幻想郷の人里・・・
その一番端に一つのお店が建っていた。
そこは人里の中で在りながらとある妖怪が営業している道具屋である。
だが、里の人々からは安くて使い易く、タダで直してくれると言う事でよく利用している事で有名である。
その道具屋に一人の人物が訪れた。
「すまない、店主はおられるか?」
その声の後、店の奥から一人の人物が現れた。
「いらっしゃい、道具屋『傀儡』へようこそ。って慧音先生じゃないですか。お久しぶりですね」
そう、このお店を訪れたのは人里の守護者にして寺子屋の教師、上白沢慧音である。
「あぁ、ひさしぶりだな、小傘」
そして、此処の店主である唐傘妖怪、多々良小傘である。
「お元気そうで何よりです」
「お前もな、小傘。最初はどうなるかと思ったが上手く人里に馴染めている様じゃないか」
「ははは、それは先生のおかげですよ。それで、今回は何が欲しいんですか?チョーク?それとも紙かしら?」
「いや、確かにチョークも欲しいし紙も欲しいが今回はそういうんじゃないんだ。頼みたい事があるんだ」
そう言いながら慧音は何時もよりも真剣な顔になった。
その顔を見て小傘も真剣な顔になった。
「ふぅん、どうやら今回は物を作って欲しい分けではないみたいね」
「あぁ今、外が赤い霧で覆われているのは知っているよな?」
「えぇ、昨日くらいからあるわね」
「今回はその事で頼みたい事があるんだ。この霧を解決して欲しいのだ」
その言葉を聞き小傘は“何故?”て顔をしながら慧音に聞いた。
「どう見ても今回の霧は異変でしょ。だったら博麗の巫女が解決の為に動いているんじゃないの?後、噂で聞いたライバル意識を持っている魔法使いも」
「そうなんだがな・・・・・・里の人達の多くが体調不良で倒れてしまっていてな、なるべく早く解決して欲しいから一様君にも出て欲しいのだ」
「・・・・・・・・・」
その言葉を聞いて小傘は少し考えて返事をした。
「・・・分かったわ、行ってあげる」
「そうか、ありがとうな小傘」
「別に構わないわ。客が来ないと商売にならないからね」
「そうか・・・」
「後、今回の御代は米と新鮮な野菜でお願いね」
「分かった、準備して置こう。それじゃあ頼んだぞ」
そう言い慧音はお店を後にした。
「はぁ、準備しますか・・・」
そう言いながら店じまいをした。
そして相棒の化け傘を持ち、店の外へ出た。
「さぁて、先ずは・・・」
そう言い小傘は空を見た。
そして、湖の方角に霧の渦が出来ているのを見つけた。
「あそこに行くとしますかね・・・」
そう言いながら小傘は湖の方角に飛び始めた。