~多々良小傘side~
困った事になったわね。
商売道具である道具達の付喪神化が多くなったわ。
これじゃあ商売ができなくなっちゃうわ。
まあ、大体の原因は分かってるんだけどね。この頃頻繁に禍々しい妖気が微弱だけど出ていたからね。
そう思い私はあるお店の前へと来ていた。
「すいませ~ん」
「いらっしゃいませ!って小傘さんですか」
「お久しぶりね。小鈴ちゃん」
「はい、お久しぶりです!」
そう此処のお店の名前は「鈴奈庵」。人里でも有名な貸本屋である。
他にも色々な者達にも有名ではあるが・・・
「今回はどうされたのですか?」
「あぁ、ちょっと聞きたい事があってね・・・・・・最近よく開いたり見たりしているものがあるんじゃないの、小鈴ちゃん?」
私のその問いに小鈴ちゃんは身体を“ビクッ”てなるのを私は見逃さなかった。
「どうやら心当たりはあるみたいね?」
「・・・はい」
「それを見せて貰ってもいいかしら?」
「分かりました・・・」
そう言い小鈴ちゃんは奥へと入って行った。
暫く待っていると一つの箱を持って小鈴ちゃんが戻って来た。
「それが・・・そうなの?」
「はい・・・『私家版 百鬼夜行絵巻 最終章補遺』、有名な『百鬼夜行絵巻』には続きがあったみたいで・・・それがこれです。最近見つかったんですよ」
ふぅん、成程ね。
「これを開かないほうがいいわよ」
「へ?」
「これは付喪神の力を少し強めて自身の所に集め力を蓄えていくものよ。時が経てば封印が解けちゃうかもしれないわね~」
「ほ、本当ですか!?」
「そうよ、実際此処に夜の間に物が集まったりしているんでしょう?」
「は、はい・・・開いた日には必ず・・・」
「実際私の所の道具もなっちゃってて困ってるのよ」
「そ、そうだったんですか・・・・・・」
「あとその本を狙って強者がやってくるかもしれないから気御付けなさいね」
これくらい言って置かないとこの子は懲りないからね・・・
「そ、そんな・・・どうすれば・・・・・・」
「開かなきゃ妖力が漏れる事もないから開かなければ問題は無いはずよ」
「そうですか、分かりました」
おっと、忘れるところだったわ。
「あと、はいこれ。買い取りお願いね」
そう言い私はチルノちゃん達が持ってきた中にあった外来本を差し出した。
「あ、ありがとうございます!え~と今回のは・・・・・・これくらいになります」
「それでいいわよ」
「はい、了解しました・・・・・・こちらになります」
「あと、今さっきの巻物は売ってはダメだよ。扱い様によっては強大な力として使う事も出来るんだからね」
「分かりました。教えてくれてありがとうございます・・・」
「本があったらまた来るよ」
そう言い私は店を出た。
「ご来店ありがとうございました~!!」
小鈴ちゃんの声を聞きながら・・・
~多々良小傘sideout~
この物語の小傘はマミゾウの立ち位置にもいます。
だからと言ってマミゾウが登場しないわけではありません。