の構えではない。

 

 

Center Axis Relock、という近接戦闘に特化した構え方だ。

 

半身になり、ファイティングのように構え、この時肘の角度は90度にする。

銃本体の角度は45度を意識し、銃を持った方の目を隠して反対側の目でサイトを覗きやすくするのだ。

行ってもわからないと思うが、この方法は反動制御と近距離でのサイティング、そして銃のマルファンクション・クリアランス動作に優れている。

目と銃がかなり近いために、確認しやすいのだ。

 

 

「上からも……ぐわッ」

 

 

まずは近くの一人に二発。

そしてその隣に二発、更に隣りはED-Eが始末したので、後ろから迫っていたギャングに対し、銃をスイッチング(左手に持ち替えて)して二発。

 

二発撃つのは、そっちの方が確実に死ぬからだ。

 

 

「こいつを食らえ!」

 

 

と、ギャングの一人が10㎜ピストルをこちらに向けていた。

私は銃口の向きを確認し、自分の右手へ逸れる。

 

刹那、発砲されるが私のすぐ左を弾が抜けただけで済んだので、反撃。

反射的に狙い、胴と頭に一発ずつ撃ちこむ。

 

 

「Beeeeeeeeeeeeep!」

 

 

怒り狂ったようにED-Eが叫び、ギャングの一人に体当たりしながら電気光線銃を連射してギャングを焼き殺した。

意外とアグレッシブだなぁ。

 

 

と、もうターゲットがいない。

私は周囲を確認してから物陰に隠れる。

 

もしかしたら今の騒ぎを聞きつけて、隠れていた仲間や野生動物等が来るかもしれないからだ。

だが、それも杞憂だったようで、誰もいないことをED-Eが空から確認すると、私は安息の息を吐いた。

 

 

「Beep!」

 

 

戻ってきたED-Eが座って休んでいた私にすり寄ってきたので撫でてあげると、嬉しそうに鳴いて見せた。

 

 


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