東方小傘物語   作:寂しい幻想の刀鍛冶

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第29話 薬売りの悩み事

 ~多々良小傘Side~

 

 

ふぅ、何とか昨日の妖怪の山との商談も無事に終わったわね。

 

今日、私は朱鷺子ちゃんに買い物に行ってもらう様に頼んだ。

 

人里の人達も受け入れてくれているみたいだし、大丈夫の筈だものね。

 

そう考えながら会計の席に座りながら考えていると、扉から誰かが入って来た。

 

「あら、いらっしゃい。ようこそ道具屋『傀儡』へ。何をお求めですか?」

 

「いえ、買いに来たのではないのですよ小傘さん・・・」

 

「あれ?何処かでお会いしましたか?」

 

そう言いながら相手の恰好を見た。

 

相手は笠をかぶっているため顔が見えないが、背には大きな背負子に箱を載せていた。

 

「あぁ、直接お会いするのは初めてでしたね」

 

そう言いながら相手は笠を取った。

 

すると頭にうさ耳が生えていた。

 

「私は永遠亭で働いている鈴仙・優曇華院・イナバと申します」

 

「あら、永琳さんの所の方でしたか。それで、鈴仙さんはどの様な要件で来たのでしょうか?」

 

「それは・・・、私はこの人里に薬を売りに来ているんですが、信用されていないみたいで・・・」

 

あぁ、何となく分かったわ。

 

「それで薬が売れなくて困っているって事かしら?」

 

「そう言う事なんです・・・・・・」

 

これは時間が経たないといけないものね・・・

 

まぁ、手がないと言えば嘘になるけどね・・・

 

「それなら此処に置いておきましょうか?」

 

「・・・へ?」

 

「まぁ、此処は色々の人や妖怪が利用しているから薬の転売くらいなら出来るわよ?」

 

「本当ですか!?」

 

「えぇ、後は寺子屋に頼むという手があるけど・・・」

 

「なんで寺子屋なんですか?」

 

「寺子屋の先生が人里の守護者と呼ばれている事と子どもはよく怪我をするから薬の出番がよくあるからと言ったところかしらね」

 

「なるほど!確かにそうですね・・・」

 

私の説明に納得した様子の鈴仙さん。

 

「まぁ、先ずは私の店で宣伝した後に寺子屋の方で宣伝する方で行きましょうか」

 

「はい、どうかよろしくお願いします」

 

そう言いながら鈴仙さんは薬の箱を私に渡してきた。

 

「週に一度くらいで一応確認に来ますので。後・・・はい」

 

鈴仙さんが紙を差し出して来たので受け取って見てみると薬の値段と注意事項が書かれていた。

 

「それではよろしくお願いします」

 

礼をしながらそう言うと鈴仙さんは帰って行った。

 

さて、それじゃあ薬を売り始める事を宣伝しないといけないわね。

 

「小傘さ~ん!ただ今戻りました~!!」

 

そう思っていると朱鷺子ちゃんが買い物から戻って来た。

 

「朱鷺子ちゃん、御帰りなさい」

 

「先ほど、誰かが店から出て来ましたけど、何かあったんですか?」

 

「まぁ、新たな商談をしていただけよ。それよりも、朱鷺子ちゃんの方で何かなかったかしら?」

 

私がそう聞くと朱鷺子ちゃんは少し考えると何かを思い出したように言い始めた。

 

「そう言えば、博麗の巫女ではない人が巫女服をして信仰集めをしていました」

 

「・・・なんですって?それは本当なの?」

 

「はい、確か妖怪の山の頂上にあるとかなんとか・・・」

 

それを聞き私は頭を抱えた。

 

また厄介な事が起きる・・・

 

「そう、それじゃあそろそろ食事にしましょうか?」

 

「はい!!」

 

一旦その事は頭の隅へ置き、料理をし始めた。

 

 

 ~多々良小傘Sideout~


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